ネプチューンマン・リビルド “究極の超人タッグ編Ⅱ”   作:速筆魔王LX

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第081話 完全攻略!?息をつかせぬ快進撃!!

『きまった――っ! ネプチューンマンの喧嘩(クォーラル)ボンバーに並ぶもうひとつの必殺技(フェイバリット)“ダブルレッグ・スープレックス”が今、ライトニングの脳天をキャンバスに突き刺した――っ!』

 

 ダブルレッグ・スープレックス。

 相手の両脚を持って反り投げるこの技は、動きの幅が大きい分他のスープレックス技と比べても高威力。

 とりわけネプチューンマンが繰り出すこれはベストに仕込んだ鉄鋲で相手の背中を突き刺しロックするため破壊力は絶大だ。

 

 過去には一撃でウォーズマンの仮面を剥がし、手負いだったとはいえサンシャインを絶命させたほどの必殺技。

 いくら時間超人ライトニングといえど、まともにくらえばKOも十分考えられる。

 

「こ、これがネプチューンマンのダブルレッグ・スープレックス……アクセレレイションを発動する暇もない、電光石火の早業だった……」

 

 ライトニングは苦しげな表情を浮かべながら、ダブルレッグ・スープレックスの威力を認める。

 

「が、しかし……この一撃が決定打になるなどと思ってもらっては困る――っ!」

 

 叩きつけられた頭部を軸にし、コマのように回転。

 ネプチューンマンを蹴散らしながら、頭で飛び跳ねるように立ち上がった。

 

『あ――っとライトニング、難なく立ち上がった! アクセレレイションでの回避がかなわずとも、その耐久力は並じゃないぞ――っ!』

 

「ヌワヌワ、あたりまえよぉ。オレたちは全超人の頂点に立つべき種族、時間超人。素のスペックの時点で出来が違うのだ」

 

 相棒のタフネスを誇らしげに語るサンダー。

 タフなのはこのサンダーも同じ。エプロンに引っ込んでいる内にだいぶダメージを回復させたようだ。

 またコンビネーションを発揮されても厄介……このふたりを倒すためには、どちらか一方を集中狙いするのが好ましい。

 

「交代だネプチューンマン。次はオレがライトニングの相手をする」

「任せたぜウォーズマン」

 

 視線だけで思惑を共有する“新星(ノヴァ)・ネオ・イクスパンションズ”。

 今のライトニングにはネプチューンマンの打撃技がたっぷり効いているはずだ。

 ならば次はウォーズマンがサブミッションによる関節破壊やベア・クローによる一撃必殺を狙う。

 

「コーホー」

 

『さあ~~っ、新星・ネオ・イクスパンションズはネプチューンマンに代わってウォーズマンがリングインだ――っ』

 

 機械的な呼吸音を発しながら近づいてくるウォーズマンに、ライトニングは表情を強張らせた。

 

「おもしろい。“ファイティング・コンピューター”ウォーズマンが相手ならオレはこれでいくぜ……“煮えたぎる鎌(ボイリングシックル)”!」

 

 ライトニングが右腕に装備する篭手から鋭利な鎌が飛び出す。

 それを見て、ウォーズマンも右手を構えた。

 

「ベア・クロー!」

 

 サンダーにもお見舞いした必殺の凶器を展開する。

 

『ライトニングにウォーズマン、互いに鎌と爪を出し合い向かっていく――っ!』

 

 駆けながら両者同じタイミングで右腕を振った。

 

「ジョワ――ッ!」

「コーホ――ッ!」

 

『すれ違いざまに金属音! 切れ味も強度もまったくの互角か――っ!?』

 

 刃が爪を、爪が刃を弾き、双方ノーダメージ。

 次の一手を仕掛けるべく、ライトニングが動く。

 

「ならばこれにはどう対抗する――っ」

 

『ライトニング、ロープ最上段に駆け上がり……ロープの反動を利用して大きくジャンプ――ッ!』

 

 ライトニングの得意とするトップロープを使ったダイナミックジャンプ。

 同時に左腕の篭手からボイリングシックルを再展開する。

 

『上空からウォーズマンめがけて左の鎌を前に出し降下していく――っ!』

 

 高所からの攻撃はたしかに恐ろしいが、どうしても直線的な軌道になってしまうのが難点である。

 

「見え透いた攻撃だ。こんなもの、オレのファイティング・コンピューターならば着地点を的確に割り出し回避も反撃も容易!」

 

 ウォーズマンは慌てず騒がず、最適な対処を試みる。

 しかし――

 

「アクセレレイション!」

 

 ライトニングは攻撃途中で加速能力を発動。

 空中で肉体を消失させる。

 

『あ――っとライトニングの体が降下途中で溶け消えた――っ!』

 

「しまった。上からの攻撃はブラフか」

 

 アクセレレイションは相手の技から抜け出すためだけのものではない。

 攻撃に用いることで相手の防御タイミングを崩す、または死角に潜り込んで急所を狙うなど、技のクオリティを高めることが可能なのだ。

 

「ラ、ライトニングはどこから……」

 

 消えた相手を探し、ウォーズマンはキョロキョロと顔を動かす。

 動揺した素振りを見せつつも、左手からベア・クローを展開。

 右と左の二刀流となり、爪と爪を重ね合わせて隙間を埋める。

 作り出されたそれは、小型の盾のようだった。

 

「ここだ――っ! クロー・ウォール!」

「ジョワッ!? なにぃ――っ!」

 

 ベア・クロー製の盾を後方左斜め45度の位置に持っていき、そこに出現したライトニングの鎌を防ぐ。

 

『ライトニングの出現箇所を読んでいたかウォーズマン! 両手のベアー・クローを重ね合わせた盾で“煮えたぎる鎌”の一撃を見事防いだ――っ!』

 

 クロー・ウォールで攻撃を弾かれ後ずさるライトニング。

 その顔は「なぜ出現位置がバレた!?」と言わんばかりに困惑していた。

 

「姿を消したからにはオレの死角となる位置をキープしたいだろう。そしておまえは左腕の鎌での攻撃を狙っていた。その条件を踏まえれば、おおよその出現箇所は絞れる。そう、このオレの精巧なコンピューターならな」

 

 ロボ超人としての強みを十全に活かす形でアクセレレイションを攻略してみせたウォーズマン。

 これもまた事前に打ち合わせをしていたアクセレレイション対策のひとつである。

 相次ぐ攻略手段を見せたことで一見“新星・ネオ・イクスパンションズ”有利な流れだが、エプロンサイドにいるネプチューンマンの表情は険しかった。

 

(ひっつき虫作戦に次ぐ第2のアクセレレイション対策。“ファイティング・コンピューター”ウォーズマンならではの精度の高い出現位置予測。しかしこれはオレには真似できんし、絶対の信頼がおけるほどのものでもない)

 

 ここまで上手くいってはいるが、ひっつき虫作戦にしても出現位置予測にしても条件が厳しいのもまた確か。

 相手の出方によっては容易に状況がひっくり返る……ネプチューンマンは注意深くリング上のライトニングを観察した。

 

「さすが百戦錬磨の伝説超人(レジェンド)。あの手この手といろいろ考えやがる。さてどうしたものか……」

 

 攻撃の手を止めつつも、ライトニングに切羽詰まったような様子はない。

 どう攻めるか……と考えを巡らせるライトニングの後方に、相方たる巨漢が躍り出る。

 

「そろそろオレがいくぜ、兄弟」

「サンダー」

 

 ロープ越しに手を伸ばすサンダー。

 胸元はまだ血まみれだが、あらぬ方向に曲がっていた右腕は元通りになっていた。

 

「外された肩も元に戻った。機械野郎に獅子の尊厳ってやつを思い知らせてやる」

 

 相棒の意気を感じ、ライトニングは差し出された手を叩く。

 タッチ交代が成立し、“世界五大厄(ファイブディザスターズ)”が入れ替わった。

 

『ここで逆襲に燃えるサンダーがリングインだ――っ!』

 

 サンダーはウォーズマンを睨み、開戦直後より数段研ぎ澄まされた殺気を放つ。

 

「おもしろい。また手玉に取ってやるぜ」

 

 若手超人なら怖気づいてしまいそうだが、ウォーズマンは臆することなく立ち向かう。

 

「気をつけろよウォーズマン! 手負いの獣ほど恐ろしいものはない!」

「了解だ、バラクーダ」

 

 セコンドから助言を受け取りつつ、先に動き出したサンダーに備えた。

 

『サンダー、ビッグブーツで強襲する――っ!』

 

 右脚を前に突き出しての蹴りがウォーズマンを狙う。

 ウォーズマンは足から滑り込むようにしてそれを躱す。

 

『ウォーズマン、それをスライディングで躱し軸足を取った!』

 

 巨体を一本で支える左足を掬う。

 サンダーはそのまま転倒。

 ウォーズマンは引き続き左足を掴み、足首をひねる。

 

『サンダーの巨体を転がしアンクル・ロックを仕掛けた――っ!』

 

 超人の体重を支える要、足首をあらぬ方向に捻じ曲げるアンクル・ロック。

 どれだけの巨漢、どれだけのタフガイであろうと、その関節強度は変わらない。

 

「そうだ~~っ! どんな巨漢の超人でも寝かせてしまえば体格差は関係ない!」

 

 弟子の見せる美技に熱狂するバラクーダ。

 21世紀ウォーズマンのテクニックならこのまま足首を破壊することなど造作もないはずだ。

 

「ヌワ~~ッ!」

 

 サンダー自身もそれがわかっているのか、多少のダメージを覚悟で早急に技を外そうと動く。

 

『しかしなおもパワーでねじ伏せるサンダー! 強引にアンクル・ロックを振りほどいた――っ!』

 

 掴まれていた脚を使ってウォーズマンを蹴り飛ばす。

 そこから反撃のために立ち上がろうとするが、そのための脚がガクッと折れる。

 

『お――っとアンクル・ロックが効いているか!? サンダー、立ち上がろうとするもヒザをついた――っ』

 

 足首を痛めつけられてはさすがのサンダーもすぐには立ち上がれない。

 数秒間その巨体が停止し、ウォーズマンが追撃に移る。

 

『一方のウォーズマン、空中で回転し……』

 

 背後からサンダーの背中に組みつき、続けざまに両足で首を挟む。

 そこを支点に全身をグルグルと回転、相手の首に最大限の負荷をかけながら、再び背後に躍り出た。

 

「シベリアン振り子落とし――っ!」

 

 背中側より左腕を引きながら巨体を倒すことで、脇固めが完成する。

 

『最後は脇固めでサンダーをキャンバスに組み伏す――っ!』

 

 ズズン!とリングが揺れ、ウォーズマンは反撃を避けるため即座に飛び退いた。

 だがサンダーはそんな警戒が不要なほどわかりやすく表情を歪め、左腕を庇う。

 

『サンダー、今度は左腕を痛めたか――っ』

 

 あの悪行・時間超人がつらそうな表情を隠さない、いや隠せない。

 そんな状態を強いたウォーズマンの実力に、バラクーダはただただ感嘆する。

 

「“土たまりて山となり”……“水たまりて潤となり”……“技たまりて才となる”。このバラクーダの叩き込んだ関節技の極意は、34年の年月を経てさらに磨き上げられている」

 

 この21世紀ウォーズマンなら、きっと怨敵時間超人を成敗してくれる。

 愛する妻や息子の命を救い、正義超人界の安寧を守ってくれるという、確かな実感が押し寄せてきた。

 

「よし、ここだウォーズマン!」

「イエッサー!」

 

 指示を出す声も上擦るというもの。

 ウォーズマンもまた、バラクーダの期待に応えるべくスピーディに次の技へ移行。

 身動きの取れないサンダーの後ろに回り込み、なんとか立ち上がったその両脚に自らの両脚を差し入れロック。

 散々痛めつけられ動かすのもつらいであろう両腕を掴み、上方に引っ張り上げながら前傾姿勢になるよう倒していく。

 

「パロ・スペシャル――ッ!」

 

『ウォーズマン、再びサンダーをパロ・スペシャルに極めた――っ!』

 

 試合最序盤にも見せたウォーズマンの必殺技パロ・スペシャル。

 既視感のある光景に観客が沸き、ウォーズマンは強く言い放つ。

 

「今度のパロ・スペシャルは罠ではない! サンダー……おまえをKOするため、MAXパワーで極めさせてもらう!」

 

 ダメージは十分に蓄積させた。

 たとえ今大会随一のパワーファイターが相手であろうと、このパロ・スペシャルは容易に振りほどけるものではない。

 しかし、サンダーには先ほどは見せなかった奥の手がある。

 

「バカめ~~っ。これはクマ公をおびき寄せるための撒き餌よ」

 

 そう言って、歯を強く噛みしめる。

 否、噛みしめるのは口腔内にセットしたエヴォリューションマウスピースだ。

 

「アクセレレイション!」

 

 額の鍵穴のような傷跡から黒い煙、エキゾチック物質が噴出する。

 

『あ――っとサンダーの体が溶け出していくぞ――っ』

 

 先ほどは力尽くでパロ・スペシャルを外してみせたが、今度はアクセレレイションを使う。

 これならばあえて力を緩めて肩を外すなどという小細工は通用しない。

 だがウォーズマンにとってこの切り返し技は望むところ。

 

「そうくるならば!」

 

 サンダーの狙いを察し、ウォーズマンは相手の手首を離した。

 

『ウォーズマン、サンダーの背中にがっちり組みつき一緒にコンマ1秒先の世界へと移動しようとしている――っ』

 

 パロ・スペシャルからネプチューンマンがライトニング相手に成功させたひっつき虫作戦へと移行。

 サンダーと共にウォーズマンの体も溶け出し、その場から消失しようとしていた。

 

「ついてこれるか、オレの加速能力に!」

 

 パートナーがやり返された事実を踏まえながら、それでもサンダーは強気な言葉を残す。

 そして――

 

『さあウォーズマン、サンダーのアクセレレイションに乗って同時に消えた――っ!』

 

 リング上から超人がいなくなる。

 しかしそれも数秒のこと。すぐに両者は姿を現すだろう。

 

「サンダーとウォーズマンはどこに……」

 

 問題はどこに出現するかだ。

 客席のキン肉マンはウォーキューブ内の至る所に視線を巡らせ、両者が出現する瞬間を目視しようとする。

 

『あ――っとリング上空にウォーズマンとサンダーの体が現れたぞ――っ』

 

 実況が知らせ、観衆の注目がそこに集まった。

 リング上空、ウォーキューブの天井付近。

 そこに現れたウォーズマンは、逆さの体勢になったサンダーの首を肩に載せ、両大腿部を掴む形でクラッチしている。

 

「おお! ウォーズマンのやつ、サンダーをキン肉バスターの形に固めておるぞ!」

 

 キン肉マンが過去の対戦を思い出しながら拳を振り上げた。

 キン肉バスターといえば、超人オリンピックの舞台でウォーズマンがキン肉マンにくらったフィニッシュ・ホールド。

 彼としては嫌な思い出があるであろう技を自ら使うとは、やってくれる。

 

「よし! ウォーズマンも“ひっつき虫作戦”成功だ!」

 

 ウォーキューブ内のネプチューンマンもまたキン肉マンと同様に拳を振り上げる。

 ひっつき虫作戦の利点はやはりカウンターが狙えること。

 先ほどのネプチューンマンは平凡なヒップドロップで終わったが、ウォーズマンが仕掛けたキン肉バスターならば威力も申し分ない。

 このままKOも狙える見事なセットアップだったが――

 

「アクセレレイションイグニッション!」

 

 技にかけられているサンダーが叫び、突然体から炎が上がった。

 

『なんとサンダーの全身が炎に包まれている――っ!』

 

 キン肉バスターに炎属性など付いていないし、いくらウォーズマンといえど火炎放射器は装備していない。

 つまりこの発火現象はサンダーの手によるもの。

 本人が術理を説明する。

 

「簡単なこと。アクセレレイションのスピードを少し上げただけだ。そのときに外界とオレさまの体に摩擦が生じて発火……イグニッションしたってわけよ~~っ。これもオレたち悪行・時間超人だけがなせる芸当~~っ」

 

 つまるところ摩擦熱による発火。サンダーはそれを加速能力で起こしたのである。

 一見自爆行為にも思えるが、サンダーは体を炎に包まれながらもまるで堪えていない様子。

 むしろサンダーをキン肉バスターに捕らえているウォーズマンのほうが苦しげだ。

 

「ジョワジョワ。“ひっつき虫作戦”でオレたちのアクセレレイションに乗って移動できたまでは良かったが、最後はその身を焼かれる運命にあったのだ~~っ」

 

 エプロンに控えているライトニングがロボ超人の奮闘を嘲笑う。

 機械のボディに熱はご法度。ウォーズマンは悲鳴を上げる。

 

「ぐわあ~~っ」

 

『ウォーズマン、さすがに燃え盛るサンダーをキン肉バスターに捕らえるのは厳しいか!?』

 

 それでもなんとか、と技の形を維持しようとするウォーズマン。

 友の技を見て、キン肉マンは声を荒げた。

 

「ダメだ――っ、ウォーズマン! それではキン肉バスターは決まらない!」

 

 ウォーズマンのホールド力が弱ったのを鑑み、サンダーが反撃に踏み切る。

 上から下へ真っ直ぐ落ちていくキン肉バスターに横方向の力を加え、強引に半回転。

 技の掛け手と受けての上下の位置を入れ替える。

 そう――まるで数字の6を9にするかのごとく。

 

「受けろ――っ、おまえにとって悪しき思い出のあるこの技を」

 

 キン肉バスターを上下にひっくり返せば、見事なまでに攻守が逆転するのだ。

 サンダーはウォーズマンの首を肩に載せ、両大腿部を掴んでそのままキャンバスへ着地する。

 

「リベンジバスタ――ッ!」

 

 時間超人流キン肉バスターが“ファイティング・コンピューター”に炸裂。

 ウォーズマンの首、背中、腰骨、左右の大腿骨に多大なるダメージを与えた。

 

『サンダー、バッファローマンが考案した6を9にするキン肉バスター返しでウォーズマンにリベンジ達成――っ!』

 

 サンダーがウォーズマンを解き放ち、漆黒のボディは純白のキャンバスに沈んだ。

 必殺技が決まった。通常ならダウンカウントを待つところだが、時間超人はそうあまくない。

 

「さあ~~っ! そろそろ見せてやるとするか! オレたち世界五大厄のツープラトンを――っ!」

 

 ダウンしたウォーズマンの首と腰を持ち、逆さまに担ぎ上げる。

 

『さすがの怪力サンダー! ウォーズマンをブレーンバスターの体勢に持ち上げた――っ』

 

 技に入る前、サンダーはツープラトンと口にした。

 相棒の要求を速やかに察し、ライトニングが飛ぶ。

 

「ジョワ――ッ!」

 

 鮮やかな跳躍でウォーズマンの真上に到達。

 その両足首を掴んだ。

 

『あ――っとここでライトニングがウォーズマンの足首を持ったまま倒立――っ』

 

 絶妙なバランス感覚でもって逆立ちするライトニング。

 曲芸のような構図で、しかしサンダーはそのままブレーンバスターを落とした。

 ウォーズマンの脳天がキャンバスに激突する直前、ライトニングは足首を掴んでいた腕を開き、必然的に両脚も開く。

 

「股裂きブレーンバスタ――ッ!」

 

『サンダーがブレーンバスターでウォーズマンの脳天をキャンバスに突き刺し、同時にライトニングがウォーズマンの脚を開脚させる拷問技――っ!』

 

 リベンジバスターで痛めつけられていたところに、追い打ちの首折りと股裂き。

 ウォーズマンは開脚したままの不格好な姿勢でダウンした。

 

「ググ――ッ」

 

 しかしここで倒れるわけにはいかない、とダウンカウントが始まる前に身を起こす。

 

『ウォーズマン、すぐに立ち上がったぞ――っ』

 

 すぐさまファイティングポーズを取り健在を示すが、“世界五大厄”のふたりは鼻で笑った。

 

「ヌワ~~ッ、我ら時間超人に効いてませんアピールは無駄というもの」

「ジョワ~~ッ、強がりは体に毒だぜ!」

 

 それぞれ左右に分かれてウォーズマンを挟み込む。

 ライトニングは左から、サンダーは右から、ウォーズマンに飛びかかり両足で首を挟み込む。

 同時に左腕と右腕を分断して掴み、左右のバランスが釣り合うよう体重をかけていった。

 ウォーズマンの頸動脈が圧迫され、一瞬で意識をシャットダウンさせる。

 

「雷三角絞め――っ!」

 

『なんと世界五大厄、ツープラトンの三角絞めを披露した――っ!』

 

 左右でふたりがかりの三角絞め。

 かつてトーナメント・マウンテンの頂上で“世界五大厄”のふたりがロビンマスクを絞め落とした技だ。

 そして今、今度はロビンマスクの弟子であるウォーズマンがその餌食となる。

 

「お……落ちた! ウォーズマンが!」

 

 キン肉マンが嘆きの声をあげる。

 キン肉バスター失敗から続く一連の悪い流れは、ついに試合開始からずっと好調だったウォーズマンを失神させるまでに至ったのだ。

 

「ようし、とどめだ――っ」

 

 失われた歴史では、ここからさらなるツープラトンに繋げることでロビンマスクの抹殺を成功させた“世界五大厄”。

 ウォーズマンにもその連携を行うべく、サンダーが胴に腕を回して抱える。

 

『サンダー、意識を失ったウォーズマンを捕らえブリッジの体勢になる――っ』

 

 両足を上に向けた逆さま姿勢でブリッジすることにより、意識を失っているウォーズマンの脚そのものが橋脚となる。

 それは反対側の橋脚……サンダーの脚と組み合わせることで抜群の安定感を得るのだ。

 

『ライトニングはそのサンダーのヒザの上で倒立……ピンと伸ばした両脚を時計の長針の形に変形させていくぞ――っ』

 

 人呼んでニードル・レッグ。

 ライトニングが作り上げた時計の針は現在真上、12時を指している。

 そして真下……6時の位置には、ブリッジで捕らえたウォーズマンの無防備な胸元が晒されている。

 

「あ、あ……ああ~~っ! そ、それはいかんぞ――っ!」

 

 間引きバトルロイヤル、それに病室のモニターで見た“ザ・ナイトメアズ”戦の記憶を思い出し、キン肉マンが友の危機を訴える。

 相手から抵抗する力を奪ったところで、確実に心臓を突き刺し絶命させるこのツープラトンこそ、“世界五大厄”のフィニッシュ・ストローク。

“前回”も含め、ロビンマスクにブロッケンJr、ネプチューンマン、イリューヒン、バリアフリーマン、そしてアシュラマンなど名だたる超人たちを仕留めてきたこの技の名は――

 

「“死時計の刻印(デスウォッチ・ブランディング)”――ッ!」

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