テレワークで時間取れただけだから……。
あとドーブルばちくそ言われてて草。
やっぱりドーブルはカスや。
「ゔっ……」
「えっ、いきなり何?」
「なんか、急にドーブルのこと思い出してさ」
「ドーブル? ……まあ確かに、相手にすると面倒ではあるけど」
「そうなんだよなぁ……」
強制的に2vs1にしてくるのは流石になぁ。
しかも隙を見せるとしんぴのまもりしてるのを良いことに味方に"いばる"連打してくるからなあのカス。……いや、やらせてるのはラズだけども。
その上"てだすけ"で1.5倍とかもうね、終わってる。ドーブルに負けるとしたら大体これ。今はもうやらせないけど。
ちなみに範囲技打つと同じ範囲技で相殺されて無効化。なんなのマジで。
……とはいえ、弱点がないわけじゃない。
常にコピーし続けている以上、ドーブルへの負担はとんでもないから激しい動きが出来ないし、ドーブルさえ倒せばコピーポケモンも消える。
そして何より、
あくまでラズが指示するのはドーブルで、コピーポケモンは自動思考で行動する。
つまりコピーポケモン単体と戦うと考えた場合はこちらの方が有利なのだ。ポケモン一匹よりも、ポケモン1匹とトレーナー1人の方が強いに決まっているのだから。
残りのドーブルも、ラズが指示しているとは言え、ドーブル単体の強さなどたかが知れている。要は──
──
……なんて、言うだけなら簡単なんだけどね。
「……スケッチする前に倒せれば良いんだけどなぁ」
「いや、無理でしょ。バトル中に悠長にスケッチしてるドーブルなんて居ないんだから」
「だよなぁ」
先制技より先にスケッチするしね。ラズのドドゲザンならふいうちで倒せるかもしれないけど……どうなんだろうか。
「……あ、ちょっと寄り道していいか?」
「? 別にいいけど、どこ行くのよ?」
「眼鏡屋」
「は?」
───────────────────────
「似合う?」
「あっ、あははははははははははっ! だめっ! ぜんっぜん似合ってない!!」
眼鏡屋でサングラスを試着したらトウコにめちゃくちゃ笑われた。
え、そんなに似合ってない……?
「かけ方が悪いのか……?」
「ふふっ、や、やめっ、クイッてしないでっ! あはっ、ダサすぎるっ! そういう問題じゃないからっ!」
「そんな……」
トウコがサングラスを付けてるのを見て、なんか大人っぽくて良いなと思ったのに……! 俺じゃ似合わないのか……。
「ひー……お腹痛い。店内でこんなに大声出させないでよ。あんたはそういうの似合うタイプじゃないんだから」
「ど、どうにかならないか? あ、カツラならあるぞ! これで!」
アローラシバリ+サングラス! これで勝つる!
「──やめて」
「えっ」
ガッと、トウコに手を止められてしまった。
「正直、見たいわ。とても見たい。でも、多分それで五月蝿くしたら出禁になるわよ」
「えっ」
チラリと横に視線をやると、少し煩わしそうにこちらを見ている店員さんの姿があった。
う、うるさくしちゃってすんません……。
「……じゃあサングラスは諦めるか」
「それがいいわ。それにあんたはもっと……こういうのが似合うわよ」
そう言ってトウコは吟味した眼鏡を俺に渡してきたので、俺はそれを受け取って装着してみた。
「お、さっきより見やすい」
「あのね……サングラスじゃないし、度も入ってないんだから当たり前──」
そこまで言って、トウコの言葉が止まった。
「……えと、まさかこれも似合ってない?」
不安になったので聞いてみると、トウコは目を逸らして髪を人差し指でクルクルし始めた。
「……逆よ。むしろ、似合いすぎてちょっとむかつくわ」
「じゃ、これ買うか。店員さーん!!」
「ちょっ、即決すぎない!?」
「トウコが言うなら間違いないだろ。イメチェンも旅の醍醐味って事で」
「……はぁ、買うのは良いけど……」
「?」
「フウロには、見せないほうがいいかもね」
じゃあヒカリには見せてもいっか! あとで写真撮って送ろ!
────────────────────────
「……え、もしかして今日ずっと着けてる気?」
「そうだな。毎日着けるつもりはないから、買った日くらいはとりあえず着けようかなって」
「あ、そ……」
調子狂うわね……とか言いながら、トウコは足を進め続ける。
「で、今ってどこ向かってるんだ? 」
「別にアテはないわ。……1か所に留まりたくないだけ」
1か所に留まりたくない……か。訳ありなのかな。
「なるほど……じゃあ俺が行き先を提案しても良いのか?」
「それはいいけど……聞かないの?」
「へ?」
俺が首を傾げると、トウコは不思議そうに問いかけてくる。
「理由。こういうの、普通気になるもんでしょ?」
「まあ、本音を言うと気にはなるけど……別にいいかな」
「……なんで?」
「どんな理由でもトウコと一緒にいるのは変わらないしさ。なら、聞くも聞かないも同じことだと思わないか?」
俺の言葉に、トウコは足を止めてこちらを向いた。
「……なるほど、フウロが絆されたのはそーゆーこと」
「へ?」
「期待はしてないけど……あんたなら、ほんとにそうしてくれるかもね」
「?」
トウコが何を言ってるのかはわからないが、とりあえず俺の回答に納得してもらえたのは間違いなさそうだ。
「……で、どこ行きたいの? 付き合ったげる」
「いつの間にか俺が付き合ってもらう事になってない? ……まあいっか、じゃあ──」
───────────────────────
──2時間後、ライモンシティ。
「イエーーーーーーー!!!!! ジェットコースターサイコーーーーーーーー!!!!」
二番煎じではない。断じてない。
これはジェットコースター。自家用小型ジェット機ではないのである。
「ちょっ……あんたこれ何回目よ! もう5回は乗ってきゃああああああああああああ!!!?!?」
「風ヤバーーーーーーイ!!!!! キモチイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」
なんせシバリは遊園地に来るのも未経験。絶叫系アトラクションなど見てしまっては、乗るしかないのである。
(ああもう! なんでこんなことに……! なんだかんだ付き合ってる私も私だけどぉ……!)
チラリと、トウコが恨みがましそうな目で横を見ると、心の底から楽しそうにしているシバリが居た。
(……ほんとに楽しんじゃってるのよね。コイツ)
ふと思う。こんなところに誰かと来るのはいつぶりだろうかと。
少なくともトウコは、シバリから提案されなければこんなところには来なかっただろう。
楽しめるところに行こうという発想は、今のトウコの中には無かったからだ。
(──もし)
トウコは思う。
(──もし、あたしのことを全部知ったとき、あんたは)
『どんな理由でもトウコと一緒にいるのは変わらないしさ。なら、聞くも聞かないも同じことだと思わないか?』
(──今と同じように、あたしの隣で笑ってくれる?)
そこまで考えて、トウコはやめた。
期待など、元から持たない方が楽なのだから。
(でも今だけは、もう少しだけ──)
(──こんなことなら、
・シバリ
ドーブルの攻略論は、ジュカインの強さの数値を100、ドーブルを10として
・ラズ
100【ジュカ】+(10【ドーブル】 × 1.5【トレーナー技量】)
=115
・シバリ
100【ジュカ】 × 1.2【トレーナー技量】
=120
なら勝てるよねっていうのが本人の理論。
当たり前だけどめちゃくちゃ言ってる。 何いってんだコイツ。
・シンオウ地方
新チャンピオンの訃報が発表されたとかされてないとか。
死因は眼鏡らしい。なんだろうね。
・トウコ
なんか様子おかしいですね。嫌なことでもあったんかな。