「……ラフ?」
とある森に居るラフレシアは、どこかで自分が呼ばれた気がして、歩く足を止めて空を見上げた。
「キマ?」
「ラフラフ」
隣に居たキマワリにどうかしたのかと尋ねられ、ラフレシアは首を横に振った。
多分気の所為だろう。そう思ってラフレシアは視線を戻し、再び歩き始める。
そのラフレシアは甘い香りをしていた。臭くても仲良くなってくれた変わり者達を見習って、自分も周囲に歩み寄る努力をしようと、改善してみた結果がそれだった。
その甲斐あってこのラフレシアには、キマワリ以外にも友と呼べるポケモンが居るのだが、その反面、本来寄せ付けることのない敵をも呼び寄せてしまう。
「ガルル……」
目の前に現れたのはヘルガーだった。本来群れで生活しているはずのポケモンだが、群れからはぐれたのか、はたまた追い出されたのか、一匹だけでその場に居た。
どう考えても友好的に思えない、どころか今にでも襲いかかってきそうなポケモンの登場に、キマワリは"にほんばれ"を使おうとしたが、ラフレシアはそれを制止した。
だってそれをされたらキマワリからしばらくソーラービームが出続けるから。すぐに倒せるだろうけど、それでは時間が勿体ない。
なので、ラフレシアは代わりに自分が前に出た。ヘルガーも相手がラフレシア一匹だと認識し、すぐに飛び掛ってくる。
"ほのおのキバ"、くさタイプのラフレシアには効果が抜群の技をヘルガーは選択した。
当たればただでは済まないというのに、ラフレシアはその場から動こうとしない。
トロい獲物だと内心ほくそ笑み、ヘルガーはそのままラフレシアへと牙を向ける。
そして、ラフレシアに攻撃が当たりそうになったところで──。
「──ガル?」
突然ヘルガーの動きが止まった。
ラフレシアが攻撃を受け止めたわけでもなければ、ヘルガー自身が止まろうとしたわけでもない。
ただピタリと、ラフレシアの目の前でヘルガーの動きが止まったのだ。
ヘルガーの意識は『このまま"ほのおのキバ"で獲物を噛み砕け』と言っているのに、身体はまるでブレーキがかかったように動かない。
今のヘルガーはまさに、無防備と言って差し支えない状態だった。
「ラフっ!」
「ガッ!?」
ゼロ距離で放たれたのは"ヘドロばくだん"だった。
一撃でとはいかなかったが、あと一発でももらえばヘルガーは立っていることが出来ないだろう。
「グ、グルルルルル…………」
何かがある。少なくとも安易に近づいて良い相手ではない。
そう思ったヘルガーは、ラフレシアから少し距離を取って、離れた位置から攻撃することにした。
「ガウッ!!」
"かえんほうしゃ"、これまたラフレシアに効果抜群の攻撃だ。
だが、
「ガッ……ガウッ!?」
何度試しても、"かえんほうしゃ"が出ない。
「ガウッ! ガウアッ!」
"バークアウト"、出ない。
"あくのはどう"、出ない。
"ねっぷう"、出ない。
"シャドーボール"、出ない。
"はかいこうせん"、出ない。
何を試しても、出ない出ない出ない出ない出ない出ない──。
「ガッ……ガァッ……!?」
訳も分からず狼狽えている間に、ラフレシアはゆっくり近づいてくる。
あの"ヘドロばくだん"はもう食らえない。しかし、このままでは確実に2発目の"ヘドロばくだん"が放たれてしまう。
「──ッ!! グルァア!!」
焦りに焦ったヘルガーは、ラフレシアに向かって"かみくだく"をするために突撃した。
……が、その選択をした時点でヘルガーの敗北は決まっていた。
「ァ……ガァ……」
"かみくだく"は発動しない。ラフレシアの目の前で、ヘルガーは再び動きを止めてしまっていた。
「ラフー」
「グルッ!?」
まるで既定路線だとでも言わんばかりに、ラフレシアは顔色ひとつ変えずに"ヘドロばくだん"をぶち当て、ヘルガーは地に伏した。
「ラフラフー」
「キママー!!」
倒れたヘルガーには目もくれず、2匹のポケモンは森の奥へと姿を消した。
なんてことのない森の日常。しかし、それを遠目で見ていた何匹かの森のポケモン達は、どこか憐れむような視線をヘルガーに向けていたのだった。
ほんとはタマムシジムの場面も書きたかったけど、くっつけると長くなりそうだったのでちょっと区切りました。
・ラフレシア
PP枯らしの類ではない
なんだお前
まだ出てない地方で好きなところ(参考にするかも:パート2)
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ジョウト地方
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カロス地方
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アローラ地方
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パルデア地方