幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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ようやくレッドさんのバトルを書ける日が来て嬉しい。



129話

「ニドキング! 奴を止めろ!」

「ニドォッ!!!」

 

 サカキが繰り出したのは、ピカチュウのでんき技を無効化出来るじめん・どくタイプのニドキングだった。

 

(まともに戦って勝てる相手ではない。だが、ピカチュウが相手ならばじめんタイプのポケモンでいくらか時間を稼げるだろう)

 

(幸い私はじめんタイプのポケモンを複数所持している。ピカチュウの攻撃をやり過ごしつつ、この場をどうにか切り抜けられる策を考えるのだ……!)

 

 かつてサカキがトキワジムでレッドと戦った時、彼のカメックスによってサカキのじめんタイプポケモン達はあっという間にやられてしまった。

 

 しかし、今回はカメックスではなくピカチュウを出してきている。であれば、倒せばせずとも多少の時間は稼げるだろうと思っていた。

 

 しかし、ここでサカキに誤算が生じることとなる。この時点でサカキは、まだレッドのことを正しく理解出来ていなかったのだ。

 

「──()()()()()

「ッ!?」

 

 サカキはこれまで、レッドが声を出してポケモンの名を呼ぶところを見たことがなかった。

 

 それどころか、一度たりともポケモンに指示を出している場面すら見たことがないので、レッドとはそういうトレーナーなのだとサカキは思っていた。

 

 しかし、そんな彼がポケモンの名を呼んだ。その声に応えて、ピカチュウが一瞬にして凄まじいエネルギーを充填する。

 

「ニドキング!!!!! "まもる"!!!!!」

 

 全身の毛が逆立つような恐怖に襲われたサカキは、ニドキングへ咄嗟に防御の指示を出す。

 

 だが、この判断は誤りだった。この場面において、サカキは何があってもピカチュウの攻撃を止めなければならなかった。

 

 レッドがポケモンに指示を出すという行為に込められた意味。それは、自らのポケモン達に課した()()を解除する合図だった。

 

 

「──本気でやれ(かみなり)

 

 

 刹那、ヤマブキシティ全域から音が消えた。

 

 


 

 

「……あれっ?」

 

 窓の外を見て、シバリは首を傾げた。

 

「急にすんごい降ってきたな。予報じゃ晴れだったのに……」

「そんなに? ……うわっ、ほんとに土砂降りじゃない!?」

 

 『うげー』といった表情で外を見る二人を見て、キルネアは1人笑みを浮かべた。

 

(まぁ、考えもしないわよね……)

 

(使うだけで天候が荒れる"かみなり"があるなんて、ね)

 

 


 

 

「ば……か、な……」

 

 サカキの目に青白い光が一瞬見えたと思った時には、全てが終わっていた。

 

 天候は荒れに荒れており、"まもる"を使っていたはずのニドキングも戦闘不能になっていた。

 

(これが……ただのポケモンの技によって起こったことだと言うのか!?)

 

 "かみなり"。本来は強力な電気の一撃を相手ポケモンに与えるだけの技だ。

 

 しかし、今サカキの目の前に広がる光景は、今ピカチュウが使った"かみなり"が、自らの知るそれとは別物だということを意味していた。

 

(伝説のポケモンでもここまでのパワーを持っているかどうか……! "まもる"ですら意味を為さんとはどうなっている!?)

 

(そもそも、ニドキングはじめんタイプだ! でんきタイプの"かみなり"では、そもそもダメージは無効化されるはずでは……!)

 

 サカキは自身の目に映る光景が信じられず、もう一度目を凝らして確認してみると、"かみなり"の落下地点がニドキングが倒れている場所から考えてもかなり手前にあることに気がついた。

 

(まさか、()()か……!? "かみなり"が落ちたときに発生した衝撃波だけで、"まもる"を使ったニドキングが一撃で倒されたとでも言うのか!?)

 

 何もわからず狼狽えるサカキに対し、レッドの顔色は何一つ変わらない。

 

 雨に打たれながらも、レッドはサカキから1秒たりとも目を離さなかった。

 

(何なのだ……! 何なのだお前は……!!)

 

 ニドキング以外を出しても同じことだと思ったのか、それともこの場からいち早く逃げ出したいと思ったのか。サカキは苦悶の表情を見せると、例のボールに手を出した。

 

「出てこい! ミュウツー!!」

「──────ッ!!」

 

 まだ命令可能になるまでにはもう少し待つ必要があったが、この状態でも唯一行える命令……奥の手がある。それは──。

 

「ミュウツー! ()()()()()()!!!」

 

 今のサカキの言葉が意味するのは、ミュウツーに対する命令権の放棄。つまり、ミュウツーを手放すことと同義だった。

 

(ミュウツーを手放すのは痛い……が! ここで終わることに比べればマシだ! 犠牲もなしに奴から逃げることなど不可能となれば、ミュウツーを諦める他あるまい!)

 

「──────ッッッッッアア!!!!!!!!!!」

 

 サカキの支配から解き放たれたミュウツーが、その凶暴な力を振るうためエネルギーを溜め始める。

 

 その憎しみに塗れた瞳に映るのは、目の前に居るレッドだった。

 

(一瞬だ。一瞬でいい……。ミュウツーの攻撃をピカチュウが防ぐ瞬間。レッドとピカチュウの意識がミュウツーに向く瞬間! その僅かな時間があれば離脱出来る!)

 

(警備に見つかっても構わん。今重要なのは、奴からとにかく離れることだ! それさえ叶えばどうとでもなる!)

 

 ここから逃げ出す算段を立てるサカキを他所に、レッドは自分のほうに振り返ってきたピカチュウに対して、ただ首を縦に振った。

 

「────オオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!」 

 

 次の瞬間、ミュウツーからレッドに向けて強力なエネルギーの塊が放たれた。

 

 最早技としてすら成立していない。しかし、その絶大なエネルギーは人を傷つけるのに十分な威力を秘めていた。

 

 ピカチュウはそのエネルギーの塊に対し──

 

 

 ──()()()()()()()()()()

 

「!?」

「バカな!? それは自殺行為だろう!?」

 

 サカキだけでなく、ミュウツーですらも驚きを隠せなかった。

 

(確かにピカチュウがミュウツーの攻撃に構わなければ、私を見失うことはない……! だが、そうだとしてもだ!! 普通そんなことをするものか!?)

 

 驚きで動きが一瞬止まったミュウツーに対し、ピカチュウは跳んできたそのままの勢いで銀色に輝く尻尾(アイアンテール)を叩きつける。

 

 サブウェポンとは思えないその壮絶な威力をまともに受けたミュウツーは、そのまま地面に叩きつけられ戦闘不能となった。

 

 しかし、ミュウツーが倒れても放ったエネルギーは止まらない。

 

 レッドの目前にエネルギーが迫る。それに対してレッドは逃げたり防御の姿勢を取ることはなく──

 

 

 ──ただ、腕を横に払って弾いた。

 

「……………………は?」

 

 ただの人間が行ったワンアクション。それだけでミュウツーの放ったエネルギーは跡形もなく消え去った。

 

「え。いや、おま……何して……はっ?」

 

 有り得ない光景に普段の口調が崩れたサカキの袖を、何者かがちょんちょんと触れた。

 

「ピカピカ」

 

 ニッコリとした笑顔で頬から青白い電気をパチパチと出すピカチュウを見て、サカキはフッと笑いながら無言で両腕を上げたのだった。




・シバリ
雨すごーい(げんなり)

・ラズ
雨やばーい(げんなり)

・キルネア
"かみなり"やばーい

・レッド
ようやくバトル描写が出てきた人。
スーパーマサラ人なら人間性能も飛び抜けてて良いかなって。

基本ポケモンへの指示は出さないが、本気で技を使用することを許可するときのみ声で指示する。

レッドのポケモン達は本気でタイプ一致の技を使用すると、基本的に何かが起きる。(例:ピカチュウの場合は天候が荒れる)

・ピカチュウ
"かみなり"使うだけで天候荒れるやべー奴。

余談ではあるが、自身の"かみなり"を天候の事象として扱うことで、"すなあらし"のように"まもる"を貫通してダメージを通すこともやろうと思えば可能だったりする。なんだお前。

・サカキ
色々諦めて降伏した。
もうさァッ 無理だよ! 歯が立たないんだからさァッ!

まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも:パート2)

  • ジョウト地方
  • カロス地方
  • アローラ地方
  • パルデア地方
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