ネプチューンマン・リビルド “究極の超人タッグ編Ⅱ”   作:速筆魔王LX

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第080話 魔性の技への秘策!

『あ――っとライトニング、お得意の加速能力(アクセレレイション)を発動し鎌固めから逃れ……仰向け状態のネプチューンマンの鳩尾にヘッドバットを突き刺した――っ!!』

 

 肉体の周りの時間軸をコンマ1秒程ずらし未来へと移動するアクセレレイション。

 それは絶対の完全回避能力として機能し、攻勢に出ている敵超人に反撃をくらわせることが可能なのだ。

 

「ジョワジョワ、二回戦でザ・ナイトメアズが見せた醜態を忘れたか? オレたち時間超人のアクセレレイションの前には、完璧な関節技など存在しねえ」

 

 ライトニングはそう言いながら、仰向けに倒れるネプチューンマンを見下ろす。

 手痛い反撃をもらってしまったネプチューンマンだが、その口元は不敵に笑んでいた。

 

「ククク……そ、そうか。鎌固めじゃダメか……想定内だ。ククク……」

 

 まるで攻撃の失敗を喜ぶかのように、口元だけでなく声に出して笑う。

 

「なんだぁ、こいつ。技を破られ反撃を食らったってのに、薄気味悪い笑い方しやがって」

 

 得体の知れなさ……というよりは生理的な気持ち悪さを感じ、ライトニングは一歩身を引く。

 ネプチューンマンはそんな相手の反応も気にせず、まず上半身を起こした。

 

『さすがはネプチューンマン、ヘッドバット一発ではものともしないか! ダメージを感じさせない様子でゆっくり立ち上がってきた――っ』

 

 2本の足で立ち上がり、引き気味のライトニングと向かい合った。

 

「さあ、もっと見せてみろ。時間超人ご自慢のアクセレレイションを――っ」

 

 両腕は腰のあたりにだらんと垂らし、開手。

 姿勢も悪く、深夜の酔っぱらいのような挙措で歩を進めた。

 

『お――っとネプチューンマン、両手を下げたノーガードの姿勢でライトニングににじり寄る――! どうやら技を誘っているようだ――っ』

 

「気持ちわりぃジジイめ! ジョワ――ッ!」

 

 表情に嫌悪感をにじませ、ライトニングが脚を振り上げる。

 

『ライトニング、ネプチューンマンの胸元にサイドキックを入れ距離を離す――っ』

 

 脚で弾かれたネプチューンマンは、姿勢を低くして攻め方を変えた。

 

『しかしネプチューンマン、ひるまずライトニングに疾風の如き両足タックル~~ッ!』

 

 ライトニングはわずかに後ろに下がり、ネプチューンマンのタックルから逃れる。

 さらに低い姿勢のネプチューンマンに上から覆いかぶさった。

 

「こんなもの――っ」

 

『ライトニング、ネプチューンマンの両足タックルを難なく切った――っ』

 

 あっという間にライトニング優位な体勢ができあがる。

 続けざまに、ちょうどいい位置に来た顔面へ膝蹴りをくらわせた。

 

「フン! フン!」

 

『ライトニング、ネプチューンマンの頭部へヒザ蹴りの連打――っ!』

 

 さすがのネプチューンマンも大ダメージ必至――と思いきや。

 ネプチューンマンはライトニングの蹴り足をキャッチし、フィジカルを活かして上体を起こす。

 

『しかしさすがネプチューンマン、ライトニングの蹴り足を取って立ち上がっていく――っ!』

 

 ライトニングの両足がキャンバスから離れ、体が浮く。

 

『そのまま頭上まで抱えたライトニングをパワーボムに落とした――っ!』

 

 パワーボムで落とされたライトニングは、あまりのダメージに動けず沈黙。

 

「ここだ――っ!」

 

 ネプチューンマンはすかさずバックを取り、ライトニングの首に腕を回した。

 寝転がる相手の背後から腕を回して首を絞めるこの技は、裸絞め。

 

『追い打ちのバックチョーク! ネプチューンマン、うつ伏せになったライトニングをスリーパーホールドに極めた――っ!』

 

 通常、極まってしまえば脱出は困難を超えて不可能とまで言われるスリーパーホールド。

 このスリーパーはうつ伏せの相手にのしかかる形で極まっており、さらにネプチューンマンが着るベストの鉄鋲がライトニングの背中に刺さり二重にロックしている。

 まさに元完璧(パーフェクト)超人ならではのパーフェクト・スリーパー。

 だというのに、ライトニングは平気そうな顔だ。

 

「ジョワ~~ッ、一見すると見事なチョークスリーパーだが……忘れたわけではあるまい。オレの口腔内にはすでにエヴォリューション・マウスピースがセットされていることを――っ」

「おまえこそ忘れたのか? オレはもっと見せてみろと言ったはずだぜ。時間超人ご自慢のアクセレレイションを、とな――っ」

 

 余裕を見せるライトニングに対し、ネプチューンマンもまた余裕そうに返す。

 

「もっとも、オレのスリーパーに先に意識を刈り取られなければの話だがな――っ!」

「ジョワワァ~~ッ」

 

 深くくい込む腕。絞まる首。生まれる苦痛の表情。

 強がっているだけで、ライトニングの意識はもう飛ぶ寸前だ。

 

『苦悶の表情のライトニング! しかしパートナーのサンダーはカットに入る様子もなく笑みを浮かべているぞ――っ!』

 

 実況の言うとおり、エプロンサイドのサンダーが救援に入る気配はない。

 それだけライトニングを、そして自分たちが有するアクセレレイションの力を信頼しているのだろう。

 ライトニングがこのピンチから脱出するには、加速能力しかない――本人もそれを認めたのか、右側頭部にある鍵穴のような傷跡から煙が吹き出す。

 

「ネプチューンマンよ! 出ているぞ、エキゾチック物質が!」

 

 ウォーズマンが声を張り上げ、パートナーにそれを知らせた。

 

「アクセレレイション!」

 

 ライトニングも同タイミングで加速能力の発動を声で知らせる。

 

『あ――っとライトニングの肉体が溶け出した――っ!』

 

 液状化するように消えていくライトニングの体。

 肉体を数コンマ先の未来へ送る加速能力を行使すれば、どんなに完璧な絞め技からも脱出することができる。

 アシュラマンとチェック・メイトが悩まされた時間超人の奥の手を前に、ネプチューンマンは――

 

「今だ!」

 

 鬼気迫る表情で、その身に抱きついた。

 

『ネプチューンマン、両腕はスリーパーホールドに固めたまま、両脚もライトニングの腰に絡ませガッチリとホールドしていく――っ!』

 

 ライトニングを逃すまいと、より完璧な密着状態になるネプチューンマン。

 だが消えゆくライトニングは鼻で笑う。

 

「バカめ! その程度の拘束でアクセレレイションを封じれるとでも思ったか!?」

 

 アクセレレイションによる肉体の消失はガッチリ固めれば防げるというものではない。

 事実、ライトニングの体はネプチューンマンの拘束など関係なしに消えつつある。

 これでは二回戦で行われた“ザ・ナイトメアズ”戦と同じ――では、なかった。

 

『い……いや! ライトニングの体が溶け出すと同時に、ネプチューンマンの体も溶け出していくぞ――っ!』

 

 時間超人ではないネプチューンマンまでもが、ライトニングのようにその場から消えようとしている。

 不可思議な現象にトーナメント・マウンテンの観衆は揃って口を開け、驚きをあらわにした。

 

『ライトニングの肉体が完全に消えた――っ! そ……そして、それに続いてネプチューンマンの肉体も溶けて消滅~~っ!』

 

 試合中であるにも関わらず、リング上から誰もいなくなるという珍事。

 しかしながらアクセレレイションによる肉体消失は一時的なものだ。

 時間にして1秒、消えた超人は必ずまた姿を表す。

 

『ああ――っと、リング上空にライトニングの体が現れた――っ!』

 

 ライトニングの身は空中に現れた。

 さらにその真上に、もうひとつの影が。

 

『続いてネプチューンマンの肉体も現れる――っ!』

 

 ライトニングもネプチューンマンも、直前にジャンプして飛んだようなシーンはない。

 加速能力を発動させた結果、未来の姿としていきなり空中に現れたのである。

 

「ヌワァ!?」

「ジョワ~~ッ、こ、これは――っ」

 

 エプロンサイドのサンダー、リング上空のライトニングが揃って驚愕する。

 アクセレレイションは時間超人の特権。ネプチューンマンがその力を使うことはできないはずだ。

 

「作戦その1は成功だ~~っ」

 

 ネプチューンマンは怨敵の姿を真下に捉えながら、にやりとほくそ笑む。

 そのまま空中で身を翻し、臀部を下にしてライトニングと共に落ちていった。

 

『ネプチューンマン、ライトニングを下敷きにヒップドロップで降下――っ!』

 

 ライトニングは受け身を取ることができず、ネプチューンマンの尻に潰される。

 

「ググ~~ッ、ジョワ――ッ!」

 

 弱小超人が己の上に尻を乗せるなど許しがたし。

 ライトニングは怒りを原動力にし、身を跳ね起こす。

 

『ライトニング、ネプチューンマンの体を跳ね除け体勢を立て直す――っ』

 

 ネプチューンマンもまた体勢を立て直し、次なるアクションのために構えた。

 とはいえライトニングはすぐには襲いかかってこないだろう――今の一連の流れは、彼に考察の時間を求めさせるはずだ。

 

「うまくいったな、ネプチューンマン」

「ああ。やはりおまえの立てた仮説は当たっていたようだ」

 

 後ろのウォーズマンと短くやり取りをし、達成感を噛みしめる。

 時間超人と闘う上で最大の課題であった“アクセレレイション対策”。

 先ほどの攻防はその実践であり、結果は大成功を収めた。

 

 これもすべては、“ザ・ナイトメアズ”の奮闘と“ファイティング・コンピューター”の計算によるもの――

 

 

 ◇

 

 

 時は遡り、準決勝2日前。

 ネプチューンマンとウォーズマンのふたりは練習施設のミーティングルームを使い、対策会議を行っていた。

 

 長机につき、腕組みをするネプチューンマン。

 ホワイトボードの前に立ち、マジックペンを持つウォーズマン。

 

 冗談のような構図ではあるが、会議の内容は大真面目。

 最大の標的である時間超人に対しどう立ち向かうか……ぶっつけ本番というわけにはいかない。

 歳を重ね老獪になったふたりだからこそ、ロジカルに物事を進める必要があった。

 

「ネプチューンマンが体験した前回の“究極の超人タッグ戦”、そして先日の“ザ・ナイトメアズ”vs“世界五大厄(ファイブディザスターズ)”戦……双方から得た情報を基に、オレのファイティング・コンピューターは時間超人の加速能力に対していくつかの対抗策を導き出した」

 

 ウォーズマンがホワイトボードにペンを走らせ、なにやら図解やら数式やらを書いていく。

 その中に一部、場違いとも思える文字列が記されていた。

 

「そのうちのひとつが“ひっつき虫作戦”だ」

 

 ひっつき虫。

 それは、動物の毛や鳥類の羽に絡みつくことで長距離移動を狙う虫……ではなく、植物の種子の俗称だ。

 ウォーズマンは時間超人の繰り出すアクセレレイションに対して、「ひっつき虫のようになろう」と言っている。

 

「通常、アクセレレイションは己の体のみをコンマ1秒先の世界へ移動させる技だが……ナイトメアズ戦でサンダーがアシュラマンの涅槃ツイストに固められていた際に使用した場面、サンダーはアクセレレイションで技から逃れようとしたが、どういうわけかアシュラマンまでもが一緒にコンマ1秒先の世界へ移動し……結果、阿修羅稲綱落としに切り返されることとなった」

 

 あれには観戦していたネプチューンマンも驚いた。

 当時の状況を振り返るに、アシュラマン自身も予期せぬ結果のようであったが……あれは偶然の産物なのだろうか?

 否、偶然などではない。ウォーズマンはそれを説明する。

 

「これはおそらく、アシュラマンが涅槃ツイストでサンダーの体にぴったり密着していたせいではないかと思われる」

 

 重要となるのは、ぴったり密着――そう、それこそひっつき虫のように。

 ネプチューンマンは顎に手を当て、フームと唸る。

 

「しかしウォーズマン、オレが体験した前回の“究極の超人タッグ戦”でも似たような場面はあったぞ。キッドがテキサス・クローバー・ホールドで固めたり、ロビンマスクがS・T・Fで固めた際は普通にアクセレレイションで逃げられていた」

 

 ネプチューンマンの疑問に答えるべく、ウォーズマンは語る。

 

「それは密着率が足りなかったのだろう。テキサス・クローバー・ホールドは背中側が、S・T・Fは両脚が離れてしまっているだろうからな。その点、アシュラマンの涅槃ツイストは6本の腕で相手をガッチリホールドし、さらに両脚まで絡める完璧な密着拷問技。もはやサンダーと一体となっていたと言っても過言ではないほど……それほどまで密着してしまえば、アクセレレイションが発動したとしても一緒にコンマ1秒先の世界へ移動できるのだと仮定する」

 

 世に関節技と呼べるものは多くあるが、どれもある程度は隙間を作るもの。

 完全に密着してしまっては技としてはどうしても不格好になってしまい、威力も削がれてしまうためだ。

 その点、6本の腕を持つアシュラマンならば技の威力を落とさず密着率を高めることが可能。

 涅槃ツイストによるアクセレレイション破りは偶然によるものだったかもしれないが、おかげで能力のメカニズムをあばくきっかけとなった。

 

「なるほど……頷ける仮説だ。それならロビンのタワーブリッジやバリアフリーマンの楢山バックブリーカーではダメだった理屈にも合う。考えてみりゃ、厳格に時間超人だけしかアクセレレイションできないっていうんならやつらの身につけているコスチュームはどうなるって話だしな。密着率という条件で判定されているなら、試合中でもアシュラマンの涅槃ツイストレベルの関節技なら通じそうだな……」

 

 アシュラマンとウォーズマンがいなければたどり着けなかった答えだ。

 今回の“究極の超人タッグ戦”でこのふたりを味方につけられたのは大きい。

 ネプチューンマンは仲間のありがたみを感じつつ、ニッと微笑む。

 

「それで“ひっつき虫作戦”か」

「ああ。いい名前だろう?」

 

 ウォーズマンが考案したこの作戦名……不思議と胸に響くものがある。

 ザ・ナイトメアズの奮戦に報いるためにも、そのときが来たならば必ず成功させる――と、ネプチューンマンは意気込むのだった。

 

 

 ◇

 

 

 これが“新星(ノヴァ)・ネオ・イクスパンションズ”のひっつき虫作戦。

 相手が肉体を消失させるその寸前、涅槃ツイストのように完全密着しアクセレレイションに相乗り、そこからのカウンターを狙う。

 

 ぶっつけ本番だったが、ひっつき虫作戦は大成功。

 ネプチューンマンはライトニングと共にアクセレレイションし、見事ヒップドロップによる反撃をくらわせた。

 

「ウォーズマン。おまえの考案したひっつき虫作戦は見事に成功したようだな。さすがは我が弟子だ」

「スパスィーバ、バラクーダ。しかしこれだけではアクセレレイションを完全攻略したとは言えない」

 

 師からの称賛を浴びながらも、ウォーズマンは気を緩めない。

 それはリング上のネプチューンマンも同じだった。

 

(ウォーズマンの言うとおりだ。ひっつき虫作戦では防御のためのアクセレレイションは破れても、攻撃のためのアクセレレイションは破れない。そもそも相手のアクセレレイションを阻止するためにいちいち密着する必要があるのでは、クロス・ボンバーのようなフィニッシャーも決められずジリ貧になるのが見えている。どこかでブレイクスルーが必要だ)

 

 ひっつき虫作戦は有効な対策だが、それひとつで完全攻略を成し遂げられるほど時間超人は甘くない。

 

(やつもそれがわかっているのか……)

 

 ネプチューンマンは眼前のライトニングを注視する。

 ヒップドロップによる肉体的なダメージは軽微。

 アクセレレイションを破られたことによる精神的なショックも薄いように思えた。

 

「余裕そうだな、ライトニング」

 

 ネプチューンマンが言うと、ライトニングは怪しげな笑みを纏う。

 

「ジョワ~~ッ、あたりまえだろう? よもやこれくらいでアクセレレイションを攻略したと思ってもらっては困る」

 

 虚勢とは思えない。

 ネプチューンマンは気を引き締め、ライトニングと相対する。

 

『さあ~~っ、リング上でしばし睨み合うネプチューンマンとライトニング! 先ほどの攻防は二回戦で行われた“ザ・ナイトメアズ”vs“世界五大厄”でアシュラマンが見せたアクセレレイション破りの再現のようにも思えましたが……我々にはどうやったか見当もつかない――っ! はたして対時間超人戦に一石を投じることになるのか否か――っ!?』

 

 流れはこちらに来ている――チャンスをさらに引き寄せるべく、バラクーダはぴしゃん!と鞭を叩きつけた。

 

「ネプチューンマンよ! ライトニングはおまえのアクセレレイション破りを警戒している! だからこそそれに固執するな! 持ち味を活かすのだ――っ!」

 

 まさか己がセコンドのアドバイスを受けながら闘うことになるとは。

 苦笑しながらも、ネプチューンマンは左腕を振り上げる。

 

「こういうことだな――っ。喧嘩(クォーラル)ボンバ――ッ!」

 

 自身が最も得意とする打撃技、左の豪腕ラリアットで攻め込むネプチューンマン。

 

「ジョワッ!」

 

 ライトニングはその場で開脚し、倒れ込むように身を沈める。

 

『ライトニング、お得意の蜘蛛のように這う姿勢で喧嘩ボンバーを回避――っ!』

 

 喧嘩ボンバーはライトニングの真上を通過。

 回避に成功したライトニングはそのまま蜘蛛のようにキャンバスの上を這い、リング端まで移動する。

 

『そしてトップロープに駆け上がっていく――っ!』

 

 ロープの反動を利用してムーンサルト気味に跳躍。

 ネプチューンマンに背中を見せながら、四肢を突き出した。

 

「フォーポイント・インパクト――ッ!」

 

 両腕と両足を背中越しに叩きつける、ライトニングならではの背面打撃技。

 奇抜なムーブから繰り出される4箇所同時攻撃を捌くのは非常に難しい。

 が――この技は“前回”を含め、何度も見てきた。今さら虚を突かれるということもなかった。

 

「その技の死角は知っている――っ」

 

“前回”の直接対決では実際に破ってもいる技だ。

 ネプチューンマンは恐れず怯まず、右脚を振り上げる。

 

『ネプチューンマン、素早いミドルキックでライトニングの側面からぶっ叩いた――っ』

 

 ネプチューンマンに蹴り飛ばされたライトニングの体が向かう先は、リングロープ。

 あわや場外というところをロープに救われ、再びリング内へ。

 

『ライトニング、ロープまでぶっ飛び……リバウンドで跳ね返る――っ』

 

 勢いを殺せず、宙を浮くライトニング。

 それを胸を張って悠然と待つネプチューンマン。

 次の瞬間――“グサッ”という痛々しい音が鳴り響いた。

 

『あ――っとネプチューンマンの体の6つの鉄鋲にライトニングの背中が突き刺さった――っ』

 

 ロープで跳ね返ったライトニングの体は、ネプチューンマンの着る鉄鋲ベストに突き刺さることで停止した。

 もちろん助けたわけでもないし、鉄鋲突き刺しによる刺傷が狙いというわけでもない。

 ネプチューンマンの狙いはここから繋がる大技――次なる段階に移行すべく、ライトニングを鉄鋲で固定したまま両太腿を掴んで持ち上げる。

 

「くらえ――っ!」

 

 その状態からさらに後ろへ反り投げれば、喧嘩ボンバー、喧嘩(クォーラル)スペシャルと並ぶネプチューンマンの代名詞的必殺技(フェイバリット)が完成する。

 名は――

 

「ダブルレッグ・スープレックス――ッ!」

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