幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

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え、ほんとに食われそう。
大丈夫……?


82話

「今の、本当……?」

「えっ……? シ、シロナ、ちゃん……?」

「い、いつからそこに……?」

 

 慌てた様子の女将と中居に、シロナは身体と声を震わせながら問いかける。

 

「う、嘘だよね……? だって、約束したんだよ……? "明日も遊ぼう"って、言ってくれたんだよ……?」

 

 彼女の言葉に、二人は何も答えなかった。

 

 その沈黙が、シロナからすると何よりも雄弁に答えを語っている気がして──。

 

「そんなわけない!!」

「「シロナちゃん!?」」

 

 シロナは身を翻すと、シバリ(ムクホ)の部屋へと駆け出した。

 

(そ、そもそもムクホお兄ちゃんが一人でどこかに行くなんて、今までにもあったことだもん! だから、もしお部屋にお兄ちゃんが居なくても、部屋の中で待っていれば──!)

 

 なんて、どこか自分に言い聞かせるように思いながら彼の部屋に向かい、その部屋の扉を開けた彼女は──。

 

「……ぁ」

 

 ──彼の私物が全て無くなり、まるで最初から誰も居なかったかのように様変わりした部屋を見て、もう二度と彼がこの部屋に戻ることがないと、嫌でも痛感させられた。

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

「……あの」

「なにかしら?」

 

 あれから十数分ほど、俺はシロナさんを正面から抱き締めて、頭を撫で続けていた。

 

 髪サラッサラだし、なんかクラクラするような甘い香りがするし、正直そろそろ離れてくれないと緊張で心臓が爆発しそうになってる。

 

 おいやめろイマジナリーゴローニャ。『代わりに爆発してあげようか?』じゃないんだよ。出てくんな。

 

「えっと……そろそろ良くないですか……?」

「……ふ〜ん?」

 

 俺が撫でる手を止めてそう言うと、シロナさんは不満気に頬を膨らませて、責めるような目線をこちらに向けてきた。

 

「私は十数年ずぅ〜〜〜〜〜っと待ち続けたのに、たったこれだけで終わりにする気?」

「え゙。あ、いや、そういうわけじゃ……」

「あの手紙1枚だけでここまで待たされたのに、お兄ちゃんはこれで満足しろって言うのね……?」

「すみませんでした」

 

 諦めて撫でる手を再び動かし始めると、シロナさんは表情を綻ばせた。

 

「んふふ、よろしい」

 

 満足気にそう言うと、シロナさんは再び俺の胸元に顔をうずめた。

 

あぁ……これよ、これなのよ……。私が一体、どれだけ、これを……ふあぁ……

「……あの、シロナさん?」

「なぁに?」

「ん゙ッッッッッ!!」

 

 急に幼い頃(あの頃)みたいな笑顔を向けないでください。心臓に悪いです。

 

「……何でも、ないです……」

「ふふっ……そぉ?」

 

 ……しかし、懐かれているような認識はなんとなくしていたけど、まさかここまでとは思いもしなかった……。

 

 俺が居なくなったとしても、しばらくしたら忘れるなり、良い思い出になるなりして、風化していくかな……なんて、そんな風に考えていたんだが……。

 

うぁぁ……これ、好きぃ……

「〜〜〜ッ!!」

 

 好きとかいうのほんとやめてほしい。そういう意味じゃないのはわかるけど、この状況で言われると流石にちょっと意識してしまう。

 

 というか、いい加減そろそろ離れてもらわないと、俺の情緒が──。

 

「──ふぅ、ちょっと休憩」

「へ?」

 

 いきなりシロナさんが俺から離れた。いや、助かるんだけど……何で急に?

 

「ふふ、いきなり供給過多になるのも考えものね……。これ以上続けて甘やかされちゃったら、流石の私も……ね?」

 

 頬を少し赤く染め、顔を手でパタパタと仰ぐシロナさんを見て、俺は内心安堵の息を吐いた。

 

 シロナさんはちょっとクールダウンするみたいだし、俺も少し落ち着かないと。

 

 別にやましいことをしているわけじゃないし、俺もこの時間で休憩すれば、全然大丈夫──。

 

「じゃあ、攻守交代といきましょうか」

「へ?」

 

 攻守、交代……?

 

「あの、それって、どういう……?」

「私がお兄ちゃんを甘やかすの」

「はい?」

「ほら、来て?」

「はい!?」

 

 座りながら自分の膝をポンポン叩くシロナさんから、『ここに座れ』という圧を感じる。

 

「……ちなみにその、拒否権なんかは……」 

「……私は十数年ずぅ〜〜〜〜〜っと待ち続けたのに、たったこれだけで──」

「はいわかりました座ります! 座りますから!!」

「わかれば良いのよ」

 

 勝ち誇ったような表情をするシロナさんを見て、今日はどこか子供っぽい表情を見せてくれることが多いな……なんて、思いつつ……。

 

「……ふふ、どうしたの?」

「……いえ、なんでも」

 

 ちょっと考えて、俺は背を向けてシロナさんの膝に座った。

 

「あら、向かい合わせに座らなくていいの?」

「……わかってて聞いてますよね?」

 

 向かい合わせに座るということは、さっきのシロナさんと同じく、相手の胸元に顔をうずめるということ。

 

 つまり、俺がシロナさんの胸元に顔をうずめるということになってしまう。流石にダメだろ、それは……。

 

「……お兄ちゃんなら、いいのよ?」

「俺が良くないです!!!」

「ふふっ、なら私の成長を実感するのは背中で……ね?」

 

 言いながら、シロナさんが後ろからギュッと抱きしめてくる。

 

「あの頃、た〜くさん甘やかしてもらったんだもの。なら、少しはお返ししないといけないわよね?」

 

 そう言って、シロナさんは俺の頭を撫で始めた。

 

「お兄ちゃんが私にしたこと、嫌ってほどわからせてあげるから……覚悟しててね?」




・シバリ
尊敬してる大人にこんなことされてそろそろ心臓が死ぬ。

・シロナ(現)
なんかもう色々はっちゃけてる
もう何も怖くない

・シロナ(幼)

・ヒカリ
スヤァ……(大 爆 睡)
起きてェ!!!

まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも)

  • カントー地方
  • ジョウト地方
  • カロス地方
  • アローラ地方
  • パルデア地方
  • ヒスイ地方
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