Angel Boxes! 作:ピンクのナービィ
この世界へ来てから五日目。
まあ……正直住みやすい世界だ。一日に使える金額に限りはあるが、完全なる不労所得。何をしているわけでもないのにお金が溜まる。それを使って学食を食べる日々。
学食メニューも豊富で、自販機も至る所にある。生活をするにおいてあまりにも都合の良い世界。
いつもの屋上からグラウンドを眺める。
運動部だろうNPCたちがずっと練習をしている。果たして何のために。大会もなければ別の学校もないのに。
「単独行動は避けた方が良いわ」
「……ああ、立華か。なぜ足音を立てない」
「どたばたと足音を立てるのはあの人達だけ」
背後より声をかけてきたのは真白の女子生徒……立華奏。生徒会長。
というか基本単独行動なこいつに言われるのは釈然とせん。
「なにをしているの?」
「意義を考えていた」
「意義?」
「あいつらの存在意義を。前までの……成仏をさせるための場として機能していたころなら、一般生徒は必要だったのだろう。友人との語らいもまた青春の一部。部活動による競い合いや高め合いにおいて、人間というものが自分たち以外にも存在しなければ意味を見出せなくなる。だからNPCが必要だった」
「そうね」
「が……今の世界において、あいつらに何の意味がある。正しい学業を送れども消えることはできない。だというのに学生生活を送り続ける生徒と教師。そういうプログラムだから、と言われたらそれまでだが……それはなんとも悲しいことだろう」
「悲しい?」
「物悲しい、と言うべきか? ……なんのためでもなく、誰にも必要とされず……ただそう在れとされた行動をし続けるだけの背景。いや、背景の方が些か救いがある。なんせ仲村たちはその背景に活路を見出し、果てを目指そうとしているのだから」
諦めるな、という叱咤をしはしたけれど、実際のところ……全方位が無限である可能性は十二分にあると思う。
容量の壁以外、この世界に"壁"らしい"壁"はないんじゃないか、と。
「ゆりたちを心配しているの?」
「どう、だろうな。……一度は消えることができたのならば、あるいはお前達はもう次の生へ歩み出しているのかもしれない」
「あたしはここにいるわ」
「本人かどうかはわからんだろう。本人は既に次なる生に向かっていて、ここにいるのは残滓……この世界がお前達から写し取った、文字通りの生き写しであるのかもしれない」
「……」
「全て憶測だし、だからなんだという話だが」
でも、それなら。
容量の壁や人造人間なんて途方もない話ではなく……誰かに心残りがあって、だからその未練を解消するために「再現をしている」という説が浮上する。
楽しかった学校生活。死んだ世界戦線の皆との毎日。愛する者との日常。
……そうなるとやはり、未練を残していそうなのは音無だ。最後の最後で人間らしくなった彼。今までずっと前を向き続けてきた彼の、初めて見せたエゴ。
次点で仲村ゆり。あれもあれで、日常を好んでいたはずだから。
だとしてここにいる異物はなんなんだ、という話も出てくる。
疑われるのも当然だ。自身ですら自身が怪しいと思えるのだから。
「あたしは、誰かのために……みんなが帰ってきたんだ、って。そう思ってる」
「良い観点だと思うよ。誰かのための世界だと思っていた方が、腐らずに済むだろうしな」
「いいの? あなたも……あの人たちに、世界の尖兵として扱われているけれど」
「も。それはあんたが天使とされていた時のように、か?」
首を傾ける。
そこを通り抜けていく弾丸。ヒュウ、顔面ど真ん中じゃなく目を狙うのは相当だな。
「正体を現したわね」
「ゆり……?」
「下がってて、奏ちゃん」
成程、何も知らない囮か。道理で悪意がないわけだ。
現れたるは仲村ゆり。その手にハンドガンを持ってのご登場。
「随分と悪辣な手段を取る。さしずめ悪魔か、そっちは」
「黙りなさい。……あたしたちはあんたにこの世界のこと、そしてこの世界で起きた様々を教えたけど、唯一教えていないことがあった。それは、あたしたちが長らく彼女を……奏ちゃんのことを天使だと勘違いしていたこと」
そうだ。それは聞かされていなかった。
皆、言うべきことじゃないと判断したのだろう。今更わざわざ勘違いを植え付ける意味はないと。
「すべてが終わった後に来たはずのあなたは、どこで彼女が天使とされていた、なんて知ったの?」
「前に来た時もそうだったから、と言ったら?」
「……なに?」
「OK、少し開示をしよう。──二度目ましてなんだ、死後の世界は。だから理解も速かった」
そこから語るは、何十年前の話。
一度目の死。この世界を識っていた頃の不運。
「そして、もう一度の死があった。一度ここを経由し、去り、もう一度、今度は違う不運に巻き込まれた。……一度目にお前達はいなかったが、その時も彼女は天使と呼ばれていたよ」
「嘘ね。だって彼女を天使と呼び始めたのは日向くんだもの。……あまり見え透いた嘘はやめてくれる? 白けるわ」
知っている。
それも読んだから。
「ま、信じる信じないはどうでもいいさ。……で、撃つのか。殺すのか?」
「ゆり……この人は多分、何も知らないと思う」
「奏ちゃん……? どうしてそう思うの? だっておかしいじゃない、なんでこいつは天使という言葉を」
「それはわからないけれど……少なくとも一般生徒に同情できる時点で、この世界の成り立ちには関わっていないんじゃないか、って」
肩を竦める。
不器用、だけど核心を突く。
それがこの生徒会長様だ。
「……仮にそこが……何か事情があるのだとして。さっきの嘘は、じゃあなに? 二度目の生の話は」
「そこはむしろ本当だ。ああ、一度ここに来たことがある、は真っ赤な嘘だが、二度死を経験しているのは本当だよ」
「やっぱり嘘なんじゃない。……って、え?」
「時代が随分と違うがね」
これは本当。
まだ『Angel Beats!』や他のKey作品を作品として見ることのできていた一度目と、それら作品群がごっそり消えていた二度目。
そのどちらもにおいて悲劇を覚えた。ま、二度目の生では二度目だからと……人生の余暇だからと、それが報いあるものになるなんて欠片も思っちゃいなかったが。
「皮肉ね。……消えることができなくなってから、生まれ変わりを立証した人間が現れるなんて」
「ま、身の上話はこんなところだ。理解したのなら、今この頭蓋を狙っている二つ射線を切ってくれないか。落ち着かん」
「……さっき弾丸を避けたこととか、このあいだ日向くんにアドバイスをしたこととか……あなたの二度目の人生って」
「血で血を洗うそれだよ。悲しいことに、ここじゃそう珍しい話でもないんだろ?」
「そう……ね」
椎名とかチャーとか……ま、言うなれば仲村ゆりとてそうか。別に血で血を洗ってたわけじゃないとはいえ。
銃器が降ろされる。
一応言っておくと、一度目の生の方は普通に学生だったよ。なんでもない学生だった。多分な。
「……今の天使の発言はなにも解消されてない。だから……監視はやめない」
「だろうな」
「その上で一つ聞かせて。……あなたが音無くんに語った話。あれは……実現可能なことなの?」
「人造人間の話か」
「ええ、それ」
可能か不可能か。
難しい問いだ。が……。
「ここが本当に……知識さえあればなんでも作れる場所ならば、あるいは、だな」
「そう。……もしやるのなら、あたしも呼びなさい」
「何をしでかすか怖いからか?」
「もしあなたが何も知らない人間だった場合、あなた一人だけに背負わせるわけにはいかないからよ」
「禁忌を犯す罪をか」
「そういうこと。……ていうか陽江くんあなた……なんでもかんでも劇半みたいな言い回しにするの、クセなの?」
「育ての親がそういう人だったから、うつっただけだろう」
「"育ての親"。……なるほどね」
もう一度肩を竦める。油断も隙も無い。
「ゆり、話は終わり?」
「そうね。……ごめんなさい。話を遮ったわ」
「流石に続ける雰囲気じゃないだろう」
「あたしは構わないけれど……」
「マジか。流石は……いやまぁいいけども」
不器用とか通り越してると思うんだよね彼女のは。世間知らずってレベルでもないし。
けど、そもそもこれ以上語ることなんてないだろう。
「世界や魂、人間についての見解はわかったわ。だから……もう一つの問題についても、聞いてみたいの」
「もう一つの問題? ああ、影の化け物ののことか」
「それはあたしも聞いてみたいわね。あなたから見てあれはどう見えているの?」
う、うーん。
それに関しては本当にノー知識だ。そもそもの影の化け物がよくわからんリセット装置だからな……。なんで銃で雲散霧消するのかもよく……まぁ同じマテリアル同士だからなんだろうけど。
……待てよ? だとしたら。
「仲村。遠征中は果実や小動物を食べて繋いだんだったよな」
「ええ、そうだけど」
「この世界の動植物……人間以外のそれには魂が無い。そう考えている。あれらもNPCと同じであり、土塊から銃を作るように、特殊な技能を備えられるように、改変できるマテリアルでしかないと」
「……続けて?」
「だから動植物も影の化け物になり得る。言い換えれば、誰かが何かをしない限り、NPCはNPCのまま決められた行動を取り続けるはずだし、動植物も動植物としてのふるまいを変えない。つまり──」
「なるほどね。少なくとも影の化け物事件に関しては、確実に人為的なものが絡んでる、ってワケ」
「ああ。そしてこれが……小動物の個体しか見受けられないのが、人間大の大きさのものを変化させるに至らないためであると仮定するのならば」
「パワーが足りない……。マシンパワーが足りないから小規模な事件しか起こせない。……のだとすると」
「いずれは、じゃないか?」
いずれは。
NPCが作るPCを無限に回収し、どんどんどんどん力をつければ……再来、だ。
「そうなったらサイアクね。……あたしたちの消える消えないに関わっているのかはともかくとして、影の化け物事件を起こしているヤツを早いとこ見つけないと大変なことになる。そしてその敵は世界なんかじゃなくて、人間の可能性が高い、と」
「そこはわからん。その、一度目にあんたらを襲ったという初期化プログラム。それのサブプログラムが用意されていた可能性も無きにしも非ずだろう」
「……。……確かにね。敵が人間だと考えるより……そっちの方が幾分かマシ。ただ、考えから外すことはできないわ」
「そこの心持ちは好きにしてくれ」
人間であった場合、面倒だからな。
疑心暗鬼を生ず……だけでなく、死が存在しない以上改心を促すしかない。原作でも……もしあれで直井が改心しなかったら、直井をどこかへ監禁するくらいしか対処法がなかったはずだ。
諦めることを、心が折れることを期待するしかなかったはずだ。
「参考になったわ。……って、結局奏ちゃん全然喋ってないじゃない」
「ゆりが楽しそうだったから」
「楽しそう、って……。……確かに最近は……行き当たりばったりな作戦ばっかりで、こうやって事前に頭を回しておくことはなかったから……ちょっと楽しかったかもしれないけど」
「ああ、そっち基本話し合いのできるヤツ音無しかいないだろうからな」
「来て一週間と経ってないあんたに理解されてるとか、あいつらのアホさ具合もここに極まれりね……」
とか言って、口元緩んでるけど。
アホなのが好きなくせによくもまぁ。
──銃声が響く。
「っと、また出たのね。一応見てくるわ。誰かがドジってる可能性もあるし」
「いってらっしゃい、ゆり」
「ええ!」
……残った、か。
まるで……見逃さないぞ、とでもいうかのようにだな。
体育館の下。椅子のたくさん入っているそこに身を潜らせ、シェルターの入り口へ辿り着く。
「何も言わずについてくるのはどういう了見なんだ?」
「あなたはまだ"何故"を話していないから」
「なるほど、答えになってない」
重い扉を開いて中を見れば……地下へ地下へと続く梯子が。
ここは封鎖されたと日向に聞いたんだけどな。
「なにをしに行くの?」
「調べ物」
「そう。……単独行動は危険よ」
「じゃあついてきてくれたらいい。なんなら応援を呼んでもいいぞ。別にやましいことをしに行くわけじゃないからな」
「わかった」
具体的に何をするのかを聞かず、梯子を下りる。
深い深い深淵への降下。湿り気を帯びた空気が肌を撫でていく。
そして……地面が見えた。
三角飛びの要領で衝撃を殺し、着地。……歩行用の木材。その上に土は積もっていない。
封鎖され、埋め立てられたとは思えない綺麗さだな。
「身軽ね」
「そっちこそ」
「あたしにはガードスキルがあるから」
立華奏は、単身でついてきたらしかった。
ま、心配はないだろう。戦闘力という点において彼女に勝るものはこの世にいないのだろうから。
……見える。
薄暗いギルドの連絡路。その先にひしめく……これでもか、という量の影の化け物が。
「一日五体まで、だっけ?」
「地上で確認されるのは、そうね」
「じゃあこれは? ギルドの連中だって存在しているわけだろう?」
「……」
「一日五体までしか出せないと思わせておけば、あいつらがそこまで焦らなくなることを知っている。だから人目を忍んで増やし続けた……ってところか」
ギルド壁を手で擦り、土塊を掬ってソレを想像する。
別に特別なものじゃない。切削バイトと呼ばれる金属だ。
それを──思いっきり投擲する。
空気を切り裂く音と激しい着弾音。舞う砂埃と飛び散る影の化け物たち。
「銃器要らずね」
「お互い様だろ」
さてまぁ、ここでなるたけ減らしておきましょうかね。
幸いにしてギルドのトラップは起動していなかった。ま、あっちは封鎖したと思っている通路だから当然と言えば当然か。
具体的な地図を知っているわけではないけれど、影の化け物の多い方多い方へと進めば自ずと、って感じではある。そうして辿り着くは──『第二コンピューター室』とプレートの張られた部屋。照明はついていない。
「開けるぞ」
「構わないけれど、ここはもうゆりたちが調べ尽くしてあるわ。この世界に再度踏み入れたその日に」
「ああ、だろうな」
「……わかっているのに行くの?」
「わかっているつもりになっているから行くんだ」
開ける。
そこには──無数のPCがあった。
ただし、"彼"はいない。
「……」
「Angel Player……。この世界のマテリアル改変ソフト。一度は仲村が破壊し尽くし、そして再度あんたらがここを訪れた時、その破壊をさらに確実なものとするため、部屋ごと爆破した……とかそんなところで合ってるか?」
「そうね。たくさんの爆薬が仕掛けられた」
「けど、この有様だ。ま、当然と言えば当然だな。初期化プログラムの製作者なら、もう一度同じプログラムを走らせることくらい造作もないだろう」
「つまり……犯人は、Angel Playerの製作者?」
そう。
NPC化したとされている者。しかし本編で高松がそうなったように、そして仲村ゆりが考察していたように、「強い想いに呼応して戻ることができる」というプログラムを仕込んでいたのなら……SSSのメンバーが全員去ったあとのこの世界で、"もう一度"を願い、再度この世界で待つことを選んだっておかしくはない。
彼ら彼女らが現れたことを何らかの手段で察知したのなら、NPCを書き換えてPCを運ばせるくらいはできそうだしな。直井が催眠術でそうしたように。
そうやって偽装し、確かめたのだから大丈夫、という自信を隠れ蓑に続けてきたのだろう。
「立華、プログラムの内容はわかるか?」
「見てみる」
「ああ」
流石に知らん言語の知らんプログラムを見ただけで判断できるとは言い切れない。
本編でもそこまで明確に取り上げられていたものじゃなかったしな。
「……前回のものを見ていないから、何とも言えないけれど……多分、前回のものと同じね」
「同じではありませんよ」
声。
いつの間にか……いた。
ラスボスボイス、真の黒幕ボイスの男子生徒が。
「敵意を向けないんですね」
「在ることしかできない影法師にどんな敵意を向けろと?」
「賢明な判断です。……あなたたちは、ここで行われていることのあらましを理解しているとみますが、よろしいでしょうか」
「ああ」
「では、今言った……同じではない、ということの真相のみをお伝えしましょう。まず、そちらの方の睨み通り、一般生徒ではなくなったプログラマーが、もう一度この世界に改変のプログラムを降ろしました。ただし前回は愛情を検知することで世界を初期化しにかかるものだったそれを少し書き換えて」
「……」
「
前は少しずつ呑み込んだために突破された。
だから今度は……水面下で動き、ギルドから目を背けさせ、数が溜まったら一気に、をやろうとしたと。
理解は及ぶ。効率的だし確実だ。
けどそれは。
「そしてもう一つ。……此度の初期化からは如何なる手段を以てしても逃れられません。強い想いに呼応することもなければ、これらパソコンを壊しても何の意味もない」
「プログラマーが……自死を選んだと」
「ええ。ただしそれは悲観的な逃避ではありません。この世界を見限ったが故の諦観です。……あの日から変わってしまったこの世界への」
「……卒業する場所じゃなくなった、というよりは……夢幻に閉じ込められたとでも言い表すべきか?」
「ご明察です。お気づきの通り、ここはあの世界ではない。異なる世界だ。卒業すべき場所は恐らくどこかにあるのでしょうね。ただここは、それ以外の目的を持つ箱庭と成り果てた。複製されて改変された。プログラマーはそれにいち早く気付き、この世界という名の余分なデータを消去しにかかった」
屋上で立華に語ったのと同じだ。
そっちはそっちで存続していて、こっちはこっちで始まった。
生き写し。だから消えても問題ない。
「勝手なことだな」
「ええ、そうでしょう。……ただ、あなたが来てしまったことで、プログラマーの行いは正しいものとなったのかもしれません」
「……なに?」
「わかりませんか? あなたですよ。あなたはそちらにいる方と違って、既存の魂ではない。完全に新規の魂だ。つまり、この別目的となってしまった世界に……余分なはずのデータの方へ迷い込んでしまった魂。この袋小路たる世界が破壊されない限り、今後もあなたのような迷える魂が間違ってこちらに入ってきてしまうのならば」
「多少手荒な手段を使ってでも破壊した方が良い、と」
「そういうことです」
一理ある、か。
消えることのできないバグった世界。袋小路。箱庭。
そんな場所で……未来が、……それこそあの時告げたような死のない極楽地獄になることが決定しているのなら、今の内に芽を絶やしておくべきだ。
「待って。……仮にそうだとして、まだおかしな点があるわ」
「一般生徒化することで、どうやってこの世界を壊すのか、だな」
「ええ」
「存在意義の話ですよ。──この世界はまともな青春を送ることのできなかった若者たちを救う場所。なれば、世界からその魂が一人もいなくなった時、この世界は休眠する。一般生徒も世界も、存在意義を失くしてしまうから」
「休眠した世界には新たな魂が迷い込まない、と?」
「そこまでは僕にもわかりません。プログラマーはそう判断した、というだけのこと」
「……」
だとしたら、大人しく影の化け物に飲まれるのが正しい行動だ。
が。
「受け入れられん」
「でしょうね」
「立華。プログラムの書き換えは可能か?」
「……何度か試行錯誤は必要だと思う」
「破壊したところで二の舞になる可能性が高いからな。影の化け物同士で食い合いを起こすような設定にしておけば自浄作用になるだろう」
「なるほど、悪辣なことを考えるものですね」
「ただ……」
どうにも、嫌な予感がある。
ここだけじゃ終わらない。こいつは末端に過ぎない。そんな予感。
そして、こいつや製作者でさえ世界の変容に関わっていない事実。
「ただ、なんですか?」
「なんでもない。……また話を聞きにくる。別に口止めはされていないのだろう?」
「ええ。どうぞお好きに」
薄笑いを浮かべた男子生徒。
……色々調べる必要があるな。ついでに立華奏からAngel Playerの言語に関しても教わりたいところだ。
さぁて。