黒羊と炉心溶融の円舞曲   作:アベルシアロン

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ゼロの執行人です。長くなりそうな予感。
やっと、原作と絡められる……!色々伏線詰め込みすぎたせいで思ったより前置きが長くなりました。
公安のお仕事については完全に捏造です。


形式変えてみました。多少読みやすくなったかな。


コモドール・コードゼロ

警察庁警備企画課は上へ下への大騒ぎだった。エッジ・オブ・オーシャンの国際会議場が爆破され、死人が出ている。総合情報分析室も例外ではなく、全員が忙殺されていた。

 

「何も考えずメディアに防カメ映像流しやがって」

「藤木、いつも以上に元気な舌回ししてるな」

 

僕と藤木はメディアに流された防犯カメラの映像の確認をしている。情報の分析は僕達の仕事だ。メディアに回されていた分を急いで確認していく。少しでも気になる事を見逃さないのが、防犯カメラ映像確認のコツだ。早送りはせずに、身構えないで遠くから画面を見る。視野は広い方が良い。煙の中に人影を見つけた。

 

 

ムロくんだ。

 

 

画質が悪いが、僕がムロくんの姿を見間違えるはずがない。ムロくんの事は模倣できるくらいにキッチリと覚えている。そこに映る人物は確かに、多少の動作や表情が違えど、画質が悪くて見にくくても、ムロくんだった。

零れ落ちそうになる声を仕事中であると言う意識で押し込めて、寸分の違いもなくその姿が映ったシーンで止めた。

 

「藤木、」

「はい。同期の知り合いに現場の警備に関わっていた者がいます。オフレコで接触しますか?」

「ああ。出来るだけ情報は伏せておけ。素早く連絡する事」

「かしこまりました」

 

藤木が立ち上がり外へ出ていった。

ムロくんがあそこで無意味に笑う理由は問うてはいけない。僕達が今すべきは無駄に頭を突っ込む事では無く、情報の分析と統制だ。

ただ、あの爆発に巻き込まれたのなら、すごく、心配ではあるんだけどな。

 

 

 

 

 

―――

 

風見は全身に傷を負った上司を見送って車に乗り込んだ。

降谷さんも俺も最低限の治療しか受けていない。それでも、降谷さんは今日は潜入先の喫茶店のシフトだからと言って車を走らせていなくなった。俺もこれから降谷さんから受けた指示通りに動かなければいけない。

俺が車のエンジンをかけるとポケットが震えた。同期からのプライベートな番号での電話だ。同じ班でもあったその同期は頭が良くて、確か、今は警察庁の警備企画課にいるはずだ。なら、今こそ忙しくしているはずなのだが。

疑問に思いながらも電話を取る。時間がないのでハンズフリー通話だ。警視庁に向かって車を走らせる。

 

『もしも〜し。ザミ、元気にしてた〜?』

「生きているが」

『……軽傷ならまあ、良いや。また上司くんの無茶振りでしょ。良いなぁー、信頼されてるんだもんなー。俺は与えられてばっかりで、何にも返せてないからさ。一個渡すと二個返ってくるんだもん。キリがないよね』

 

いつも通りと変わらないプライベートな藤木だ。向こうから聞こえる音は藤木の声だけで、いつもと()()()()()()()()()()

 

「何が目的だ」

『やだなあ。ちゃんと分かってくれてるじゃん。あー、これオフレコだからね。オフレコ。誰にも言っちゃダメだよ。その上司さんにもね。時間ないし手早くいくよ〜』

 

ギリギリ黄色になりかけた信号を右に曲がる。もうすぐで警視庁だ。

 

『ザミの上司の降谷零ってさ、米花町のポアロっていうカフェで安室透やってない?』

 

赤信号の交差点に突っ込みかけて、急いでブレーキを踏んだ。

 

『いや、確認だっただけだから良いんだけど。ユウくんったらだいぶ心配してたからさ』

「それをどこで」

『メディアに流れた防カメ映像。数コマだけ小さく映ってた。俺達が見つけて既に回収させてる。バレてない事を願うよ』

 

警視庁に着いて車を止める。ハンズフリーから戻してスマホを耳に当てた。

 

『じゃ、よろしくね。こっちもこっちで忙しいからさ。あ、踏み込まないでなんて当然の事は言わないでよね?』

「ははっ、お前にそんな事言う訳無いだろう。そういう所はお前が一番分かっているんじゃないか?」

『うわ、男前すぎ。また胃薬必要になる前に鏡の孤島(ワンダーランド)来なよ。サービスで一杯ぐらいあげるから』

 

ドアを開けて外へ出る。申し訳程度に服を整えて警視庁のドアをくぐった。このドアは駐車場からの直通であまり目立たない位置にある。

 

「善処はしておこう」

『ぜってー来ないやつじゃん。来てよー』

 

藤木が電話越しに拗ねたような声を出す。藤木の遊び心を散りばめた話し方は俺の心を和らげた。これから待ち受ける困難に対して知らない内に緊張していたらしい。

流石、話すのが得意だと言っているだけある。

 

『ん。じゃあ頑張ってね。()()も協力するからさ。……頼まれちゃってるし』

 

藤木はそれだけ言って電話を切った。俺はスマホをポケットに入れて大会議室へ向かった。

 

 

 

 

 

――‐

 

 

僕は藤木から大体のアタリはそうらしいと連絡があってから、情報の収集と精査に分かれて仕事をしていた。昼頃になってやっとすべてのメディアから映像を回収できた。

だけど、お腹は減るし、元々サミットの関係で詰め込まれていたのに、今回のあれでデスマーチに突入した缶コーヒーとエナドリの空が転がる、空気感最悪な場所から抜け出して気分転換したい。

思い立った時が行動すべき時。熟語にもなんかそういうのがあったし、何よりムロくんが心配だ。いるかは分からなくても、ザミとは一緒にいないらしいし、表立って捜査にはいないだろうから行ってみる価値はある。

一時間か二時間抜けても大丈夫だろう。

 

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