触手モノ凌辱エロゲの黒幕に転生してしまった   作:ソーラン節

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「退魔師退廃」の世界

 死んで、前世の記憶を持ったまま生まれ変わるなんてことが起きるとは思っていなかった。しかし、想定はしていなかっただけで想像したことはあった。

 俗に言う異世界転生というジャンルは創作でメジャーなものだ。そういう作品はいくつか有名なものを読んだことがある。

 

 だから、今世で俺が生まれたこの世界に「操魔術」なんてファンタジーが存在しているのも、そういう世界観なんだなあと受け入れていた。

 

 一般人には知られていないが、実は人は魔力と呼ばれるエネルギーを持っており、それを操ることにより魔術と呼ばれる不思議現象を起こせるのだ!

 ……とまあ、ファンタジー系の作品にありがちな設定がこの世界にはあるのだ。チャクラと忍術とかオーラと念とか呪力と呪術とか、魔力と操魔術もそれらと同じようなものなのだろう。

 

 前世では考えられない非常識でも、今世では生まれた瞬間からそれが当たり前のこととして扱われていたため、そういうものなのだなあと順応するほかなかった。

 

 ただ、この世界で耳にする言葉は頭のどこかで妙な違和感が、妙な既視感があった。魔術だの魔力だの、ファンタジーでよく出てくる言葉なのだから既視感があって当然といえば当然なのだが……。

 

 例えば俺の名前、「山田 契(やまだ けい)」についても同じようなことが言えた。

 山田という苗字はありふれているし、下の名前に関しても漢字こそ珍しいがキラキラネームと呼ばれるほど変わっているわけでもない。ただ、妙に気になるのだ。

 俺はこの名前を、どこかで聞いたことがある気がするのだ。……いや、自分の名前なのだから聞いたことがあって当然なのだが。

 前世の記憶と今世の記憶が混同してるのだろうか。

 

 そのような少しの違和感を抱きながらも、俺の今世は順調だった。

 操魔師である親から操魔術を教わり、学校では一般生徒に紛れて普通科目について学ぶ日々。この世界、操魔術があること以外は前世と変わらない。だから数学も英語も科学も、前世で得た知識をそのまま活かすことができた。

 ちなみに、操魔術は世間には秘匿されている。俺たち操魔師は「人知れず魔物と戦う存在」というわけだ。

 

 操魔術に関しても俺は優秀らしく、操魔師の社会でも表の社会でも周囲からは「神童」と呼ばれた。

 しかし、だから才能があるとは言いきれない。学んでみて初めて分かるのだが、操魔術はぶっちゃけ暗記科目なのだ。

 操魔術は一応、「魔法陣理論」とか「魔物学」とか「触媒学」とかの複雑な理論に基づいて構築されている。いるのだが、それは使う側からするとあまり関係ない。

 

 俺は操魔学者ではなく、操魔師だ。操魔師が操魔術を使うにはどうしたらいいかと言うと、決められた触媒と決められた魔法陣を用意して決められた呪文を唱えるだけだ。つまり、理論を理解する必要が無い。

 新しい操魔術を開発するならともかく、既存の操魔術を使用するだけなら丸暗記で問題ないのだ。

 

 例えば「掃除機」を思い浮かべて欲しい。新しい掃除機を一から開発するには、電磁気学やら力学やらシステムエンジニアリングやら、複雑な理論と知識が必要となるだろう。

 しかし既存の掃除機を使うだけなら、説明書通りにコードをコンセントに繋いで、説明書通りに持って、説明書通りにボタンを押すだけでいい。そして何回か使えば使い方を覚える。

 俺が使う操魔術は、傍から見たらファンタジー極まりないが、その実やっていることは掃除機を使うのと変わらないのだ。

 

 そんなわけで、俺は操魔師として「神童」と持て囃されているが、実際の所は子供が説明書通りに家電を動かした結果「凄いわ! うちの子天才よ!」と親が盛り上がっている、といった具合だ。

 そりゃあそこら辺のガキンチョに比べれば中に大人が入ってる分要領よくやれるだろうが、結局はその程度だ。

 きっと、「十で神童、十五で才子、二十過ぎれば只の人」という慣用句の通りになるだろう。

 

 そもそも操魔師のコミュニティ自体がしょぼいからね。なにせ世間に秘匿されている技術を扱う団体だ。多分操魔師を全員合わせて一万人もいない。その中で「神童」扱いされてもという話だ。

 

 

 俺がちょうど、我が家に伝わる一族秘伝の操魔術を一通り覚え終わったころ、俺は高校に進学した。

 

 親父は「お前は優秀だからすぐにでも操魔師になれるぞ!」とか親バカを発動していたが、前世の知識という名の社会常識を持つ俺からすると中卒で働くことに抵抗があった。

 もちろん、将棋のプロ棋士のようにそれ相応の実力があるのなら話は別だが、前世知識のやりくりで一時的に神童扱いされているだけの俺にそのようなものはないのだ。操魔師として落ちぶれても就職にありつける程度の学歴を持っておきたい。

 

 ここで一つ、前世の思い出話をしよう。

 俺は前世、理系大学生だった。大学4年の夏、院進が決まって一安心していた夏休みのある日、突然の心臓発作によって死んだ。親父も母親も心臓の病気があったので、多分家系的なものだ。

 そして、そんな前世の俺の趣味はエロゲーだった。ケ○Q、きゃ○つそふと、ティン○ーベル、アリ○ソフト、CL○CKUP、etc。有名作品からマイナー作品まで、己の性癖に従い色々な作品を堪能した。

 

 俺が死ぬ直前にプレイしていた作品は「退魔師退廃」という作品だった。より正確には、「退魔師退廃VI」だ。末尾の数字からも分かる通り、この作品は第六部まで続編があるほどの人気作品であり、外伝まで含めると更にその数が増える。

 

 この作品の特徴はなんと言っても触手。そして陵辱だ。ジャンルを今のご時世で使うと不味い言葉を避けて表現すると、「屈辱」「超ひどい」「精神支配」「異種えっち」とかだろうか。

 退魔師である主人公とヒロインは、依頼を受けて魔物を討伐しようとする。しかし、正解となるルート以外は全て魔物による陵辱バッドエンドで、少しでも選択肢を間違えるとヒロインと主人公が分断され、ヒロインは魔物に囲まれ……。

 とまあ、そういった具合のエロゲーだ。

 

 このゲーム、何故かこの世界だと見当たらないのだ。

 この世界で俺が生まれた時期は、前世で俺が生まれた時期と同じだ。つまり俺は約20年ほど未来の知識があると言える。

 もし、過去に戻れたら何がしたいか。100人に聞けば100人が違う答えを出すだろう。しかし俺からすればその答えは自明だった。

 

 当然、未来で高騰するエロゲを買い漁るに決まっている!

 

 ジ○ツのための1○1の方法とか、さよ○らを教えてとか。ものによってはダウンロード版なら安価で買えるものもあるが、コレクターとしてはやはり箱買いしたい。

 そんなわけで結構金があるっぽい親にお小遣いをおねだりして、俺は未来で高騰するエロゲを買い漁った。*1すまんな、未来のオタク共よ。これが転生者チートってやつだ。

 

 そしてエロゲーを漁って気になったのが、退魔師退廃が発売されていないことだった。昔からある長寿ゲームなので、俺が生まれてすぐに発売されている筈なのだが……。

 これがバタフライエフェクトと言うやつなのだろうか。そんなふうに思っていた。

 

 たった今に至るまでは。

 

「こんにちは! 今日からここ、台馬市立西学園(たいましりつにしこうこう)に転入してきました、古木(ふるき)リュウマです! よろしく!」

「同じく転入生の霊川 深穂(たまかわ みほ)です! よろしくお願いします!」

 

 物凄い聞いたことのある名前だった。そして物凄い見覚えのある顔でもあった。

 PCの画面越しで何度も見てその竿に感情移入した、頼りがいのあるいかにも主人公然とした黒髪黒目短髪の好青年。そしてその隣には、ゲーム内で幾度となく陵辱されて泣いて喘いで快楽堕ちして腹ボテ出産苗床化していた、燃えるような赤髪赤目長髪の美少女。

 そう、退魔師退廃の主人公とヒロインだった。

 

 その瞬間、俺の中にあった今世で感じた違和感と疑問が全て繋がりだす。

 この世界の女性の見た目は何故か揃いも揃って美人・美少女揃いで、前世ではありえないような巨乳が普通にいること。この世界の中年男性は何故か揃いも揃ってハゲ散らかして太って汚くていやらしい顔つきをしていること。この世界に存在する魔物は、何故か媚薬やら拘束やらのエロ関連の能力持ちばかりであること。

 そして、俺の名前が退魔師退廃の黒幕ポジである山田契と同姓同名であること。

 

 ここ、「退魔師退廃」の世界かよ……!

*1
複数個購入はしない。金儲け目的ではないのだ。転売ヤーは許されない




R18要素は出てこない予定です。主人公が頑張ればの話ですが。
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