「終わりね」
バトルの結果はラズの圧勝だった。
コピーされたムクホークを倒したあと、ドドゲザンがそのまま6タテしてバトルは幕を閉じた。
「こんな……こんな、ことが……」
ヨイチさんは力が抜けたように持っていた鞄を床に落とすと、そのまま膝から崩れ落ちた。
「アンタがシバリを騙るなんて10……いや、違うわね。100万年早いのよ」
「万単位なのかよ」
「当然でしょ?」
なんでそんな不思議そうに首を傾げてんの? 不思議に思ってるのは俺の方なんだけど。
「てかアレ、久々に見たな」
「私も久々にやったわ。シバリとの戦いでは禁止していたものね」
禁止というのは、強すぎるからとか、ズルいからとか、そういう理由ではない。ただただ
……まずはカラクリから説明しよう。
昔の俺は、ドドゲザンには何をしても"ふいうち"で先手を取られるのであれば、『じゃあドドゲザン対面のときは先手で指示する意味ないじゃん』と考えた時期があった。
"ふいうち"を受けきった上で、その場から最適な行動を選択する。それがドドゲザンを相手取る上での良い戦い方だと考察したわけだ。
しかし、俺はこの時点で既に大事なことを見逃していた。
改めて言うが、ラズのドドゲザンが使う"ふいうち"は相手の行動に関わらず絶対に成功する。それが攻撃技であっても、変化技であっても、
つまり、だ。ラズのドドゲザンの"ふいうち"を受けてから指示を出す場合は、『何もしないという行動』に対して"ふいうち"を使われた後、『俺が指示した行動』への"ふいうち"を使われることになってしまい、計二回"ふいうち"を食らってしまうことになる。
さっきヨイチさんがやられたカラクリはこれで、要はラズのドドゲザンを知ってるトレーナーほどひっかかってしまう、第二の初見殺しだったわけだ。
わかってしまえば対策は非常に簡単で、"ふいうち"を食らう前に指示を出すだけで良い。
だが、これをやろうとするとどうなるかというと──。
~最初期~
『ドドゲザン、"ふいうち"!!』*1
『ムクホーク、"インファイト"!!』*2
~中期~
『"ふいうち"!』*3
『"インファ"!!』*4
『
~末期~
『……』*5
『……』*6
『ドゲ!?』*7
『ホォ!?』*8
こんな風に、ドドゲザン対面になるとポケモンバトルとは違う別の戦いが始まってしまうようになった。
一時期は開幕に"ふいうち"を2度食らいたくないというためだけに、アナウンサー用の発声トレーニング本を買って、滑舌や早口を鍛えていた時期があったくらいだ。
マジであの時間なんだったんだ。おかげで今でも早口言葉が得意なのは自慢にもならない特技だったりする。
……とまぁ、そんな感じにあまりにもポケモンバトルと言えないような対決になってしまったので、"何もしていない"という行動に"ふいうち"を打つのは禁止しようという協定が組まれた。
でもまあ禁止したのはあくまで俺との戦いだけなので、約束の範囲外のヨイチさん相手にはやってヨシ! ということなのだろう。鬼かな?
「……やはり、こうなったか」
「サ、サカキ様……?」
「1号がやられて怖気づいていただろう? あの時点でお前はあの少女に負けていたのだ、ヨイチ」
「ぐっ……申し訳、ありません……」
「良い。悪事とはやすやすと行えるものではない。継続することにこそ意味があるのだ。だが……」
サカキさんがこちらに顔を向ける。そのあとラズが壊した扉に目を向けると、腕を組んで頷いた。
「形勢が逆転してしまったな。私のポケモンではあの二人には到底構わんだろう。それに、部屋の外には
「あら、バレてたのね」
そう言って部屋に入ってきたのはキルネアさんだった。その後ろにはアインさんを抱えたフーディンも着いてきている。
えっ、キルネアさんまでここに来てたのか……?
「やはりな。彼女が居るなら貴様が居るのも道理だろう。先ほどの人質入れ替えも貴様の差し金か?」
「ええ。"トリック"*9って技があるでしょう?」
「……はっ。なるほど、つまり
「上手くなったも何も、私達をこういう風にしようとしたのは貴方でしょう? ねぇ、サカキおじさま?」
「……実に惜しい。あのプロジェクトは凍結すべきではなかったか」
どうやら、キルネアさんとサカキさんは顔見知りみたいだ。どんな関係だったのかはわからないけど、良い関係ではなさそうだな……。
「丁度良い。貴様に聞きたいことがあったのだ」
「何かしら? 答えられることなら教えてあげるわよ?」
「そうか。ならば聞くが──」
「──イッシュの一件の後だ。貴様は彼女を連れて
キルネアさんはその質問には答えなかった。ただ、どこか口角が上がったように見えたのは俺の気の所為だろうか。
「……申し訳ないけれど、それは教えられないわ。今後のことを考えたら、今教えるのは得策ではないもの」
『ただ……』と、キルネアさんは続ける。
「
「……ふっ、まぁいい」
答えに満足したのかはわからないが、サカキさんはキルネアさんから視線を外すと、ヨイチさんの方を向いた。
「ヨイチ、お前に謝らなければいけないことが2つある」
「……?」
「まず一つ目。私一人ならばどうにかなるだろうが、お前も連れて逃げるとなると非常に厳しくなる。……故に、ここにお前を置いていくことを許してほしい」
「そ、そんなことでしたか……。構いません、サカキ様さえ無事であればロケット団はどこからでもやり直せますから……」
「世話をかけるな」
言いながら、サカキさんはポケットからモンスターボールを取り出した。
「そして2つ目。私はあの事故の
「……へ?」
「お前に見せてもらった壊れた培養容器。その中に居たポケモンが、今私の手の内にある」
「……まさ、か……」
「見ればきっと、失った記憶を呼び起こす鍵になるだろう。ここまで仕えてくれた礼だ。その姿をとくと見るが良い」
「……っ!もしかして──」
キルネアさんが何かに気づいたような表情をしたそのとき、サカキさんは手に持ったボールを軽く投げた。
「──いでよ、ミュウツー」
「………………!」
ボールから出てきたのは、この世の全てを憎んでいそうな目をした、見たこともないポケモンだった。
その目が、ギロリとヨイチさんの方を向く。
「あ、ぁあ……、あっ……」
「どうだ。何か思い出せそうか?」
「────あ、ゔ……あぁ……あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!?!!!?!」
何かを思い出したというよりは、トラウマを目にしたかのような表情になり、頭を抱えながら絶叫して、彼は意識を失った。
……尋常じゃない叫び声だったけど、大丈夫なのか……?
「……やはり、今日まで見せなくて正解だったか」
「人が悪いわね。とっくに
「……さぁ、なんのことやら」
サカキさんはミュウツーに近づくと、余裕そうな表情でキルネアさんに目を向ける。
「ふっ、見たところミュウツーの前ではお前の能力も意味を為さんようだな」
「……そうね。おかしいとは思っていたのよ。予知が安定しないだなんて彼じゃあるまいし、何かカラクリがあるとは思っていたけれど……」
「ミュウツーは何者よりも凶暴で強大な超能力使いだ。人間のエスパーでは相手にすらなるまい。故に完全に制御出来ていないのが玉に瑕ではあるが……私一人をここから逃がすくらいなら容易いことだ」
そう言うと、サカキさんは指をパチンと鳴らした。
「ミュウツー。私を連れてここから脱出せよ」
「…………ッ!!」
言葉もなく、頷くこともなく。ミュウツーは一瞬強力なエネルギーを発したかと思うと、次の瞬間にはサカキさんとミュウツーの姿が目の前から消えていた。
・シバリ
滑舌が良い
ラズよりも早口が得意
・ラズ
滑舌が良い
早口が得意(シバリよりは練度が低い)
・ムクホーク
せめて事前に言って欲しかった
・ドドゲザン
実は無茶振りされたことがあるという悲しき過去が判明。
・キルネア
ずっとスタンバってました。
ミュウツーの影響でサカキのことが少し視えにくくなっていたが、普段見ているシバリの方が圧倒的に視えないので、そこまで支障は無かった。
・ヨイチ
絶叫。何かいいことあった?
・サカキ
ミュウツーの力でヤマブキのどこかにテレポートされ、脱出成功。
まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも:パート2)
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ジョウト地方
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カロス地方
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アローラ地方
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パルデア地方