あのあと、いつぞやの深穂と同じように森さんをシャワー室へと運び、
森さんの容態は何も問題がないらしかった。というのも、彼女が触手に拘束されている間は先生が食事を与えたり排泄物の処理をしたりしてくれていたらしい。
じゃあ彼女が拘束されていることを教えてくださいよ、と思ったのだが、逆に先生の方は俺がわざと彼女を拘束しているのだと思っていたらしい。……まあ、先生からすれば森さんは阿九寺の共犯者に見えるだろうし、仕方ないか。
あと、その際ついでに彼女の身体の色々についても調べてもらったが、結果なんの問題もないらしい。
身体の色々というのは、洗脳されているうちに魔物の子供を孕まされていたり、触手の種を植え付けられていたり、感度3000倍に肉体改造されたり、まあ色々な後遺症を残しかねない色々のことだ。
幸いそういった魔物による被害はなく、それどころか彼女は純潔が守られたままだった。
まあ吸血鬼は「処女の生き血」が大好きな生き物だからな。わざわざ自分の食事を不味くするような真似はしなかったのだろう。
あと、その検査の間にリュウマと深穂に事情を話したら、二人とも寮にいたので直ぐに保健室まで来てくれた。フッ軽だ。
「本当にすみませんでした!」
俺、リュウマ、深穂、桃坂先生の4人に向けて森さんが勢いよく頭を下げる。綺麗に90度のお辞儀だった。
こうして、森凛の処罰を決めるイベントが発生した。
といっても、彼女は阿九寺に洗脳されただけの被害者だし、そもそもこの世界線においては俺が阿九寺による被害を未然に防いでいるため殆ど実害は出ていないのだが。
ただ、深穂が触手に媚毒をぶっかけられるなど、致命的まではいかないまでも被害があることも確かだ。あの時深穂を閉じ込め、かつ声を外へ漏らさぬように生徒会室に結界を張っていたのは彼女なので、被害の原因の一旦は彼女にあると言えなくもない。
その他にも、ちょくちょく阿九寺の下僕の魔物が仕向けられた際に彼女が結界を張って外界と遮断させるということは何度かあった。どれも精々擦り傷程度の被害しか出ていないが、彼女が阿九寺に協力していたのもまた事実だ。
そんなわけで、俺としては無罪放免で構わないのだが、実際の被害者の意見を受けて議論をするべきでもある。
俺はそんな意思を込めて深穂とリュウマの方に目線をやる。
ここは原作では、リュウマが「謝ることは無い。君は阿九寺に操られた被害者だ」と彼女を許し、彼女の好感度を稼いでいれば森凛ルートのフラグが立つところなのだが……。
おいリュウマなんで俺を見るんだ。
……いや、まあそうか。今回の事件で一番被害受けたの、俺だもんな。*1そりゃあ俺に意見を求めるか。
「謝ることは無いよ。君は阿九寺に操られた被害者だ」
「山田くん……」
仕方ない、リュウマが言わないのなら俺が言うしかないだろう。原作リュウマの言葉をまんま借りて答える。
「すみません、あんなにご迷惑をおかけして……」
「だからいいって。実害出てないし、罰が欲しいならさっきまで受けてたあれが罰だよ」
罰という言葉に森さんがビクリと肩を揺らす。やはり
「山田くん……本当に、ありがとうございます。この恩ばい゛ずれ゛がえ゛じま゛ず……!!」
いつの間にか感極まっていた森さんが涙と鼻水を流しながら俺の手を握る。
君、そんなキャラだったっけ? 原作だとクールキャラ枠じゃなかった?
「ああうん。じゃあ退魔術とか教えてくれればいいから」
「ばい゛……! 是゛非゛……!」
是非の是に濁点ってつくのか……?
とりあえず事態は丸く収まったが、それはそれとしてリュウマのヒロイン候補にまたもやフラグが立っていない現状に直面する。
今後、原作でラスボス格が現れた際に俺とテンちゃんだけでどうにかなるだろうか。正直不安だ。
やはり、最悪リュウマの中の魔物を解放するという選択が取れるようにしたい。もういっそのこと西山先生ルートの開拓を本気で検討すべきかもしれない、と俺は思うのだった。
……あの、深穂さん。なんでそんな怖い目で見てくるんですか? 退魔術を教えてもらいたいって、会う女会う女に言ってるんじゃないかって? そんなことないよ。本当だって。
◆
森さんを救出してから更に四日が経った頃、放課後にテンちゃんから「来て欲しい」との思念が送られてきた。八日間に渡る壮絶な陵辱が終わったとのことだった。
生徒会室の資料棚、その裏にある隠し通路を歩いているとご機嫌なテンちゃんが迎えに来てくれた。
「■! ■■■◆■■◆■■■◆■■◆■!」
心做しかいつもより肌ツヤ、というか肌ヌメがいいように見える触手と抱擁を交わす。体格差があるから俺の身体をテンちゃんが包み込むような形だ。
ひんやりして心地よい感覚の中、テンちゃんからの思念を受け取る。
「■■■■◆■■■◆■■■◆■■◆■■■■!」
「それは良かったね」
どうやら久しぶりに、全力で陵辱しても壊れないおもちゃが手に入って相当嬉しかったらしい。それでこんな長期間陵辱したのか。
テンちゃん、というか神格のある存在は肉体的束縛から開放されるので、当然寿命なんてものもなくなる。だから時間感覚も俺たち一般人とは全く異なる。テンちゃんにとっての八日間がどれだけのものだったのかも、テンちゃんがこの八日間で時間の流れを弄らなかったのかも分からない。
ただまあ、テンちゃんの様子からするに満足のいく陵辱ができたみたいだし、阿九寺視点では八日程度では済まないくらい陵辱されているかもしれない。
何にせよテンちゃんが嬉しそうでよかった。
「■■■■◆■■◆■■◆■■■!」
「はいはい」
テンちゃんが俺を連れて、というか俺を乗せて阿九寺のいるところへ歩いていく。*2
どうやら阿九寺の
テンちゃんのヌメる触手が、無骨な洞窟に似合わない華美な扉を勢いよく開ける。その先には全身粘液に塗れて力無く膝を着く阿九寺と、それを取り囲むように蠢く大量の触手がいた。
彼女は俺とテンちゃんの登場にビクリと肩を震わせた。そしてこちらを見て俺と目が合った瞬間、その顔には瞬時に怯えが浮かびか細い悲鳴を上げる。鈴の転がる綺麗な声は怯えに染まり切り、腰を抜かして粗相までして、虐待を受けた子犬のように震えてこちらを見ている。
彼女が漏らした液体に、周囲の触手達が群がる。十、二十では済まないような大群だ。
「■■◆■■■■◆■■〜!」
「へえ、これ全部阿九寺が産んだのか」
「■■■■!」
どうやらこの子達の母親は阿九寺らしい。
うんうん、流石テンちゃんの血を引いてるだけあって元気がいいね。隙をついては母親すら犯そうとしている。
「■■◆■■。■■■。■■◆■■◆■◆■■◆■■」
「ひっ……申し訳ありません!!!」
テンちゃんが「頭が高い、弁えろ」と言うと、阿九寺と触手達は一斉に姿勢を揃え傅く。
あれ、阿九寺、テンちゃんの言葉が分かるのか。……そういえばアイツ、未熟で中途半端とはいえ神格があるんだったな。一応神の御言葉を聞く資格があるのか。
「■■? ■■◆■■■■◆■■!」
「そうだね」
いい仕上がりでしょ、と胸を張る(どこが胸か分からないけど)テンちゃんに同意しつつ、俺を包んでいたテンちゃんから降りて阿九寺に歩み寄る。
「ひっ……あ……ぅあっ……」
足音に反応した阿九寺が顔を上げて俺を見て、絶望をその顔に浮かべる。
……いや、なんで?
「……なあ阿九寺」
「はいっ! わたっ、私はぁ! 私、阿九寺陰平は山田契様の肉奴隷でございます! 私が産んだこの子たちもすべて、貴方様に捧げます! 私共は身も心も余すところなく、貴方様に委ねます! どうか御心のままにお使いください!」
……テンちゃん、阿九寺に何吹き込んだの? なんかめちゃくちゃ俺のこと怖がってない?
テンちゃん曰く、陵辱中の雑談としてちょっと俺の話をしたらしいけど……にしたってなんでこんな怯えられるんだ。テンちゃんはそのまま俺のことを話したと言っているが、絶対何かしら盛って話しているだろ。
「■■■◆■■◆■■! ■◆■◆■◆■◆■■■◆■■■◆■■◆■◆■■◆■◆■■■◆■■■!」
どうやらテンちゃんは
まず、触手達。これは絶対に欲しい。
僅かとはいえ神格を持つ吸血鬼と触手と陵辱と退廃の神の間に生まれた子だ。操魔師として触手愛好家としてこんな特別な子を得る機会を逃すわけがない。
ただ、問題は阿九寺の方だ。
元々は綺麗だったが今は乾いた粘液がこびり付いた長い銀髪を、地面に擦り付けて全裸土下座している彼女を見下ろして考える。
ぶっちゃけあんま要らない。
俺としては、テンちゃんのことだからいつも通り苗床化して末永く触手生産工場として働いて貰うことになると思っていたのだが……なまじ阿九寺が身も心も丈夫過ぎたせいで綺麗に形を保ったままテンちゃんが満足してしまったので、こうなったのだろう。
「うーん。普通にこのまま苗床になるのは嫌?」
「ひっ、嫌! 嫌でございます!」
嫌かぁ……。
つってもなぁ……。肉奴隷とか、リュウマ達にバレたらドン引きされそうだし。飼うにしてもヒトってエサ代高いからなぁ。いや、ヒトじゃなくて吸血鬼か。
吸血鬼とか尚更飼うのがめんどくさそうだ。陽の光ダメとか十字架がダメとか色々気を使わないといけないし、エサの用意も難しいだろう。人の血とかどう用意すればいいんだ。
「■、■■■■◆■■◆■■■■■……?」
俺が阿九寺の今後の扱いについて悩んでいると、テンちゃんが不安げにこちらを伺ってきた。
うおっ可愛い。そんな不安そうな顔しないで。
「テンちゃんからの贈り物を俺が気に入らないわけないだろ! ありがとうテンちゃん! ちょうど吸血鬼の肉奴隷が欲しかった所なんだよ〜!!」
「■〜!!」
よく考えたらテンちゃんからの贈り物というだけで嬉しい。触手も阿九寺も大事に使わせてもらうことにしよう。
「じゃあ、契約を結ぶか」
「は、はい! お願いします!」
一口に
要するに従属契約を結ぶことになる。
従属契約を結ぶ際は、結ぶ相手に身も心も全て渡していいと思わせる必要がある。それに用いるのは、愛か恐怖。今回は後者だ。
阿九寺の所有権を主張するために命名し直し、完全な形で従属契約を結ぶ。
「
「はい!」
必死に首を縦に振る阿九寺の頭に手を置いて、理不尽で一方的な魔力的繋がりを形成する。
これで、彼女は俺の命令の一切を強制的に聞くことになる。また、この契約は俺の意志か他者の介入以外では解除できない。
「……はぁ」
とりあえず陰子にその場に待機するように命じて、俺はこれからどうしたもんかなぁと彼女の処遇を考えるのだった。
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