Angel Boxes! 作:ピンクのナービィ
影の化け物は、消えなかった。
立華奏のプログラムは正常に動いている。影の化け物……小動物同士が食い合いをする光景が見受けられるようになったし、ギルド内部に蠢いていたものはかなりの数を減らした。
けど、地上のものが消えない。
どころか。
「大型犬くらいの化け物、ね」
「はい。ゆりっぺさん、野田さん、藤巻さんが遭遇しました」
「報告ありがたい……が、いいのか? 敵だろうに」
「『さっさと死なせなさいよ戦線』の敵は現状世界だけです」
「また改名したのか」
「これならSSSのワッペンに相違ない、そうです」
確かに。
……今話している、遊佐という少女。この子に関しては情報が少ない。ただ結構な人気だったことは覚えている。
歩いている描写が無い……というか瞬間移動のようなものをしていること、岩沢関係の時のファインプレーなどが目立っていたか。
それと……今は沈んでいるけれど、超絶危険人物である、ということも。
「……?」
「なんでもない。……それで、それを告げにきただけか?」
「はい。ゆりっぺさんからの指示でしたので」
「そうか」
「はい」
む。まずいな。
会話が続かない……というか終わらない。
もう用事が済んだのなら行ってくれたらいいものを。
……いや本当に。
「陽江さん」
「ん?」
「……いえ、なんでもありません」
言って。
忽然と消える遊佐。……うん。
幽霊だな、あれは。
この世界へ来てから一週間が経った。
代り映えのしない毎日。やるべきことはあるのに進捗が無い。本編であった「消えないための不良行為」は必要ないし、逆に学業行事に従事したところで何が起きるわけでもない。
立華奏も直井文人も……何も言ってこないしな。
……そんな中でひときわ元気な集団というのもいる。
聞こえてくるギターの音。歌声は流石に遠すぎて聞こえない。
ガールズデッドモンスター。ツインボーカルという新体制を迎えたガールズバンドは、日夜練習を続けているらしかった。
バンド。あるいは、音楽というもの。
一度目の生ではたくさん聞いていたけれど、二度目のでは一度も聞かなかったな。
そんなものを聞いている余裕がなかったといえばその通りだけど、あるにはあったのだろうから、結局興味を向けたか否かの違いか。
「いい曲だよな」
「ああ……音無か」
「おうよ」
こいつも物好きなことだ。
他の……日向や仲村ゆりと共にいればいいものを。
「陽江、お前さ。なんかものすげー戦えるらしいじゃん」
「戦える、とは?」
「奏に聞いたんだ。鉄塊を投げつけて影の化け物を散らしてたって」
「まっすぐに物を投げられることを戦えるというのか」
「あー……でも野球部だった、とかでもない……んじゃないか? 雰囲気的に」
「まず学校に通っていない。部活などなかったよ」
「そっか。……聞いてもいいか、お前の過去のこと」
こいつは本当に"話好き"だな。
「──ある日、謎の生命体"キャンサー"が宇宙より飛来した。"キャンサー"にはこれまで人類が生み出してきた兵器の類が一切通じなかった。駆逐されていく人類。国。ただ、指をくわえて見ているだけに終わらなかったのが人類だ。開発された新兵器──"セラフ"。それを装備した者だけが」
「待て待て待て待て。時代云々じゃなく世界まで変わってないかそれ!?」
「そんなことはない地続きだ。宇宙から敵が来ただけだからな」
「絶対違うよな別の世界の、っつかゲームの話だよな!?」
「何を言う。ゲームなどなかったよ、前の生では」
「そこだけ本当っぽくて暗いのやめろ!」
ま、当然嘘……というかヘブバンの設定だが。
セラフなんか持ってないしセラフィムコードもないし。
「でも……驚いた。そういう冗談言える奴だったんだな、お前」
「常にカリカリしていると思っていた、か?」
「ああ、正直そう思ってた」
「素直だな」
まぁ。
確かに……気を張っていたのかもしれない。
知っている世界なのに知らない世界。これが『Angel Beats!』まんまの世界だったら……とっとと消えることを選んでいた可能性もある。
十二分に、生きたしな。
「それで、何を聞きたかったんだ?」
「ん? ああ……銃以外でも戦える手段を持ってるやつらがちょっと……羨ましいとは違うけど、頼りになるっつーか、俺もそうやって誰かの盾になれたらな、とか考えたっつーか」
「戦えることは盾ではなく矛だと思うが」
「そうか? 敵陣に突っ込んでいったって誰かを守るためなら盾だろ。なんなら矛だって盾の一種だって思ってるよ。攻撃は最大の防御、なんて話じゃなく、ああいうのって威圧感を与えるためのものでもあるだろ?」
「……」
それでひるんでくれるのならば。
どんなに良かったか、なんて。
「簡単な護身術程度で良ければ教えられる。殺人術などは学びたくないだろう?」
「本当か!」
「といっても椎名や松下、野田なんかに勝ち得るものになるとは言えんが」
「いや、あいつらは特殊だし、いいよ」
ま。
仲村ゆりが接近戦をするのを見ての欲求だろうし……短剣術でいいだろう。
そもそもの動体視力の点は如何ともしがたいが、影の化け物の細腕を撃ち抜けていた音無だ。天性のセンスはあると見る。
「まずは、そうだな。ナイフを持ち歩いてみろ。こうやって……」
くるくるナイフを回したり、ジャグリングしたり。
重心の位置を利用した遊びをいくつか披露する。
「ボールは友達……とは何の言葉だったか。そんな感じで、ナイフがあることを日常にできれば扱いも上手くなる。まずはそこからだ」
「……それってなんかかなりの危険人物にならないか?」
「銃の練習をし、銃を携行するお前は危険人物ではないと?」
「確かに……銃も同じか、そういや」
「ああ。護身のためのものであれば、何も問題はないだろう」
こいつら所構わず射撃訓練してるし。
今更ナイフが何だという話だ。
「ナイフで遊んで怪我をしなくなったらもう一度来るといい」
「怪我をしても治る世界だからこそできることだな……。良い子は絶対に真似しないでね、のやつだ」
「最終的には」
指先で回転させていたナイフ。その柄を掴み、グラウンドへ投擲する。
一切の速度を落とさずに突き進むナイフは──今しがた立ち昇ろうとしていた蛇の形の影の化け物へと突き刺さり、それを雲散霧消させた。
「これくらいできるようになる」
「なるかぁ!?」
「安心しろ、これでも生前は面倒見の良い方だった。排出した弟子も数知れん」
まぁ皆伝となる前に死んだやつも数知れんが。
ここ死なないし大丈夫だろう。
「……お前、もしかしてアホの類なのか?」
「高校一年までの知識はあるぞ。それ以降は学校が消えた」
「学校が? そりゃ……お前の過去に関連する話か? ……宇宙人が襲来したとか言わねえだろうな」
「飛来したところは変わらん。宇宙人ではなく弾頭だったが」
「……お前、まさか」
「今お前が想像した戦争とは違う。それなら一片も残っていないだろうしな」
それが開戦の合図となったところも違うな。
「……今度は嘘じゃないっぽいな」
「さっきのはからかっただけだ」
「そうかよ。……また来るよ」
「ああ」
去っていく音無。
精力的で良いことだな、本当に。
数時間後。
「音無くんに何してくれてるのよコォルァァアア!!」
「危ないぞ仲村。ナイフは振り回すな」
刺突に次ぐ刺突。連撃。それを避けながら諭す。
「何事かまず言え。そこまで仲のいい関係性でもないんだ、敵意が先行していると何も伝わらん」
「……さっき彼が……ナイフで遊んでいたのよ。あたしたちは非行によって消えずにいた集団とはいえ、音無くんは常識人寄りの人物……なのにあんな無理矢理なキャラ付けを……! それで、何してるのか聞いたら、『陽江に習うことにしたんだ。次何かあった時、みんなを守れるように』ってなんかかっこつけてて……!」
「本心だろう別に」
想像以上に戦い慣れていない……というか、同じ体格相手としか戦ったことがない感じだな。
ま、そうか。接近戦をするのは椎名か立華だけだものな。他は仲村ゆりに戦意を向けない。
だから──指二本での真剣白刃取り、みたいな曲芸もできる。
「っ……!」
「音無は、護身術を覚えたいそうだ」
「は……はぁ? 護身術?」
「ああ。お前や立華、椎名が接近戦で戦うところに憧れを抱いた……ような発言をしていたが、多分あれは」
「……奏ちゃんを守りたい、かしら」
「そんなところだろうな」
本編では時間がなかったからできなかったこと。確か作中時間三週間くらいしか経ってないし。
でも、今は……残念なことにたくさんの時間がある。そしてやることがない。
だから、できる。
「だからってなんでナイフ?」
「基本は影の化け物に対抗するための手段。松下や高松のように素手での応対ができる者も居はするが、できれば武器で戦った方が安全だろう」
「そ。……ちゃんと考えてるのね」
「それでも気になると言うのなら、お前が教えればいいとは思うがな」
「あたし?」
「生前から得意だったのかは知らんが、今は得意だろう、短剣術」
「……人に教えられるものではないわ」
「なら邪魔をするな」
仲村ゆり。その生前にナイフで戦う場面など無かった。
だから……この世界へ来てから培った技術なのだろう。にしても素の身体能力は高いようだが。
ナイフに込められていた力が抜ける。
わかってくれたか。
「やめさせたいなら音無の方を説得しろ。こっちはあずかり知らん」
「はいはい、わかったわよ」
「それと……影の化け物の件。少し作戦があるんだが、人手が必要だ。共有だけしておきたい」
「へえ? なに、やっぱ『さっさと死なせなさいよ戦線』に入るの?」
「そっちが追放したのだろうに……」
第二コンピューター室の方ではない。勿論第一コンピューター室にも元凶はいなかった。
であれば、と考えた作戦。
さてこれは──。
夜。草木も寝静まった刻。
突然、校舎すべてが激しく発光する──!!
「見つけた! 一番東の校舎! 三階廊下!!」
「ナイスだぜ大山ァ!」
「遊佐か音無に伝えろ!」
「椎名、先行頼んだ!」
「あさはかなり……」
ガサガサと植え込みから出てくる人々。いや、SSSのメンバー。
それを屋上から双眼鏡で眺めるは仲村ゆり。
「……脳筋作戦にも程がある。やっぱあんたも馬鹿の一人ね……」
「実行犯に馬鹿しかいないからこういう作戦にしたんだ」
「それは……まぁ妥当な判断ね」
校内の至る所にストロボライトを設置し、それを一斉に光らせ、人影をあぶりだす。
シンプルイズベスト。用務員がいないというのも知っていたし、夜動く教員が今日はいない、というのも把握済み。その中で校舎を動く者がいるとすれば、それは影の化け物事件の黒幕か、あるいは新規に入ってきた魂だけだ。
一般生徒は校則を守るからな。
作戦名は知らん。
「それより早く行くわよ。尻尾を掴むどころか引き千切ってやるんだから!」
さて。
鬼が出るか蛇が出るか。はたまた神が出るのか否か。
写真部。
そうネームプレートの貼られた部屋。
その中に、ソレはいた。
「……なに、こいつ」
「わからない。だが気を付けろ」
「影の化け物……か? だがゆり、明らかにこれ……
「あら奇遇ね。あたしもそう思うわ」
人型だった。
人型の、影の化け物。それが……ワイヤーによって捕らえられている。
元凶、ではなく。
進化系……か。
「意思疎通ははかれそう?」
「いや、人語を理解していないみたいだ。というより、人の形に近付けているだけ、って感じがする」
「そ。なら始末しちゃいましょ」
「いいのか? 何かの糸口になるんじゃ」
「触れたら取り込まれてNPCにされちゃうのよ? 危ないじゃない」
「そりゃそうだけどよ……」
一応影の化け物を拘束できると知れたのは良いことかもしれない。
ただ、こいつら半液体みたいなところあるからな。危ないことに変わりはない。
パン、と乾いた音が響く。
それで人型の影は霧散した。
「考えるべきは、なぜこの化け物がここにいたか、だな」
「確かにね。写真部のNPCが変化した……もしくは人間が取り込まれた?」
「取り込まれた人間は影の化け物にならないんじゃないのか?」
「ええ、NPC化する。……でも、普通にNPCが影の化け物になったらアレになるはず……あたしたちをリセットするための化け物を人間大に留めておく理由はなに?」
「なんか探させてたとか?」
「自分で来た方が早いじゃない」
「写真が好きだったとか!」
「大山くん、あなた日を追うごとに馬鹿になっていくわよね」
「コンパクトになった方が動きやすいって学習したとか」
「巨体でも機敏だったでしょあいつら」
つまり、元のやつが小さくなったわけではなく。
「食い合いの結果大きくなった……が妥当か」
「……貴様。しれっと混ざっているが、敵だろう!」
ハルバードが向けられる。無視する。
「立華。お前のプログラムには」
「勿論そんな記述は無いわ。けど、互いを蝕み合う行動にさらなる記述が付け足された可能性はある」
「自我を失ったプログラマーと奏ちゃん以外にその記述を書き換えられるやつがいる。それも……遠隔で」
「だが、どうする。全寮にPCはあるんだろう?」
「ええ。生徒には基本支給されているわ」
「今更だがホント、とんだマンモス校だよな……」
「貴様ァ! 無視をするァ!! お前達も何普通に受け入れている!!」
同時に考えることは……やっぱりマテリアルのことだ。
影とNPCは本質的に同じもの。だから作り替えることができるし、攻撃が効く。拘束もできる。
人間だけがそうではないから取り込まれる。
……だが、NPCになるということは、肉体自体はマテリアル、なのか? 食事で腹が満たされる時点でそうなのだろうが。
魂の有無。それだけが違うというのなら、人間が影に取り込まれた際に何かしらの方法で魂を観測できる可能性もある。
……。
「"壁"……」
「壁?」
「途方もない話だが、一つ思いついたことがある」
この世界が"そう"できているのなら、と。
ガシャン! と檻が降りる。
「はいいっちょあがりっと!」
「だいぶ慣れてきたな」
日向と音無。抜群のコンビネーションで行ったのは、影の化け物の捕獲。
「オペレーション『ディプリーションオブマテリアルズ』。影の化け物がこの世界を構成するマテリアルの一部であることを利用し、それらを捕獲することで、この世界全体を枯渇を狙う。……確かに途方もない作戦だけど、無限に歩き続けるよりは希望が持てるわね」
「日常生活の一部として成り立つしなー」
「戦闘訓練にもなる」
今は無限に等しいこの世界も、これを何十年と続けていけば資源不足に陥るかもしれない。
そうすれば……端の方から枯れていくだろう。それこそが壁だ。
……なんて。
当然こんな作戦成功しやしない。気が長すぎる。
本当の目的は、影の食い合い、そして進化を観測すること。
危ないから、なんて理由で殺すのではなく……その進化の末に魂の獲得が叶う可能性を見出した。
もしそうなれば、この世界は容量上限の壁で圧壊する。そう睨んだから。
どっちみち気長な話ではあるが、こっちの方がまだ近道だろう、と。
──そうして、ひと月が過ぎることになる。
金属音が響き渡る。
衝突する音、弾かれる音。
「っと……」
「チェックだな」
「……ああ、やっぱ勝てねーな」
尻餅をついた音無へ手を伸ばし、立ち上がらせる。
「最初の頃に比べれば充分だろう。今なら野田くらいは殺せるんじゃないか?」
「嫌な基準だなオイ……」
仕方がないだろう。強さに基準なんかないんだから。
「……そうだ、そういやお前は水泳大会参加するのか?」
「水泳大会?」
「ああ、なんか開かれるらしいぜ。消える心配もなくなったから、SSSのみんなで出るとか。ゆりたちは何度か出たことあるらしいんだけどさ、俺は出たことなくて」
ふむ。
「いや、遠慮しておく。せいぜい楽しんでこい」
「そっか」
んじゃ、と……音無と別れる。
水泳大会、ね。
何も無い時間が過ぎていく。
水泳大会に向けてちゃんと練習をしているからだろう、SSSの連中も見かけなくなった。
……満足しても消えることのできない死後の世界。ただし身の危険はあり、死よりも恐ろしきものが待っている。
……そんなもの。
「出ないのですか、水泳大会」
「ああ。そういうお前もか」
「あたしは通信士ですので」
さいで。
「……前から気になっていたのですが、陽江さん」
「ん?」
「あなたは……女性、ですよね?」
おや。
……なんだ?
「どうしてそう思った? この学ランが目に入らないか?」
「なんとなくです」
「嫌いじゃないから、か?」
「……」
冷たい目。
ふん、踏み込んできたんだ、踏み込むさ。
「ゆりっぺさんに報告させてもらいます」
「好きにすると良い」
「それと……もうその少女は存在しません」
「そうか。しかし、大会に出ないのは、水とは縁があるからか?」
「……」
「ああ、こっちが出ないのは女だからじゃないぞ」
「そうですか」
「ああ、そうだ」
会話終了。
ま……バレた以上、普通に女子寮へ戻りますかね。今までは屋上で暮らしていたわけだし。
実は大浴場のこともずっと気になっていた。……鏡の向こうにナービィがいたりするんだろうか。
いなかった。残念だ。
しかし、流石はマンモス校。凄まじい広さの浴場。加えて授業中だから誰もいない。
これなら多少は羽を伸ばせ──。
「あれー? 授業中なのにNPCが……いやどーみてもNPCの身体じゃない!?」
「……芳岡か」
「あれ、なんであたしのこと知って……まさかあたしのファン!?」
「ユイ、何騒いで……って、ん……誰だ?」
「わーいお風呂~」
「みゆきち、待ってってば」
「ふぃー疲れた疲れた……と。ん?」
……羽を伸ばすには至らなそうだ。
ガールズデッドモンスターの皆々様が来たから。
「NPC……なワケねーよな。授業中に風呂入るNPCがいるわけないし」
「じゃあ人間……?」
「新しい人? 来るんだ、今の世界でも」
「つか……筋肉やべーし身体の傷もやべーし……」
傷。……未熟ゆえの、という奴だ。年が上がってからのものは無い。
全て幼少の傷。処置が悪いとこうやって残る。ああでも、最期に負った致命傷は消えているな。当然だが。
「なぁ、あんた。名前は?」
「……渚」
「ナギサか。一人なのか?」
「ああ、基本はな」
「そっか。……あー、騒がしいの苦手か? だったらあたしらもう少し後で入るけど……」
「いや、構わない。気にせずというのは難しいだろうが、いつも通り過ごしてくれ」
久方振りに下の名を名乗った。
陽江渚。いやまったく、似合わん綺麗な名前だことで。
「んじゃ遠慮なく」
「なあナギサ! お前はなにか楽器──」
「やっていない。やる気もない。……ツインボーカルで最終形態だろう、ガールズデッドモンスターは」
あるいは。
三人体制のビューブラでも完成形の一つだったのかもしれないけど。
「『そら早いとこ死なせなさいよ戦線』。興味があったら校長室へGO!」
「また名前変わったのか?」
「そうらしい。ま、あたしらにはあんま関係ねーよ」
陽動部隊とはほとんど関わり合いないからな。
あ、でも。
「水泳大会があるらしいが、お前たちは出んのか」
「NPCの前ならともかく、あいつらに見せるあたしたちの柔肌は無い!」
「は、恥ずかしいよね……」
「ゆりっぺとか椎名みたいに自分のプロポーションに自身があるならともかく、ねえ」
「水の中にいるとギターが弾けないから」
「あたしも、泳ぐより楽器やってた方が楽しいし」
後半のギター馬鹿二人はともかく、ま、そんなものか。
基本あっち男所帯だしな。
立華奏は……そういうの無頓着だろうし。
「ま、また縁があったらよろしくな!」
「ああ、よろしく」
そんなのが。
ガルデモとの、出会い。
なお。
「……いや待て、前に校長室で見たよう……な?」
岩沢とは顔を合わせていたのだけど、別人だと思われていたらしい、というのが後々発覚したりしなかったり。