【取扱注意】その英雄、勘違いにつき。   作:化け猫 いろは

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第四話 スープと祈り

食事。

それは、生命を維持するためだけの、単純なエネルギー補給行為ではない。

熱いスープを共に啜り、一つのパンを分け合う時、そこに生まれるのは腹を満たす満足感だけではない。それは共同体という幻想を育み、孤独という名の凍てついた心を溶かす、最も原始的で、最も強力な儀式である。

故に、支配者はパンを与える。時にそれは慈悲と呼ばれ、時にそれは懐柔と呼ばれる。

だが、その本質は常に変わらない。

――胃袋を掴まれた者は、魂すらも差し出すのだ。

そして今、この地獄の惑星タルタロスで、一杯の温かいスープが、数万の魂を掌握する、最も静かで、最も恐ろしい宗教儀式の始まりを告げていた。

 

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旗艦「ネメシス」司令官室。

その部屋は、今やカイ・シラヌイという名の怠惰な神が君臨する、絶対不可侵の神殿(サンクチュアリ)と化していた。

不時着の混乱も今は昔。クルーたちが艦外で懸命な復旧作業と、囚人という名の面倒な隣人とのコミュニケーションに追われる中、彼らの敬愛すべき司令官は、ただ一人、安全な神殿の奥深く、玉座(リクライニングチェア)にその身を沈め、優雅にモニター監視という名の高尚な責務(ひきこもり)に勤しんでいた。

 

「(……ふむ。バルツァーの奴、なかなかやるじゃないか。あのゴツい図体で、意外と人心掌握術に長けている。修理の進捗も悪くない。よし、及第点だ)」

 

カイは、まるで自分の手足の動きでも確認するかのように、艦内の監視カメラが映し出す映像を次々と切り替えていく。彼の視線の先には、機関長のバルツァーが、囚人の中から選抜した技術者たちに指示を出し、ネメシスの損傷箇所を修理させている様子が映っていた。

もちろん、カイが感心しているのはバルツァーのリーダーシップではない。

「俺が何もしなくても、勝手に部下が仕事を進めてくれる」という、この上なく快適な状況そのものに対してである。

 

『へぇ、ずいぶんとご満悦だね、教祖様。信者たちが、君の代わりに汗水流して働いてる姿を眺めるのは、さぞかし気分がいいことだろう?』

 

脳内で、シロがいつものように軽薄な声で茶々を入れてくる。この銀髪の悪魔は、主人が怠惰の深淵に沈めば沈むほど、そのパフォーマンスを向上させる仕様らしい。実に迷惑な話である。

 

「(黙れ、このポンコツAIが。これは監視だ。司令官としての、当然の責務だ。部下たちの働きぶりを正確に把握し、適切な評価を下す。これぞ理想的なマネジメントというものだろうが)」

 

『どの口が言うかな。君がやってることなんて、ただ利用できそうな駒を品定めしてるだけじゃない。さっきから、囚人たちの個人データと監視映像を交互に見比べて、頭の中で値札を貼り付けてるくせに』

 

図星だった。

カイの視線の先、モニターの片隅には、囚人たちのデータベースが表示されていた。名前、罪状、特技、そして派閥。彼は、この地獄の惑星から脱出するという、ただ一つの自己中心的な目的のために、彼らをいかに効率的に、そして安全に利用できるか、それだけを延々とシミュレーションしていたのだ。

 

(フン、当たり前だろうが。情報は武器だ。特に、こういう面倒な交渉ごとにおいてはな。俺は、自ら危険な前線に赴くような愚かな指揮官ではない。安全な司令室から、情報という名の糸で駒を操り、完璧な勝利を演出する。それこそが、真の『魔術師』というものだ)

 

『へぇ、魔術師ねぇ。聞こえはいいけど、要するに「自分は何もしたくないから、他人を騙して働かせます」っていう、ただの詐欺師宣言だよね、それ』

 

シロの的確すぎるツッコミに、カイは内心でぐうの音も出ない。

だが、彼の天才的な(と本人が固く信じている)自己正当化回路は、即座に完璧な反論を捻り出した。

 

(違う! これは詐欺ではない! 適切な人材を、適切な場所に配置するための、高度な戦略だ! 俺は、彼らに「カイ・シラヌイのために働く」という、生きる希望と目標を与えているのだ! むしろ、感謝されるべきだろうが!)

 

――この男、自分の下劣な欲望を、聖人の慈悲へと変換する特殊な認知フィルターを搭載しているらしい。ある意味、羨ましい能力である。

 

カイは、そんな脳内の不毛なレスバトルを一方的に打ち切ると、再びモニターの映像に集中した。

彼の視線が捉えたのは、艦外に設置された、臨時の炊き出し場の光景だった。

そこが、今やこの艦隊、いや、この惑星における、最も重要な「聖地」となりつつあることを、彼はまだ知らない。

 

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湯気が、立ち上っていた。

巨大な寸胴鍋から立ち上るその白い湯気は、濃霧に閉ざされたこの惑星の陰鬱な空に、ほんの一瞬だけ、温かな染みを作る。

そして、その湯気と共に、暴力的なまでに食欲をそそる香りが、周囲に漂っていた。

 

「さあさあ、並んだ並んだ! 今日のスープは、昨日よりもさらに司令の慈悲がマシマシだぞ!」

 

鍋の前に立つのは、ナビゲーターのハンスだった。

もはや彼の本職が、艦の針路を計算することであったなど、誰が信じるだろうか。今の彼は、神の恵みを信者たちに分け与える、敬虔なる祭司そのものだった。

その前には、ネメシスのクルーたちだけでなく、様々な派閥の囚人たちが、食器を手に、長い列を作っている。

 

この光景は、ここ数日ですっかりネメシス周辺の日常となっていた。

カイが気まぐれに(自分のために)披露した「奇跡のスープ」。

そのレシピを伝授されたハンスは、今や厨房長のオットーと並ぶ、この艦のもう一人の「食の魔術師」として、兵士たちの胃袋と魂を鷲掴みにしていた。

 

「……本当に、信じられん光景だ」

 

列の後方で、機関長のバルツァーが、腕を組みながら感嘆の声を漏らした。

彼の隣には、囚人たちの最大勢力「坑夫(マイナーズ)」のリーダー、ギデオンが、苦虫を噛み潰したような、しかしどこか興味深げな表情で立っている。

 

「何が、信じられんのだ」

 

ギデオンの声は、錆びついた鉄が擦れるような、低い響きを持っていた。

 

「全てですよ、ギデオン殿」と、バルツァーはどこか誇らしげに言った。「ほんの数日前まで、我々の兵士も、あんたのところの連中も、互いに疑心暗鬼の塊だった。それがどうです? 今じゃ、こうして同じ鍋の飯を食っている」

 

「……腹が減っては、戦はできんからな。ただ、それだけのことだ」

 

ギデオンはぶっきらぼうに吐き捨てた。

だが、彼の視線は、スープを頬張り、顔をほころばせている自分の部下たちに、確かに向けられていた。

彼らの顔に浮かんでいるのは、ただの満足感ではない。それは、安らぎだ。

この地獄の惑星に来てから、初めて見せるような、穏やかな表情。

 

「それだけじゃありませんよ」と、バルツァーは続けた。「あのスープを飲んでから、ウチの連中の気の持ちようが、まるで違う。あれは、ただの食事じゃない。司令の……魂の一部だ」

 

「魂、だと?」

 

ギデオンは、眉をひそめた。また、あのカルトじみた話が始まるのか、と。

だが、バルツァーの表情は、どこまでも真剣だった。

 

「ええ。司令は、我々を信じておられる。この絶望的な状況ですら、我々なら乗り越えられると。だから、我々に最高の環境を与え、その魂を分け与えてくださる。このスープは、その証なんです。これを飲めば、どんな困難にも立ち向かう勇気が湧いてくる。司令が、我々と共におられる、と感じられるんです」

 

その、あまりにも純粋な狂信。

ギデオンは、返す言葉を見失った。

この男も、そして彼の後ろにいるネメシスのクルーたちも、全員、本気でそう信じているのだ。

一杯のインスタントスープもどきが、自分たちの司令官の魂の化身である、と。

 

(……狂ってやがる)

 

それが、ギデオンの率直な感想だった。

だが、その狂気が、現実にこの場の秩序を保ち、人々を結束させているという事実も、彼は認めざるを得なかった。

カイ・シラヌイ。

あの、モニター越しに一度だけ見た、穏やかだが底の知れない笑みを浮かべた若い男。

彼は、一体何者なのだ。

ただの軍人ではない。それだけは、確かだった。

 

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(いいぞ、もっとやれ。どんどん、俺という名の神輿を担ぎ上げろ)

 

司令官室の玉座(リクライニングチェア)の上で、カイはモニターに映し出されるその光景に、内心でほくそ笑んでいた。

自分の部下たちが、勝手に自分の神格化を進めてくれている。

こんなに楽で、都合のいい話があるだろうか。

 

(そうだ。俺が何もしなくても、勝手に結束し、勝手に忠誠を誓い、勝手に俺のために働いてくれるなら、それに越したことはない! これぞ究極のリモートワーク! 完璧なる中間管理職ライフ!)

 

彼が、その宗教儀式まがいの炊き出しに、若干の恐怖と、生理的なドン引きを感じていることは、ひとまず棚に上げておくとして。

この状況は、彼にとって間違いなく「有利」だった。

 

(あとは、この囚人どもを、どうやって手駒にするか、だな)

 

カイは、モニターを囚人たちのデータベースへと切り替えた。

彼の指が、二人の男のプロフィールの上で止まる。

 

一人目。

ギデオン。元・惑星開発公社の現場監督。罪状は、公社上層部の不正を告発しようとしたことによる、国家反逆罪(もちろん、濡れ衣)。

「坑夫(マイナーズ)」のリーダー。現実主義者。部下からの信頼は厚い。

 

「(……融通の利かなそうな、クソ頑固オヤジ、と。こういうタイプは、正論や理想論じゃ動かん。だが、部下という名の弱みを握っている。利用価値は、高い)」

 

二人目。

ビット。元・オリオン社所属の天才プログラマー。罪状は、軍の最高機密への不正アクセス。

「技術者(エンジニアズ)」の若きリーダー。論理至上主義者。戦闘能力は皆無。

 

「(……こき使えそうな、典型的なナードだな。プライドは高そうだが、論理的な『利』を提示すれば、案外あっさり尻尾を振るタイプだ。こいつは、チョロい)」

 

カイは、脳内で二人に対する極めて失礼なレッテルを貼り付けると、満足げに頷いた。

駒の性質は、把握した。

あとは、どうやってこの二つの駒を動かし、『Z-ドライブ制御ユニット』という名の王手(チェックメイト)へと導くか。

 

(フフフ……簡単だ。こいつらを、互いに争わせればいい)

 

カイの口元に、下劣な笑みが浮かぶ。

彼がこれから仕掛けようとしているのは、前世でネット掲示板を荒らしまくったスキルを応用した、極めて陰湿で、そして効果的な情報戦だった。

 

(ギデオンには、「ビットの奴らが、ユニットを独り占めしようと企んでいる」という偽の情報を。ビットには、「ギデオンの連中が、ユニットを破壊して、全員ここで朽ち果てさせようとしている」というデマを流す。互いに疑心暗鬼になったところで、俺が救世主として登場し、「まあまあ、二人とも。ここは私に免じて、手を取り合ったらどうだね?」と仲裁役を演じる。そして、その見返りとして、ユニットをいただく。どうだ、完璧な計画だろう!?)

 

『……君、本当に楽しそうだね。水を得た魚っていうか、掃き溜めに舞い降りた鶴っていうか』

 

(どっちも違うわ、ボケ!)

 

カイは、シロの軽口を脳内で一蹴すると、早速、囚人たちのネットワークに匿名でアクセスするための準備を始めた。

この男、自分の生存のためならば、惑星規模の内乱を引き起こすことすら、何のためらいもないらしい。

実に、英雄の器である。

 

その時だった。

炊き出し場のモニターから、奇妙な音が聞こえてきた。

それは、歌ではなかった。

祈りでもなかった。

だが、確かに、統率の取れた、荘厳な響きを持つ「声」だった。

 

カイは、怪訝な顔で、モニターのボリュームを上げた。

そこに映し出されていたのは、彼の理解と常識を、完全に超えた光景だった。

 

────────────────────────────────────────────

 

スープの配給が、終わった。

誰もが、温かい食事で心と体と満たされ、穏やかな満足感に包まれていた。

その、静かで平和な時間の中心で。

ナビゲーターのハンスが、ふと、空になった寸胴鍋を見つめ、そして、天を仰いだ。

その表情は、恍惚としていた。

 

「……ああ」

 

彼の唇から、感謝の吐息が漏れる。

 

「今日も、我らは救われた。司令の、大いなる慈悲によって……」

 

その言葉が、引き金だった。

彼の隣にいたバルツァーが、油に汚れた手を、厳かに胸の前で組んだ。

その向かいにいたリーゼロッテが、うっとりとした表情で、目を閉じる。

一人、また一人と、ネメシスのクルーたちが、まるで申し合わせたかのように、その場に立ち上がり、あるいは膝をつき、祈りの姿勢を取り始めた。

 

そして、ハンスが、まるで聖歌隊の指揮者のように、静かに、しかしよく通る声で、唱え始めた。

 

「──我らが司令に」

 

その声に、他のクルーたちの声が、重なっていく。

 

「「「──感謝を」」」

 

その、統率の取れた唱和は、最初、戸惑っていた囚人たちの心をも、少しずつ侵食していく。

なんだ、これは。

何の儀式だ。

だが、あのネメシスの連中が、あれほど真剣な顔でやっている。

あの、奇跡のスープを与えてくれた、あの人たちへの感謝の言葉か?

ならば、俺たちも。

 

一人、また一人と、囚人たちも、見様見真似で、その祈りの輪に加わっていく。

やがて、その声は、一つの巨大なうねりとなった。

 

「「「「「──我らが司令に、感謝をッ!!」」」」」

 

地鳴りのような、荘厳な祈りの声が、タルタロスの灰色の空に響き渡る。

それは、もはやただの感謝の言葉ではなかった。

神の御名を唱え、その御業を讃える、完璧なまでの宗教儀礼。

一杯のスープをきっかけにして、この地獄の惑星に、新しい宗教が誕生した瞬間だった。

 

その、あまりにも異様で、あまりにも狂気的な光景を。

司令官室のモニター越しに、たった一人、眺めている男がいた。

その宗教が、意図せず祭り上げてしまった、哀れな御本尊。

カイ・シラヌイである。

 

彼の顔には、悦に入ったような、満足げな笑みが浮かんでいた。

だが、その口元は、なぜか、ひくひくと引きつっている。

その瞳の奥には、喜びとは似ても似つかぬ、純粋な恐怖と、ドン引きの色が宿っていた。

 

「(……こいつら……俺がいない方が、よっぽど結束してないか……?)」

 

そうだ。

この光景に、カイ・シラヌイ本人は、いない。

彼は、ただ安全な場所から見ているだけ。

だが、彼の「不在」こそが、彼の神格化を、より完璧なものへと昇華させているという、恐るべき事実に、彼はまだ気づいていなかった。

姿を見せぬ神。

ただ、その慈悲(スープ)だけを分け与える、絶対的な存在。

それこそが、信者にとって、最も都合のいい神の形なのだから。

 

「(……というか、俺、この後、どうやってあいつらの前に顔を出せばいいんだ……?)」

 

そんな、極めて次元の低い悩みを、彼らの神が抱えていることなど、もちろん誰も知らない。

祈りの声は、まだ鳴り止まなかった。

まるで、これから始まる、さらなる地獄の序曲であるかのように。






あとがきという名の、司令官室での雑談


────────────────────────────────────────────


カイ:「……なあ、シロ。俺、今、本気で考えてるんだが」

シロ:『なになに? また新しい「完璧な計画」でも思いついちゃった?』

カイ:「違う! ……いや、まあ、そうなんだが……。この際、もう本当に、この艦から一歩も出ないっていうのはどうだろうか? 俺は、このリクライニングチェアと一心同体となり、概念と化す。司令官は常にブリッジにいなければならないなどという、旧時代の悪しき慣習は、俺が断ち切る!」

シロ:『へぇ、すごいね。つまり、ただのひきこもり宣言ってこと? さすがは英雄殿、考えることが違うなあ』

カイ:「うるさい! 見てみろ、あの惨状を! 俺の部下どもが、俺の名前を勝手に連呼しながら、囚人相手に布教活動を始めてるんだぞ! しかも、あのスープ! あれは、前世の俺が給料日前に、なけなしの金で買ったインスタントラーメンの残り汁に、コンソメとバターをぶち込んだだけの、ただの貧者の知恵だろうが! なんでそれが奇跡のスープになってるんだ! 恥ずかしくて死にそうだ!」

シロ:『まあまあ。信者っていうのは、いつだって教祖様のありがたいお言葉(レシピ)を、自分たちに都合よく解釈するものだからね。君が思っている以上に、君の存在は、彼らにとって心の支えになってるんだよ。よかったじゃない、前世では誰からも相手にされなかった君が、今や数万の魂を導く救世主なんだからさ』

カイ:「どこがだ! 俺は、ただ、自分の命が惜しいだけだ! あの怪物どもを呼び寄せているのが、俺の恐怖心だとお前に聞かされた時、俺の小心な心臓は一ミクロン単位で砕け散ったんだぞ! あの『セイレーンの歌』とやらも、ただのクソゲーの隠しコマンドだろうが! なんでそれが『天からの福音』になるんだ! 解せん!」

シロ:『それが「物語」の力だよ、カイ。真実がどうかなんて、誰も気にしない。彼らにとって、君はもう、ただの司令官じゃない。この地獄の惑星(タルタロス)に舞い降りた、唯一の神なんだ。君の一挙手一投足、それこそ鼻クソをほじった指の角度にすら、彼らは深遠なる神の御心を見出すだろうね』

カイ:「やめろ! 具体的な想像をさせるな! ……クソッ、こうなったら、俺の次の完璧な計画を発動させるしかない……!」

シロ:『お、待ってました! で、今度の計画は? まさかとは思うけど、「実は俺には双子の弟がいて、今までのは全部そいつの仕業でした」とか、そういうベタなやつじゃないだろうね?』

カイ:「違うわ! もっと、こう、高度で、知的で、完璧な計画だ! 名付けて! 『全部あいつのせいです作戦』だ!」

シロ:『……うん、今、最高に知的な作戦名が飛び出したね』

カイ:「そうだ! あの囚人どものリーダー、ギデオンとかいう頑固オヤジ! あいつに、全ての責任を押し付けて、俺は被害者のフリをする! 『私は、ただ平和を望んでいたのに、あの男が私のスープを政治的に利用したのです』とかなんとか言って、同情を誘う! どうだ、完璧だろう!?」

シロ:『……うん、まあ、せいぜい頑張ってね。その完璧な計画が、君を「受難の聖者」へと祭り上げる、新たな燃料にならないことを、僕は心の底から祈ってるよ。あはははは!』

カイ:「……お前、絶対に楽しんでるだろ……!」
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