ネプチューンマン・リビルド “究極の超人タッグ編Ⅱ”   作:速筆魔王LX

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第006話 変えられた未来と変えられなかった未来!

『あ――っとロビンマスクの妻アリサさんに重傷を負わせた時間超人の魔手“死時計の刻印(デスウォッチ・ブランディング)”が今、新世代超人(ニュージェネレーション)の一角キン肉万太郎に襲いかかろうとしている――っ』

 

 ブリッジ体勢でキン肉万太郎をクラッチするサンダー、そしてそのサンダーの上で倒立し両足を鋭利な刃物へと変化させているライトニング。

 このままライトニングがレッグ・ニードルと化した両足を振り下ろせば、捕らわれた万太郎は心臓を貫かれ絶命してしまう。

 これぞ時間超人コンビ“世界五大厄(ファイブ・ディザスターズ)”必殺のツープラトン、“死時計の刻印”。

 数々の超人を死に追いやり、“前回”ではネプチューンマン自身もくらわされた脅威の技である。

 

「な、なぜだ~~っ。なぜ万太郎が死時計の刻印にかけられている~~っ」

 

 ネプチューンマンが知る“前回”の間引きバトルロイヤルでは、こんなシーンはなかった。

 だが歴史は動くもの。すぐにあるひとつの可能性に思い当たる。

 

(そ、そうかっ! 先の究極の超人タッグ戦ではマッスル・ブラザーズ・ヌーボーの相手はオレたち……オレと凶獣セイウチンの旧“ヘル・イクスパンションズ”が務め、イリュージョンズの相手は世界五大厄がしていた。それが逆転した結果、ヌーボーが世界五大厄と闘っていたというわけか~~っ)

 

 間引きバトルロイヤルの結果を自分たちに有利なものに改変しようと努めた結果、まさかこのような展開を招いてしまうとは。

 ネプチューンマンが焦る中、リングの端に万太郎処刑の様子を棒立ちで眺めるパートナー……キン肉マングレートⅢの姿を捉えた。

 

「パートナーのピンチだ! 救出にいかないかグレートⅢ!」

 

 しかし当然のことながら、この時点では大した接点のないネプチューンマンが声をかけても反応はない。

 この頃のグレートⅢ――カオス・アヴェニールは、つい最近まで人間として暮らしていた、ただのオタク少年である。

 そんな男に今から殺されようとしているキン肉万太郎を助けに入ることなどできない。

 

(ダ、ダメだ~~っ! この時期の覚醒していないグレートⅢでは……このままでは万太郎が死時計の刻印の餌食になってしまう~~っ!)

 

 臆病風に吹かれ脚を震わせることしかできないグレートⅢに、ネプチューンマンは期待を捨てた。

 

「こうなればオレが!」

 

 自らキン肉万太郎を助けに行くしかない。

 そう思い立ち隣のリングへ駆け込もうとするが、その身は後ろから羽交い締めにされることによって止められた。

 

「ドフィドフィ、イリュージョンズ退治の手腕お見事」

「モアモア、疲れているだろう? もう少しこっちのリングでゆっくりしていけ」

 

 ネプチューンマンだけではない、パートナーのセイウチンも羽交い締めにあっていた。

 邪魔をしたのはメキシカン・レスラー風の出で立ちをした覆面超人と、モアイ像を積み重ねたような巨漢超人である。

 

「オルテガにモアイドン!」

 

 タッグチーム名“カーペット・ボミングス”。知る人ぞ知る悪行超人タッグだ。

 実力者であるふたりに捕縛され、ネプチューンマンもセイウチンも万太郎のもとへ駆けつけることができなくなってしまった。

 

「グゥ~~ッ、間に合わん!」

「アニキ――ッ!」

 

 ライトニングの凶刃が今にも降り下ろされそうな気配を察し、ネプチューンマンとセイウチンは諦観の声をあげる。

 そのときだった。

 

『なんだぁ――っ!? リング上空より謎の戦闘機が飛来! 世界五大厄めがけて突っ込んでいく――っ!』

 

 実況アナウンスが、上空から乱入者が飛来したことを告げる。

 ネプチューンマンもそれを目視で捉えた。

 ミグ29戦闘機。

 超人レスリングの場には相応しくない飛行機が、リング目掛けて高速で降下しようとしている。

 さらに言えば、そのターゲットは今まさに万太郎が処刑されようとしている現場であり――

 

「ファイナルTOKKO・ATTACK――ッ!」

 

 戦闘機より発せられた技名のコールが、それがある超人ふたりのツープラトンであることを伝える。

 ミグ29戦闘機の特攻は“死時計の刻印”に直撃し、その際の衝撃によりわずかに発光。

 光はすぐに消え、衝突の結果が衆目に晒される。

 

「ああ~~っ!!」

 

 誰のものでもない悲痛な叫びが会場を包みこんだ。

 ネプチューンマンは彼らとは逆に、声を失ってしまう。

 

 戦闘機の特攻により、万太郎はサンダーのクラッチから弾き飛ばされ結果“死時計の刻印”から脱出した。

 しかしその代わりに、戦闘機――いや戦闘機形態で突っ込んだふたりが、死時計の刻印の餌食となっていた。

 すなわち、新世代超人イリューヒンとバリアフリーマンのふたりである。

 

『謎の戦闘機の正体はイリューヒン&バリアフリーマンの火の玉飛爺隊だ――っ! な、なんと万太郎の身代わりとなり、死時計の刻印をその身に受けている――っ!』

 

 台座であるブリッジ状態のサンダーの上で、力なく重なり横たわるイリューヒンとバリアフリーマン。

 その胸元には降り下ろされたライトニングのレッグ・ニードルが突き刺さっており、ふたりまとめて串刺しとなっていた。

 

「ジョワジョワ、余計な真似をしやがって~~っ」

 

 標的はあくまでもキン肉万太郎、そして彼のチーム“マッスルブラザーズ・ヌーボー”。

 計画が狂わされたことに、ライトニングは不満そうな声をあげていた。

 

「ヌワヌワ、いいじゃないかライトニング。あんな素人とおもりのコンビはいつでもやれる。今は新世代超人の一角を落とせたことを喜ぶとしようぜ――っ」

 

 パートナーのサンダーは相棒をそう諭し、抱えていたふたりの超人を解き放つ。

 クラッチから解放されたが、イリューヒンとバリアフリーマンは起き上がることなくキャンバスに伏した。

 それもそのはず。ふたりはすでに、“死時計の刻印”によって絶命してしまっている。

 

『試合終了――っ! ここでゴングです! 間引きバトルロイヤル最後の脱落チームは、21世紀の未来からやってきたという新世代超人の精鋭タッグ“火の玉飛爺隊”だ――っ!』

 

 実況が間引きバトルロイヤルの終了を、そしてイリューヒンとバリアフリーマンの脱落を告げる。

 訪れた結果に、しかしネプチューンマンはわなわなと震えていた。

 

「バカなぁ――っ!」

 

 勝利に歓喜するタッグチーム、興奮が抑えられない観客、その誰よりも大きな声で、ネプチューンマンは憤慨を口にした。

 

「火の玉飛爺隊が世界五大厄に敗れるなど、こんな歴史オレは知らねぇ――っ! 後の時間超人包囲網完成のためにも、イリューヒンとバリアフリーマンのふたりはこんなところで落ちるべきではなかった! これはなにかの間違いだ――っ!」

 

 受け入れがたい結果に異議を唱えるネプチューンマン。

 その迫真の様子に、リングに残った超人たちは呆気にとられていた。

 

「やり直しだ――っ! 今すぐやり直させろ――っ!」

 

 超人レスリングとは、リングの上で起こった結果がすべて。

 それを理解しているからこそ、皆ネプチューンマンが言い出したことに驚きを禁じ得なかった。

 あまりの騒ぎっぷりに、大会運営委員長のハラボテ・マッスルが慌ててマイクを取る。

 

「ネプチューンマン。リングの上では結果がすべてじゃ。それが認められぬようでは、大会の運営妨害とみなし君たち“ネオ・イクスパンションズ”も失格にするぞ」

 

 ハラボテに冷静にたしなめられ、ネプチューンマンはハッと我に返った。

 

「ち、違う……やり直しというのは歴史のやり直しのことで……」

 

 これではまるで、有り金はたいて賭けた馬が勝てなかったからと怒声を飛ばす競馬場のオヤジのようではないか。

 我を取り戻しても今さら遅く、リングの上では失笑が飛ぶ。

 

「ジョワジョワ、どうやらネプチューンマン殿はだいぶ耄碌してしまっているようだ」

「ヌワヌワ、まさかお仲間の脱落に納得ができず駄々をこねるとはなぁ~~っ」

 

 先人を切ったのは悪行・時間超人のふたり。

 他にも先ほど邪魔をしてくれたオルテガやモアイドン、死皇帝&ザ・ガオンや、メテオマン&スプートニックマンといった連中も笑いを飛ばしている。

 

「ヌワヌワ……見ろ。数日前にはネプチューンマンと激闘を繰り広げたキン肉マンにテリーマン、ロビンマスクたち伝説超人(レジェンド)も幻滅しているようだぜ」

「ジョワジョワ……これが“老い”というものだ。経験豊富な大ベテランなんて聞こえはいいが、50や60を超えればボケもくる。そんなオジンがオレたちバリバリの全盛期超人と肩を並べるなど……初めから夢物語だったのさ――っ」

 

 サンダーとライトニングが言うとおり、仲間であるはずの正義超人たちからの視線も冷ややかだった。

 

「ググゥ……」

 

 反論したいところではあるが、この場でこれ以上なにかを言っても逆効果だろう。

 ネプチューンマンは悔しさをぐっと飲み込み、血が出るほどに拳を強く握り込む。

 

「ネプチューンマン……」

 

 ただひとり、セイウチンだけはそんなネプチューンマンの心中を察するように哀しい顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 ともあれ、あらためて間引きバトルロイヤルは終了。

 間引かれたチームは4組。

 ネオ・ショパン&ローズマンの“セレブリティーズ”。

 ゴリマックス&サバンナの“ジャングルブックス”。

 字・アルファベット&マスターシャッフルの“イリュージョンズ”。

 そしてイリューヒン&バリアフリーマンの“火の玉飛爺隊”である。

 

『さあ、間引きバトルロイヤルにおいてここに晴れて“究極の超人タッグ”決勝トーナメント進出の12チームが決まったわけじゃ――っ!』

 

 ハラボテの宣言により、リング上に残った12チーム24人の超人が堂々と勝者の顔をする。

 

“ザ・マシンガンズ”キン肉マン&テリーマン。

“世界五大厄”ライトニング&サンダー。

“マッスルブラザーズ・ヌーボー”キン肉万太郎&キン肉マングレートⅢ。

“カーペット・ボミングス”オルテガ&モアイドン。

“ヘルズベアーズ”マイケル&ベルモンド。

“2000万パワーズ”モンゴルマン&バッファローマン。

“チーム・コースマス”スプートニックマン&メテオマン。

“鬼哭愚連隊”死皇帝&ザ・ガオン。

“ジ・アドレナリンズ”ロビンマスク&テリー・ザ・キッド。

“スーパー・トリニティーズ”スカーフェイス&ジェイド。

“地獄のカーペンターズ”デーク・棟梁&プラモマン。

“ネオ・イクスパンションズ”ネプチューンマン&セイウチン。

 

『この12チームによるトーナメントの組み合わせ抽選会を1時間後にここ、後楽園球場隣の後楽園ゆうえんちにて執り行う。各チームは身支度を整えて抽選会場に集合するように!』

 

 終わってみれば、12チームの顔ぶれはネプチューンマンが経験した“前回”とまったく同じ。

 しかしまだだ。歴史を改変するチャンスはまだ残されている。

 ネプチューンマンは後輩たちの無念を背負い、先に進む決意を固めるのだった。

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