ネプチューンマン・リビルド “究極の超人タッグ編Ⅱ”   作:速筆魔王LX

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第078話 悪辣!非道!これがオレたちのやり方だ!!

 本来なら控え室を出て花道を通り、トーナメント・マウンテンを登ってウォーキューブへ向かうのが入場セレモニーの習わし。

 しかし、“新星(ノヴァ)・ネオ・イクスパンションズ”はこのセオリーを無視し、花道の道中で対戦チームである“世界五大厄(ファイブディザスターズ)”に奇襲を仕掛けた。

 

『あ――っとこれは前代未聞の暴挙! 入場途中の“世界五大厄”ライトニング&サンダーを“新星・ネオ・イクスパンションズ”ネプチューンマン&ウォーズマンが空中から急襲――っ! これは相手チームをまったく敬わない行為だ――っ!』

 

 頭上からエルボーを落とされ、前傾姿勢になるライトニングとサンダー。

 無防備にさらけ出された背中を狙い、ネプチューンマンとウォーズマンは腕を振り上げる。

 

(オレにとっては二回目! マンモスマンと組んだ“前回”においても入場セレモニー中に奇襲を仕掛けた! 前代未聞でもなんでもないが……まさか正義超人を志したやり直しの“究極の超人タッグ戦”においてもこのような暴挙を働くことになるとはな。だがこれでいい! どんなに汚名を背負い非難を浴びようとも、こいつらをここで倒せるのならば!)

 

 怨念を攻撃に乗せ、鉄槌を振り下ろす。

 

「この闘いは悪行・時間超人という諸悪の根源を潰すための闘い! 相手を敬うなんてもってのほか……反則上等で挑ませてもらうぜ――っ!」

 

 地面に対して並行になったライトニングとサンダーの背中めがけ、右腕と左腕で交互に鉄槌を連打していく。

 

『ネプチューンマン&ウォーズマン、太鼓の乱れ打ちで“世界五大厄”にさらに追い打ちをかける――っ』

 

 まさしく太鼓を乱れ撃つようにドコドコと打撃を叩き込む“新星・ネオ・イクスパンションズ”。

 

「ジョワ~~ッ」

「ヌワ~~ッ」

 

 さすがの“世界五大厄”もこれはたまらず、亀のように耐えるしかなかった。

 実況はどうするべきかと困惑したが、“新星・ネオ・イクスパンションズ”が入場を果たしたことには変わりない。

 当初の予定どおり解説を始める。

 

『ネオ・イクスパンションズは二回戦でネプチューンマンのパートナーであったセイウチンが無念の負傷退場! あわやチーム崩壊の危機となりましたが、セイウチン本人の指名によりなんとそのときの対戦チームであったウォーズマンが新メンバーに就任! “新星・ネオ・イクスパンションズ”となり、予想もしなかった伝説超人(レジェンド)のタッグが誕生したのであります!』

 

 ネプチューンマンは太鼓の乱れ打ちを続けながら“世界五大厄”に言い放つ。

 

「ライトニングさんにサンダーさんよぉ~~っ! 二回戦では正義超人と悪魔超人のコンビを倒し超人界のトップにでも立ったつもりかもしれねえが……デカい顔すんのはオレたち完璧(パーフェクト)&残虐コンビを倒してからにしてもらおうか!」

 

 セレモニーを無視した奇襲攻撃からの、完璧&残虐コンビ発言。

 これにはキン肉マンも黙っておれず、前に出て声を張り上げた。

 

「こりゃー! ネプチューンマンにウォーズマン! おまえら今は立派な正義超人のはずじゃろうが! なにを考えて完璧(パーフェクト)超人と残虐超人を名乗っておる――っ!」

 

 闘いを通してわかりあえたあのふたりが悪行超人に戻ってしまうなど、キン肉マンとしては考えたくもない。

 そんな友人の心情を察し、ウォーズマンもまたネプチューンマン同様に太鼓の乱れ打ちを続けながら言う。

 

「気構えの話さ、キン肉マン! 敵はあの悪行・時間超人……正義超人のクリーンなファイトだけで攻略できる相手ではない! ゆえに昔取った杵柄……惜しみなく活用させてもらう!」

 

 これは戦略のひとつであり、本気で悪行超人に戻ったわけではない。

 それを聞きホッと胸を撫で下ろすキン肉マンだったが、ハラボテはそういう問題ではないと声を荒げた。

 

「バカもの~~っ! いくら悪行・時間超人が憎いからといって、入場セレモニーをぶち壊し相手を襲っていいなんてルール、超人委員会は許可した覚えはないぞ――っ!」

 

 ジャッジマンとして当然の判断をくだし、スタッフを動員して“新星・ネオ・イクスパンションズ”を止めようとするハラボテ。

 そうはさせるか、とふたりのセコンドを買って出たバラクーダが動く。

 

「今だ、戦略No.101(タクティクスナンバーハンドレッドワン)!」

 

 あらかじめふたりと打ち合わせしておいた符号を唱え、指示を出す。

 ネプチューンマンはバラクーダの声を受け、ライトニングを持ち上げた。

 うつ伏せの体勢で肩の位置まで上げ、股ぐらに右腕を差し込む形で支える。

 

『ネプチューンマン、ライトニングをワンハンド・スピン・スラムの体勢に抱え上げた――っ!』

 

 片手で抱えてのボディスラム。

 通常ならこのまま真下に叩きつけるのだろうが、ネプチューンマンが得意とするこの技はやや異なる。

 相手を下方向ではなく、上方向に投げ放つのだ。

 

『自らの体を回転させ、その反動でライトニングをトーナメントマウンテンめがけて投げた――っ!』

 

 ヒューンと飛んでいくライトニング。

 投擲先はこれから向かう予定だった決戦の舞台だった。

 

『トーナメントマウンテン準決勝第2試合のウォーキューブにライトニングが激突し、耐圧ガラスが大破――っ!』

 

 本来は階段で登る予定だったそのステージに、壁をぶち破っての入場を果たすライトニング。もちろんダメージは甚大だろう。

 驚くべきはそんな芸当を成し遂げたネプチューンマンの怪力。

 キン肉万太郎はかつて完璧超人と呼ばれた存在を前に、感嘆の声を漏らした。

 

「体重は不明とされるがおそらく100kg以上はあると見られるライトニングを、いとも簡単にあんなに遠くへ放り投げるなんてすごいパワーだ!」

 

 他の観客もまた万太郎と似たようなリアクションを取っている。

 パートナーがとんでもない方法で先に入場することになってしまい、動揺したのはサンダーだ。

 

「ヌウワアァ!」

 

 このままいいようにやらせてはならないと体を回転させ、ウォーズマンに横蹴りをくらわせる。

 

『ウォーズマンの鳩尾にソバットを入れ、太鼓の乱れ打ちからサンダーが脱出――っ!』

 

 自由の身となったサンダーは卑劣漢たちに反撃せんと挑みかかる。

 

「場外乱闘がお好みなら存分につきあってやるぜ~~っ!」

 

 標的はもちろん、さっきいいように背中を叩きまくってくれたウォーズマンだ。

 

『サンダー、ウォーズマンを捻り潰さんと掴みにかかる――っ』

 

 巨体を活かした突進に、しかしウォーズマンは動じることなくどっしりと構えた。

 突っ込んでくる相手の勢いに逆らうことなく、接触の瞬間に自らの体を仰向けに倒す。

 その際、相手の腹に己の足裏を当て頭越しに投げ飛ばした。

 

「トア――ッ!」

 

『なんとウォーズマン、サンダーが突っ込んできた勢いを利用し巴投げで宙高く放り投げた――っ』

 

 サンダーの飛んでいく軌道は、先ほどのネプチューンマンのワンハンド・スピン・スラムとまったく同じ。

 行き先は準決勝第2試合のウォーキューブだ。

 

『サンダーの巨体が宙を舞い、ライトニングの衝突により生じた穴からウォーキューブ内に入った――っ!』

 

 神業とも言えるようなウォーズマンの荒業に、カオス・アヴェニールもまた感嘆の息を漏らす。

 

「ネ……ネプチューンマンのパワーもさることながら、ウォーズマンのテクニックもさすがの一言だ。まさか巨漢のサンダーをあそこまで投げ飛ばすなんて」

 

“世界五大厄”はこれで揃ってリングインとなったが、想定外にもほどがあるリングインだ。

 頭を抱えるハラボテを尻目に、しかしネプチューンマンはワルっぽく笑う。

 

「グフフ……本来ならトーナメントマウンテンの麓より階段を使ってウォーキューブリング上まで行かなくてはいけないのに、その手間を省いてやったんだから感謝してもらわねば」

 

 入場セレモニー中の急襲に始まり、場外戦法での強制リングイン。

 これはネプチューンマンが経験した“前回”と同じ始まり……結果的には負けてしまったあの試合だが、有効だった戦術は引き継ぐに越したことはない。

 

 対戦チームに続くため、バラクーダは先頭に立って指揮を取った。

 

「いくぞ! ネプチューンマンにウォーズマンよ!」

「おお!」

「ああ!」

 

 花道を無視し、超人らしく飛び上がる。

 そう、超人は飛べるのだ。

 

『あ――っと“新星・ネオ・イクスパンションズ”、セコンドについたMr.バラクーダを先頭にし、トーナメントマウンテン目指して大きくジャンプ――ッ! 大破した耐圧ガラスの穴から準決勝第2試合決戦の地であるウォーキューブ内に入った――っ!』

 

 耐圧ガラスの破片が散らばった足もとを踏みしめる三者。

 ネプチューンマンとウォーズマンは先にライトニングとサンダーがのびているリング内に上がり、バラクーダはコーナーについた。

 

『入場セレモニーを破壊して一気に4人の超人がリングイン! そしてリングの外にはあの第21回超人オリンピック・ザ・ビッグファイトに波乱をもたらした男、Mr.バラクーダが立ちます! これは早くも激動の展開だ~~っ』

 

 ダメージを振り払うように、ゆっくりとした所作で立ち上がるライトニングとサンダー。

 その間、ネプチューンマンは身につけていたマントを取り外しウォーキューブの天井に向けて投げ放った。

 

「スウリャアア~~ッ!」

 

 マントは綺麗に広がり、天井一面に貼りついた。

 四角いマス目が無数にあるそのマントには、かつて数々の超人の仮面が捕らえられていたことで有名だ。

 

『21世紀ネプチューンマン、リングの天井に自身のマントを貼りつける! こ、これは完璧超人時代、数多の強豪超人のマスクを貼りつけていたコレクションマントか~~っ!?』

 

 今は1枚のマスクも貼りついていないマント。

 しかし一部の者はそのマントにびっしりマスクが貼りついていたのを覚えている。

 だからこそ、キン肉マンとテリーマンは声を荒げた。

 

「ま……まさか、ネプチューンマンは!」

「ライトニングとサンダーのマスクを狩るつもりなのか!?」

 

 マスクハンター・ネプチューンマン――“究極の超人タッグ戦”では鳴りを潜めていた彼の本性が、ここに来て復活するというのか。

 震え上がる観衆を煽るように、ネプチューンマンは言葉でも宣言する。

 

「光栄に思え、ライトニングにサンダー。あのマントはおまえたちふたりの極悪面をコレクションするためだけに使ってやるぜ~~っ!」

 

 マスクハンターの復活宣言だ。

 死刑宣告にも似たその挑発に、しかしサンダーは面白そうに笑う。

 

「貸し切りだとよ、兄弟」

「ジョワジョワ」

 

 ライトニングも同様に笑い、ネプチューンマンの顔を指差した。

 

覆面狩人(マスクハンター)なんて呼ばれちゃいるが、やつ自身もまたマスク超人だ。そのネプチューンマンの仮面を、逆にオレたちが剥ぐというのも面白いとは思わねえか~~っ?」

「ヌワ~~ッ! そいつはおもしれぇ! やってやろうぜ兄弟!」

 

 早くも殺意を撒き散らす“世界五大厄”。

 もはやすぐにでも闘いが始まりそうな雰囲気だ。

 

『さあ、4人今にも一触即発の状態だ――っ!』

 

 実況も盛り上げようとするが、これにはハラボテが大慌てで割って入った。

 

『待て待て! この試合、ライトニングとサンダーがあるデスマッチルールを提案している! ゴングを鳴らす前にネプチューンマンとウォーズマンのふたりにはその提案に対して返答をしてもらわねばならん!』

 

 マイクで叫び、ウォーキューブ内の“新星・ネオ・イクスパンションズ”にデスマッチのことを伝えようとするが――

 

「どうせソードデスマッチだろう!?」

「オレたちの答えは……却下だ――っ!」

 

 ネプチューンマンとウォーズマンのふたりは即断即決でその誘いを拒否した。

 

「な……なにィ~~ッ!?」

 

 これに驚いたのは目の前の“世界五大厄”、デスマッチルールを事前に提案しておいた張本人たちである。

 まさかこんなに堂々と断られるとは思わなかったのだ。

 

「てめえ~~っ、ネプチューンマン! なんでオレたちがソードデスマッチを提案したことを知っているのかはともかく……躊躇もせず却下だと!?」

「ビビったのか!? それともエンタメ精神ってやつがねえのか!? 少ない予算で大量の剣山を用意したハラボテの苦労を考えたらどうだ!」

 

 あまりにも想定外の出来事だったので、ハラボテをフォローするようなことを口走ってしまうサンダー。

 だがネプチューンマンたちの答えは変わらない。

 

「何度も言わせるな! オレたちのミッションは諸悪の根源であるおまえたちを完全に葬り去ること! 誰がおまえたちの有利に働くとも限らんデスマッチの提案など受けるか!」

「ネプチューンマンの言うとおりだ! 我が師、ロビンマスクの教え……“敵の誘いには絶対乗るな”! 腰抜けと言われようとなんだろうと、この試合は一切の不純物なしで決着をつけさせてもらう!」

 

 ソードデスマッチを提案されるだろうことは“前回”の経験からわかっていた。

 あれは復活したマグネット・パワーで剣山を武器にしたりなどプラスに働いた面もあったが、ウォーズマンとの新タッグで挑む今回の“究極の超人タッグ戦”においては邪魔だと判断。ゆえに毅然と断るのみである。

 

『あ――っとネプチューンマンとウォーズマンの言っていることは至極もっともな意見ではあるが……デスマッチの提案をこうも堂々と却下してみせる超人コンビは初めて見た~~っ!』

 

 超人レスラーとしての定石を無視した振る舞いに、ライトニングとサンダーはほとほと呆れ返る。

 

「ジョワ~~ッ、アシュラマンといいネプチューンマンといい、オレたちを倒したいのはわかるが……もはや必死すぎて見苦しいぜ」

「まったくだ。こいつらには観客を楽しませようって心意気が足りねえよ」

 

 時間超人たちにエンタメを語らせるほど、ネプチューンマンとウォーズマンは真剣にやっているのだ。

 ソードデスマッチをやる気満々だった大会運営側も頭を悩ませる。

 

「委員長、どうしましょうか」

「ムム~~ッ。仕方がない、ゴングじゃ」

 

 右腕のノックにそう答え、ハラボテはどこか消沈した面持ちでゴングを鳴らした。

 カン。

 開戦である。

 

『さあ~~っ、結局デスマッチは承諾されないままゴングが鳴った~~っ!』

 

 デスマッチ開幕とはならなかったが、始まってしまえば盛り上がるもの。

 特に特殊ルール抜きにしてもこれは準決勝戦。どうやったって好勝負は保証されている。

 

「よし、ウォーズマン! まずはおまえから行くんだ!」

「ラジャー! Mr.バラクーダ!」

 

“新星・ネオ・イクスパンションズ”はセコンドについたバラクーダの采配に従い、ウォーズマンが先発として出る。

 

「ヌワー! 機械ヤロウはこのオレがスクラップにしてやる!」

 

“世界五大厄”はサンダーが出た。

 

『思いもよらぬ形で始まってしまった“究極の超人タッグ戦”準決勝第2試合! 新星・ネオ・イクスパンションズの先発はウォーズマン、世界五大厄の先発はサンダーが出るようだ――っ』

 

 対峙するウォーズマンとサンダー。

 片やテクニック偏重のロボ超人。片や巨漢のパワーファイター。

 初手はどちらがなにを仕掛けるのか、注目が集まる中――

 

「コーホー」

 

 ウォーズマンは機械的な呼吸音を発し、右手を構えた。

 

「ベア・クロー!」

 

 拳の先端から4本の突起――熊のような爪が飛び出す。

 

「ヌワッ!?」

 

 堂々と凶器を見せびらかされ、サンダーが驚きの反応を見せた。

 

『なんとウォーズマン、いきなりファイティング・コンピューターの代名詞ともいえるベア・クローを出した――っ!』

 

 まさかの開幕ベア・クローに沸き立つ観客たち。

 第21回超人オリンピック・ザ・ビッグファイトでは、あのティーパックマンやペンタゴンを葬ってきた狂気の凶器攻撃が、時間超人に襲いかかろうとする。

 

「ええい、熊の爪ごときがなんだ!」

 

 サンダーはベア・クローの脅威にも怯まず、左肩を突き出した。

 

「リオン・フィンガー!」

 

 左肩に備えた獅子の爪が展開、鋭利な凶器となる。

 

『サンダー、ウォーズマンのベアー・クローに対し左肩に備えたリオン・フィンガーで対抗する――っ!』

 

 ベア・クロー対リオン・フィンガー。

 凶器対凶器。

 肉に触れれば容易く裂けるであろう互いの切っ先が、正面衝突を起こす。

 

『激しい金属音! まるで時代劇のチャンバラのような打ち合いだ――っ!』

 

 キンキンキン!とぶつかるたびに音を鳴らすベア・クローとリオン・フィンガー。

 時代劇とチャンバラが大流行していた1980年代、これを見て盛り上がらない観客はいない。

 数度の打ち合いの後、埒が明かないと思ったのかウォーズマンが戦法を変える。

 

『おっとウォーズマン、大きく後退』

 

 リオン・フィンガーの間合いから脱し、リングの端まで下がる。

 そのままリング外へ飛び出し、ロープを掴んでぐいーんと伸ばした。

 

『ロープの反動を使い……』

 

 元の形状に戻ろうとするロープの力に身を任せれば、ウォーズマンの体は矢のように弾かれリングに舞い戻る。

 そこにドリルのような回転を加え、ベア・クローを装備した右手を前にすれば――

 

「スクリュー・ドライバ――ッ!」

 

 かつてラーメンマンを再起不能にした恐るべき突撃技が完成する。

 

「なっ……」

 

 神速と呼ぶべきスピードで繰り出されるその攻撃に、サンダーは反応しきれない。

 結果、正面から受けることとなった。

 

『ウォーズマンお得意の超人削岩機がサンダーの胸板を抉った――っ!』

 

 一回戦では“チーム・コースマス”のスプートニックマンに風穴を開けるほどの破壊力を見せたスクリュー・ドライバー。

 サンダーは直撃の瞬間身をよじることでなんとか胴体貫通を免れたが、胸元の肉は十分すぎるほど削り取られてしまった。

 

「ヌワア……ッ」

 

『試合開始早々におびただしい量の出血~~っ! サンダー、これは万事休すか――っ!?』

 

 あの悪行・時間超人が開幕早々に大出血し弱々しい声を出すなど、誰が考えられただろうか。

 計画通り――と笑みをこぼしたのは、目元を長すぎる前髪で隠すこの男、Mr.バラクーダだ。

 

「ウォーズマンよ、攻撃の手を緩めるな!」

「ハッ! Mr.バラクーダ!」

 

 バラクーダは即座に攻撃指令を出し、ウォーズマンがサンダーに飛びかかる。

 巨体の頭上を越え、背後に躍り出て――折れかけていた両膝に自身の両脚を差し込み、ロック。

 さらに弱々しく垂れ下がっていた両腕の手首を掴み、上方向に引っ張り上げる。

 そのまま体重をかけ前傾姿勢を強いれば、多くの者が見慣れた技の形が完成する。

 

『あ――っと、ウォーズマンが背後から仕掛けるこの技は~~っ!?』

 

 両手両足を封じられ、前傾姿勢になったサンダー。

 今大会最高クラスの巨漢超人の背に乗り、乗り物のように乗りこなすウォーズマン。

 これぞ、スクリュー・ドライバーに並ぶウォーズマンのフィニッシュ・ホールド――

 

「パロ・スペシャル――ッ!」

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