幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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49話

 夜の遅い時間、とあるスタジアムで2人のトレーナーが戦っていた。

 

「ケッキング、メガトンキック!」

「しまっ──」

 

 ケッキングの攻撃がカイリキーに直撃し、その威力にカイリキーは為す術もなく倒れた。

 

「……これで、何試合目ですか?」

「27戦27敗、ですね……」

 

 流石にこうも連続で試合するとお互い疲れも溜まる。2人して肩で息をしていると、サイトウさんが小さく手を挙げた。

 

「す、少し休憩しましょう……。流石にわたしも疲れました……」

「そう、ですね……」

 

 珍しくサイトウさんが休憩を提案してきたので、俺はそれに甘えることにした。

 

 俺が疲れてその場に座り込むと、サイトウさんがこちらに歩いてきて、俺の横に座った。

 

「シバリさん。これ、良ければどうぞ」

 

 言いながら、サイトウさんは未開封のペットボトルを俺に差し出してきた。

 

「……良いんですか?」

「当たり前です。付き合ってもらってるわけですから」

「じゃあ、遠慮なく……」

 

 サイトウさんからペットボトルを受け取ると、俺はキャップを開けてそのまま飲み始めた。

 

 中身はスポーツドリンクで、渇いた喉に水分が行き渡っていく。

 

「……ぷはぁっ。……一口で飲み切っちゃったな……」

「余程お疲れのようですね」

 

 そう言ってサイトウさんはくすくすと笑うと、そのまま俺に話しかけてきた。

 

「そういえば、どうして今日はわたしの申し出を受けてくれたんです? 普段は何かと言い訳して逃げ回っていたと思いますが、どういう風の吹き回しでしょうか」

「逃げ回っ……いや、まぁ、否定は出来ないですけど……」

「ついに白状しましたね。……これは今の話とは全く関係ないのですが、あとでリアルファイトもしませんか?」

「いやです」

 

 絶対関係あるじゃん。俺ボコられるじゃん。

 

 サイトウさんは『残念です……』とか言ってるけど、命には代えられないので許してください。

 

「では話を戻しましょうか。どうして今日はバトルを引き受けてくれたんですか?」

「俺、もうすぐガラルから出て行くつもりなんですよ。だから、最後くらいはちゃんとサイトウさんとバトルしようと思いまして」

「え、聞いてないんですけど」

「今言いましたからね」

「ちょっと待ってください。納得出来ません」

 

 サイトウさんはそう言うと、こちらにぐっと詰め寄ってくる。

 

「このまま勝ち逃げされるなんて認められません。そんなことされたらシバリさんのケッキングを倒したあとにスイーツバイキングをご馳走してもらう予定だったわたしの計画はどうなるんですか?」

「知りませんけど!?」

 

 スイーツバイキングをご馳走してもらう予定なんて初耳なんだが。てか誰にご馳走してもらうの? ……えっ、まさか俺? 俺の奢り!?

 

「……ちなみに、どこへ行くんですか?」

「えっと……ホウエンのつもりですけど……」

「ホウエン。……ホウエン、ですか……」

 

 サイトウさんは考え込むように俯くと、何か思いついたようで顔を上げた。

 

「……ホウエンのかくとうタイプ使いとしてはジムリーダーのトウキさんが有名ですね。わたしも彼に会えれば学べることがたくさんあるでしょう」

「……何が言いたいんです?」

「どうです? ホウエンにわたしも連れて行くというのは」

「ほんとに勘弁してください」

「むぅ……そこまで言わなくても良くないですか……?」

 

 少し拗ねたような表情でサイトウさんは離れると、元の位置に座り直した。

 

「まあ、冗談ですが。言ってみただけです」

「なんだ、安心した……」

「……一回わからせたほうが良さそうですねこの人は……」

「ごめんなさい」

 

 隣で拳をパキパキ鳴らすのはやめてください。死んでしまいます。

 

「……あ、ホウエンと聞いてひとつ思い出したことがあります」

「なんです?」

「ホウエンにはセンリさんというノーマルタイプのジムリーダーがいらっしゃるのですが、その人もケッキングを使うみたいです」

「ケッキングを?」

「はい。しかもそのケッキングはずっと動き回るみたいですよ。世にも珍しい怠けないケッキングとして、界隈では有名です」

 

 怠けないケッキング……か。なるほど、サイトウさんが思い出すのもわかる。

 

「……ちょっと俺のケッキングと似てますね」

「そうですね。でも、シバリさんのケッキングとは似て非なるものです」

「俺のケッキングは怠けますからね。でもお互い動けるケッキングなら、ちょっと戦ってみたいような──」

「──戦うまでもありません」

「へ?」

 

 サイトウさんは確信したような表情で俺に告げる。

 

()()()()()()()()()()()と、()()()()()()()()()()()()()()()。その違いは、シバリさんが一番良くわかっているでしょう?」

「そう、ですね……」

 

 確かにサイトウさんの言う通りだ。それこそが俺のケッキングの特徴でもあり、強みなのだから。

 

 でもなんというか、初見殺しみたいなもんなんだよな……俺のケッキング……。

 

「……話していたら少し疲れました。肩を借りますね」

「えっ?」

 

 こちらに寄りかかってきたサイトウさんは、俺の肩に頭を乗せ、そのまま目を瞑った。

 

「あの……?」

「別にいいじゃないですか。シバリさんの休憩時間も伸びるんですよ?」

「まあ、そうですけど……」

「散々逃げ回ったんです。最後に疲れた女の子を支えるくらい、してくださいよ」

「……わかり、ました」

「あと、絶対またガラルに来てくださいね。そうでないとシバきます」

「ヒェッ」

 

 サイトウさんの脅迫(言葉)に、俺は震えながらも頷いたのだった。




・シバリ
そろそろ出ていくのでサイトウにも挨拶を済ませた。
これで心置きなく出ていけるね!

・サイトウ
シバリが居なくなると聞いて、なんかムカつくというか、胸が落ち着かないというか、よくわからない感覚になった。

無性に触れたくなったので、とりあえずそれっぽいことを言って肩に頭を乗せてみた。

・センリ
アニポケでもセンリのケッキングは怠けなかったし、この世界線でもセンリのケッキングなら怠け解消しててもええやろと思って今回の流れになった。

どうやらシバリのケッキングとは似て非なるものらしい。

・ケッキング
1日でめちゃくちゃ戦わされて辛い
そろそろ休みたい

・マリィ
居ますよ。ちゃんと。いや、ほんとに。
本編に出てないだけでちゃんと居ますよ!!



書くかはわかりませんが、番外編とか閑話があったら嬉しい?

  • いらない:そんなことより本編を書け
  • いる:ルリの閑話とか
  • いる:本編IF(永住ルート)とか
  • いる:ヒスイに飛ばされるようなIFとか
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