幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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こうも主人公視点とシロガネ山最奥視点が行き来する小説あんま無いだろと思いながら投稿。


106話

リーフの自己肯定感を上げる施策として、俺は彼女を意識的に褒めることにした。

 

 とは言っても、やりすぎや嘘は良くない。そういうのはすぐ本人に伝わるだろうし、言葉に真実味が無くなってしまう。

 

 だからこそ、やりすぎない程度に、褒めるというよりかは俺が"良い"と感じたことをそのまま口に出すことにした。

 

 そんな自己肯定感爆上げ作戦を決行し始めて早数週間。相変わらず俺はリーフの研究に付き合っていた。

 

「よーし、そろそろ休憩にしよっか! お茶淹れてくるね!」

「よっしゃ。リーフが淹れてくれるお茶は美味しいから楽しみだ」

「む……。まーたそういうこと言う……」

「でも事実だぞ?」

「はいはい。淹れてくるから待っててね」

 

 呆れたような様子でそう言ったリーフだったが、少し照れているのか、ちょっとだけ顔を赤くしていた。

 

 つまり褒め成功である。やったぜ。

 

 最初の方は褒めたあとに『そんなことない』だとか『私なんかが……』みたいなリアクションが返ってきていたけど、今はこうして自分を否定せずに受け止めてくれるようにはなった。

 

 少しは自分に自信を持つことが出来ただろうか。もしそうなら俺は嬉しいけど……。

 

 ……でも、これだけじゃダメだ。あくまでコレは暫定的な対処に過ぎない。

 

 俺はそのうちカントーを出て行く。でもそのとき、リーフの自己肯定感を保証してくれる誰かは居ないんだ。

 

 となれば、リーフ一人でも自己肯定感を持てるようにしなければならない。つまるところ、恒久的な対処が要る。

 

 でも、一人で自分に自信を持てるようにするには、何か芯になるものが必要だ。

 

 例えば、()()とか。

 

 レッドさんで言えばこの地方のチャンピオン。それはもうとんでもない実績だ。

 

 今はワタルさんという人がチャンピオンの座に居るみたいだが、仮にリーフが四天王を全員倒して、その先に居るワタルさんも倒したとなれば、それはもう誰も文句の言えない実績になる。

 

 そんな実績があれば、リーフも自分に自信が持てるようになるはずだ。

 

 とはいえ、チャンピオンというのはあくまで理想的な例でしかない。途方もない努力が必要だし、その途方もない努力をした上でも成し遂げられる人はほぼ居ない。だって、チャンピオンになりたい人は皆努力しているんだから。

 

 それに、さりげなく聞いてみたところリーフはそういうのにはあまり興味がないらしい。無理強いは良くないし、この路線で実績を得ることは考えない方が良さそうだ。

 

 うーん、実績……。実績かぁ……。

 

「……ん?」

 

 何か視線を感じてそちらに顔を向けると、いつの間にか俺の目の前にはお茶が置かれていて、リーフがジト目で俺のことを見つめていた。

 

「シバリくんって、たまにそーやって真剣な顔してるよね」

「あぁ、ごめん。折角淹れてくれたのに」

「そういうことじゃなくて……」

 

 『なんで伝わらないかなぁ』とでも言いたげな表情で、リーフは言葉を続ける。

 

「もし何か悩んでるなら、私で良ければ相談乗るよ? シバリくんにはお世話になってるから、私も何かお返ししたいし」

「リーフ……」

 

 いかん、むしろリーフに心配をかけてしまったか。気をつけないと……。

 

「ごめん、ちょっと考え事してただけなんだ。心配してくれてありがとな」

「……もう」

 

 ……しまったな。その場を誤魔化すために褒めたみたいになってしまった。

 

 どこか不満気というか、責めるような視線を感じつつ、俺はお茶を口に運ぶのだった。

 

────────────────────────

 

「ちっくしょー!! 今日も負けかぁ!!」

「……?」

 

 コテンパンにのされて仰向けに倒れ込んだグリーンに、レッドはどこか不思議そうな表情を向けた。

 

「あん? 『なんか前より雰囲気が良い』だって? そうなんだよ、最近シバリに結構特訓に付き合ってもらっててよ」

「……!」

「はぁ!? 『羨ましい』だぁ!? ならマサラタウンに戻ってこいよ!」

「……」

「『それとこれとは話が別』!? なんなんだお前よぉ!!」

 

 二人の会話(?)を見ていたラズは、チラリとキルネアの方に顔を向けた。

 

「キルネアさん」

「何かしら?」

「あの人、凄いわよね。諦めずに何回もチャレンジしてて」

「……そうね。心なしか彼も嬉しそうだわ」

 

 そう言って微笑ましそうにクスリと笑うキルネアを見て、ラズは同意するように頷いた。

 

「でも、まだ全然本気を引き出せていないっていうのはわかるわ。本気になったらどうなっちゃうのかしら」

「ふふ……」

「……何よ、その含み笑いは……」

「なんでもないわ。ただ、そう遠くないうちに見れると思うわよ?」

「え」

 

 『()()の本気を?』 と、ラズは青白い電気をパチパチとさせて遊んでいるピカチュウを見て、身体を震え上がらせた。

 

「……なんというか、今ならわかる気がするわ」

「?」

「私がジム巡りをしていたときに、貴女や、チャンピオンの人から言われたことよ」

 

『あら、薄々気付いているのではなくて? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って』

 

『──君の求めるものは、王座(ここ)にはない。無論、この先にもね』

 

 二人の言葉を思い出しながら、ラズは言葉を続ける。

 

「……あのときの私は、自分より強いトレーナーを探してた。それは、キルネアさんもわかっていたのよね?」

「……ええ、勿論」

「でも、現実として私より遥か格上のトレーナーは存在するわ。目の前にね」

 

 ラズの視線の先には、どこか楽しげにグリーンと会話(?)するレッドの姿があった。

 

「ふふ、今となっては簡単な話よね。()()()()()()()()()()()を求めておきながら、本当に求めていたのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だったのよ」

 

「断じて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ではなかったわ」

 

 彼女の言葉に、キルネアは肯定するように頷いた。

 

「正解よ。強い人を求めるということは、それだけ自分に自信があるということ」

 

「そして、自分に自信がある人ほど、あの人と戦ったときに心を打ち砕かれるわ」

 

「果てしない壁を目の当たりにして、自らの軸を見失ってしまう。ラズちゃんには、そうなってほしくなかったのよ」

 

 だからこそ、キルネアは最初に戦ったときにレッドをラズに紹介しなかった。

 

 自分を満足させられる相手を求めていたラズに、レッドの存在はあまりにも毒だったから。それこそ、彼女の心を壊してしまうほどに。

 

「……シバリって凄かったのね。同じ立場になって、ようやく理解出来たわ」

「……ふふ。そんなことが言えるようになったのね」

 

 すっかり丸くなったラズを見て、キルネアはずっと温めていた話を切り出すことに決めた。

 

「ねぇラズちゃん。あのとき断ったあの話、もう一度考え直してみるつもりはないかしら?」

「断った話……?」

「そう──」

 

 

 

「──うちの地方で、チャンピオンをやってみるつもりはない?」

「……は?」




・シバリ
褒め作戦で自己肯定感を上げさせつつ、なんとかリーフ一人でも自信を持てるようになる方法を模索中。
研究が終わったあとや、休みの日などはグリーンの特訓に付き合っている。

・リーフ
褒められ慣れてないので毎回照れる。
最初の方は自分に自信がなくてあまり受け入れられなかったが、シバリの言葉に嘘がないことを感じて少しずつ褒めの言葉を受け入れ始めた。それはそれとして照れる。

・グリーン
シバリに特訓に付き合ってもらいつつ、レッドに挑戦し続けている。

・レッド
ラズ上とグリーンを涼しい顔で撃破中。

・ピカチュウ
電気で遊んでるよ! かわいいね!

・ラズ上
私がチャンピョン!?(混乱)

・キルネア
貴女がチャンピョン(便上)

まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも:パート2)

  • ジョウト地方
  • カロス地方
  • アローラ地方
  • パルデア地方
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