ネプチューンマン・リビルド “究極の超人タッグ編Ⅱ” 作:速筆魔王LX
九段のホテル“グランデ・パレス”で行われている“究極の超人タッグ戦”二回戦の組み合わせ抽選会。
その内容は当時問題視されていたプロ野球ドラフト制度へのアンチテーゼとして、クジ引き抽選の類は一切行わないと発表された。
超人たちの命運を決めるのは、クジではなく自分自身――ハラボテはそう告げ、壇上に用意されたカプセル型のトーナメントボックスを示した。
『さあ、二回戦に名を連ねたツワモノどもよ――っ! 各チームふたりで相談の上、この巨大トーナメントラインの下にある8つのボックスのうちここぞという所に自由意志で入るがいい!』
小型のエレベーターくらいのボックスが8つ並び、その背後にはトーナメント表のラインが伸びる。
隣り合うボックスはすなわち対戦相手を意味し、各チームはごくりと唾を呑んだ。
『各タッグチームはこの会場に入る前に任意の風船を取ってもらった! 風船の中には1~8のナンバーの書かれたカードが入っている! そのナンバーの若い順にボックスを選ぶのじゃ!』
各チームはあらかじめ持たされていた風船を割っていく。
出てきたのは数字が書かれたプラカードだ。
『さて、それでは1番の札を引いたチームは?』
数字は完全ランダムで、選択順はハラボテも知らない。
その場にいる誰もが壇上から1番の札を持つ超人を探した。
やがて、その超人が発見される。
「ワヒャアア~~ッ! いきなりトップバッターだ~~っ!」
悲鳴を出しつつへっぴり腰で1番の札を掲げるのは――キン肉マングレートⅢ。
第1番目枠順指定チーム“マッスルブラザーズ・ヌーボー”。
この結果に、陰ながら大きな反応を見せたのがネプチューンマンだった。
(か……変わった! オレの知る歴史では、この枠順一番目はキン肉マン&テリーマンのザ・マシンガンズだったが……カーペット・ボミングスが退場し、ザ・ナイトメアズが参戦した影響か、よもやマッスルブラザーズ・ヌーボーが一番にボックスを選ぶことになるとは)
ネプチューンマンが裏でいろいろ手を回し画策していた歴史の改変。
それがいよいよ実を結び始めたようだった。
『さあ~~っ、キン肉万太郎&キン肉マングレートⅢ、いったいどのボックスを選ぶのか――っ』
ライバルチームや報道陣の注目が万太郎とグレートⅢのふたりに集まるが、当人たちはその場にうずくまり震えていた。
この場にいるのはいずれも強豪タッグチーム。どのボックスを選んだとしても死闘は避けられない。
ゆえに、ビビりまくっていたのだ。
「ふん、にゅーじぇねれーしょんとかいうインチキ野郎どもめ」
万太郎たちのそんな無様な姿を見て、キン肉マンは挑発的に鼻を鳴らす。
「このわたしのモノマネ超人なんぞに1番という数字はふさわしくないわ! ビビってるようなら交換してやったっていいんだぜ――っ」
「な、なにを~~っ!」
キン肉マンに煽られ、ぐぬぬと悔しがる万太郎。
臆病風に吹かれていた顔つきを一変させ、勇ましく立ち上がる。
「父上にああまで言われてしまってはキン肉マンⅡ世の名が泣く……! グレートよ、ここは!」
「おお! わかってるぜ万太郎!」
そう言ったあと、万太郎とグレートⅢはなぜか大きな木の板と大工道具を持ってトーナメントボックスのほうへ向かう。
立ち止まったのは、壇上の左端。“一”のボックス――の、さらに左の位置。
そこで持参した道具を用い、トンテンカンとDIY。“ぜろ”と書かれた即席のボックスを組み立てた。
『あ――っと万太郎&グレートⅢ、ボックス内に入ったことは入ったが~~っ! それはトーナメント・ステージよりはずれた位置に自分たちが勝手に造り上げたハリボテボックスだ――っ』
このアホな行動にハラボテは激怒し、スタッフを引き連れ万太郎たちを力尽くで“ぜろ”のボックスから引きずり出そうとする。
「早ようせんか~~っ!」
「イヤだ――っ、そっちのボックス入ったら殺されちゃうもん~~~~っ!」
必死の抵抗虚しく、万太郎とグレートⅢはボックスから引きずり出され、その勢いのまま隣の“一”のボックスに転がり込んだ。
その寸劇を見て、ネプチューンマンは思う。
(万太郎とグレートⅢは相変わらずか……やつらが覚醒するきっかけは、やはり……)
ネプチューンマンの視線が2番の札を持つ超人にいく。
万太郎たちのようにぎゃーぎゃー騒ぐことはせず、熟練の風格を漂わせるその男たちを。
『マッスルブラザーズ・ヌーボーに続く二番手は、バッファローマン&モンゴルマンの“2000万パワーズ”だ――っ』
元残虐、元悪魔のコンビは殺意にも似た凶悪な闘志を滾らせている。
一直線に進むその足取りに迷いはない。
『あ――っと2000万パワーズ、他のボックスには一瞥もくれず、万太郎&グレートⅢの隣にそびえる“二”のボックスに入っていく――っ! 早くも対戦カード決定! Aブロック第1試合はマッスルブラザーズ・ヌーボーvs2000万パワーズ!』
自分たちの対戦ボックスに強豪2000万パワーズが突っ込んできたことで、万太郎とグレートⅢは顔面蒼白。
もはや闘う前から結果がわかりきっているような有り様だった。
(試合順は繰り上がったが、この組み合わせは歴史通りか。バッファローマンとモンゴルマンは前々から万太郎とグレートⅢに注目していたようだし、不思議はねえ。が、もちろん懸念点はある……はたしてザ・マシンガンズvsカーペット・ボミングスの対戦を見ていないヌーボーが2000万パワーズに勝てるか?)
一抹の不安を抱えるネプチューンマン。
この対戦カードは“前回”でも実現した組み合わせであり、そこではマッスルブラザーズ・ヌーボーが勝利を収めた。
それだけではなく、グレートⅢはその正体であるカオスの素顔を晒し、万太郎ともどもタッグとして大きな成長を遂げたのである。
恩人であるカオスに期待する身としては、ぜひともマッスルブラザーズ・ヌーボーに勝ち進んでもらいたいが……あの勝利は、直前にマシンガンズの試合を観て影響を受けた部分も大きいだろう。
3番の札を持っているのはそのザ・マシンガンズ――キン肉マン&テリーマンである。
すでに対戦カードがひとつ決定した今、どこを選ぼうと大差なしとマシンガンズは迷いなく歩みを進めていく。
『三番手のザ・マシンガンズはマッスルブラザーズ・ヌーボーvs2000万パワーズのすぐ隣にある“三”のボックスを選んだ――っ』
隣に2000万パワーズ、そのさらに隣にマシンガンズを置き、マッスルブラザーズ・ヌーボーは肩を縮こませる。
「へへへ~~っ! これでインチキにゅーじぇねれーしょん包囲網完成じゃ――っ!」
「父上のアホ~~ッ! 包囲しなきゃいけないのはあっちの時間超人でしょうが~~っ」
(あのアホ親子は~~っ)
醜く言い合うキン肉マンと万太郎に、ネプチューンマンは内心呆れ果てた。
今は正義超人同士でいがみ合っている場合ではないというのに、これではカーペット・ボミングスを蹴落とした意味がないではないか。
今この場で敵意を向けるべきなのは時間超人――その時間超人コンビ“
『さあ、4番のカードを手にするのはライトニング&サンダーの“世界五大厄”! 他のタッグチームすべてから敵対視される今大会最注目のチームはどこを選ぶのか~~っ!?』
ライトニングとサンダーのふたりは悠然と壇上を練り歩く。
「ヌワヌワ、どうする兄弟? 今なら
「ジョワジョワジョワ、まあそう慌てるな。前チャンピオンがここで潰えては大会が盛り下がるというもの」
今大会における台風の目がどのボックスに入るのか、多くの超人たちが動向を見守っている。
その視線を楽しむように、“世界五大厄”はじっくり時間をかけてボックスを選ぼうとしていた。
「このあとに控える4チームは全員オレたちを標的としている。ならばここはどっしり構え、誰が勇敢で誰が臆病者かを見極めるとしようじゃないか」
「いい考えだ。いの一番に突っ込んでくるのはいったいどのチームか、見ものだなあ~~っ」
恐れからではなく、あくまでも余裕から。
ライトニングとサンダーはザ・マシンガンズとの対戦を避け、二回戦最終試合のボックスを選んだ。
『あ――っとライトニング&サンダーは“八”のボックスを選択! 隣の“七”のボックスにどのチームが入るにせよ、二回戦ラストの大一番となることは必至でしょう!』
世界五大厄の対戦ボックスは現在空席。
打倒・時間超人を標榜する者たちにとって、最大のチャンスが訪れたと言える。
そして、注目となる五番手の選択チームは――
「……まいったぜ。ここでオレたちか」
自身の手が握る5番の札を見て、ネプチューンマンは冷や汗を流した。
『5番のカードを持つのはネプチューンマン&セイウチンの“ネオ・イクスパンションズ”! 現状の選択肢はフリーになっている“五”“六”のボックスか……マシンガンズとの対戦となる“四”、もしくは世界五大厄との対戦になる“七”! 両者はどこを選択するのか――っ』
壇上を進むネプチューンマンの足取りは重い。どのボックスに向かうべきか、答えを決めかねていた。
「ひええ~~っ、ライトニングとサンダーのふたりもおっかねえだが、マシンガンズとやり合うってのも勘弁してほしいだよ」
万太郎やグレートⅢほどではないが、セイウチンは名だたる強豪と相まみえることに臆しているようですらあった。
「マシンガンズはともかく、ライトニングとサンダーはオレたちの最終標的。そいつらとやれるっていうんだぜ。自信がないのかセイウチン」
「そ、それは……」
言葉を濁すセイウチン。
語らずとも、パートナーの心情は読み取れた。
(わかっている……ネオ・イクスパンションズの実力はスーパー・トリニティーズとの闘いでさらに研鑽された。しかし……しかしだ。オプティカルファイバー・パワーを解禁しようとも、今のオレとセイウチンではおそらく……)
ここで“世界五大厄”と闘っても勝てる可能性は低い。
かといって、セイウチンにとって偉大なる大先輩であるザ・マシンガンズとぶつかるというのも荷が勝ちすぎている。
であるならば――
「腹は決まった。オレたちはここを選ばせてもらうぜ――っ」
『ネオ・イクスパンションズが選んだのは“六”のボックスだ――っ!』
怨敵もチャンピオンも今闘うべき相手ではないとし、ネプチューンマンは答えを保留とした。
自分たちとの対戦を避けたネプチューンマンを見て、時間超人のふたりは声高に笑う。
「ジョワジョワジョワ、これは滑稽だな。あれだけ我らを敵対視していたネプチューンマン殿が、まさかこんな絶好の機会を見逃すとは」
「ヌワヌワヌワ、言ってやるなライトニング。ジイさんも老い先短い……若者にいいとこ見せたい気持ちはあっても、本心ではやはり長生きしたいんだろう」
事実は事実。安い挑発など言わせておけばいい。
しかしパートナーを侮辱されさすがに苛立ったのか、セイウチンは温厚な常からは想像できない怒りの形相で拳を固めた。
「こ、こいつら~~っ。言わせておけば――っ」
「挑発に乗るなセイウチン」
舌戦に優れるネプチューンマンはセイウチンを冷静に諌め、時間超人に対してはニヤついた笑みを見せる。
「フフ……オレは知っているぞ、ライトニングにサンダー。おまえたちはまだまだお披露目していない隠し能力がわんさかあるだろう。ライトニングにいたっては素顔すら隠しているようだしな――っ」
「ほう? いったいなんのことかな」
「とぼけやがって。だがいいさ。オレたちがおまえらを狩るのはその真の姿を曝け出したあとだ。せいぜいマウスピース磨きに精を出しているがいい」
ネプチューンマンが発したいくつかの単語に、ライトニングとサンダーはわずかに身を強張らせた。
「ジョワジョワ」
「ヌワヌワ」
反応はただ、笑う。
その不気味な笑いの裏でなにを考えているのかは、誰にもわからない。
『盛り上がってまいりました。次からは対戦カードが続々と決定いたします! さあ、注目の六番手は……』
これでフリーのボックスは消えた。
ここからはどのボックスを選ぼうともいずれかの対戦カードが決定する。
大注目の六番手。
静かに札を持つ手を挙げたのは――
「コーホー」
機械的な呼吸音を発する超人――ウォーズマン。
彼はクマのヌイグルミ超人マイケルを伴い、壇上を進む。
『6のカードを持つのはウォーズマン&マイケルの“ヘルズ・ベアーズ”! 驚愕の正体を明かして以降、メディアの取材もすべて断っているふたりですが、はたして……って、ええ!?』
ウォーズマンとマイケルは、一切の躊躇もなく狙いのボックスに入った。
その――“五”のボックスに。
『あ――っとウォーズマン&マイケル、まるで最初から決めていたと言わんばかりに“五”のボックスに直行! その隣で待つのは、ネプチューンマン&セイウチンの“ネオ・イクスパンションズ”だ――っ! ここにヘルズ・ベアーズvsネオ・イクスパンションズのカードが成立――っ!』
「オ……オラたちウォーズマンとやるだか~~っ!?」
「ウォーズマン……テメーなぜ!?」
自身の対戦相手があの伝説超人ウォーズマンとなり驚愕するセイウチン。
一方、ネプチューンマンはセイウチンとは別種の驚きを得ていた。
前回の“究極の超人タッグ戦”でも、ネプチューンマンとセイウチンの“ヘル・イクスパンションズ”は二回戦でヘルズ・ベアーズと対戦した。やはり今回と同様に、ヘルズ・ベアーズのチームリーダーであるウォーズマンがヘル・イクスパンションズとの対戦になるボックスを自ら選んだ形でだ。
しかしあのときは、ネプチューンマンとセイウチンが
それに対し、今回はふたりとも品行方正。セイウチンは魔道に落ちることなく、ネプチューンマンも清廉潔白な正義超人として務めているのに。
「言ったはずだぞ、ネプチューンマン。オレたちは好きにやらせてもらうと」
「テメーの最優先事項は愛弟子の命を救うことだろう。なのになぜライトニングとサンダーのところにいかない~~っ」
「その言葉、そっくりそのまま返そう。おまえも強敵を前に臆するような男ではあるまい。やつらの打倒を他に任せてまで優先したい、別の企みがあるんじゃないのか?」
ウォーズマンから向けられているのは、無機質な敵意だった。
ネプチューンマンは心中で毒づく。
(そんなもん、ねーよ! こいつまさか、オレに“宇宙超人タッグ・トーナメント”のときのリベンジをしたいだけじゃないだろうな? ここまでウォーズマンがオレに突っかかってくるとは想定外だ……試合までにどうにかして誤解を解かなければ)
ウォーズマンの本心は知れない。
しかし心象がよろしくないのは明らか。
この悪印象はいずれ大きな弊害となりうるやもしれなかった。
両チームに不穏な空気が流れる中、ウォーズマンの顔をじろじろと眺めては面白くなさそうに顰めっ面を浴びせる男がいた。
またもやキン肉マンである。
「フン! わたしたちの知ってるウォーズマンはネプチューンマン&ビッグ・ザ・武道との闘いによって名誉の死を遂げたんだ――っ! そのウォーズマンが生き返るなんてあるはずがなかろう!」
死んだはずの友、ウォーズマンが帰ってきて喜びでむせび泣く――なんて頭は、この男にはない。
「そこにいるニュージェネレーションどもと一緒でおまえも21世紀からやってきたと言いたいんだろう? そうやって未来からきた正義超人ぶってはいるが、すべては茶番! 揃いも揃って怨敵・時間超人に挑まないのがなによりの証拠じゃい! おまえたち全員グルで、真の狙いはわたしたち正義超人の殲滅にあるんだろう!」
すべてはペテン。
未来からの使者という話を一切信用せず、かつて激闘を繰り広げたライバルたちを偽物呼ばわりだ。
これにはさすがのウォーズマンとネプチューンマンも苛立つ様子を見せた。
「コーッ、ホーッ」
「グゥ~~ッ、こいつはこいつで~~っ」
『ヒートアップしてまいりました“究極の超人タッグ戦”組み合わせ抽選会! ふたつのカードが決定し、残るはあと2カードだ――っ!』
残るボックスはふたつ。
ザ・マシンガンズとの対戦になる“四”、そして世界五大厄との対戦となる“七”。
残るチームも二組。
テリー・ザ・キッド&ロビンマスクの“ジ・アドレナリンズ”、そしてアシュラマン&チェック・メイトの“ザ・ナイトメアズ”。
実質的には最後の自由選択。
そのチョイスをする超人は誰になるのか。
『それでは、7のカードを持つのはどのチームだ?』
ハラボテが視線を投げつつ問う。
手を挙げたのは――六本ある腕の内のひとつだった。
「カーカッカ。私たちだ~~っ」
次なる選択権はアシュラマン&チェック・メイトに渡った。
『選択七番手はアシュラマン&チェック・メイトの“ザ・ナイトメアズ”! スペシャルリザーブマッチでビッグ・ボンバーズをくだし、カーペット・ボミングスの欠場でさっそくお鉢が回ってきた要注目コンビですが、このふたりはいったい何番のボックスを選ぶのか。マシンガンズが待つ“四”のボックスか、それとも世界五大厄の待つ“七”のボックスか――っ!?』
リザーバーから晴れて本戦出場選手となったふたりの動向に誰もが注目する。
ザ・ナイトメアズは先頭をアシュラマンが歩き、壇上をぐんぐん進んで“四”のボックス前まで来た。
『あ――っとアシュラマン、ザ・マシンガンズのほうを見ているぞ』
視線をくれてやる先は、キン肉マンとテリーマンのいる“三”のボックスだ。
パートナーが放つ剣呑な空気に、傍らのチェック・メイトは不安を覚えた。
「アシュラマン、まさかあなた……」
今は正義超人同士で争っている場合ではない――が、ここにいるアシュラマンは現役バリバリの悪魔超人だ。
しかも、先に行われた“宇宙超人タッグ・トーナメント”では正義超人たちの友情を奪うという悪行を重ねたばかりである。
「カッカッカ……私はキン肉マン、テリーマンのふたりとは因縁が深くてなあ。シングルでそれぞれ1回、タッグで1回闘っている。テリーマンにいたってはやつがジェロニモと“ニュー・マシンガンズ”を組んでいた頃もやっているから、計3回も闘ったことになるか……ここで“四”のボックスに飛び込めば、4回目の対戦が叶う」
21世紀まで視野を広げても、これだけの対戦回数と因縁を持つ超人同士は稀であろう。
だからこその敵意が、アシュラマンの鋭い眼光から放たれていた。
「キン肉マンにリベンジを果たしたいのはもちろん、テリーマンとは1勝1敗1引き分けと戦績は平行線……ここいらで完全決着をつけるのもおもしろいかもな~~っ」
21世紀の再生・アシュラマンの恐ろしさを知るチェック・メイトとしては、震え上がりたくなるほどの闘争心。
それを向けられながらも、歴戦の勇士であるキン肉マンとテリーマンはドンと構えていた。
「望むところだ。なにを考えてニュージェネレーションなんかとつるんでいるかは知らないが、わたしとテリーのマシンガンズは何者の挑戦も拒まない」
「キン肉マンの言うとおりだ、アシュラマン。ミーもおまえのことはライバルだと思っていた……完全決着が望みというのなら、全力で応えさせてもらうぜ」
挑戦は受けて立つ。リベンジだろうとなんだろうと。
まさしく王者の風格。
アシュラマンは愉快そうに笑った。
「クカカカ……魅力的な提案だが」
そして、“四”のボックスに足を踏み入れようとして――踵を返した。
「やはりやめだ――っ」
ザ・マシンガンズに背を向け、壇上の右側に歩を進めていく。
これまた因縁深いであろうネプチューンマンやウォーズマンの前を横切り、空いている“七”のボックス前で足を止めた。
「今はキン肉マン&テリーマンに対する執念よりも、時間超人どもに対する怨念が勝る――っ。このアシュラマンの輝かしい未来を作り上げるためにも、20世紀の異物にはご退場願わなければな――っ」
睨みつける先は、全身タイツのような怪しい男と、大仰な獅子の仮面をつけた男。
チェック・メイトはパートナーの意図を察し、口元を綻ばせた。
「アシュラマン……では!」
相棒の期待に応えるように、アシュラマンは“七”のボックスに突入した。
チェック・メイトもそれに続き、新たな対戦カードが確定する。
『あ――っとアシュラマン&チェック・メイト、世界五大厄の待つ“七”のボックスを選んだ――っ! 第4試合はザ・ナイトメアズvs世界五大厄のカードが決定した――っ!』
ライトニングとサンダーはむき出しの敵意を向けてくるアシュラマンを余裕たっぷりに歓迎する。
「ヌワヌワ、悪魔超人など眼中になかったってのに、いつの間にかずいぶんと嫌われちまったようだぜ兄弟」
「ジョワジョワ、おそらくは眼中になかったのが逆に気に入らなかったのだろう。仕方がないから相手をしてやるとしようか」
「ほざけ」
同じ悪行超人同士、今すぐにでも闘争を始めそうな雰囲気のアシュラマンと“世界五大厄”。
そうこうしている間に、抽選会は大詰めを迎える。
残るチームは、あと一組。
「ちょ……ちょっと待って。ザ・ナイトメアズが世界五大厄との闘いを選んだってことは、残ったのは……」
そう言ったのは報道陣の中のひとり、テリーマンと親交の深い女性、翔野ナツ子記者だ。
彼女はある重大な事実に気づいたようで、他の報道陣も同様の答えにたどり着いたのか、ざわつく声が大きくなっていく。
『これで7チームのボックスが決まった! 最後の8番目のカードを持っているのは……』
ハラボテの司会進行に合わせように、その8の札を持つ手が挙がった。
「オ……オレたちだ」
挙手したのはテリー・ザ・キッド。
そして、隣に立つのは彼のパートナーであるロビンマスク。
『もちろんこの一組! ロビンマスク&テリー・ザ・キッドの“ジ・アドレナリンズ”だ――っ! そして、彼らの進むべき先には……』
残っているボックスはひとつ。
選択肢などないのだから、もはや進むしかない。
ジ・アドレナリンズのふたりは黙って歩を進めていく。
『“四”のボックス! その隣の“三”のボックスにはザ・マシンガンズの姿が! あ、あ――っと、ということは、まさか! まさかまさか! キン肉マン&テリーマンvsロビンマスク&テリー・ザ・キッドという正義超人同士の対戦カードが決定してしまった――――っ!!』