幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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ネタ切れの足音が聞こえてきたわよ。


34話

 あのあと、戻ってきたムクホークの後を俺とダンデさんの2人で追いかけると、ワイルドエリアの外にある人目に付かない建物へと案内された。

 

 見た目はどこか研究所のような風貌で、如何にも中で何か実験などしていそうな感じだ。

 

「こんなところに、これほど大きな建物があるとは……」

「……ダンデさんも認知していないんですか?」

「ああ。これほど大きな研究施設、公的な施設ならオレが認識していないわけがない。十中八九、無許可で建てられたものだろう」

 

 そう言って、ダンデさんはしてやられたと言わんばかりに頭を抱えた。

 

「……道理で見つからないわけだ。完全にワイルドエリア内に居ると思わされてしまった」

「……それで、どうします? 入口はロックされてるみたいですけど……」

「む? そうか、なら──」

 

 ダンデさんは扉を指差し、俺に向けてニヤリと笑った。

 

「──オレが責任を取る。()()()()()()()!」

「……了解! ムクホーク!!」

「ホー!!」

 

 いくら頑丈な扉と言えど、ムクホークのブレバを耐えられる扉などそうそうない。

 

 案の定、凄まじい音を立てて、入口の扉は破壊された。

 

「……さて、どうやら中はかなり広いみたいだ。二手に別れて探そう。開かない扉はさっきみたいに全部ぶっ壊せ!」

「えっ?」

 

 ダンデさんの言葉に、聞き間違いかと思って振り向く。

 

 二手にってことは、つまり──。

 

「……本来、子供をこんなところで1人で行動させるなどあってはならない。だが今は緊急事態だ。リーグスタッフもこの場所に呼んではいるが、とても間に合わない。何より──」

 

 こちらに顔を向け、ダンデさんは笑みを浮かべる。

 

()()()()()()()()()()()()? なら、今回はそれを尊重させてもらうさ」

 

「心配するな。まだ少しの間しかキミと関わっていないが、オレはキミのことを信じている。キミは、キミが思う以上に強い人間だ。だからこそ──」

 

「──この研究所内でキミが為したこと、為さなかったことの全て、リーグ委員長であるこのオレ、ダンデの名のもとに正当性を保証する!」

 

 だから、とダンデさんは俺の両肩に手を置いた。

 

「キミの好きにやるといい。自分の過去に悔いているのなら、自分の納得できる形で……行動で取り返すんだ!」

「……はい!」

「うん、良い返事だ! じゃあオレはこっちに行く!! キミはそっちを頼んだ!!」

 

 そう言って走り去るダンデさんの背中は、どこか大きく見えた。いや、実際大きいんだけど、精神的な意味でね。

 

「……ふーっ」

 

 深呼吸する。……急げ、でも慌てるな。

 

 冷静に、為すべきことを為すんだ。

 

「っし!!」

 

 頬を叩いて気合を入れ、俺はダンデさんと反対の方向へと走り出す。

 

 目指すはユウリの居る部屋。きっとこの研究施設のどこかに居る──!

 

 

─────────────────────────

 

 

 

「……んぅ?」

「お、目覚めたんだね」

 

 ほぼ予定通りだなと、フェイは1人呟く。

 

「……っ!? なに、これっ……!?」

 

 ユウリは椅子に座らされていたが、両手両足をそれぞれ枷に固定されており、動くことが出来なかった。

 

 何度も藻掻くが、ガチャガチャと枷の音が鳴るだけで、脱出出来そうな気配はない。

 

「悪いけど、逃げられるわけにはいかないのさ。それに、ポケモンを出されたらたまらないからね」

「フェイ……さん?」

 

 目の前に居たのはユウリの知るフェイではなかった。

 

 ユウリから見たフェイは、物静かで真面目そうな雰囲気だったのだが、今のフェイからは一切そのような雰囲気は感じなかった。

 

「……っと、少し中が騒がしいね」

「へ……?」

「どうやらダンデと……シバリ君、だったかな? その2人が君を助けに来たらしい」

「シバリくんとダンデさんが!?」

 

 2人の名を聞き、ユウリの表情が少し明るさを取り戻す。

 

 だが、フェイはそんなユウリを見て鼻で笑った。

 

「でも、残念ながら期待するだけ無駄だよ。少しだけ2人のことをカメラで見たけど──」

 

「まずダンデ。彼はこの部屋とは反対側へ向かった。彼がこの部屋に辿り着くまでには、私の計画は完了している」

 

 そして、とフェイは続ける。

 

「次にシバリ君。彼はこちら側に向かってきているようだが……実に愚かだ。一つ一つ扉を壊すでなく、ポケモン達をバラけさせて複数の扉を同時進行で破壊するというまでは良かったが──」

 

 呆れたような表情で、フェイは語りだす。

 

「扉を壊すのに()()()()()()()()使()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……消耗というものをまったく考えていない。この部屋に辿り着く頃には、彼のポケモンは全員体力が残っていないだろう。そもそも、ゴローニャに至ってはだいばくはつした時点で瀕死じゃないか。彼のポケモンが可哀想で仕方ないね」

 

「ましてやここは他の部屋よりも頑丈に作っている。よしんばポケモンを残して来れたとしても、彼の消耗したポケモンではこの部屋の扉は突破できない」

 

 さて。と、フェイはこの話を切り上げた。

 

「状況がわかってもらえたところで、まずは私の計画を説明しよう」

「計、画……?」

「そう。私の計画はローズ様の掲げた理想。1000年後のエネルギー枯渇問題の解決だ」

「……で、でも、それは──」

「ああ。君にムゲンダイナが捕まったことで、ローズ様の計画は頓挫した。君のムゲンダイナにお願いしたところで、言うことを聞いてくれるわけでもないだろうね」

 

 ただ──と、フェイはユウリに笑いかける。

 

「ムゲンダイナ。()()()()()()()()()()()()()()()?」

「ひっ!?」

 

 フェイが棚にかけてあった布を退けると、そこには様々な道具──大量の拷問器具が置いてあった。

 

「君のためなら、ムゲンダイナも動いてくれるはずさ。大好きな主が傷つく姿を見たいポケモンなんて、そうそう居るもんじゃない」

「あ、あっ……」

「でもただの脅しと思われるのも心外だ。だから、そう、何かわかりやすい形で、例えば君の痛々しい外傷とかをムゲンダイナに見せてあげたいんだけど──」

 

 言いながら、フェイはひとつの器具を取り出した。

 

「これとか良いと思わないかい? 爪剥ぎ器って言うんだって」

「や、やだ……そんな、やだっ……」

 

 涙を流して嫌がるユウリの元へ、フェイがゆっくりと近づいていく。

 

「大丈夫大丈夫。1枚くらいなら大丈夫だって。どうせまた生えてくるんだから、それでガラルの未来が守られるんだから、安いもの────」

 

 

 

 

 

 

 

ムクホーク! ブレイブバード!!

ホォォォォォォォォォ!!!!!

 

 グァシャァァァァァァァァァ!! という音と共に扉が破壊され、ムクホークと1人の少年が部屋の中に入ってくる。

 

「シバリ、くん……」

「……見つけた。やっぱりアンタが黒幕かよ」

「……へぇ」

 

 無傷のムクホークを見て、フェイは少し驚きつつも笑みを浮かべた。

 

「まさかここまで来れるとは思ってなかったよ。それに、()()()()。げんきのかけらやきずぐすりをたくさん使ったんだろうけど、ポケモンにどれだけ無茶を強いたんだい?」

「無茶なんて強いてない。……昔はちょっと強いたけど

「ホォ?」

 

 疑うような視線をシバリに向けるムクホークだったが、シバリは目を逸らしてそれを無視した。

 

「……で、どうするの? 言っとくけど、君が何かするよりも私が彼女に手を出す方が早いんだけど」

「……そうだろうな。きっと俺がムクホークにブレイブバードを指示しても、当てる前にユウリが傷つけられる」

「なんだ、物わかりが良いじゃないか。なら──」

「──だから」

 

 シバリはカバンから取り出した何かを、自分の腕に装着した。

 

「ユウリから離れろ。でないと、()()()()()()()()()()()

「──は?」

 

 シバリが腕に装着したのはダイマックスバンドだった。確かにそれがあれば任意にダイマックスを行える。

 

「ここ、見た感じガラル粒子の研究してるんだろ? なら、ダイマックスをするのに必要なだけのガラル粒子があるはずだ。ダイマックスなんてしたらこの研究所はめちゃくちゃになって、アンタの研究がパーになる。……どうだ?」

 

 そう言って睨みつけてきたシバリに、フェイは顔を押さえて笑い出した。

 

「──ははっ! 何を言うかと思ったら!! 確かにダイマックスバンドはダイマックスを任意で発動するためのものだ! 君がどこでそれを手に入れたのかは気になるが、この研究所ではガラル粒子を厳重に管理している! だから、ここの空気中にダイマックスが必要な量のガラル粒子なんて、存在しな──!」

 

 言い終わる前に、シバリの腕に取り付けられたダイマックスバンドが光を帯びた。それはつまり──。

 

 ──ダイマックスパワーの充填。即ち、シバリは今、任意にダイマックスが出来る状態にあることを意味する。

 

「ダイマックスパワーだと!? そんな、何故!? 何故ここにダイマックス出来るだけのガラル粒子がある!?」

「……そういや、扉以外にも色々壊したような……?」

「この……ガキ!? まさか管理装置までぶっ壊しやがったな!?」

「そんなに大事ならもっと厳重に守っとけよ……」

 

 とにかく。と、シバリは再びフェイを睨みつける。

 

「俺はいつでもダイマックスできる。ぶっつけ本番だけど、ムクホークにダイマックスさせる」

ホォ!?!!!!?!?

「いや今ふざけてる場合じゃないから。マジだぞマジ」

ホッ、ホォ!?!!!!?!?

「腹くくってくれ」

 

 ダイマックスの構えをとるシバリに、フェイは動くこともできずにたじろいだ。

 

「くっ……そ。こんなことで、私の、計画が……! ……いや、そもそも、私だっていつでも彼女に手を出せる状態にあるということを忘れ──!!」

「3、2、1。よし、ムクホークいくぞ」

ホォ!?!!!!?!?

ハァ!?!!!!?!?

 

 モンスターボールをムクホークに向けたシバリを見て、フェイはたまらずシバリに向けて走り出す。

 

「待、待てっ! 今ダイマックスなんてしたらっ、私の──!」

「いくぞ、これが俺の初ダイマックス──

 

 

なわけあるかバーカ!!!!!!

ごぼっ!?!!!!?

 

 顔面に思い切りモンスターボールを投げつけられ、フェイはたまらず顔を押さえてうずくまった。

 

 その隙を逃さず、シバリはフェイの横を駆け抜け、ユウリの元へと辿り着く。

 

「シ、シバリくんっ! わ、わたっ、わたしっ!」

「待ってろ、今外すから! ムクホーク! なんとかできない!?」

ホッ!?……ホホウ!!」

 

 一瞬驚いたムクホークだったが、枷の部分だけを器用につつき、ユウリを拘束していた枷を破壊した。

 

「シバリくん!」

「おぶっ!?」

 

 急に抱きついてきたユウリを、シバリは何とか受け止める。

 

 ぎゅっと抱きしめてくるユウリを撫でながらも、シバリはフェイの方へと視線を向ける。

 

「……ぐ、そっ……。やってくれたね……。まさか、ダイマックスしないなんて……」

「……いや、出来ないんだよ。コレ」

「は……?」

 

 シバリがダイマックスバンドに付いているボタンを押すと、ダイマックスバンドから音声が流れ始めた。

 

『俺の声に合わせて腕を振ってくれ!! さぁ、チャンピオンタイムだ!!』

 

「……お、おまっ、お前っ、それっ……」

「だってこれお土産屋さんで買ったオモチャだもん」

「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

 つまり、ダイマックスパワーが溜まったように見えたのも、オモチャの機能のひとつだったというだけだ。

 

 あまりにもふざけたカラクリに、フェイはその場に崩れ落ちた。




まだ続きます。あくまでユウリの拘束解いただけだからネ!

しかしおかしいな。真面目に救出劇を書いたつもりなのに、どうしてフェイさんはそんな顔をしているんだろうか。

書くかはわかりませんが、番外編とか閑話があったら嬉しい?

  • いらない:そんなことより本編を書け
  • いる:ルリの閑話とか
  • いる:本編IF(永住ルート)とか
  • いる:ヒスイに飛ばされるようなIFとか
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