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今は昔、この世に妖怪や魑魅魍魎が我が物顔で跋扈していた頃のお話
人間の都では天皇が変わり人々は「ああ、またか」と慣れきってしまった頃。
ひとつの噂があった、話を聞けば天狗や鬼が住まう妖怪の山に踏み入った人間が、木っ端妖怪に食われそうになったところ、見たことがない妖怪に助けられたらしい・・・のだがそれだけに留まらず山の幸も分けてもらったそうなのだ。
当たり前だができるだけ山に入るなと釘を刺されたようだが、こんな優しい妖怪がいるはずがない、おそらく名前も知らない神様だろう、と言って助けられた本人はその妖怪に祈りを捧げている。
そんな様子を見ていた人たちが、救いを求めるようにその妖怪を崇拝し始め、
遂には宗教になってしまった。
その宗教は妖怪の山で風神と恐れられていた天狗と対抗する意味と雷のように目で捉えられない速度で動いていた、と言う目撃談から、雷神皇祖教と言う名前で日の本に広がっていった。
・・・そんな事になっているとは知らない元凶が此処に一人・・・
「星熊さん、マジ堪忍や!!それだけは勘弁してぇぇぇぇぇ!!!」
「なら私を倒して見せろ!・・・お前が悪いんだぞ?勝手に外部の人間を助けたばかりか山の幸をくれてやるとは、私を舐めきっているとしか思えないんでなぁ」
「だったらそんな嬉しい顔せんやろ!!どう考えても私をさらう口実やぁぁぁぁゲホッ・・・息が続かん・・・こらヤバイでぇ・・・」
・・・鬼に追いかけられていた。
妖怪の山で頂点に君臨する鬼を相手にツッコンだり叫んだりと騒がしく、周りの妖怪たちは嫌そうな顔をしながら耳をふさいだ。
「らちがあかないねぇ、萃香ァ!手伝ってくれ!!」
そう追いかけていた鬼が叫ぶと周囲の霧が集まり少女の姿になって自分を呼んだ鬼に言葉を返した。
「それは言われなくてもやつもりだよ、これが終わったら酒盛りだからね?勇儀」
「おうともさ!捕まえたら秘蔵の酒でも出して天狗ども巻き込んで宴会だ。文句はないね?最速の天狗の射命丸」
「あやややや無論ですとも!必死に逃げ回る取材対象をみすみす逃すような事は、この射命丸文は致しません。宴会も盛大にやりましょう・・・アイツを捕まえた後で」
「ありゃ、天狗の心までわしづかみか、酒好きの天狗に宴会をおまけのように扱わせるとはアイツもやるねぇ」
そう話している妖怪たちは、傍から見ると男ばかりでなく、女まで魅了してしまいそうな魅力があった・・・話の内容に目を向けなければと言う条件つきだが。
「伊吹さんの参戦は予想しとったけど文までもか・・・こら逃げ切れるかは運やなぁ・・・あぁ!こんなことになるなら人助けたあとすぐに雲隠れするんやったなぁ」
そんなことをしても無駄とわかっているが愚痴らずにはいられなかった彼女はため息を吐く。
そんな彼女に今、欲望がオーラとしてにじみ出ている3人を前に小さく呟く。
「やれやれや」
これは過去のお話、今から話すのは突如幻想郷の地に現れた「苦労人の雷神様」と呼ばれる人の物語である。