幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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もうすぐ帰れそうですねオーキド博士!


105話

 突如決まった会合が終わり、オーキド博士は会場の隅で溜め息をついていた。

 

(か、帰らずに出席を選んで正解じゃった……。まさかこんなに参加者が居るとは……)

 

 新たに詰め込まれた予定が終わり、カントーに戻ろうとしたのも束の間、更なる会合の招待がオーキドの元にぶち込まれたのだ。

 

 本当はめちゃくちゃ帰りたかったオーキドだったが、もし参加者が大勢いたらと思うと、後々のことを考えて出席することを決めたのだ。

 

 するとどうだろう。急に招待された会合だというのに、それはもう大勢の識者が集まったではないか。

 

(あ、危ないところじゃった……。こんな大勢参加する会合、カントーに居たならまだしも、こんな近辺まで来ていたというのに参加しなかったとあれば、一体何を言われていたか……)

 

 胸に手を当てて安堵しているオーキドだったが、本来のところで言えば、急に開催が決まった会合などに人はこんなにも集まらない。

 

 だというのにこの参加人数の多さが実現しているのは、ひとえにオーキドの人望によるものだった。

 

 というのも、『オーキドの話を実際に聞きたい』だったり、『オーキドと話してみたい』という識者はこの世に数多く存在し、オーキドが参加を決めた会合については、他の参加者全員にその旨が通達されるようになっている。

 

 それにより、『あのオーキド博士がご参加されるのであれば』と、大勢の参加者が集まるといったカラクリになっていた。

 

 ちなみにこれはオーキド本人が飲み屋で酔ったテンションで許可を出していることだったりするが、本人はそのことを覚えていない。

 

 つまりオーキドは、本人の知らぬ所で自分の名前を出されて客寄せパンダにされているという悲しい状況にあるのだった。

 

(しかし、これでもう予定はすべて消化した! 待っておれリーフ! そしてワシの胃! 安寧はすぐそこじゃ!)

 

お、ホップじゃん! 久しぶり!

ユウキ! 久しぶりなんだぞ!

 

(そうと決まれば早速帰りの便を……! 流石に直近の便は埋まっておるな。であれば、次の次の便でも……)

 

えっ!? ユウキもシバリと知り合いなのか!?

知り合い? そんなんじゃない、シバリとはマブだぜマブ。アイツとはホウエンの空を共に駆けた仲なんだ

おお! オレもシバリとは大親友だ! なんせ一緒にダイナマイトカーニバルを楽しんだ仲なんだぞ!!

なにそれ詳しく

 

(……それにしても、聞いたことのある声がするのぉ。あれはもしや──)

 

そういえばオーキド博士に用があるんだけど、ホップはどこに居るか知ってるか?

ユウキもか!? オレも探してたんだけど、見つからなくて──

 

 そして、チラリと視線を動かした二人と、オーキドの視線がバッチリ合った。

 

「「居た! オーキド博士ぇーー!!!」」

ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!!?!

 

 ぶっちゃけオーキドは今すぐこの場から逃げ出したかった。

 

 だってあの顔は絶対アレだもん。厄介事持ち込んでくる顔だもん。

 

 しかし、未来有望な若者のキラキラした視線を前に逃れるような非情さはオーキドには持てず、結果として大人しく応対するハメになった。

 

「オーキド博士! 実はオダマキ博士が是非お話したいと! 明日のご予定はいかがでしょうか!」

「ウチのソニアも話したいそうなんだぞ! 明日……いや、明後日でも良いから、是非話し合いの機会を設けてほしいんだぞ!!」

「ぐ、ぐぬぅ……!」

 

 本当なら今すぐにでも断りたいところだったが、オーキドには断れない理由があった。

 

 それはいつぞやの会合の際、オーキドが自分の口で宣った発言が起因している。

 

『皆、ワシのことをどこか天上人のように扱っているようじゃが、ワシはただの暇な老人じゃ。研究に詰まっているだとか、インスピレーションが欲しいだとか、なんでもいい。話したいことがあれば、気軽に声をかけてほしいんじゃ!』

 

(なんであんな事言ったんじゃワシはー!?!!!?)

 

 別にその発言で、オーキド博士と一対一で話したいという要望が爆発的に増えたわけではなかった。

 

 何故って、いくら本人がそう言っているとしても、オーキド博士の研究を邪魔するようなことを言うのは畏れ多いものがあったからだ。

 

 しかし、カントーに居ないのであれば。今は研究をしていないのであれば。

 

 オーキド博士を誘うハードルは格段に下がる。これはただ、それだけの話だった。

 

(あんなことを言っておいて断ったとなれば、白い目で見られること間違いなし! しかしこのままではもしかするとリーフがぁ……!)

 

「お、オーキド博士……?」

「どうしたんだぞ……?」

 

 心配そうな表情で自分を見つめる若者二人に向かって、オーキドはゆっくりと口を開く。

 

「二人とも……」

「「?」」

 

 こんな状況だからだろうか。オーキドの口は、自然とあの言葉を発していた。

 

「ワシに死ねと言うんじゃな?」

「「言ってないです」」




さあ早く帰りましょうよオーキド博士!
オーキド博士? オーキド博士!?

まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも:パート2)

  • ジョウト地方
  • カロス地方
  • アローラ地方
  • パルデア地方
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