幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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コメディパートは脳死で書けるから筆が進んで良いですわね。


41話

 とある収容所の面会室。そこで2人の男が会話していた。

 

「……なあシバリ君。今、なんて?」

「へ? いや、だから──」

 

 

 

「──手持ち6体中5体がセルフダイマックスしました」

「セルフダイマックスってなんだい!?!!!?」

 

 うわっ、耳キーンってした。そんなに叫ばなくても良いじゃん、()()()()()

 

「……はぁ。いや、なんというか薄々……君ならやってもおかしくはないとは思っていたんだけどね……」

「やったらおかしいと思うんですけど」

「そうだよおかしいんだよ普通は!!!!!」

 

 顔に手を当てて俯くフェイさんだったが、諦めたように顔を上げた。

 

「じゃあなんだい? もしかしてダイマックスバンド(ソレ)、要らなかったかい?」

「いや、それとこれとは話が別ですよ。カッコいいじゃないですか、ダイマックスバンド」

「……そうかい。ならいいんだけど」

「というか、フェイさんのそれって……」

 

 俺はフェイさんの腕に装着されている、"なりきりダイマックスバンド ダンデバージョン"に目を向けた。

 

「ああ、これかい? 俺も驚いたんだけど、没収されないことになってね。こうやって付けさせてもらってるのさ」

「それは良かっ『素晴らしいバトルだ!』……しゃべってる途中に挟まれるとイラっとしますね」

「元はと言えば君がやったことだけどね?」

 

 そう言ってフェイさんは悪い笑みを浮かべてくる。

 

 なんというか、この人も大概いい性格してるよな。

 

「ちなみにこれで貰った時から数えて収録ボイスが57ループ目に入った」

「……なんで数えてんすか」

「釈放される日に100ループ目を奏でようと思って」

「ごめんなさいほんとに意味わかんないです」

「看守にも同じことを言われたよ」

「でしょうね」

 

 ま、まぁ……本人が楽しそうなら良い、か……?

 

「……そう言えば、ローズ様とも会わせてもらったよ。同じ収容所だからね」

「……どうでした?」

「案の定、叱られたよ。ローズ様は俺がやったようなことを望んでなかったらしい」

「……そうですか」

「でも、なんだか清々しい気分だ。ローズ様に今後は好きに生きてみろと言われてしまったし、ここから出たら色々とやってみるさ」

 

 吹っ切れたような表情でそう言ったフェイさんからは、あのときの悪い面影は一切感じられなかった。

 

「色々……か。今のところはやりたいこととかあるんですか?」

「そうだね……。たとえば、オモチャ(こういうの)を作ってみるのも悪くないかなって思ってる」

「……気に入ったんですか?」

「存外ね。よくある話だろう? テレビやゲームを抑制されていた人間が、大人になって初めて触れるとのめり込むってやつさ。なんというか、それに近いものなのかもしれないね」

「そう聞くと将来がちょっと不安ですけど……でも、やりたいことがあるのならやってみるのが良いと思います」

「違いない」

 

 フェイさんはそう言うと、不思議そうな表情になり口を開いた。

 

「でもローズ様には何故か不評でね」

「えっ? 大人にもなってオモチャに興味を持つなとか、そういう……?」

「いや、そういうことではなくてね。実は、オモチャ(これ)に人生を救われたという話をローズ様にしようとして──」

 

 

 

「──ひとまずローズ様の前で10ループほど奏でてみた」

「もう一生牢から出てこなくていいんじゃないかな」

「同席していた看守に止められた」

「でしょうね」

「なんなら没収されそうになった」

「当たり前だろ」

「もし没収したら釈放されたあと毎日収容所の前で100ループ奏でると脅したら返してもらえた」

「やっぱ牢から出てくんなお前」

 

 俺、間違えたかな……? やっぱコイツ更生の余地無いんじゃないかな……?

 

「……そういえばシバリ君」

「……またくだらないこと言ったら帰りますよ」

「別に今の話だってくだらなくは──いや、いい。感性は人それぞれだからね。それよりも──」

 

 フェイさんは俺のダイマックスバンドを指差した。

 

「それ、仮にセルフダイマックス出来るとしても、出来るだけ使ったほうが良いよ。なんなら使うフリでも良いんだけど」

「そりゃあ使いたいですけど……何でです?」

「ダイマックスっていうのは条件さえ揃えば野生でも発生しうる現象なのは知ってるかい? だが、トレーナーが連れているポケモンがダイマックスバンドなしにダイマックスするなんて話は聞いたことがない」

「……つまり?」

 

 俺の言葉に、フェイさんは半ば確信したような表情で答える。

 

「マグノリア博士やその助手のソニア……いや、彼女も今は博士か。その二人に知られれば、大変なことになる」

「……大変な、こと……?」

「そうさ。だって彼女たちはこの地方におけるダイマックス研究の第一人者。そんな二人の前にセルフダイマックス可能なんていう前例の無いトレーナーが現れてみろ。研究のために囲われるに決まってるじゃないか」

「……あぁ、そういう……」

「君はまだまだ色々な地方を旅したいんだろう? なら可能な限り、二人とは接触も避けるべきだろうね」

「……はは、そうですね……」

「……ん?」

 

 俺のぎこちない笑みを見て、フェイさんは目を鋭くさせた。

 

「おい待て。まさか君、既に知り合ってるとか言うんじゃないだろうな」

「いえ、その────」

 

 

 

 

 

【※回想:数日前のポケモン研究所にて】

 

『そういやホップ。ダイマックスってあるじゃん?』

『あるな』

『なんか俺のポケモンさ、ダイマックスバンドなしでもダイマックスしやがったんだよね』

『なんだって!?』

『なんですって!?』

『ソ、ソニア!? どこから現れたんだ!?』

『ちょっと聞き捨てならないことが聞こえたから! ……今の、ほんと?』

『えっと……はい』

『ふ〜ん……そっかそっか、ダイマックスバンドなしでダイマックス出来ちゃうんだ……。へぇ〜……』

『ど、どうしたんだよソニア……。なんか目がちょっと怖いぞ……』

『ううん、なんでもないよ? おばあさまにも報告しなきゃ……

 

 

【※回想終了】

 

 

 

 

「──てな感じで、友達にそれ話してたら、本人に聞かれちゃいました……」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……。ほんっと、君ってやつは……」

 

 フェイさんは頭を抱えると、哀れむように立ち上がった。

 

「……ガラルから出るときは頑張ってね」

「あの、そんな戦地に向かう息子を送り出す親みたいな顔しないでもらえます?」

「なんでそんな具体的な例を出すんだ君は!?」

 

 そんなこんなで、不安しか残らない形でフェイさんとの面会は幕を閉じたのだった。




・シバリ
やっべぇ知られちゃったよ……。
でもソニアさんはそんなことしないはず……?

・ホップ
なんかソニアの目が怖いんだぞ……

・ソニア
セルフダイマックス? ふーん、へぇ。
ガラルから出すわけにはいかないかも……。

・マグノリア博士
セルフダイマックス? そんな眉唾な話があるわけ……え? ほんとに言ってる?

・フェイ
オモチャ製造系の職に就きたいという漠然とした方針が見えた。たまに深夜にバンドを鳴らして怒られている。

・ダンデ
とりあえず一旦放流しような! な!!
シロナさん怖いから! な!!
(ソニアがシバリに目をつけていることをまだ認知していない)

・ユウリ
いつの間にシバリがホップと仲良くなってると聞いてちょっと嫉妬。
(ソニアがシバリに目をつけていることをまだ認知していない)

・シロナ
全ての元凶(自覚なし)

書くかはわかりませんが、番外編とか閑話があったら嬉しい?

  • いらない:そんなことより本編を書け
  • いる:ルリの閑話とか
  • いる:本編IF(永住ルート)とか
  • いる:ヒスイに飛ばされるようなIFとか
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