「ダイマックスがしたい」
「へ?」
街中のベンチに座りながらそう言うと、隣に座っていたユウリが疑問の声を上げた。
「いきなりどうしたの?」
「いや、せっかくガラル来たんだしさ、ダイマックスしたくない?」
「私はもう何度もやってるからよくわからないけど……外から来た人はそうなのかな?」
「そりゃそうだよ。それに、せっかくダイマックスバンドも貰ったことだしさ」
そう言って俺は、カバンからダイマックスバンドを取り出した。
お土産屋さんで買ったオモチャではなく、マジモンのダイマックスバンドだ。
これはフェイさんが、あのときリーグスタッフさんに連れて行かれる前に渡してくれたものだ。
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「……そうだ。シバリ君、これを君にあげるよ」
そう言ってフェイさんは、俺にダイマックスバンドを渡してきた。
「え? ……へっ!? これって、本物の──!?」
「もう俺には不要なものだからね。それなら、君のような人に持っていてもらったほうがバンドも嬉しいだろう」
「……い、いいんですか? ほんとに?」
俺の言葉に、フェイさんはこくりと頷いた。
「もちろん。……その代わり、君のダイマックスバンドをくれないか?」
『バンドのパワーを使うんだ!』
「それはもういいから」
「あっ、はい。……でも、これと交換でいいんですか?」
「ああ、それでいいさ」
「この"なりきりダイマックスバンド ダンデバージョン"と交換でホントに良いんですか!?」
「しつこいな君!? ……そもそも、俺にはもうガラル粒子を扱う資格なんてない。ニセモノで十分だ」
言いながら俺からオモチャを受け取ると、フェイさんはそれを腕に装着した。
「……それに、もしまた道を踏み外しそうになっても、君から貰ったコレを見ればきっと、大事なことが思い出せる」
「フェイさん……」
「……思えば、オモチャなんて手に入れたのは生まれて初めてなんじゃないか? ……ははっ、こんな歳にもなって買うようなものじゃないだろうに、なかなかどうして、悪くないじゃないか」
「……」
フェイさんの過去に何があったのかはわからない。なんとなく想像出来るのは、オモチャ一つ買ってもらうことが出来ないくらいの環境で、幼少期を過ごしたのだろうということくらいだ。
でも深入りするようなことはしない。今のフェイさんに必要なのは過去ではなく、
「……まぁ、捕まったときにコレは没収されてしまうかもしれないけどね。もしそうなったら、釈放されるまでリーグスタッフさんに預かってもらおうかな」
「……フェイさん」
「ん? なんだい?」
「収録ボイスは4回鳴らせば1ループですからね」
「知ってるよ!!!!!!」
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というわけで、このような経緯で俺は本物のダイマックスバンドを手に入れている。
それはつまり、ロケーションさえ良ければいつでもダイマックス出来るということだ。
「ダイマックスかぁ……どこかのスタジアムを借りれば出来るかな? ……あっ! そうだシバリくん! ジムチャレンジするっていうのは──!」
「ジムチャレンジはする予定ないかな」
「そんなぁ……」
俺の言葉に、ユウリはガックリと肩を落とした。
「……シバリくんなら絶対私のところまで来れるのに」
「おおぅ……評価が高い……」
「……それにガラルで実績作っちゃえば囲いやすくなるし……」
「なんか凄いこと言ってない?」
「やっぱりジムチャレンジしようよ! ねっ、シバリくん!」
「しないが」
「そんなご無体なぁ……」
そう言って、ユウリは悲しそうに項垂れた。
ごめんユウリ。俺まだどっかに永住するつもりはないんだ。
「……それで、ダイマックスだよね?」
「お、おう」
「それならダンデさんに相談するのが一番早いかも。空いてるスタジアムとかあったら貸してくれるんじゃないかな?」
「ダンデさんか……」
なるほど。確かにダンデさんに頼めばダイマックスする場を提供してもらうのは容易かもしれない。
……でも、子供の我儘に付き合わせるのも申し訳ないよなぁ……。
「……どうしたの?」
「いや、確かにそれが出来るならありがたいけど……何か悪いなって。ダンデさんだって忙しいだろうし」
「……何というか、シバリくんはもう少し自分の立場を自覚した方が良いと思うよ?」
「へ?」
「シバリくんの頼みなら、ダンデさんも喜んで受けてくれると思う。……未来の有望なリーグスタッフの頼みなんだし」
「……ダイマックスは諦めるか」
「あー! 待って待って待って! ちがうのそうじゃないの下心とか全然なくって私もダンデさんもシバリくんに喜んでもらえたら嬉しいってだけだからほんとなの信じてよぉぉぉぉぉ!!!!!」
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というわけでユウリがダンデさんに連絡したら、すぐに空いてるスタジアムを手配してくれた。
対応早すぎてマジで怖かった。秒だよ秒。
「……こんなに人が居ないスタジアムって新鮮かも」
「あー……確かに俺がジムチャレンジ観戦したときも客席が満員だったしなぁ」
「いっつもそんな感じなの。だからこんなに人が居ないの初めてで……」
キョロキョロと物珍しそうに周りを見るユウリを横目に、俺はボールからムクホークを出した。
「よし、やるぞムクホーク!」
「ホー!!」
ムクホークにもダイマックスすることは伝えてある。今日は準備万全だ!
「まずはダイマックスバンドを装着!」
「ホウ!!」
「そしてダイマックスパワーの充填を確認!」
「ホホゥ!」
「そしたらお前を一旦ボールに戻して──」
「ホォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙!!!!!」
「待てや」
なんでもうダイマックスしてんだお前。
ダイマックスパワー充填してる時点でなんか身体デカくなり始めたような気はしてたけど何してんだお前。
ユウリもなんか呆然としちゃってるじゃん。びっくりしちゃってるじゃん。
「……ムクホーク。戻ってくれ」
「ホォ゙!?」
驚くムクホークを無理矢理モンスターボールに戻す。
違うじゃん。確かにムクホークにはやれとか言っちゃったけど、こういうのはダイマックスバンドを使って2人で力を合わせて的なアレじゃん。
「シャンデラ! 初のダイマックスはお前にする!」
「シャア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!!」
「お前もかよ」
お前に至っては何も言ってないだろうが。ガラルキャンプファイアーの姿しか要求してないだろ。いや、アレもキャンプファイアーお願いしただけでそこまでやれとは言ってないんだけどさ。
「……戻ってくれ、シャンデラ」
「シャン!?」
ごめんね。頑張ってくれたのは嬉しいし、トレーナー冥利に尽きるんだけど、今じゃないの。
「よし、ジュカイン! ダイマックス行こう!」
「ジュカ!?」
出した瞬間、サササーーーーーッと俺から距離を取られた。
「……もしかして、ダイマックスするの怖い?」
「ジュカジュカ」
高速で首を縦に振るジュカイン。……まあ、そうだよな。臆病だし。
「なら無理は言えないか。戻っていいぞ、ジュカイン」
「
「ふざけんなよお前」
ガッツポーズ取りながらダイマックスしやがったコイツ。
なんでそれでダイマックス発動してんだお前。喜びでダイマックス顕現したら無理ないんだわ。
「……ジュカ?」
「……戻れ、ジュカイン」
ジュカインが状況を理解する前にボールに戻した。
いや、あの……もしかして全員ダイマックスするとか言わないよな……?
「……パルシェン、信じてるからな!?」
「パルゥ!!」
「よ、よし! お前は普通だな!?」
「パァ!?」
状況は把握していないようだが、関係ない!
今ここで、俺はお前をダイマックスさせる!
「行くぞパルシェン! ダイマックスだ!」
「パ? パァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!」
「自発的にやれって意味じゃねーから!!」
なんでお前ら当たり前みたいな顔してダイマックスしてんだよ。
あれか? もしかしてムクホークに言われて全員コソ練してたか?
「パルシェン、戻ってくれ」
「パァ!?」
くっそ……あと2体しか居ない! 頼むぞ、どっちかで良いからセルフダイマックスはしないでくれ!
「いくぞ! ゴローニャ!!」
「ゴロォォォオオオオオオオオオオ!!!!!」
"だいばくはつ"しながら出てきてそのままダイマックスされた。
いや、あの……だから何にも言ってないんだって俺……。
「……戻ってくれ、ゴローニャ」
「ゴロォ!?」
このあと、最後の1体だけはセルフダイマックスを習得していなかったため、念願のダイマックスをすることが出来たのだった。
・シバリ
最後の1体だけはちゃんとダイマックスさせてくれた。
コソ練するようなタイプのポケモンではないので、一応最後の希望として残しておいたところはある。
・ユウリ
ダイマックスバンドって要らないんだぁ……(遠い目)
・ダンデ
外堀埋めたいなーという下心は若干ありつつも、ユウリを救ってくれたことへの礼をしたい気持ちのほうが大きく、秒で快諾。
ガラルが良いところだと思ってもらえたら嬉しい。
・シロナ
新たに手に入れた古文書を鼻息フンフンしながら解読中。
子供みたいに目を輝かせて楽しそうにしてる。
・ヒカリ
楽しそうなシロナを見てニコニコしてる。
それはそれとしてシバリを取るのはダメ。
・最後の1体
コソ練するようなタイプではないらしい。
当時シバリが鍛えた時も一番苦労したとか。
・なりきりダイマックスバンド ダンデバージョン
『俺の声に合わせて腕を振ってくれ!! さぁ、チャンピオンタイムだ!!』
『バンドのパワーを使うんだ!』
『キョダイゴクエン!!』
『素晴らしいバトルだ!』
上記4種のボイスを収録。4回鳴らせば1ループする。
書くかはわかりませんが、番外編とか閑話があったら嬉しい?
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いらない:そんなことより本編を書け
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いる:ルリの閑話とか
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いる:本編IF(永住ルート)とか
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いる:ヒスイに飛ばされるようなIFとか