幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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35話

「くそっ……! 舐めやがって……!」

 

 先程の余裕そうな雰囲気とは打って変わって、フェイは怒りの形相でシバリを睨みつけた。

 

「こんな、子供騙しに引っかか『バンドのパワーを使うんだ!』……おい、やめ『キョダイゴクエン!!』『素晴らしいバトルだ!』……貴様ァ!!」

『俺の声に合わせて腕を振ってくれ!! さぁ、チャンピオンタイムだ!!』

「収録ボイス1ループさせてんじゃねぇぞ!!」

 

 ガチギレしたフェイを見て、流石にシバリもダイマックスバンドを外した。

 

「ふざけやがって……。……こうなったらポケモンバトルで無理矢理にでもムゲンダイナを引きずり出して──」

「──させるかよ」

「……は?」

 

 シバリはユウリの前に出るように位置取ると、カバンからモンスターボールを取り出した。

 

「もうユウリにはアンタと関わらせない。会話も、ポケモンバトルも、ユウリとアンタの間には必要ない」

「……ハッ」

 

 フェイは馬鹿にしたように笑うと、シバリと同じくモンスターボールを構えた。

 

「勝てるつもりかい? これでも、とある地方で私はバッジを──」

「……なあフェイさん。これからのバトルに、バッジの数なんて関係あるのか?」

「──ほんと、生意気な子供だな」

 

 舌打ちをしながら、フェイは喋るのを止めた。そして──

 

 

「いけっ! ダーテング!」

「ぶっとばせ! ゴローニャ!」

 

 

 2人は同時にポケモンを繰り出す。

 

 シバリはゴローニャで、フェイはダーテング。タイプ相性で言えば、ダーテングの方が有利だ。

 

「ゴローニャ! "ころがる"!」

「ゴロッ!!」

 

 先手で仕掛けたのはシバリだった。ゴローニャは丸まって、そのままダーテングの方へと向かっていく。

 

(なるほど……"ころがる"だけを指示しているようだが、さりげなく"まるくなる"も使っていたな? 大した技術だ。だが……)

 

 言わずと知れた"ころがる"の前に"まるくなる"を使うコンボ。これにより、"ころがる"の威力は2倍になる。

 

 しかし、迫りくるゴローニャを見て、フェイは特に焦らずに指示を出した。

 

「ころがるの軌道は一直線、故に読みやすい! ダーテング、避けてマジカルリーフ!!」

「ダァ!!」

 

 ダーテングはゴローニャを躱し、そのままマジカルリーフの構えを取る。

 

 しかし、シバリの口元は笑みを浮かべていた。

 

「ゴローニャ。()()()()()()

「──は?」

 

 突如大爆発が発生し、とんでもない勢いでダーテングがぶっ飛ばされる。

 

「お、思い切りが良すぎるだろう!? "だいばくはつ"ってのはもっとこう、後が無くなってから使うもんだろ!!」

 

 "だいばくはつ"。純粋な威力だけで言えばブレイブバードの2倍以上を誇ると言えば、その異常な火力が伝わるだろうか。

 

 だがしかし、その絶大な威力には、それに見合ったデメリットが存在する。

 

 それは()()。"だいばくはつ"を使ったポケモンは、その代償として必ず戦闘不能(瀕死)になってしまう。

 

 だからこそ、ここぞというときに使うのが一般的なのだが──。

 

(……い、いや。ゴローニャの特殊攻撃への耐性はそれほどじゃない。4倍弱点のマジカルリーフで一撃で倒されることを考えれば、"だいばくはつ"をここで使うのも、確かに悪くない選択かもしれないが──)

 

 ここまで考えて、フェイは目の前の光景に言葉を失った。

 

「──は?」

 

 ダーテングは瀕死になっているというのに、ゴローニャは()()()()()()()()()その場に立っていたのだ。

 

「いや、お前、だって、今……」

「……"だいばくはつ"って」

 

 動揺した様子のフェイに、シバリは語り始める。

 

「使うと必ず瀕死になるじゃん? それってつまり、()()()()()()()()って言えると思うんだよね」

「……えっ、おまっ、それって、まさか──」

「──ならさ、"がんじょう"で耐えられるってことになると思わない?」

思うわけないだろボケがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 "がんじょう"。その特性には2つの効果がある。

 

 まず1つ。HPが最大の時であれば、どんな攻撃でも瀕死にならず、HPが1残る。

 

 そして2つ。所謂一撃必殺と呼ばれている、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 シバリはこの2つ目の効果に着目した。一撃必殺を無効化出来るのであれば──"だいばくはつ"による自傷も、一撃必殺として見なして無効に出来るのではないかと。

 

「でも実際出来たわけだし。……なあゴローニャ」

「ゴロッ!!!」

「ふざけているのかお前!! そんな無茶苦茶な話、あってたま──」

「あるんだから仕方ないだろ。晴れの日も雨の日も嵐の日も、どんな日もコイツは"だいばくはつ"し続けて、死に物狂いで習得したんだ」

「……クソが!」

 

 つまりシバリのゴローニャは、"ころがる"で敵にぶつかったら大爆発して、当たらなくても大爆発して、近づけなくても射程範囲内に入った瞬間に大爆発するという、とんでもないゴローニャだった。

 

 ちなみに死に際も大爆発する。セルフ"ゆうばく"だゾ!(シバリ談)

 

「……ならお前だ! いけっ! ゴルダック!!」

「ゴルッ!!」

「ゴーストタイプ以外ならどのポケモンが来ても同じだ! ゴローニャ、"ころがる"!!」

「ゴロォ!!」

 

 再びゴローニャに"ころがる"を指示したシバリを見て、フェイは内心ほくそ笑んだ。

 

(……はっ、馬鹿め! このゴルダックの特性は"しめりけ"! このゴルダックがフィールドに居る限り、相手の爆発技は不発になる! "だいばくはつ"が不発した隙をついて、4倍弱点の水技で倒してやる!!)

 

「ゴルダック! 躱して"ハイドロポンプ"だ!!」

「ゴルゥ!!」

 

 案の定ゴローニャの"ころがる"は回避され、ゴローニャは"だいばくはつ"の体勢に入る。

 

 しかしそれは発動しない。だからこそ、ゴルダックは落ち着いて"ハイドロポンプ"の構えを取って──

 

「ゴローニャ! "だいばくはつ"!!」

「ゴルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!?!!!?」

 

 ──無防備な状態で再び起こった爆発に巻き込まれ、そのまま瀕死となった。

 

「……は? いや、あの……"しめりけ"は……?」

「……? ああ、今のゴルダック、"しめりけ"だったのか」

 

 何でもないように、シバリは言葉を続ける。

 

「言ったろ。晴れの日も雨の日も嵐の日も"だいばくはつ"し続けたって。環境要因による技の不発なんて、とっくの昔に克服してんだよ」

「……く、そが……!! いけっ、ペリッパー!! 爆風の届かない上空から水タイプの技で攻めろ!!」

「ゴローニャ、"うちおとす"」

「ペリィ!?」

 

 撃ち落とされたペリッパーが、地面へと墜落する。

 

 地に堕ちた鳥ポケモンの末路など、言うまでもない。

 

「ゴローニャ、GO」

「ゴロォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」

 

 ペリッパーの視界にゴローニャが迫る。

 

 ペリッパーには何故か、走馬灯のようなものが見えていた。

 

「ペ……ペリ……」

「──ゴローニャ、"だいばくはつ"」

「ペリィィィィィィィィィィィィィ!?!!!!?」

 

 無情にも、僅か数分でフェイの手持ちは3体落とされてしまったのだった。




・ゴローニャ
頑丈で大爆発を無償連打してくるボマーニャ(シバリ命名)
わかりやすい話がシアーハートアタック。コッチヲミロォ!
ころがるはあくまで相手に近づくための移動手段であり、メインは大爆発を当てることしか考えていない。

ちなみに大爆発を一撃必殺と見なす解釈まで含めて当ててる人が1人居たので、作者は内心悔しがっていたとかなんとか。

・ペリッパー
書いててちょっと可哀想だった。ごめんね。

・ダーテング
出オチ。

・ゴルダック
"しめりけ"。出オチ。

・フェイ
多分この後ゴローニャに6タテされる。
ゴーストタイプのポケモン持ってないから悪い。

書くかはわかりませんが、番外編とか閑話があったら嬉しい?

  • いらない:そんなことより本編を書け
  • いる:ルリの閑話とか
  • いる:本編IF(永住ルート)とか
  • いる:ヒスイに飛ばされるようなIFとか
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