アドマイヤグルーヴと、相性度65%のトレーナー 作:君のネクパイになりたい
「ふぅ……」
スティルインラブは、酷く緊張していた。
休日の昼下がり。
とある喫茶店の奥まった席で、待ち合わせの一時間も前から座っているのに、気持ちが落ち着かない。
思わず、両親に預けてきた娘……ジューダがどうしているかと、現実逃避をしてしまう程に。
「スティルさん」
「……っ!」
そんな時、近くへ歩み寄ってくる気配を感じた。
顔を上げてみれば、そこにはマタニティドレスを着る、身重の美女が。
アドマイヤグルーヴ。
長く伸ばした青鹿毛を、今日は一本の三つ編みにする彼女こそ、スティルの待ち合わせ相手だった。
「アルヴさん……! お久しぶり、です……」
「……ええ。お久しぶり、ね」
席を立ち、深々と頭を下げるスティル。
アルヴはそれを、複雑な表情で見つめていた。
その後、申し訳程度にスムージーを注文し、対面の席に着く。
「お元気そうで、何よりです。……ええと……」
「今、5カ月よ。まだ名前は降ってきていないけれど」
「そうでしたか……」
静かに流れるジャズが、気まずい沈黙を埋めてくれる。
しかし、このまま黙っていてはいけない。
すっかり温くなったヨーグルトドリンクで唇を湿らせたスティルは、再び頭を下げた。
「申し訳、ありませんでした」
「…………」
「“あの方”と……。アルヴさんの……旦那様と、私は……」
数ヶ月前の事だ。
地方都市に住むスティルの元へ、アルヴの夫が──“彼”が、出張で現れた。
娘を通じて“彼”と再会したスティルは、過去の過ちを打ち明け、そして、不可思議な経緯ではあったけれど……新たな過ちを犯した。
「“あの方”は悪くないのです! 私が、“あの方”を誘惑して──」
「嘘ね」
重ねられる言葉を、しかしアルヴは断じる。
確信があった。
担当ウマ娘として。恋人として。妻として。
積み重ねた時間が、そうだと教えてくれるのだ。
「少し誘惑されただけで、簡単に手を出すような人じゃないわ。“あの人”の中にも、そういう気持ちがあった。ずっと燻っていた。だから……こうなったのでしょう?」
現役時代、様々な紆余曲折はあったが、“彼”はアルヴを選び、アルヴも“彼”を受け入れた。
……でも。幸せなはずの時間に、ふと遠い目をする“彼”を見かける事も、少なくなかった。
誰にも真相を告げず、姿を消したスティルを案じているのだと、察せられた。けれど、指摘なんて出来るはずもない。
指摘してしまえば、ハッキリと意識してしまうから。
意識されたら、また心を奪われると。当時のアルヴは、そう思っていたのである。
「申し訳、ありません……」
「起きてしまった事実は変えられないわ。もう謝罪は結構よ」
謝り続けるスティルを、アルヴはあえて冷たく突き放す。
謝罪をする側と、される側。双方に相応しい態度があり、それを履き違えると、わだかまりが残ってしまうと思っての事だ。
再びの沈黙。
流れていたジャズの曲が終わり、今度はバラードに。
それと同じタイミングで、意を決したスティルが口を開く。
「実は……今日はもう一つ、ご報告しなければいけない事が……」
「……当ててあげましょうか」
「え?」
「妊娠、したんでしょう」
「──っ」
スムージーのグラスを傾けながらの、何気ない一言。
自分以外、絶対に誰も知り得ないことを言い当てられ、スティルは絶句するしかない。
予言し得た最大の理由は、女の勘、なのだろう。
「やっぱり。そうだろうと思っていたわ。“あの人”は……その……凄いから……」
「……そ、そう、ですね……。本当に……凄かった、です……本当に……」
妻であるアルヴ以外の女性が、夫の子を妊娠した。
空気は一気に緊迫する……かと思いきや、二人は揃って頬を染め、「ほふぅ……」と恍惚の溜め息を。
普段は心優しい“彼”であるが、うまぴょいの時には少し気性が荒くなる事もあり、ちょっと強引に、でも優しく甘く、意地悪されたりする時も……。
それを味わった事のある二人の間には、奇妙なシンパシーが生まれていた。
しつこいと言われようが、くどいと言われようが、何度目だナウ◯カと言われようが説明すると、ここで言う「うまぴょい」とは、「うまぴょい伝説」を踊る事である。
ドゥラメンテとのトレーナー生活によって、素晴らしく鍛え上げられた“彼”の肉体から繰り出されるキレッキレの「うまぴょい伝説」は、目の肥えたウマ娘をも魅了し、腰砕けにするのである。地獄絵図とか言わないであげて。
踊りを見るだけで妊娠するわけないだろ?
世界各地の神話などには、もっと奇天烈な産まれ方をしたりさせたりする存在も居るのだから、きっと三女神がなんかこう上手い事したと思われる。
細けぇ事はいいんだよ精神は大事なのだ(暴論)。
それはさておき。
ブンブンと首を振り、緩んだ気を引き締めたスティルが、今一度、アルヴに頭を下げる。
「こんな事を言える立場ではないと、分かっています。それでも、どうか……産ませては頂けませんか」
願うのはただ一つ。なんの罪もない命の、未来。
自分が罪深い事を、スティルは理解している。まずは償いをするべきだという事も分かっている。
しかし、時は待ってくれない。こうしている間も育っていく命を、どうしても。
……どうしても、母である自分以外に、認めて欲しかった。それが、ただのワガママだと言われても。
返事は……遅い。
顔を、上げられない。
アルヴがどんな表情をしているのか、想像すらしたくない。
怖かった。
罵倒され、なじられ、唾棄されても仕方ない行いを、確かにしたのだから。
ところが……。
「いいわ」
「──えっ」
「好きにしていいわ、と言ったの」
予想外に静かな声が、スティルを驚かせる。
見つめるアルヴの眼は、とても穏やかであった。
常識的に考えれば、刃傷沙汰が起きてもおかしくはない状況で、なぜ。
「どうして……。アルヴさんは、私が、憎くはないのですか」
「……分からないのよ、自分でも。どうしてこんなに、気持ちが凪いでいるのか」
ハッキリ言って、アルヴは嫉妬深い女だ。
かつて夫が、うっかり知人と……ルーラーシップとラッキーSKBした時など、二人が泣いて謝るまで絶対に許さなかった。
いや、両方とも最初から泣いていた気もするが、とにかく非っ常ーに長い間、怒っていた。
夫に対しては更に搾りに搾り上げ、ようやく許した程だ。変な話だが、とても、燃えた。
それがどうだ。スティルが相手となった途端、湧き上がるはずの嫉妬心が、鳴りを潜める。
現役時代は憎しみに近い敵愾心を抱いていたのに、今ではそれも落ち着いて。
愛を知ったが故の余裕か、それとも……。
「どうしても理由が欲しいのなら……。私が逆の立場だったら、誰に何を言われても、産んだと思う。だから、よ」
それはきっと、正しい意味での同情だった。
相手と同じ立場に自分を置き、その感情に寄り添う。
同じ人物を愛しながら、アルヴは“彼”の寵愛を一身に受け、一方でスティルは娘と二人きり。
彼女には彼女の幸せがあるのだろうが……。ある種の後ろめたさを感じるのは、間違いなのだろうか。
……分からない。分からないけれど。
「ありがとう、ございます……。ありがとうございます……っ!」
ホッとしたのだろう。
涙を溢れさせるスティルの姿を見ると、一般常識における正しさなんて、どうでも良い気がした。
彼女が落ち着くのを待って、アルヴは話を続ける。気になっていた事があるからだ。
「この事、“あの人”には?」
「いいえ。知らないはずです。知ってしまえば、きっと……」
“彼”がスティルの妊娠を知ったら。
今はまだ浮気してしまった程度の認識だろうが、どうするかなんて火を見るより明らかだ。
地面に額を擦り付け、どうにかしてスティルを支えることを許してもらおうとする。
一度ならず、二度までも愛した相手を見捨てられるような、酷薄な人ではない。
そんなところを愛しているし、同時に心の底から腹が立つ。あのスケコマシめ。
だから。
「前言撤回よ。一つだけ条件をつけさせて貰うわ。……ちゃんと“あの人”に話してあげて」
「ですが、それでは」
「“また”後悔させるつもり? 貴女の強がりは、少し独善が過ぎる。気遣う事で傷つける事だってあるのよ」
「……分かり、ました」
だから、これは意趣返し。
さんざん良い思いをしたのだから、胃が痛くなるくらい頭を悩ませ、二人の板挟みになって、もがき苦しめばいい。
そうして苦悩すれば、将来、娘達から軽蔑されるかも知れない未来への、備えにもなるだろう。
もしかしたら、スティルの人柄を知り、娘達が理解してくれる可能性だってある。父の浮気を許すかどうかは別として。
「でも、やはり不安です。アルヴさんと間を置かず、私もだなんて。“あの方”への精神的な負担が大きくなってしまいます」
「……確かに。けれど、そのくらいは覚悟の上でしょう。かつてトリプルティアラを戴いたウマ娘と、かつて女王とも呼ばれたウマ娘。二人を侍らせるんですもの。でなければ、きっと釣り合いが取れない」
「……? あの、アルヴさん……? その言い方ですと、まるで今後も……」
「…………嫌、かしら」
アルヴの言葉を聞いて、思わず首を傾げてしまう。
スティルは今日、“彼”やアルヴと決別する覚悟でここに来た。
新しい家族の存在を認めてさえもらえれば、それ以上は望むべくもないと思っていたのだ。
が、アルヴにもまた、別の思惑があった。
それは……そろそろママ友という存在が一人くらい欲しい、という切実な願い。
ご近所さんとは親しくしているし、井戸端会議だって参加できる。でも、友達かと言われたら頷けないのである。
それと言うのも、アルヴがウマ娘の中でも特に美人の部類(しかもクール系)であり、ご近所さんの多くは普通の人間の女性なので、相手方としても近寄り難いのかも知れない。
エアグルーヴとの交流も続いているけれど、彼女との関係は恩師と教え子のようで、抱き続けている敬意が、友達感覚の邪魔をする。
お互いの事情を深く知り、時に支え合い、愛する人へのちょっとした愚痴もこぼせる……。
そんな関係になれるとしたら、それはやはり、スティルインラブ以外には存在しない。……ような、気がした。
ルーラーシップ? アレは歳が近いだけのちょっと面倒くさい親戚枠である。
……分かっている。
“彼”とスティルが近くに居たら、罪悪感をスパイスに、またうまぴょいすると。
そうならないよう、アルヴとしても適度に搾るつもりだが、別にうまぴょいしたならしたで構わない。
こちらもその分、追加でうまぴょいすれば良いだけだし、以前の仲直りぴょいも、なんだかんだと激しく燃え上がったので、最近マンネリ気味だった夜のいい刺激にゲフンゲフン。
「言っておくけれど、“あの人”の妻の座は譲らないわ。
貴女も、未婚の身で二度も子を産むとなったら、相応の覚悟が必要になる。
ご両親や娘さんへの言い訳だって。……それでも、良いのね」
爛れきった夫婦生活をポーカーフェイスに隠しつつ、未来のママ友相手にも、しっかりと正妻ポジションのアピールを欠かさない。ここだけは絶対に譲れないのだ。
そして、この関係を続けるのなら、スティルにもクリアしなければならない問題がある。
未婚のシングルマザーが二人目を出産となれば、相手は誰なのか邪推する人は出てくるし、かつて支えてくれた両親、一人娘への説明もしなければ。
問題は山積みだ。
それでも、スティルの瞳には光が灯っていた。
「どのような形であっても、“あの方”のお側に置いて頂けるなら……。よろしく、お願い致します」
「ええ。どうぞ、よろしく」
静かに。厳かに。
スティルとアルヴは、こうしてまた縁を結ぶ事となった。
人に知られれば、後ろ指を差されるのだろう。道徳的な問題だってある。
だが、決して間違えない完全無欠の人生なんて、元よりあり得ない。
時に致命的に間違え、後悔をしても、なんとか折り合いをつけて歩き続ける。それもまた人生。
きっとこれからも、この関係は続く。
ティアラを競い合ったライバルで、一人の男性を奪い合った恋敵で。
今度は……互いへの罪悪感に苦しむ正妻と愛人、だろうか。
まるで三流メロドラマの脚本のようだけれど、これが彼女達の、ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、ビターで、ベターな結末。
それでも。愛に不器用なウマ娘達なりの幸せは、確かにそこにあった。
「アルヴ、もう良いのか。……彼女は?」
ややあって。
喫茶店を後にしたアルヴは、ちょうど入り口付近が見えない向きに停車する、夫の待つ車へと戻る。
妻を見つけると、“彼”はすぐさま飛んできて、ついでに周囲を見渡す。
スティルの姿を探しているのだろう。
「先に帰って貰ったわ。今回はあくまで、私への謝罪だったから」
「……そうか」
ホッとしたような、残念がっているような……複雑な表情。
会いたかった訳ではないのだろうが、やはり気にはなる、といった所か。
ともあれ、“彼”はアルヴの手を引き、車へと導く。
助手席に座るのを見届けると、“彼”も運転席に向かう。……かと思いきや、ドアを開けたまま、繋いだ手を、すがるように握り締める。
「すまない、アルヴ……。俺は、本当に酷い、裏切りを……」
「……そうね。確かに、“貴方”は私を裏切った。普通だったら、愛想を尽かせているんでしょう。私には出来ないけれど」
愛する人が浮気した時、普通の人ならば、さっさと三行半を突きつけて、次の愛を探すのだろう。
アルヴには、それこそあり得ない。胸に抱いた愛を、そう簡単に捨てるだなんて。そんなもの、最初から愛ではない。
……いや。意固地になっているだけなのかも。
自分が間違った人を選んだ事を認めたくなくて、愛という言葉で誤魔化している可能性だって。
そんな風にアルヴが自分を戒めていると、不意に「とん」と軽い衝撃が、お腹の中から。
……ああ、そうね。ごめんなさい。
ママが不安になっては、ダメよね。
「でも、問題ないわ。例え“貴方”が、他の誰かに心を奪われたとしても。絶対に、奪い返してみせるから」
愛おしく、まだ見ぬ我が子を撫でながら。
苦々しく顔を歪める夫に向けて、アルヴは宣言した。
この愛は、変わらない。
例え、誰かに後ろ指を差されても。いつか我が子に、そんなの変だと糾弾されても。
これが、この世界で私だけの、愛なのだ。
「……やっぱり君は。綺麗で、格好良いな」
「当たり前でしょう。だって、“貴方”の妻ですもの」
“彼”は、目が眩むような感覚を覚えつつ、アルヴの手を頬に寄せた。
夫の体温と、湧き上がる喜びを感じ、彼女は確信をより深くする。
やはり間違ってなんかいない。例え、間違っていても構わない。
この愛だけは、絶対に手放してあげない……と。
『オマケ ウマ娘の赤ちゃんはキャベツ畑で見つかる※諸説あり』
「ジューダちゃん。少し、お話しましょうか」
「ん? うん! どうしたの、お母さん」
その日の夜。
夕食とお風呂を終えて、後はもう寝るだけという頃に、ネグリジェ姿のスティルは娘を呼び寄せた。
アニメキャラのパジャマをはためかせ、娘……ジューダがベッドの隣に腰を下ろすと、にっこりと笑うその頭を撫で、少し躊躇いながら話し始める。
「実は、お母さんね。……赤ちゃんが、できたの」
「赤ちゃん? ……ええっ!? 赤ちゃん……!?」
内容はもちろん、新しい命のこと。
他の誰よりも先に、まずは娘に話したいと思ったからだ。
その娘はと言うと、よほど驚いたのか、大きな目を更に丸くしている。
「ええと、ええっとぉ……それって……?」
「ジューダちゃんは、お姉ちゃんになるのよ。まだ、妹か弟かは分からないけれど」
「妹……弟……。お姉ちゃん……! そうなんだぁ……うわぁ……!」
母の言葉を、噛み締めるようにゆっくり繰り返し、やがて、堪えきれない喜びを顔に滲ませていく。
スティル自身も、ジューダの喜びようが嬉しくて、同時に安心した。
新しい家族の存在を好意的に受け入れてくれるのかは、少しだけ不安でもあったのだ。
「ねえねえ、お母さんっ」
「なぁに? ジューダちゃん」
「赤ちゃんって、どうしたらできるの?」
「え゛」
ところがどっこい。
ホッと撫でおろした胸がドキぃっと跳ねた。
世界中の親という親が、必ず直面する大問題。娘・息子からの、「赤ちゃんはどうしたらできるの?」問題である。
この時が……。ついにこの時が……!
まだジューダちゃんは七歳。学校での性教育はとうぶん先。かといって事細かに教えるなんて論外。
ど、どうすれば……っ。
「そ、それは……ええと……こ、コウノトリさんが運んで……」
「あ、知ってる。それウソなんだよね? この前、友達が教えてくれたもん」
「……物知りなお友達ねー。凄いわー」
どうしてピンポイントでそんな知識を仕入れているのジューダちゃん……!
笑顔の裏で汗をダラダラと垂らしながら、スティルは娘のお友達に恨み言を……言おうとして飲み込む。耳年増な子供のする事だ、怒っても仕方ない。
今はそれよりも、この緊急事態をどう乗り切るかが重要。
どうにかして穏当に、大きくなった時に恥ずかしい思いをさせないように……。
「うーん……。わかった! チューするんだ! チューすれば赤ちゃんできる?」
「チュー、は……確かにした、けれど……でもそれだけだと……」
「やっぱり! お母さん、だれとチューしたの? もしかして、あの時のトレーナーさんとか!?」
びくぅっ。
何も知らないはずの娘に核心を突かれ、母親としての余裕は吹き飛んだ。
目をキラキラさせるジューダから顔を背け、取り出したるはスマートフォン。
LANEアプリを起動し、追加したばかりの友達欄からアルヴをタップ。かつてない速度で指をフリックさせる。
『アルヴさん助けてください』
『ジューダちゃんが、赤ちゃんはどうすれば出来るのかって』
『私はどう答えれば』
これまでの人生において、最も早い速度で入力を終えたスティルは、ネグリジェの裾を掴む娘に向き直る。
もちろん、浮かべているのは引き攣った作り笑いである。他にどうしろと。
「ねえねえお母さん、あのトレーナーさんでしょ? あのトレーナーさんとチューしたんでしょ?」
「ど、どうして、ジューダちゃんはそう思うの?」
「だって、お母さんがトレーナーさんを見る時って、他の人を見る時と、ぜんぜんちがうから。すんごく、うれしそうだったもん! ねーチューしたんでしょー? ねーってばー!」
「う……私、そんな顔を……? うう……っ」
娘の質問責めに耐えながら、スティルは祈る。
どうか、この身に天の一言が与えられん事を。
可及的速やかに、窮地から救い出される事を。
アルヴさん、お願いします早く返事をしてください……!
「……あの子ったら。さっそく連絡してきたと思えば……」
「ママー、パパがごはんできたってー。はやくたべよー」
「分かったわ。少し待って頂戴ね。『うちはコウノトリで誤魔化してるわ、正しい知識はまだ早過ぎるから』……と。これで良し」
(ヴー、ヴー)
「あら、もう返信……えっ? もうそれは通じないんです? ……むぅん……となると……」
「マーマー? ごはん、さめちゃうよー?」
「あれ? あの妊婦さん見覚えあるなぁ……。あ、思い出した! いつだったかカップル割引きで顔真っ赤にしてた美人さんだ!
しっかし、待ち合わせ相手の人もクッソ美人で……は? 妊娠!? あんのヤロー浮気しよったんか!? 最っ低じゃんこれだから男は! それでそれでっ?」
「……盗み聞きしていないで、お仕事、しましょうか……?」
wktkしてる彼氏居ない歴=年齢(今後も更新予定)なマルチアルバイターモブウマ娘と、喫茶店の店長してる黒髪で白いアホ毛の人妻ウマ娘の会話。
はい。長らくお待たせ致しました。今回こそは、スティルさんとアルヴさんの修羅場ラバーズな話。副題:スティルさん、NTR後の仲直りぴょいのダシにされるの巻、でした。
この後、スティルさんは自分の両親に第二子の懐妊と、ジューダ出生の事情を説明。
“彼”も懐妊を知って、ご両親に殴られるつもりで面会を求めますが、「恨み言しか言えないだろうから、これからも会わないほうが良い」と拒絶されます。まあ当たり前っすよね。
その代わり、ジューダと会う事はちゃんと認めてくれるので、いつかは歩み寄れる日も来る……かも? いや無理だな。一回ちゃんと殴られてこいや。
将来的に、父が二重生活を送っていると知った時の、娘ちゃん‘sの反応が怖いですが……。
数年後、酔った二人相手に3(ピー)とかやらかすんだから、そのくらい耐えれるやろ。
という訳で、アルヴさんの第四子とスティルさんの第三子は、ほぼ同時に産まれる事が確定です。ドゥラちゃんからの軽蔑の眼差しに負けるなお父さん! ガーンバ!(もはや適当)
次回更新は内容も時期も未定。
ネタはあるけど選ぶのに困ってる状態なので、チマチマと書き溜めるつもりです。気長にお待ちくださいませ。
ではまたいつか。
今回の没ネタ
「ねえねえ、ルーラーおねえちゃん」
「どうした、テンバ」
「あのね、おえかきしたくてね。ママのしょーぶふくをさがしてたらね、へんなふくみつけたの」
「お前、タンス漁りとか意外とヤンチャするなぁ。後でママが怒るぞ? で、どんな服だったんだ」(コスプレ衣装か? メイド服とか)
「うん、これ!」
「……! おいおいこれって、ルーガーニバ!? ホンモノとか初めて見た……」(※作者註 逆、から読んでみよう!)
「おねえちゃん、しってるの? でもこれ、なんでかくしてあったんだろ?」
「あー、うーん……。きっと思い出のある服なんだろうな! だから奥に仕舞ってたんだろうさ。怒られないうちに戻しておこうな」
「わかった! もどしてくる!」
(…………マジか!? マジでかアルヴ!? お前ルーガーニバなんて着ちゃえるの!? いや旦那サンの趣味か……? うーわえっぐ。普通に引くわ。知らんふりしとこ)
「 ル ー ラ ー 」
「アッ」