ネプチューンマン・リビルド “究極の超人タッグ編Ⅱ” 作:速筆魔王LX
“究極の超人タッグ・トーナメント”、あるいは“究極の超人タッグ戦”。
それは、キン肉マン&テリーマンの“ザ・マシンガンズ”が優勝した“夢の超人タッグ戦”の終了直後、時間超人や
前大会で優勝したキン肉マンやテリーマンはもちろん、惜しくも敗退したバッファローマンやモンゴルマン、ロビンマスクたちにも再度チャンスが与えられ、さらに様々な理由でエントリーが間に合わなかった未知の強豪超人タッグも参加を表明した。
加えて、今大会の発起人ともいえる時間超人を筆頭とした、未来からやってきた超人たち。その中にはキン肉マンやテリーマンの息子、バッファローマンやロビンマスクを先生と仰ぐ者たちもおり、夢の顔ぶれを越えたまさに究極ともいえる顔ぶれが一堂に介する。
その“究極の超人タッグ戦”を一度経験した男、ネプチューンマン。
なんの因果か時を遡ることとなり、“究極の超人タッグ戦”のやり直しの機会を得るのだった。
「何者だぁ~~っ!?」
「なんの用だ!?」
突如として現れた闖入者に突きつけられる懐疑の声。
それに怯まず、ネプチューンマンは堂々宣言する。
「究極の超人タッグ・トーナメントに参加するために来た!」
――場所は千駄ヶ谷、東京体育館。
そこは究極の超人タッグ・トーナメントを目前控えた新世代超人たちが、宇宙超人委員会から借り受け、練習用施設としていた拠点である。
「この超人どこかで見たことが……そ、そうだぁ~~っ! ヘラクレス・ファクトリーで習っただ! “宇宙超人タッグ・トーナメント”でビッグ・ザ・武道とヘル・ミッショネルズを組み、キン肉マン&テリーマンのザ・マシンガンズと決勝を争った……
2週間後の未来からタイムワープを果たしたネプチューンマンはそこに押し入り、様々な反応を見せる新世代超人たちにこう乞うた。
「オレひとりでは“究極の超人タッグ・トーナメント”には出場できん。だからタッグパートナーを求めたい」
来たるべき究極の超人タッグ開催に向け、タッグパートナーを得る。
その大事な選定を、新世代超人の中から行いたいという申し出である。
(さて……タイムワープを果たしたという事実から半ば勢いでここまで来てしまったが、どうしたものか)
新世代超人の錚々たる顔ぶれを前に、ネプチューンマンの心には少し揺らぐものがあった。
この場にいるのは……あのキン肉マンの息子、キン肉万太郎。
万太郎をアニキと慕うセイウチの化身超人、セイウチン。
元悪行超人で悪魔超人サンシャインに師事していたチェック・メイト。
超人オリンピックセミファイナリストの称号を持つイリューヒン。
自分以上に高齢ながら現役を続ける老超人バリアフリーマン。
その他、ミートや万太郎のガールフレンドもいるがさすがに彼らは候補に入らない。
先の未来では、ネプチューンマンはこの場においてセイウチンを指名した。
タッグを組むに当たって、セイウチンが一番の適任だと判断したからである。
だが此度のやり直しの機会……その大事なタッグパートナーの選定からやり直すこともできる。
「じゃあさ、ボクが組んであげてもいいよ~~っ! いやさぁ~~っ、出場するなら優勝狙えるチームがいいと思ってさ。テリー・ザ・キッドの申し出も断ったんだよ。そしたら、あいつしょうがなくロビンマスクと組んだらしくてさ」
キン肉マンの息子、キン肉万太郎などは露骨に己をアピールしてくるが、彼ならばどうだろうか。
(万太郎の実力、将来性は疑うまでもない。しかしこの時点での万太郎は、己が楽をしようという考えが先に来ている。実力と経験のあるオレがこいつと組んでは、万太郎のためにならないだろう……それに)
タッグの変更。それは後の究極の超人タッグにおいて、結果を大きく左右することになるだろう。
ネプチューンマンにとっては散々老醜を晒すこととなってしまったあのトーナメントだが、すべてが消したい過去、いや未来というわけではなかった。
(ここで万太郎にパートナーができてしまっては、グレートが……カオス・アヴェニールが世に出てこなくなってしまうかもしれない。それは超人界にとって大きな損失となるだろう。キン肉万太郎もカオスという弟分を得たことで、トーナメント中に大きく成長したフシがあるしな)
諸々を考慮し、ネプチューンマンは万太郎をタッグの候補から外す。
残るはバリアフリーマン、イリューヒン、チェック・メイトだが――
「オレとタッグを組むべき相棒だが……実はもう思案があるのだ。
当時のセリフを思い出し、再現しながら、ネプチューンマンはあらためて新タッグパートナーを指名しようとする。
バリアフリーマンとイリューヒンはすでにタッグを結成している。
この二人の友情は究極の超人タッグ・トーナメント開幕で行われた間引きバトルロイヤルで見せてもらった。今さらネプチューンマンが声をかけたところで双方なびきはしないだろう。
チェック・メイトは先の未来において、真っ先に顔の皮を剥いだ超人だ。
実力的には申し分ないが、タッグパートナーとしては不足……というより、彼については“考え”がある。この場で指名するわけにはいかない。
となればやはり、選択肢は最初からひとつしかなかった。
「一緒に“イチバン”を目指そうじゃないか、セイウチン!」
ネプチューンマンの指が、洗濯をしていたセイウチンにとまる。
指名されたセイウチンはなにかの間違いだと思って聞き入れず、また万太郎を始めとした他の超人たちも冗談だろうと胡乱に思う空気を発していた。
(このリアクション……オレが経験した過去、いや未来とまったく同じだ――っ。どうやらある程度の同じ行動を取れば、未来もそのとおりになるようだな。だとしたらここは下手に手を変えるべきではない)
ネプチューンマンは再び、当時の己のセリフを思い出す。
セイウチンをヘボと罵り逆に自分を売り込もうとする万太郎の心根を看破、まったく相手にせず、黙々と洗濯をする未来のパートナーに言葉を投げ続けた。
「セイウチンよ――っ! オレは断言するぜ! お前はここにいるどの超人よりもツワモノ超人であることを――っ! ただ今はその本来の“凄腕”という名の刀を抜くことなく身体の奥底の鞘にしまい込んでいるだけ! オレと組めば永年しまい込んでいたよく切れる刀を鞘から出す術を教えてやるぜ~~~~っ!」
セイウチンからの返答はない。ネプチューンマンの顔を見ることもなく洗濯に没頭している。
しかしその背中がわずかに震えているのを、ネプチューンマンは見逃さない。
「セイウチンよ。お前と組めないのなら、オレは“究極の超人タッグ戦”出場はやめる。ここで交われないのなら、お互いこの先同じ地球上で息をしていても……金輪際ネプチューンマンとセイウチンの“イチバンタッグ”結成はないだろうぜ……」
去り際のセリフも記憶通りに。
ネプチューンマンは体育館を出て、暗くなり始めた空を見やる。
もし未来が同じ道を辿ろうとしているのなら、ここでセイウチンがあとを追いかけてくるはずだ。
さあ……どうだ?
「お――い、ネプチューンマン!」
(来た~~っ)
案の定、セイウチンは万太郎たち仲間のもとを離れ、ネプチューンマンを追ってきた。
「オラの……オラの体の奥底に眠る“凄腕”という名の刀を鞘から出してくれ――っ!」
「出すだけじゃねぇ。ピッカピッカに研いてやるぜ~~~~っ!」
ネプチューンマンはセイウチンをタッグパートナーとして迎え入れ、これで究極の超人タッグ・トーナメント出場の条件は整った。
問題はここからである。
(タッグパートナーの選択肢なら他にもあった。なにも新世代超人にこだわらず、手隙の伝説超人やこの時代ではまだ活躍していない未来の超人……キン肉星王位争奪サバイバルマッチで登場する予定のアイツやソイツをスカウトしにいくとかな。だがオレがセイウチンにこだわるのは、やはり負い目……)
先の究極の超人タッグ・トーナメントにおいて、ネプチューンマンがタッグチーム“ヘル・イクスパンションズ”を結成した際のパートナーがセイウチンだった。
彼が持つ潜在能力と獣性に惹かれ、完璧超人再興の礎にしようとし、結果的には使い捨てた。
トーナメントが進むにつれ、セイウチンの獣性に陰りが見えたのと、彼以上の逸材を見つけてしまったのが原因だ。
だがしかし、過去に舞い戻ったことで今一度考えてしまうのである。
もしも獣性などというものに頼らず、セイウチンを真っ当に鍛え上げることができていれば?
勧誘の際の言葉のとおり、彼の“凄腕”という名の刀を引き出し刀匠のごとく磨き上げてみせたとしたならば?
(後進の育成。21世紀に帰ったらというのがカオスの願いだったが、オレにはこの時代、この地で果たすべき責任と義務がある――っ。ほかでもない、俺の身勝手で使い捨ててしまったパートナー……セイウチンへの贖罪のためにも、こいつを本物の実力派超人に鍛え上げてみせねば――っ)
時間超人へのリベンジ、ケビンマスクの救命、のみならず。
正義超人界の明日を作るためにも、ネプチューンマンはセイウチンとのタッグ再結成が最良の選択だと考えた。
「そうとなれば、さっそくタッグチーム名を決めなければな~~っ」
「へ? さっきは“イチバンタッグ”だって……」
「それは安直すぎる。やはりここは若者のセンスに合わせんとな……」
ネプチューンマンはセイウチンを引き連れながら、新たなるチーム名を思案する。
「ヘル・イクスパンションズ……いや、ここは“ネオ・イクスパンションズ”だ! 元のタッグより、もっと大きく強大に膨張した……という意味を込めてなぁ――っ!」
かくして、ネプチューンマンはセイウチンとのタッグを再結成し“究極の超人タッグ戦”のリスタートを切るのであった。