幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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数日前(1週間くらい前?)にヒスイ番外編書きました。
描写レベルは本編と同じくらいなんで、気軽に見ていただければと


81話

「あっ! サチエおばさん! おはよう!」

「おはようシロナちゃん。いつも元気ねぇ」

 

 誕生日パーティーの翌朝、シロナはいつものように宿へと向かっていた。

 

「今日もムクホくんのところに行くのかい?」

「うん! 昨日遊んでもらう約束したの!」

「あらあら、それは良かったわねぇ」

 

 近所の老婦人との挨拶もほどほどに、シロナはシバリの元へと歩き出す。

 

(今日は何しようかなぁ……。お外で遊ぶのも良いけど、たまにはお部屋でゆっくりするのも良いかも……えへへ)

 

 自然と笑みを零しながらも宿の近くまで来たシロナだったが、何やら宿の前で、女将と中居が神妙な面持ちで話し合っていた。

 

(何かあったのかな……?)

 

 普段なら笑顔でシロナを出迎えていた二人が、今はシロナの存在に気づくこともなく会話を続けている。

 

 どこか悪い予感がしながらも、シロナは二人に事情を聞くために近づいていき──。

 

「シロナちゃんになんて説明すれば……」

「言えるわけないわよね……

 

 

()()()()()()()()()()()()なんて……」

「──────え」

 

 信じられない言葉が、彼女の耳へと飛び込んできた。

 

────────────────────────

 

「──"ブレバト・ムクホ"という言葉に、覚えはない?」

 

 シロナさんの言葉に、ヒカリが首を傾げた。

 

 当然だ。その名前を知るのは、俺とシロナさんだけなのだから。

 

 でも、ここで素直に認めるわけにもいかない。なんというか、認めてしまったら最後、今までとこれからで関係性が変わってしまうような気がする。

 

 だからこそ、俺は顔に出さないように冷静に努めて──。

 

「す、すみません。そんな名前の人、聞いたことないですね……」

「えっ」

 

 俺の言葉を聞いて、ヒカリは少し驚いたように口を開いた。

 

「シバリさん、()()()()()()()()?」

「──あ」

 

『──"ブレバト・ムクホ"という()()に、覚えはない?』

 

 しまった……! もしかしてシロナさん、カマをかけて……!?

 

 恐る恐るシロナさんの方を見ると、彼女はどこか含みの有りげな笑みを浮かべた。

 

「ありがとう、()()()()()()()。とりあえず、元の時代に戻りましょうか」

「……ハイ」

「?」

 

 諦めたように苦笑いを浮かべる俺を見て、ヒカリは再び首を傾げた。

 

 

───────────────────────

 

 元の時代に戻ってきた俺達は、カンナギタウンの宿で身体を休めていた。

 

 今後のことを考えて気が滅入っていると、部屋の扉がノックされた。

 

「……ど、どうぞ……」

「ふふ、お邪魔するわね」

 

 訪ねてきたのはシロナさんだった。今日はもう外に出ることがないからか、黒のコートではなく、少しラフな感じの部屋着姿だった。

 

「……あの、ヒカリは?」

「寝ちゃったわ。数日間ほとんど寝ずにシバリ君を探していたから、疲れが溜まってたみたい」

「……そうですか」

 

 つまり今は二人きり。何かあったとしても、いつものようにヒカリが割り込んでくることはない。

 

 ……要は、言い訳出来ないってことだな……。今更そんなこと、するつもりはないけれど。

 

「で、何か言うことはあるかしら? ()()()()()()()()?」

「んぐっ……」

 

 黒い笑みで迫ってくるシロナさんに、俺は言葉を詰まらせた。

 

「遊ぶ約束……とっても楽しみにしてたのよ? ねぇ、()()()()()()()()?」

「あ、えっと、あれは……」

「宿の人も悲しんでたし、突然()()()()()()()()が居なくなった私達の気持ち、考えたことはある?」

「大変申し訳ございませんでした」

 

 秒で土下座した。

 

 あのとき直接挨拶が出来なかったのは、本当に申し訳ないと思っている。

 

 でも、何を言っても言い訳にしかならない。だからこそ、俺は頭を下げたのだが──。

 

「……なんて、シバリ君を責めても仕方ないことよね」

「……へ?」

「大体事情は理解してるわ。あんなタイミングで帰れるチャンスが到来したら、直接挨拶なんて出来るわけないもの。手紙が置いてあっただけでも感謝するべきだわ」

「シロナさん……」

「ほら、顔を上げて? そんな格好してないで、一緒に座りましょう?」

「は、はい……」

 

 促されるまま、俺はシロナさんの隣に座った。 

 

「……この部屋、覚えてる?」

「そ、そりゃあ……。俺からしたら、ついさっきのことですし……」

「……ふふ、そうよね」

 

 この部屋は、俺がずっと使わせてもらっていた部屋だ。

 

 あのときより少し古くなってはいるものの、部屋の中はほとんど変わっていない。

 

「ここでいつも、シバリ君と会っていたのよね」

「そう、ですね。シロナさんがいつも来てくれて──」

「シンオウ神話について教えてくれたり、フカマルの育成方針の相談に乗ってくれたり……」

「……えっと」

「膝に乗せてくれたり、頭を撫でてくれたり、たくさん褒めてくれてたり……」

「……あの?」

「たまに一緒にお昼寝とか、しちゃったり……」

「……シロナさん?」

「何かしら?」

 

 『何かしら?』じゃないんですよ。

 

「なんでその、俺の膝の上に頭を……?」

「あら。あの頃はよく膝枕してくれたじゃない」

「それは、そうですけども……」

 

 だからと言ってなんで今……? そんな当たり前みたいな顔してやることではなくないか……?

 

「……どうやらわかっていないようね、シバリ君」

「へ?」

 

 シロナさんはそのままの体勢で俺の頬に手を伸ばすと、少し顔を赤くして目を逸らした。

 

「今の私は甘えんぼモードなのよ」

「甘えんぼモードってなんですか!?」

 

 シ、シロナさんが壊れた……。なんで、こんな事に……?

 

「……私、ずっと頑張ってきたのよ?」

 

 そっと上体を起こすと、シロナさんはどこか潤んだような瞳で俺を見つめてくる。

 

「こんなの、大人として間違っていると思うわ」

 

「でも、やっと会えたの。もう会えないって心の何処かで諦めてたのに、会えてしまったの。だから──」

 

 シロナさんは少し恥ずかしそうにしながら、俺に向かって手を広げ、続きを口にする。

 

「ねぇ、()()()()()

 

「今日だけでいいから、あの頃みたいに──」

 

「──おかしくなっちゃうくらい、たくさん甘えさせて?」




・シバリ
キミの明日はどっちだ!

・シロナ(現)
情緒が壊れている

・シロナ(幼)

・ヒカリ
スヤァ……

まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも)

  • カントー地方
  • ジョウト地方
  • カロス地方
  • アローラ地方
  • パルデア地方
  • ヒスイ地方
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