幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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サカキ様の蹂躙パートはナレ死にてお送りいたします。


130話

「……そう」

 

 キルネアさんが電話を切ると、俺たちに向かってニコリと微笑んだ。

 

「サカキおじさまが捕まったらしいわ。随分大人しく連行されたそうよ」

「……でしょうね。あの人から逃げられるわけないもの」

 

 まさかラズがそんなに言うなんて……。想像以上に凄い人なんだな、レッドさんは……。

 

「こんな大雨の中わざわざ来てくれたんだし、一言くらいお礼しておきたかったな」

「う、う〜ん……大雨の中来てくれたというか、むしろ大雨を引き起こしたというか……」

「……? "あまごい"とか"あめふらし"を使うポケモンが居るってことですか?」

「そうじゃないわ。彼のポケモンは──……あら」

 

 入り口の方を見てキルネアさんが言葉を止めたので、俺もその視線を追ってみると、そこには肩にピカチュウを乗せた、赤いキャップ帽が特徴的な男の人が立っていた。

 

 ……もしかして、この人が……?

 

「ふふっ……()()()お察しの通りよ」 

 

 ということは、やはり目の前の人は噂のレッドさんなんだろう。……ん? お互い?

 

 俺が首を傾げている間に、レッドさんは一瞬嬉しそうに目をキラキラとさせたが、 すぐにしゅんとなって俯いた。

 

「……えっと?」

「あ〜……あの人、とってもシバリに会いたがってたから、会えてすっごく嬉しいんだと思うけど、自分がびしょ濡れで泥とかも付いてるから気にしてるんじゃない?」

「……そこ、気にする点なのか?」

「あれよ、近づいてシバリまで汚しちゃったら嫌なんじゃない?」

「なるほど……?」

 

 それで気にして近づいて来ないと。ならこっちから近寄らせてもらおう。

 

「……ッ!? ……ッ!! …………!!」

 

 ぶんぶんと首を振ったり、手を身体の前で振ったりして、『近づかないでアピール』をされてしまったが、俺の為に来てくれた人が汚れてるってだけで邪険にしたくはない。

 

「汚くなんかありませんよ」

 

 目の前まで距離を詰めて、俺はレッドさんの手を取った。まだ乾いていないからか少し濡れているが、俺は気にせずその手を両手で包み込んだ。

 

「だってこれは、自分が汚れることも厭わずにレッドさんが動いてくれたっていう証拠じゃないですか。仮に近づいて俺が汚れるようなら、俺が汚れた分だけレッドさんが頑張ってくれたっていうことです」

 

「それと……聞きました。俺の為に来てくれたんですよね? 本当にありがとうございます」

 

「…………」

 

 レッドさんはしばらく固まっていたが、肩に乗っていたピカチュウがレッドさんの顔の前で手を振ったことでようやく再起動した。

 

……こちらこそ、リーフの件、ありがとう

「「しゃべったぁ!!!?!!?」」

 

 ラズだけでなく、キルネアさんまでもが驚くような声をあげた。……いや、しゃべるでしょ。人間だし。

 

「……そ、その顔見ればわかるわよ。『人間だからしゃべるに決まってるだろ』って言いたいんでしょ? で、でも! その人ほんとにしゃべらないのよ!? 常に無言よ無言!!」

「そうなんですか?」

……割と、しゃべる

「らしいけど」

「どこで見栄張ってんのよ!?」

「ふふ……視えなかったわ……。ふふふふふ……」

「隣でトリップするのやめてもらえる!?」

 

 しかしレッドさんに納得してもらえて良かった。もしこれでもダメならハグでもして無理矢理にでもこちらに汚れを移してもらう形を取って、『もう汚れちゃったから気にするだけ無駄でーす!』っていうクソみたいな案しかなかったからな。

 

 でも流石に初対面の人にハグはなぁ……。ホップとかユウキとはお互いの健闘を称えて良くやってたけど、それは親しくなってからの話だし……。変な人だと思われたくはないし、やらずに済んで良かった。

 

「ピカ! ピカピ!」

「ん?」

 

 レッドさんのピカチュウが、俺の肩を指して何かアピールしていた。……『乗りたい』ってことで良いのか?

 

「えっと……どうぞ?」

「ピカッ!」

 

 ピカチュウは嬉しそうに頷くと、俺の肩の上へと飛び乗った。

 

 ……おお、なんか良いなこういうの。俺の手持ちに肩乗りサイズのポケモンは居ないからな……。

 

 そう言えば、ムクホークがムックルのときはたまーに乗ってたっけ。なんだか懐かしいな。

 

「お〜、よしよし」

 

 擦り寄ってくるピカチュウの頭を撫でてみると、気持ち良さそうに目を細めた。……え、やだ、可愛い。ピカチュウ好きになっちゃうかもしれない。

 

「……ん?」

 

 ふと前を見てみると、レッドさんがこちらに向かって携帯を構えていた。……その写真を撮るような構えはなんなんだ……?

 

 疑問に思った瞬間、レッドさんの携帯が光った。ガチで写真撮ってんじゃん。

 

「…………」

「ちょっ!? 何満足そうな顔してんのよ! 本人の許可なく写真を撮るなんて……!」

「い、いや、別に写真くらい──」

「後で私にも送ってくれる?」

「おい」

 

 それは話変わるだろ。何言ってんだお前は。

 

「……まったく、二人ともはしゃぎすぎよ」

 

 二人をたしなめるような物言いで、キルネアさんが近づいてきた。まともなブレーキ役が居て助かった……。

 

「私にも送ってもらえる?」

 

 まともな人なんてこの場には居なかった。




・シバリ
旅に出てから関わる異性が距離感バグってたせいで、『異性でこんだけ距離感近いなら、同性同士ならもっと気兼ねなく接するんだろう』という認識のバグを起こしており、主に同性への距離感が少しバグっている。

ユウリやハルカが『ホップ(ユウキ)に取られちゃう……!』ってなってたのはこういう側面が大きな原因だったりする。

・ラズ
後で写真をもらった。ホクホク顔してたらしい。

・キルネア
後で写真をもらった。しばらく見つめてたらしい。

・レッド
前回の鬼神ぶりはどこに行ったのか、ただのファンボーイと化した男。

割としゃべるよ! ほんとだよ!(大嘘)

このあとおめめキラキラ状態でシバリと話してた。良かったね!

まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも:パート2)

  • ジョウト地方
  • カロス地方
  • アローラ地方
  • パルデア地方
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