名もなき神々の王女……のサポートAIになったお☆ 作:おじいちゃんは何も言わない
とりあえず、王女と
それしか決まってないとも言う。
「……」
流石に一人で考えるのは不安だったのか、それともまた別の機械的な思考故か、じっと見つめてこられた王女の意を汲み、
一緒に考えるとは言った手前、どうなんだとは自分でも思うものの……最初に頭を過ぎったのは、ぶっちゃけ今の
正味これまではあんまり気にしてなかったというか、そもそもそこまで行き着く余裕が無かったんだけども、こうして改めて焦点を当ててみると……放置するのははばかられる。
もしこのままにしようものなら、きっとどこかで……それこそ致命的な失敗に繋がる布石になる――そんな、ほぼ確信に近い予感がした。
嫌な確信とはまさにこのことか。
「……?どうしたの」
急に無言になった
いえ、今の
「……できること?」
えぇ。この中は安全だと思われますが、外もそうとは限りませんからね。もしなにかがあった時のために、己の機能について理解を進めておこうと思いまして。
「……外」
言わずもながら、主はあなたです。
勿論のこと、王女が望むならば、例え悠久の時をこの中で過ごす結果となっても構いません。
「……」
無言で俯く王女。
これまでと変わらない無表情ながら、その淡いイエローに輝く瞳には思案の色が宿っている。
何考えてんだろうな。無表情だから全く読み取れん。
……いや、それは王女も同じか。むしろ体が無い分こっちの方があれか?語りかけないとあっちには声も聞こえてない筈だし。
まぁいい。王女が考え込んでる間にスペック把握を進めるとしよう。
まず……この部屋というか、この施設自体の掌握は不可能だった。そもそも電源落ちてるとことかどうすりゃいいんだよって話よ。
ひとまず死んでる部屋や区画は一旦脇に置き、電源が生きてる区画の掌握を優先……完了。まずこの部屋とその他二、三箇所くらいだけか。少な。
まだ動いてる監視カメラの映像見てみた感じ、廃墟になってから相当な時間が経ってそうだという印象を抱いた。
当然人の影は無い……無い、んだけど、人影じゃなくて人型はいたというか。あー、うーん……
まぁ王女という人間そっくりなロボットを作れる技術力があるならさ、そっち系作るのは簡単だろうなとは思ったし?別にロボットがいるのはいいのよ。そこはね?いいのよ。
問題は……装備してる武器が物騒なこと。
なんやねんロケラングレランミサイルポッドのコンボって、殺意高過ぎか???
あそこは行きたくないわー。
もしここ出るとなったら、絶対あの部屋にだけは立ち寄らないように王女に進言しないと。流石にあれと王女を会わせるのはごめん被る。
「……ルー」
ん……どうかされましたか?王女。
「問。ここは……どこ?」
ここ、ですか?ここは……確かに、言われてみればどこなんでしょうかね?
王女の言葉に無い首を傾げる。
そういえば、漠然と外にばかり目を向けてたけど、”ここ"って一体全体どこなんだろうか?
王女とかいう、
その上、相当な時間の経過を感じさせる廃墟の様相……
「……どうしたの?」
申し訳ございません……王女よ。ここについては、
「……分からない?」
そう、ですね。恥ずかしい話ですが……
「……そう」
そこで会話を切り、また思考の海へと意識を沈ませる王女。
体勢も変えず、ただじっと考え込む彼女を見て、
――王女の服どうしよ、と。
カルト連中の趣味か、王女は目覚めた時から生まれたままの姿だ晒していた。見えちゃいけない部分まで丸見えだった。
そして、今の今まで服を着たという事実は存在しない。
つまり、何を意味する?……そう、全裸だ。
王女がどういう判断を下すかによって変わってくるが、もし外に出るのだとしたら服は必要に決まってる。
常識的に服を着ない世界だったらどうする?ありえんありえん。だとしたらなんであのカルト連中は服着てるんだって話になるからな。あーいう連中は嬉々として生まれたままの姿を晒すに決まってる*1。
こうして色々考えてる間も、片手間に王女の服になりそうなものが無いか探ってるんだが……ここで最悪な話を一つしよう。
即ち、今見れる監視カメラの映像を見る限りでは、あの物騒なロボットがいる部屋――武器庫以外には、それっぽい物はどこにもないということだ。
カメラが死んでる部屋も含めて、隅々まで探せば他にも見つかる可能性はあるかもしれない。
最悪、外で服を手に入れる必要があるもしれないな。その場合どうするべきかね。都合よく着れる状態のものにありつけたらどんなに楽なことか……
顔があったら盛大に顰めているであろう、苦々しい感情を噛み締め、ダウン状態の各カメラの復旧作業を試していく。
これで他の部屋の様子も確認できるようになったら大変有難い話だが、現状望み薄としか言いようがない。
王女はまだ何かを思案している。
この様子だと当分顔を上げそうにない。考える時間はまだあるか。
ハァと心のため息を吐く。
気分転換に引きこもる時のことでも考えるか。つっても
名もなき神々の王女の体は、人間の食事をそのままエネルギーに変換できる。サポートAIとしての知識の中に入ってたから、少なくともこれは間違いないんだろう。
問題は、どれくらいでエネルギー切れになるかだな。
予測だと当分は先になってる。けど、予測はあくまでも予測。それも何も無ければの話。鵜呑みするべきじゃないな。
……、……王女。
「……ルー?」
現時点のもので構いません。王女の結論について、お聞かせ願いたく思います。
「……」
その代わり……のつもりはありませんが、いくつか気になる事項が。
「!、教えて」
承知しました。
まずはこちらをご覧ください。
先程の物騒ロボットの映像を送る。
「これは?」
これはロボット。所謂機械ですね。
王女や
「静止画……」
……王女よ、この映像ではこのオートマタは歩き回っているでしょう?
「……。うん」
もしこれが静止画であった場合、このオートマタは動くことなく、止まったままです。
静止画は動きのない画像のことを指すからです。動くのならば、それは画像ではなく映像なのです。
ちなみに、画像は描き出した姿、形のことを意味します。
「……?よく、分からない」
素直に分からないって言えるのはいいよな。
無駄にプライドだけが育って、んで、うん。人間ってそういうもんだ。きっと、そう。
とりあえず、そういうものとして受け止めてください。今の王女は何も知らない。少しずつでも、経験を積んでいけば理解できるものも、見えるものも増える筈ですから。
「……わかった」
それでは話を戻しますが、王女よ。
「……」
王女は今、裸の状態です。
「……裸」
裸の状態で外へ出ることは推奨しません。
「……?」
一般常識のデータを転送します。まずはこちらをご覧ください。
「……」
こくりと首を傾けた王女へ、一般常識と名付けたフォルダを転送。直後、王女がフォルダ内のファイルを次々漁り出した。
時折首を傾げたり、頷くように首を傾ける姿は、それこそ何かを考え込む女の子そのもの。
けれど、同時に、どこか違和感を感じさせた。
言葉して表すなら、形だけ真似た、って感じか?
なんにせよ、このままはよろしくない。アンドロイドって即バレ不可避だろう。
ただ単に精巧かつ高性能なアンドロイド扱いされるなら何の問題も無い。でもなぁ……
頭に浮かんだのは、王女から問われた名もなき神々の王女という存在に関する問い。
あの時、
それは……『世界を滅ぼす』こと。
一体全体どういう目的でこんな使命を王女に……”名もなき神々の王女達"に課したのかは分からないし、あんなカルト連中のことなんざ分かりたくもない。
分かりたくもない、が。
原作を知らないが故に色々悩む羽目になっていると同時に、原作を知らないが故に、世界滅亡シナリオがゴロゴロ転がってることに白目向かずに済んでるルーさん。