幼馴染にフラれたので旅に出ることにした   作:イグアナ

94 / 108
とりあえずヒントをね


93話

「……ラフ?」

 

 とある森に居るラフレシアは、どこかで自分が呼ばれた気がして、歩く足を止めて空を見上げた。

 

「キマ?」

「ラフラフ」

 

 隣に居たキマワリにどうかしたのかと尋ねられ、ラフレシアは首を横に振った。

 

 多分気の所為だろう。そう思ってラフレシアは視線を戻し、再び歩き始める。

 

 そのラフレシアは甘い香りをしていた。臭くても仲良くなってくれた変わり者達を見習って、自分も周囲に歩み寄る努力をしようと、改善してみた結果がそれだった。

 

 その甲斐あってこのラフレシアには、キマワリ以外にも友と呼べるポケモンが居るのだが、その反面、本来寄せ付けることのない敵をも呼び寄せてしまう。

 

「ガルル……」

 

 目の前に現れたのはヘルガーだった。本来群れで生活しているはずのポケモンだが、群れからはぐれたのか、はたまた追い出されたのか、一匹だけでその場に居た。

 

 どう考えても友好的に思えない、どころか今にでも襲いかかってきそうなポケモンの登場に、キマワリは"にほんばれ"を使おうとしたが、ラフレシアはそれを制止した。

 

 だってそれをされたらキマワリからしばらくソーラービームが出続けるから。すぐに倒せるだろうけど、それでは時間が勿体ない。

 

 なので、ラフレシアは代わりに自分が前に出た。ヘルガーも相手がラフレシア一匹だと認識し、すぐに飛び掛ってくる。

 

 "ほのおのキバ"、くさタイプのラフレシアには効果が抜群の技をヘルガーは選択した。

 

 当たればただでは済まないというのに、ラフレシアはその場から動こうとしない。

 

 トロい獲物だと内心ほくそ笑み、ヘルガーはそのままラフレシアへと牙を向ける。

 

 そして、ラフレシアに攻撃が当たりそうになったところで──。

 

「──ガル?」

 

 突然ヘルガーの動きが止まった。

 

 ラフレシアが攻撃を受け止めたわけでもなければ、ヘルガー自身が止まろうとしたわけでもない。

 

 ただピタリと、ラフレシアの目の前でヘルガーの動きが止まったのだ。

 

 ヘルガーの意識は『このまま"ほのおのキバ"で獲物を噛み砕け』と言っているのに、身体はまるでブレーキがかかったように動かない。

 

 今のヘルガーはまさに、無防備と言って差し支えない状態だった。

 

「ラフっ!」

「ガッ!?」

 

 ゼロ距離で放たれたのは"ヘドロばくだん"だった。

 

 一撃でとはいかなかったが、あと一発でももらえばヘルガーは立っていることが出来ないだろう。

 

「グ、グルルルルル…………」

 

 何かがある。少なくとも安易に近づいて良い相手ではない。

 

 そう思ったヘルガーは、ラフレシアから少し距離を取って、離れた位置から攻撃することにした。

 

「ガウッ!!」

 

 "かえんほうしゃ"、これまたラフレシアに効果抜群の攻撃だ。

 

 だが、()()()

 

「ガッ……ガウッ!?」

 

 何度試しても、"かえんほうしゃ"が出ない。

 

「ガウッ! ガウアッ!」

 

 "バークアウト"、出ない。

 

 "あくのはどう"、出ない。

 

 "ねっぷう"、出ない。

 

 "シャドーボール"、出ない。

 

 "はかいこうせん"、出ない。

 

 何を試しても、出ない出ない出ない出ない出ない出ない──。

 

「ガッ……ガァッ……!?」

 

 訳も分からず狼狽えている間に、ラフレシアはゆっくり近づいてくる。

 

 あの"ヘドロばくだん"はもう食らえない。しかし、このままでは確実に2発目の"ヘドロばくだん"が放たれてしまう。

 

「──ッ!! グルァア!!」

 

 焦りに焦ったヘルガーは、ラフレシアに向かって"かみくだく"をするために突撃した。

 

 ……が、その選択をした時点でヘルガーの敗北は決まっていた。

 

「ァ……ガァ……」

 

 "かみくだく"は発動しない。ラフレシアの目の前で、ヘルガーは再び動きを止めてしまっていた。

 

「ラフー」

「グルッ!?」

 

 まるで既定路線だとでも言わんばかりに、ラフレシアは顔色ひとつ変えずに"ヘドロばくだん"をぶち当て、ヘルガーは地に伏した。

 

「ラフラフー」

「キママー!!」

 

 倒れたヘルガーには目もくれず、2匹のポケモンは森の奥へと姿を消した。

 

 なんてことのない森の日常。しかし、それを遠目で見ていた何匹かの森のポケモン達は、どこか憐れむような視線をヘルガーに向けていたのだった。




ほんとはタマムシジムの場面も書きたかったけど、くっつけると長くなりそうだったのでちょっと区切りました。

・ラフレシア
PP枯らしの類ではない
なんだお前

まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも:パート2)

  • ジョウト地方
  • カロス地方
  • アローラ地方
  • パルデア地方
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。