ネプチューンマン・リビルド “究極の超人タッグ編Ⅱ”   作:速筆魔王LX

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第025話 ありえなかった“因縁のマッチメイク”!

“究極の超人タッグ戦”二回戦の組み合わせを決める抽選会も、いよいよラスト。

 最後の選択権を持っていたジ・アドレナリンズは消去法で“四”のボックスに入った。

 彼らの対戦相手である“三”のボックスには、すでにザ・マシンガンズの姿がある。

 

 それすなわち――キン肉マン&テリーマンvsテリー・ザ・キッド&ロビンマスクの対決実現を意味していた。

 

(な、なにィ――――ッ!?)

 

 これに内心驚きを見せたのは、ネプチューンマンである。

 

(可能性としては、もちろん大いにありえた! なんせザ・マシンガンズが本来闘う予定だったカーペット・ボミングスはもういないのだから! しかしだからといって、その代わりとなる対戦チームが……よりにもよって、ロビンマスクとテリー・ザ・キッドとは!)

 

 自分が経験した“前回”と対戦カードの内容が変わるのは折り込み済みだったが、この二組の対決は予想外。

 なんせマシンガンズとアドレナリンズには……因縁が多すぎる。

 その筆頭が、ロビンマスクだ。

 

 因縁の始まりは第20回超人オリンピック。

 第19回大会優勝者、ディフェンディング・チャンピオンとして参戦したロビンマスクは準決勝でテリーマン、決勝戦でキン肉マンと対戦。

 テリーマンには勝利するが、その際は相手がアクシデントにより負傷していたため若干不完全燃焼気味の決着となった。

 続くキン肉マン戦は敗北。こちらはロビン自身の判断ミスを原因とした屈辱的逆転負けであり、しかも試合後には事前の取り決めに従い国外追放処分を受けることとなってしまった。

 

 その後世界を放浪することになったロビンマスクはアフリカで動物管理の仕事に就くが、チャンピオンとしての栄光を捨てきれず妻・アリサを捨て単身アメリカへ。

 紆余曲折を経てキン肉マンと再会、リベンジマッチに挑むが、第三者の横槍もあり勝利することはできなかった。

 

 そして第21回超人オリンピック・ザ・ビッグファイトではウォーズマンの調教師Mr.バラクーダとして登場。

 打倒キン肉マンの夢をウォーズマンに託し、復讐鬼のように恨みをぶつけてきたが、その結果も敗北に終わっている。

 

 先に行われた“宇宙超人タッグ・トーナメント”では一回戦でネプチューンマン&ビッグ・ザ・武道の“ヘル・ミッショネルズ”にやられたため再戦は叶わず……今回で久しぶりの、そして念願のマッチメイクとなった。

 

(アシュラマン同様、ロビンマスクはキン肉マンとテリーマンのことをライバル視している。それぞれ対戦経験もあるしな。特にキン肉マンへの対抗心は格別……だ、だが! 今のロビンは悪衆・時間超人を倒し、最愛の妻を救ってケビンマスク誕生の未来を守るという絶対的使命がある! それなのに、志を同じくするマシンガンズと対戦することになってしまうとは……ロビンはいったいどうすればいいのだ!?)

 

 ロビンマスクの立場や心情を慮るネプチューンマン。

 本人の反応を見るべく目を向けてみれば――

 

「グ、グウゥ~~ッ」

 

 ロビンは仮面の上からどうやってかだらだら汗を流し、苦しげに唸っていた。

 

(案の定、面食らっている! そりゃそうだ、あいつはこういう不測の事態に弱い……ただでさえ妻はいつ容態が急変してもおかしくない状況、すぐそばには時間超人が持ってきたケビンマスク入りのX形クリアベッド! どうすればいいのかわからず、あたふたしてしまうのは当然だ――っ!)

 

 ロビンの心中を察すれば察するほど、ネプチューンマンは己も心穏やかではいられなくなってくる。

 カーペット・ボミングスを蹴落としたりアシュラマンを招聘したことは失敗だったのか?

 そんなふうに考え始めた、そのときである。

 

「ヘイ、ロビン! なにも動揺することなんてねえぜ!」

 

 パートナーを鼓舞するべく声を上げたのが、臆病風とは無縁のヤンキー超人テリー・ザ・キッドであった。

 キッドはわかりやすくファイティングポーズを取り、隣にいるマシンガンズに言う。

 

「対マシンガンズ、結構じゃねえか! オレたちの最終目標は優勝……それを達成できれば、トロフィー球根(バルブ)ゲットや時間超人打倒といった結果もおのずとついてくる! オレたちが上にいくためにも、キン肉マンにテリーマンというライバルは乗り越えるべき壁だ――っ!」

 

 相手が伝説超人(レジェンド)やチャンピオンであろうと、ましてや父親の若い頃であろうと、モチベーションは落とさない。

 対等な超人、対等なライバルとして、全力でぶつかるだけだ。

 そんな若々しい気概を見せつけられ、キン肉マンは素直に感嘆した。

 

「さすがはロビンが認めた男だ。他のニュージェネレーションと違って気骨がある」

 

 チラリ、とステージの隅っこで腰が引けているへっぽこ超人を見やるキン肉マン。

 続けて、キッドの隣に立つ友人に向かって語りかけた。

 

「ロビンよ。嫁さんのためにいいカッコしたいのはわかるが、ここは前“宇宙超人タッグ”チャンピオンであるわたしたちマシンガンズに任せてくれてもいいんだぜ」

 

 挑発の意味も兼ねた忠告だったが、ロビンマスクはキン肉マンのほうを見ていない。

 視線を向ける先は反対方向……ステージ右端の“世界五大厄(ファイブディザスターズ)”。

 彼らのいるボックスのすぐそばに置かれた、ケビンマスクの収められたX形クリアベッドである。

 

「ケビン……」

 

 ロビンマスクと瓜二つの仮面を被る若者は、弱々しい姿で溶液につけられている。

 囚われの身、そして消滅の危機に瀕している身の他称息子を前にしては、ライバルのことなど二の次らしい。

 

「なんだ~~っ。あいつ、うわの空ではないか」

 

 呆れるキン肉マン。

 ロビンマスクをよく知る彼にとっては、まったくらしくない行動と思うほかなかった。

 そんなキン肉マンの隣で、静かにテリー・ザ・キッドを見つめる姿もある。

 

「キッド……」

 

 マシンガンズの片翼、テリーマンだ。

 ロビンマスクのパートナーはテリーマンの息子を自称する男。

 そのファイトスタイルや生き様は一回戦の“鬼哭愚連隊”戦で十分に見せつけられた。

 思うところは多々あるのだろう――と、二組のやり取りを遠巻きに眺めていたネプチューンマンは思う。

 

(そ……そう! ロビンの情緒も不安だが、この対戦カードはテリーマン&テリー・ザ・キッドの親子対決でもある! 親父への対抗心をむき出しにするキッド……そして声高に主張したりはしないものの、キッドを始め新世代超人(ニュージェネレーション)の面々を認めつつあるテリー……両者とも、はたして本気で闘えるのか?)

 

 この二組の対戦は、二回戦の中でも屈指の注目カードとなる。

 ネプチューンマンを含む多くのギャラリーがそう予想し、頃合いと見たハラボテがマイクを取った。

 

『選手諸君にマスコミ関係者各位! 只今より“究極の超人タッグ戦”二回戦の決戦会場を発表する!』

 

 会場にいたすべての超人、そして報道陣がハラボテ委員長に注目する。

 

『二回戦はAブロック、Bブロックを同時開催でなく二日に分けて行います! まず初日は3日後、5月9日にマッスルブラザーズ・ヌーボーvs2000万パワーズ! そしてザ・マシンガンズvsジ・アドレナリンズの2試合を……東京都大田区田園コロシアム!』

 

 壇上のモニターに田園コロシアムの映像が映し出される。

 続いて映し出されたのは、美しい桜の木と西郷隆盛の像だ。

 

『そしてその翌日5月10日にBブロック、ヘルズ・ベアーズvsネオ・イクスパンションズ! ザ・ナイトメアズvs世界五大厄の2試合を……東京都台東区上野公園で行います!』

 

 二回戦の舞台はネプチューンマンの知る“前回”と同様、日程も変更はない。

 変わったのはタッグチームの顔ぶれと対戦カード。

“前回”との変更点とそうでない点を正しく見極め、有利に物事を運んでいく必要がある。

 

『それでは8チーム16人のツワモノたちよ! 来たるべき二回戦に備え、充分に対戦相手の研究をしさらに技を磨くべく精進するがよい! では解散!』

 

 かくしてトーナメント抽選会は終わり、各チームは与えられた準備期間を有効活用すべくホームへ戻っていく。

 だが解散直前、壇上ではネプチューンマンの頭を悩ませる出来事が……“前回”でも起こった出来事が多々再現された。

 

(チッ、ウォーズマンの野郎はオレが危惧したとおり、マイケルが暴走の兆しを見せたところで逃げていっちまいやがった。試合までの3日間で無理矢理にでも協力関係を結ぶべきか? いやしかし、キン肉マンやバッファローマン、ロビンマスクにも用がある。アシュラマンとも打ち合わせをしておきたいし、セイウチンを鍛えてもやりたい。覚醒が近いであろうグレートⅢ……カオスにも声をかけたいところだ。クソォ~~ッ、やることが……やることが多い~~っ)

 

 壇上でヌイグルミの体から氷の塊を噴出させたマイケル、抽選会場まで迎えに来たビビンバに頭の上がらないキン肉マン、2000万パワーズにひたすらビビる万太郎&グレートⅢ、一触即発のアシュラマンと時間超人、囚われのケビンマスクを前に気が気じゃないロビンマスク……はっきり言って懸念材料が多すぎる。

 

 しかしながら、ネプチューンマンはやらねばならない。

“究極の超人タッグ戦”の全容を知る者として、未来を変えるために。

 

 

 ◇

 

 

 抽選会が終わり、解散となった夕刻のこと。

 九段のホテルを出ていく“ネオ・イクスパンションズ”の背中を、諸悪の根源である時間超人ライトニングとサンダーが見ていた。

 

「ヌワ~~ッ、気づいているかライトニング? あのネプチューンマンのオヤジ、なにかきな臭いぜ」

「ジョワ……そうだな。まさかオレのオーバーボディやエヴォリューションマウスピースに言及してくるとは」

 

 トーナメント・ボックスを選ぶ際、ネプチューンマンは“世界五大厄”の挑発に対してこう返してきた。

 

『フフ……オレは知っているぞ、ライトニングにサンダー。おまえたちはまだまだお披露目していない隠し能力がわんさかあるだろう。ライトニングにいたっては素顔すら隠しているようだしな――っ』

 

『とぼけやがって。だがいいさ。オレたちがおまえらを狩るのはその真の姿を曝け出したあとだ。せいぜいマウスピース磨きに精を出しているがいい』

 

 隠し能力、素顔を隠している、そしてマウスピース……こちらの手の内を知っているとしか思えない言動の数々だ。

 

「カマをかけてただけって可能性はないか?」

「かもしれん。が、オーバーボディのことはともかく、さすがにそれだけではマウスピースという単語は出てこないだろう」

 

 時間超人が20世紀にタイムワープしてきてから行った戦闘はわずか数戦。

 トーナメント・マウンテン頂上での小競り合い、夜間に行った大会参加に相応しくない有象無象の弱小チームの間引き、そしてイリューヒン&バリアフリーマンを仕留めた間引きバトルロイヤル……いずれの闘いでも、手の内を明かしてはいない。ネプチューンマンがそれを知っているはずはないのだ。

 

「警戒するに越したことはない……タッグとしての危険度はさほどでもないが、やつはなにかを知っている。もしかしたらオレたちすら知らない、未知のなにかを……」

 

 考え込むライトニング。

 今大会最年長のロートル超人は、知らず時間超人の警戒対象となっていた。

 

「少し探りを入れてみるか」

 

 ネプチューンマンはその背後からの視線に気付けない。

 

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