緑きりつま、赤毛きたれり   作:ひねもす@HAMELN

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§114.孤独の似合う者同士

215号室の三人娘は、仲が良かった。

いつも一緒だった。男の子と遊ぶときも、ひとりきりにはならなかった。

 

攻略をたくらむプレイヤーは、性格も容貌も異なる三賢者全員から認められる必要がある。

しかしそれは無理難題なので、たいていは2人から4人のパーティーを組んで彼女たちを遊びに誘う。

娘たちは気前よく奢ってもらい、時には感謝のキスくらいしてあげた。

寮へ帰ってからの品評会が、これまた楽しすぎたので、娘たちの結束はますます堅くなるのだった。

 

リーダー格はサリー・マクブライド。18歳。

強気でムードを牽引するが知識は割と大雑把で、失言をその場の全員から一斉に指摘されるなどチャーミングに転んでみせるのも芸のうち。

 

続くジュディ・アボットは17歳。

地味めだが家事全般が得意で、その経験値と手さばきには誰もが感嘆する。

だから一部の男子は恋愛すっとばして即結婚を求めたりしてくるのだが、そこでサリーが「ふざけんじゃないよ」と激怒するのもお約束だ。洗練されたコンビネーションを見せつける。

ジュディだって、女だけの場では強気で感想を吐く。「あたしだってそんな口説き方してくる男なんてまっぴらごめんに決まってらあ!」なんてね。

 

末席のダイアナ・バーリー14歳は、当然ながら甘えんぼ担当。

同郷のギルバート・ブライスとつきあっていたらしい。学内ではもはや知れ渡っており、あんな朴念仁より俺のほうがイケてるだろと調子こいてアプローチしてくる男も途切れなかった。

ダイアナはデートの誘いをOKしたあとで、サリーとジュディもついてくることを相手にしっかり承服させる。

あとは鉄壁のトリプルコンボで貢がせるだけ貢がせて、それでも笑顔で耐えてみせたボーイにはキスの一度くらい許してやるのだ。

彼たちにとっても甘酸っぱい青春の思い出となっただろう。私たちって最高のプレゼンターよね。ニコニコ。

 

ちなみにギルバートは、今年度トップの成績で入学したクリスティーン・スチュアートから言い寄られて、つきあってるんだかいないんだかという噂が聞こえている。孤独の似合う者同士、相性は悪くないみたいだ。

だから次第にダイアナを狙う男どもの傾向も変化してきて、あからさまにイケイケウハウハなバカは減ってきた。

だからってクールな佇まいだけが芸では、女がそれに気付くチャンスも無いのだけどね。

モテたいのにモテない男たちには215号室での秘密会議こそ聞かせてやりたいところであるが、残念ながら禁断の園だ。

 

ジュディ「友達って、いいよね。あたし、こんなに楽しい毎日って味わったことが無かったから」

 

サリー「そうかあ。ちなみにだがジュディ、友達は多いほどいいっていう、本当の真理を知っているか」

 

ジュディ「え?真理なんてものがあるの?」

 

サリー「ダイアナなら共感してくれるだろう。

友達ってのにもなあ、いいヤツもいれば悪いヤツだっている。金や男にだらしなかったり、鬱にひたすらつきあわせようとしてきたりとかな。

友達だからほっとけないんだが、これ以上つきあうと自分までダウナーになっちまう。そんな友達もできてくるんだよ、長くつきあっていくと」

 

ジュディ「怖いわ。それで?どうしたらいいの」

 

サリー「ダウナーからは、やんわり離れていくしかないね。救いを求めてくるヤツに手を差しのべちゃダメなんだ。

そいつを自分の力で立ち上がらせるには、いっぺん孤独に突き落としてやる必要がある。できれば見守ってやりながらね。

いつのまにか見えなくなっちまってた、なんてことも多いんだが」

 

ジュディ「見捨てちゃうの?それはあんまりだわ」

 

ダイアナ「りんごの摘果って知ってる?5月から6月に成長の悪い芽を摘んでしまうの。そうしないと、伸びるべき子に充分な栄養が回らないから。大切な仕事なのよ」

 

サリー「あ、いや、それは言い過ぎだダイアナ。友達を間引こうというんじゃない。

でもさ、頼まれたり相談されたりすると、断りにくいじゃないか。そこで、他の友達と約束があるからごめん、って言い訳をするんだよ。やさしくな。

いろんな友達を持ってると、そういう逃げ方ができる。圧力の懸かる部分を散らせるってわけなんだ」

 

ジュディ「あたし、友達もいないのに、いろんなダウナーからしがみつかれた経験だけはやたらとあるなあ。なんでだろ」

 

サリー「そんな底無し沼から、やっと這い上がれたんだろ。これからは幸福だけを掴むんだジュディ。大丈夫、私たちがついてる」

 

ダイアナ「あたしは、そろそろボーイフレンド欲しいんだけどな。

異性の友達をつくるとね、女だけでは入っていけないお店へ入っていけるようになるのよ。男性向けポルノだって見放題だしさ。それに、そいつよりダメな男が寄ってきにくくなるから。

二人以上囲っておくと、もう無敵ね」

 

サリー「私たちよりも仲良くしないでくれよ、そいつと。妬いちまうからな」

 

ジュディ「そうよ。それと、飽きてからでいいからお裾分けしてね。約束よ」

 

ダイアナ「ギルには未練無いつもりだったんだけど、相手がクリスっていうのは正視できないんだよね。試験で負けるのより悔しいわ。あーもうムラムラしちゃう」

 

サリー「何を言ってるのやら。

ダイ、よく考えてみなよ。絶対クリスの方がより強い敵意を燃やしてるよ。

ギルはあんたの、お古なんだから」

 

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