クソボケには一回くらい制裁をね、しておく必要がね、ありましてね。
「えっと……なんて?」
「いやだから、ユウリのザシアンが持ってる"くちたけん"をシバリのジュカインに持たせて"けんのおう"にさせれば、物理も最強になるんじゃないかって……」
「何言ってるのホップ?」
「そうだぞホップ。特殊も強くなるべきだろ」
「シバリくん!?」
「それもそっか!」
「ジュカァ!?」
先日の"たてのおう"パルシェンはかなり良かったので、このままジュカインもいけないかと思い、現在ユウリに交渉中なのだ。
「"けんのおう"ジュカインのリーフブレードとか、想像するだけでも良さそうだよな……」
「わかるぞシバリ……」
2人で頷き合っていると、ユウリが苦笑いしながら話しかけてきた。
「あの……2人とも? まずフォルムチェンジ出来る前提でお話するのは止めておかない……?」
「シバリのパルシェンは出来たぞ?」
「パルシェンは出来たの!?」
「"たてのおう"パルシェン……俺の発想に狂いはなかったなぁ……」
「あれこそが現代のロマンなんだぞ……」
「うぅっ……なんかこう、付け入る隙のない異性の溝が存在してるよぉ……」
ユウリが項垂れているのを見て、ホップはユウリへと近づき、その両肩に手を置いた。
「ユウリ、これが男という生き物なんだ。こればっかりは認めてやってほしいんだぞ」
「で、でもぉ……」
「ちなみにこういうの認めてくれると男は好感度爆上がりだぞ」
「ザシアン! シバリくんに"くちたけん"貸してあげて!」
「ザシィ!?」
急に裏切ったユウリにザシアンはあんぐり口を開けて驚いていた。
あのユウリが目を輝かせて協力を申し出るなんて……ホップのやつ、一体どんな魔法を使ったんだ……。
「……ザ、ザシ……」
「……ジュカ、ジュカジュカ……」
渋々ザシアンがジュカインに"くちたけん"を渡し、ジュカインはめちゃくちゃ申し訳なさそうにそれを受け取った。
「
「……
「
どうやらザシアンから教えを請っているらしい。いいぞジュカイン、その調子だ!!
「……そだ! パルシェン! お前の感覚も教えてやってくれ!」
「ザマゼンタ! オマエも協力してほしいぞ!」
「パァ!?」
「ザマァ!?」
唐突にボールから出された2匹は驚きの声をあげたが、ジュカインの様子を見て、なにやら同情するように近づいていった。
「
「……
「……
「ジュカァ!?!!!!!?」
うんうん。3匹から教えてもらえてジュカインも喜んでるな!!
「……あっ、居た居た!」
「ん?」
後ろから声が聞こえたので振り返ると、ソニアさんがこちらに駆け寄ってきていた。
「……ソニア? 今日はダイマックス研究の資料まとめの日なんじゃ……?」
「それがちょっとだけシバリくんに聞きたいことが出来ちゃって……。もうすぐシバリくんもガラルから出て行っちゃうし、早めに聞いておかないとなって」
「なるほど。それで探してたんだな」
「……それで、悪いんだけど……ちょっとシバリくん借りても良い……?」
「う〜ん。残念だけど、仕方ないか……」
「研究のため、だもんね……」
2人は少し残念そうな表情をすると、俺の方に顔を向けてきた。
「シバリ! ジュカインはオレ達で見てるから、さっさとソニアの問題解決して戻ってきてほしいぞ!」
「うん! 早く戻ってきてね!」
「おう! ……俺が役に立つのかわからないけど……」
「大丈夫大丈夫! シバリくんなら間違いないから!」
そう言って、ソニアさんは俺の手を引いて研究所の方向へと走り出した。
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「はぁ……はぁ……そんなに、急がなくても……」
「ふぅ……はぁ……ご、ごめんね……早くしないとって、思ったら、つい……」
結局ポケモン研究所まで走り続けるハメになり、俺は肩で息をするくらいには疲れていた。
てかソニアさんもめちゃくちゃ疲れてるし、なんでそんなに急いじゃったんだ……。
とりあえず息を落ち着かせたあと、俺はソニアさんに尋ねた。
「それで、聞きたいことって何ですか?」
「……うん。資料見ながら話そっか」
こっちに来て。と言われ、俺は手を引かれて寝室の方へと向かっていく。
「へ? なんでそっちに……?」
「…………あの部屋で資料とにらめっこしてて、そのまま置きっぱなしなの」
「あ〜……」
普段は机で作業してるイメージだけど、まあそういうこともあるか……?
「ほら、入って?」
扉を開かれ、見慣れた寝室へと入っていくと、後ろからカチャンという音が聞こえた。
「……? あの、なんで鍵──」
振り返る前に、後ろからソニアさんに抱き締められた。
「……あはは、やっちゃった……」
「……ソニア、さん?」
「……ねえシバリくん、お布団行こっか」
「へ?」
「ちょっと眠くなっちゃって……」
「あの、聞きたいことって──」
「お布団で話すから……ね?」
「いや、布団って……」
俺が混乱している間に、ソニアさんは俺を抱きしめたままベッドの前まで来ると、俺を巻き込む形でベッドに身を投げた。
「……あの?」
「あは……走ったら汗かいちゃった……わたし、臭わない?」
「い、いえ、そんなことはないですけど……」
「そぉ? なら良かった……」
そう言って、ソニアさんは更にぎゅっと抱き締めてくる。
「えっと……聞きたいことって……?」
「……ごめんね。あれ、ウソなの」
「嘘……?」
「シバリくんを連れ出したくて、ウソついちゃった」
「い、いや、ウソなんかつかなくても、連絡をもらえたらいつでも──」
「どうしても今が良かったの。今じゃないと、わたし……」
俺の後頭部に顔をうずめながら、ソニアさんはぽつぽつと話し始める。
「シバリくんが居なくなってからね、とってもさみしくなっちゃって……」
「……さ、寂しいって、ここにはホップだって──」
「……ほんとにガラルから出て行っちゃうの? ずっとここに居ようよ……」
「……そういう、わけには……」
「私の世話なんて焼かなくてもいい。せめて、ただ近くにいて、こうやって一緒に寝てくれるだけでいいから……」
「……ソニア、さん……」
俺に残って欲しいと思ってくれているのは嬉しいが、俺もまだ見ぬ世界を旅したいという目的がある。
ソニアさんには悪いけど、俺は──
「……なんて、こんなこと言って迷惑かけちゃダメだよね」
「……へ?」
「わかってるよ。こんな風に言ったって、シバリくんが旅に出る決意は変わらないって」
「ソニアさん……」
「だから──」
スッと、ソニアさんは俺の顔の前に携帯を出した。
画面にはアラームが表示されており、今から1時間後を示している。
「今から1時間。このアラームが鳴るまで、シバリくんの時間をくれない?」
「1時間……?」
「うん。その間に色々と踏ん切りつけるから。シバリくんにはただ、こっちを振り向かずにわたしの言葉を聞いていてほしいんだ」
「それくらいなら、別に……」
「……でも」
急にソニアさんの雰囲気が変わる。なんだか妙に、甘ったるいような──。
「もし途中でシバリくんが振り向いてきたら、もう我慢しないから」
「我慢……って?」
「……えへ。今も結構、我慢してるんだよね……」
だからね。と、ソニアさんは続ける。
「シバリくんがわたしの言葉を聞いて、同じ気持ちになってくれたなら、
「──シバリくんの全部、わたしがもらっちゃうね」
「あ、の……ソニア、さん……?」
ぜ、全部? 全部って、それは、つまり──。
「じゃあ今から始めるね? 絶対に振り返っちゃ、ダメだよ?」
俺の頭の中で整理がつくのも待ってくれず、ソニアさんは俺の耳元で囁き始めた。
「──好きだよ。シバリくん」
「っ……!?」
「大好き。女として、シバリくんのことが欲しくてたまらないの」
「あのっ、そのっ……」
「あは……耳真っ赤になって可愛いんだ……」
これを……
振り返ることもせず、ただただコレに耐えろと……!?
「シロナさんじゃなくて、わたしじゃダメかな……?」
「こっち向いてよ……ちゅーしよ……?」
「ねぇ……シバリくん、シバリくん……」
バクバク心臓が鳴り続ける中、俺は時計へと目を向ける。
アラームが鳴るまであと59分。この状況での1分は、あまりにも重い。
・シバリ
あと59分がんばえー
・ホップ
がんばれジュカイン!
・ユウリ
がんばってジュカイン!
・パルシェン
がんばれジュカイン。
フィーリングでなんとかしろ
・ザシアン
えぇ……。ま、まぁ頑張ってな……。
え、やり方? フィーリング。
・ザマゼンタ
が、がんばれ……。多分出来るんだろうけど……。
やり方? フィーリングだけど。
・ジュカイン
フィーリングで出来たら苦労しないが?????
・ダンデ
オレとしたことがシバリくんにガラルのお土産を用意していなかった! 何が喜ぶかなぁ。
はっ!? 最近発売した"なりきりダイマックスバンド ユウリバージョン"を渡せば、ユウリのことをずっと覚えていてくれてガラルへの帰属意識が芽生えるのでは!?!!?
シバリ君も喜ぶだろうし、オレ天才かもしれんな……。
・ソニア
心に溜まった感情ぜーんぶぶちまけてスッキリしよう作戦。
なお振り向いてきた場合はでっろでろに溶かすつもり。
鍵を閉めたのはシバリを閉じ込めると言うよりは、この時間を誰にも邪魔されないようにするため。
何もなければ部屋の鍵は1時間で開かれるが、何かがあった場合はその限りではない。
書くかはわかりませんが、番外編とか閑話があったら嬉しい?
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いらない:そんなことより本編を書け
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いる:ルリの閑話とか
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いる:本編IF(永住ルート)とか
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いる:ヒスイに飛ばされるようなIFとか