ベル・クラネル人生上映会   作:如月悠

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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

モニターに映し出されたのは、ダンジョンであり、ミノタウロスから逃げ回る1人の少年。

ベル・クラネルの姿だ。

 

『ヴヴォオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

『ほわぁあああああああああああああああ!』

 

ダンジョン上層にミノタウロスがいるというイレギュラー、それはロキ・ファミリアの面々はよく知っているものだった。

 

「あ……」

 

そして、当然のごとくモニターを見ていた当事者であるアイズは思い出した。何があったのか、どんな出会いをしたのかを。

 

『ヴゥンムゥッ!!』

 

『であっ!?』

 

背後からのミノタウロスの攻撃は当たることは無かったものの、足場を不安定にさせ、ダンジョンの床にゴロゴロと転がっていく。

 

『フゥー、フゥーッ……!?』

 

『うわわわわわわわわわっ……!?』

 

尻を床に落とし、迫りよる歯が立たない強敵を目の前にし、惨めにも後退りをした。そして、画面の中のベルは行き止まりに当たった。

そして、ミノタウロスがその蹄を振りかぶる。

 

「ベル様!!」

 

リリルカは見ていられなかったのか、ドンッて立ち上がる。まあ、これでも生きてることを知っているので、死ぬとは思っていないが、ハラハラしているのだ。フレイヤ・ファミリアとロキ・ファミリアを除いて。次の瞬間、その怪物(モンスター)の胴体に一線が走った。

 

『え?』

 

『ヴぉ?』

 

間抜けな声が二つ。

そして、ミノタウロスに走った線は厚い胸部、振りかぶっていた腕、大腿部、下肢、肩、口、そして首と連続して切り刻まれる。

やがて、ミノタウロスがただの肉塊へとなる。

 

『グブゥ!?ヴゥ、ヴゥモオオオオオオオオオオオオオオォ──!?』

 

断末魔が響き渡る。

ミノタウロスは血飛沫を上げ、一気に崩れた。唖然と、時を止めて、眼前を疑った。

 

『大丈夫ですか?』

 

呑気にそんなことを言うのは、ミノタウロスを倒した張本人にして、逃がした張本人、金髪長髪の美少女、アイズ・ヴァレンシュタインだった。

 

「チッ!」

 

まあ、彼女がでてきた瞬間、大きめの舌打ちが聞こえたが。というか、彼女と出会った白兎(ベル)をみて、大体の顔が変わる。

 

『うああああああああああああああああああ!!』

 

そして、モニターの中では、ベルは逃げ、アイズが手を伸ばしかけたところで、ベートが登場する。

 

「ベートの言っていたトマト野郎っていうのはこれか……」

 

「全く、私にはこれで笑える理由がわからん。アイツの神経はどうなっている。」

 

「聞こえてんぞババア!!」

 

「おい喋るな。リヴェリア様、よろしければこの駄犬の調教を──」

 

「うるせぇ、黙れ!」

 

なんて、バチバチな外野。特にハイエルフへの冒涜をエルフであるヘディンが見逃す訳もなく、今にも戦いが始まりそうな予感がする。

 

「やめろ、お前たち!【白妖の魔杖(ヒルドスレイブ)】黙ってくれ!」

 

「!……申し訳ありません。」

 

「チッ。」

 

まあ、そんなこんなで場面は変わり、ダンジョンの上、オラリオが映し出される。そして、そこを血まみれで走り抜ける、1人の少年。それをみて、くすくす笑っている民衆。

 

『エイナさぁあああああああああんっ!!』

 

ギルドの受付嬢の名前を呼びながら走る少年、ベルの声を聞いたのか、振り返るエイナ。

 

『ん?』

 

そして、微笑み……だったはずなのが。

 

『アイズ・ヴァレンシュタインさんのこと教えてくださぁあああああああいっ!!』

 

『きゃあああああああ!!!?』

 

血まみれで走り抜けるベルをみて、悲鳴をあげるエイナ。そして、アイズはそれを見て、なんもと言えない顔をしていた。

 

「少し……恥ずかしい……かも?」

 

「ぐぬぬ、あのヒューマンめぇ……!!アイズさんに恥をかかせるなんてぇ。」

 

なんて殺意を抱くレフィーヤ。そして、ティオナとティオネは苦い顔をしている。

 

『ベルくん、君ねぇ、血塗れで都市を爆走って、シャワーくらい浴びてきなさいよ……』

 

なんてしている間に、ベルはギルド内でシャワーを借り、血を落とし、アドバイザーであるエイナに怒られていた。(もちろん、シャワーシーンは……カットせざるおえなかった!!)

 

『すみません……』

 

『あんな生臭くてゾッとしない格好のまま、ダンジョンから街まで突っ切ってきちゃうなんて、私少し君の神経疑っちゃうなぁ。』

 

もちろん、ごもっともであるから、ここでなにかごちゃごちゃ言うものはいない。というか、普通はしない。

 

『そ、そんなぁ』

 

『それで、アイズ・ヴァレンシュタイン氏、の情報だったっけ?どうしてまた?』

 

なんて、話は進んでいく。

 

「くぅー!!!ヴァレン何某ーー!!」

 

「声が大きいんですよ!ヘスティア様!少し静かにしてください!」

 

「お前も充分大きいだろ!リリ助!」

 

「皆さんお静かに!」

 

なんて、騒ぎ立てまくるヘスティア・ファミリア。そして、フレイヤ・ファミリアは女神の邪魔をしないよう、静かにみていた。

 

「……妬いちゃうわ」

 

何故か、フレイヤの姿でおきたフレイヤは、ベルに恋をしたものとして、対等に喋るエイナが少し羨ましかった。まあ、もうモニターの中でも手遅れだが。

 

『──もぉ、どうして君は私の言いつけを守らないの!ただでさえソロでダンジョンに潜ってるんだから、不用意に下の階層へ行っちゃダメ!冒険なんかしちゃいけないっていつも口を酸っぱくして言ってるでしょう!?』

 

なんて声が響く。そして、過去暴れに暴れ、先へ先へと進まんでいたアイズにぐさり刺さった。その時リヴェリアは思った。あの時にエイナが居てくれたら、アイズはもっと違ったのだろうかと。

 

「(エイナに迷惑をかけるだけか)」

 

変わるとは到底思えなかった。そんな幻想。実際今は良くなっているが、昔のアイズは酷かった。

 

『はぁ……君は何だかダンジョンに変な夢を見ているみたいだけど、今日だってそれが原因なんじゃないの?』

 

『あ、はは……』

 

図星であることは、一部始終見ていないもの達にさえ分かった。

 

「ちっ」

 

「あはは……」

 

「ベル……」

 

なんて男性陣からは憐れ?な目で見られ。

 

「ベルくんの浮気者ーー!」

 

「これだから、ベル様はぁ!」

 

「きゅう───」

 

「ベル」

 

なんて主にヘスティア・ファミリアからきつい目で見られている。最も、ここにベルは居ないのだがな。

 

『う〜ん……ギルドとして冒険者の情報を漏らすのはご法度なんだけど……』

 

『教えられるのは公然となっていることだけだよ?』と前置きをして、エイナは喋る。

 

「……恥ずかしい。」

 

自分の前で、自分の話をされるのはむず痒かった。

 

『本名は知ってると思うけど、アイズ・ヴァレンシュタイン【ロキ・ファミリア】の中核を担う剣士。剣の腕は間違いなくトップクラス。たった一人でLv.5相当のモンスターの大群を殲滅させたこともあり、冒険者の間でついたもうひとつの称号が【戦姫】。神々の間でもその名は知れ渡っており、『アイズたんまじ無双』とまで称賛されてらしい。ちなみに下心を持って近づいてくる異性は軒並み玉砕、あるいは粉砕。』

 

「さすがやで!アイズたんー!」

 

と抱きつこうとしたら。剣が顔に刺さり、カオナシみたいになったロキ。

 

「なるほど、これが粉砕なのですか」

 

「絶対に違うよ、リオン!?」

 

それが、さっき言っていた玉砕、粉砕なのかと納得しかけたクーデレポンコツエルフにツッコミを入れるのはアーディだ。

 

『え〜と、あと何があったかなぁ。あの容姿であの強さだから話題が尽きないんだよねぇ。』

 

『あ、あの……冒険者としてじゃなくて、趣味とか、食べ物とか……後は今言った最後みたいな情報を……』

 

モジモジしながら話すベル。そして、殺意を覚える

 

「屑、年上を魅了する害虫!!やはり消しておくべきだった!あの仕草が、言葉が、瞳が全てを惑わす!!」

 

「黙れ」

 

いつものスーパーやんでれモードに入ったヘルンに向かって、一人の女の声が響く。

 

「全く……静かに鑑賞することも出来んのか?」

 

「なっ!?」

 

「なぜ、お前が、いやお前たちがここにいる!?」

 

「静かにしろ、クソガキ。機嫌を損ねて、死にたいのか。」

 

そして、その二人には、一部のもの達は面識があった。というか、苦い思い出がある。

 

「あら、久しぶりね!アルフィア!老けた?」

 

「殺されたいのか?」

 

「おい、旧友に話しかけるように話すな!というかしれっとディスってんじゃねえ!バカ!」

 

「なぜいる!【静寂】のアルフィアに【暴食】のザルド!!」

 

「知らん、聞くならさっき喋っていたやつに聞け。」

 

「同意見だ。」

 

まあ、その通りだろう。ここにいる全員が勝手に連れてこられたんだから。

 

『エイナさん、大好きー!!』

 

「あぁ?」

 

その時、モニターに流れた映像に、声に、アルフィアは殺意を覚えた。とんでもない程怖い顔をしたアルフィア。

 

「おい、落ち着けよ。」

 

「落ち着いていられると思うのか?」

 

「これっっっっっっっっぽっちも。」

 

「──【福音(ゴスペル)】」

 

一部を巻き添えに、ザルドが吹き飛んだ。そして、ちゃんとその中にはアリーゼもいた。

 

「なんで、私も……」

 

「だまれ……アルフィアを刺激するな……」

 

無効化魔法(シティウム・エデン)を解いたアルフィアの魔法にザルドとアリーゼ、アレンは死にかけていた。

 

「静かにしろ、有象無象。」

 

なんて言いながら、続けを見るアルフィア。

理不尽すぎて、もう何も言えなくなっていた。

 

『露店の売り上げに貢献したということで、大量のじゃが丸くんを頂戴したんだ!夕飯はパーティだ!ふふっ、今日は君を寝かさないぜ!』

 

モニターの中では、じゃが丸くんぱーてぃをしていたというのに。

 

「ねぇアルフィア!!」

 

「だまれ」

 

「貴方もあの兎っぽいトマト野郎くんと関係ってあるの?」

 

「だまれ、殺すぞ」

 

「私達は曖昧なのよね!!ふっふーん!でも、何処か懐かしいと言うかぁ……うーん。」

 

五月蝿い(ゴスペル)

 

また吹き飛ばされるアリーゼ。呆れてみているアストレア・ファミリア。

 

「はぁ……」

 

ライラなんて、モウドウニデモナレーって顔をしているのだ。なんだコイツ。悟りを開いてやがる。

 

「……ベル。」

 

出会いを求め、理想と出会い、成長を重ねていく。正に英雄のように。メーテリアのような白髪は目に入れても痛くない。愛おしく感じてしまう。

 

「ふっふーん!私分かっちゃったわ!」

 

「……何がだ?」

 

「アルフィアは、あの子のこと」

 

と、区切りいう。

 

「好きなんでしょ!バチコーン☆」

 

【祝福の禍根、生誕の呪い、半身喰らいし我が身の原罪】【(みそぎ)はなく。浄化はなく。救いはなく。鳴り響く天の音色こそ私の罪】【神々の喇叭(らっぱ)、精霊の竪琴(たてごと)、光の旋律、すなわち罪禍の烙印】【箱庭に愛されし我が運命(いのち)よ砕け散れ。私は貴様(おまえ)を憎んでいる!】【代償はここに。罪の証をもって万物(すべて)を滅す】【哭け、聖鐘楼】

 

「ジェノス・アンジェラス」

 

超高速詠唱による、アリーゼの死亡。

 

「ヘンジガナイ。タダノシカバネのようだ。」

 

なんて、ロキがふざけているが、無視をする。というかアリーゼがあんなのは自業自得なのだ。

 

「全く……ヘスティアか……」

 

まあ、いい神そうで良かったとまずは安堵した。というか、フレイヤのところだったらフレイヤを送還していた。

 

「そうか……お前が……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「良かった。私達(俺達)の、忘れ形見(置き土産)。」」

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