幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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※この話はムクホークで始まりムクホークで終わります。


108話

「あっ! これ見たことないパターンかも! 記録しておかなきゃ! ムクホーク、そのまま動かないでね!」

ホウ

「お前ずっとそれでいくの?」

 

 ついになりふり構わずどこでも鳴きトレ*1し始めたムクホークに怪訝な目を向けながらも、俺はシロナさんから言われたことを思い返していた。

 

『確かにどんな実績を持っているかも大事かもしれない。でも、何から始めるにしても本人の気持ちが最重要だと思うわ』

 

 うーん、リーフとは一度腹を割って話さないといけないんだけど、なんというか、タイミングが難しいな……。

 

 今はなんか記録中みたいで、割って入って邪魔するのも悪いし……。

 

 ……いや、それで良いのか? そうやってズルズル引き伸ばしても、話し合わない言い訳を考えてるだけで何の意味もない。

 

 ええい! こうなったら思い立ったが吉日だ! 今ここで、リーフに話を聞く!

 

 ……の、前に。

 

「ムクホーク」

ホ?

「悪いけど10分くらいそのままキープしといてくれ」

ホォ!?

「コンテストにミステリー部門はないぞ」

 

 ムクホークに現実を突きつけたあと、俺は改めてリーフの方に顔を向けた。

 

「リーフ。記録中にごめん、ちょっと話があるんだ」

「いいよ! もう記録終わったしね!」

 

 はっっっや。俺がちょっと引き下がった意味なかったじゃん。

 

「その、さ……。聞きづらいことではあるんだけど……」

「……グリーンくんとのこと?」

「へ?」

「やっぱり。気にしてくれてるんだろうなってことは、なんとなくわかってたの」

 

 バ、バレてたのか……。……ならもう少し早く聞いても良かったのでは……?

 

「別にグリーンくんとは仲が悪いわけじゃないんだ。ちょっと関わりづらくなっちゃったというか、なんというか……」

 

 俯いてそう言ったリーフに対して、俺は思い当たる要因を口にした。

 

「……それは、SNSのコメントのせいか?」

「あはは……。そっか、知ってるんだ」

「グリーンから聞いたんだ。……黙っててごめん」

「ううん。シバリくんからしたら『元気かどうかくらい本人に聞けー!』って話だもんね。気になっちゃうのも仕方ないよ」

「……それなんだけどさ」

 

 グリーンがリーフのことを話してくれた時のことを思い出しながら、俺は言葉を続ける。

 

「グリーンからもよく聞かれるんだ。『リーフは元気か?』って」

グリーンくんが!?

「そう、だけど……」

 

 あまりの剣幕に驚いていると、リーフの方も驚いた様子で首を傾げていた。

 

「有り得ない……グリーンくんが私の心配をするなんて……。そんなキャラじゃないのに……」

「なんてこと言うんだ」

 

 割と本気で心配してたのに酷い言われようだ。

 

 でも、なんだろうな。関係が悪くなる前は本当に仲が良かったんだろうなってことが、なんとなく伝わってきた。

 

 これなら、実績なんて必要ないんじゃないか? 今からでも三人で話し合えば、きっと──。

 

「でも、本当なんだよ。だからさ、リーフも気にせず──」

「ホントはね、わかってるんだ」

「──へ?」

「グリーンくんも、レッドくんも、周りの声なんて気にしてないって。2人の行動だって、私のためにやってくれてることなんだろうって」

 

 どうやら、リーフには2人の気持ちは伝わっているらしい。それなら、どうして……? 

 

「だ、だったら……」

「でもね、ダメなの」

 

 リーフは腕を抱えると、声を震わせながら続ける。

 

「2人と話そうとすると、頭の中にSNSで見た悪口が浮かんじゃって、上手く話せなくって……」

 

「グリーンくんやレッドくんが私を煩わしく思ってるなんて、そんなことあるわけない。あるわけない、のに……」

 

()()()()()()()()()()って考えたら、怖くなって……」

 

「……な、情けないよね。2人は私のためにたくさん頑張ってくれてるのに、私は自分の心が弱くって、それを、心の底から、信じ、られなくて……」

 

「ぜ、全部、わた、私が、悪くって……」

 

 言葉が止まらずに、ポロポロと涙を流すリーフを見て俺はゆっくりと彼女に近づいていく。

 

「あ、案外、SNSの言う通りなのかも。わ、私なんかが、あの2人に、ふさわしいわけ──」

「そんなわけない!!」

「!?」

 

 リーフの肩を掴んで、大きな声で主張した。

 

 このまま悪い考えに嵌ってしまう前に、どうにかしなくてはならない。

 

「周りの声なんて気にしなくていいんだ。三人が納得してればさ、それでいいじゃんか」

「……でも、私は──」

「自分に自信がないんだろ? だったらさ、付ければいいんだよ」

「え……?」

 

 やっぱり、リーフには自信の軸になる何かが必要だ。でもそれは、これから探せば良い。

 

 まずは前に向かって歩き始めること。それ自体がきっと、今のリーフにとって必要なことのはずだ。

 

「一緒に探そう! リーフが自分に自信を持てるようになる何かをさ!」 

「……………………」

 

 一瞬呆然としたような表情をしたリーフだったが、その口から少しずつ溢れるように言葉が出てくる。

 

「あるのかな……? 私に……」

「あるよ。絶対」

「見つけたら、前みたいに戻れるかな……? 三人で楽しくしてた、あの頃みたいに……」

「なんなら、前以上に仲良くなれるんじゃないかな。『雨降って地固まる』なんて言葉もあるだろ?」

「……ッ!」

 

 リーフは手で涙を拭うと、強く決意したような表情で拳を握った。

 

「決めた! 私頑張る! 胸を張って2人の前に立てるように! 周りの声なんて、気にならなくなっちゃえるように!」

「そっか。なら俺も協力させてもらうよ」

「当然!『一緒に探す』って、そう言ってくれたでしょ?」

「……言質取られてたか」

 

 得意気に俺から離れていくリーフの表情は、どこか憑き物が晴れたようなものに見えた。

 

 今のリーフならば、一人で悪い考えに沈んでしまうこともないだろう。

 

 まず第一段階はOK。本当に大変なのはここからだ。

 

 リーフが自信を持てるものを探す。もしくは作り出さなければならない。

 

 それに差し当たって、取りあえずは──。

 

「……もう動いていいんだからな?」

ホウ

 

 会話中ずっと停止していたムクホーク(アホ)に声をかけるところから……かな。

 

*1
コンテストに向けた鳴き声トレーニング




・シバリ
とりま一方前進して安堵。ここからが大変

・リーフ
2人の前に胸を張って立てるように頑張ることを決意。

・ムクホーク
声のバリエーションが増えた。
別に何かの役に立つわけではない。

まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも:パート2)

  • ジョウト地方
  • カロス地方
  • アローラ地方
  • パルデア地方
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