キーンコーンカーンコーン
今日の学園生活の始まりを告げる音が鳴った。
無事第一部ラスボス、阿九寺を撃破した俺たちは少しずつそれぞれの日常に戻っていった。
深穂もリュウマも、陵辱ボテ腹苗床ENDを全て回避してTRUEENDを掴み取った。森さんも、まあ
一度は阿九寺に洗脳され支配を受けてしまった生徒・教師達も、今ではそんなことすっかり忘れて、俺の触手による麻痺毒の後遺症を残すこともなく、今まで通りの日常を送っている。
問題は何もかも解決した。
「今日は皆さんに紹介したい人がいます。……はいはい、騒がないの。そうよ、みんなの期待通り転入生よ。さあ、入って来てちょうだい」
でも第二部が始まっちゃうんだよなぁ……。
西山先生の声に答えて教室のドアが開かれる。第二部冒頭に挟まる転入生……そう、当然新ヒロインだ。
少し原作の話をしよう。
原作での流れとしては、阿九寺を倒したにも関わらず学園での魔物被害が減らないことに疑問を覚えたリュウマと深穂が調査を再開する。
その過程で様々な困難に遭遇しつつも何とか敵の尻尾を掴むと……そこには黒幕として、まさかの主人公の友人ポジである山田契がいた……! といった感じだ。
まあこの世界では山田契こと俺は特に悪事を企んでいないので、そもそも今は学園での魔物被害は収まっている。だからあまり心配はいらない。
留意すべきは原作第二部冒頭で起きる、前作からの追加ヒロインの登場だ。
彼女は主人公リュウマの幼なじみであり、魔物被害によって幼い頃に死別した筈の少女、
当然、この世界でも第二部冒頭でこの新ヒロイン白川雫花が登場する──
「こんにちは。今日からこの学園に転入することになりました、
──なんてことはない。
腰まで伸びるキラめくウェーブがかった銀髪。血を映したような真紅に染まった瞳。真っ白できめ細かい肌。見る者全てを魅了する、ぶち犯して分からせたくなる可憐な美貌を備えた少女。
そこにいたのはそう、俺の肉奴隷こと阿九寺陰子だった。
原作で新ヒロイン面をしていた白川雫花は、実際の所は山田契が用意した偽物だった。より正確には、触手の擬態を使って人のように見せているだけの化け物だった。
その可愛らしい容姿の下にはぎっしり触手が詰まっており、彼女を攻略しようとありもしない白川雫花ルートに進んだ
具体的には、服を脱いでいざ交尾といったところで突然少女の皮膚を破って大量の触手が現れる。触手は無防備な主人公に襲いかかり、股間が萎える間もなく触手に魔力をしゃぶり尽くされ苗床化することになる。当然バッドエンドだ。
あれは、前世俺としては結構キツイものだった。タマヒュンどころの騒ぎではない。脱いだパンツも行き場をなくして気まずそうだった。
そんなわけでこの世界では追加ヒロインはなしだ。あるいは陰子がそのポジション……なのか?
凄い形相でこちらを見て口をパクパク動かしてくるリュウマと深穂に、事情は後で説明するよと携帯でメッセージを送っておく。
陰子に集まる男子生徒からの熱視線に少し引きながら、面倒事が起きないといいなぁと一つため息をついた。
◆
俺は阿九寺陰平改め阿九寺陰子を
まず当然として、テンちゃんからの贈り物なのだから大切に扱わなければならない。だから雑に
本人は肉奴隷として
TSそのものにジャンルとして抵抗があるわけではない。ただ、顔や立ち振る舞いにほのかに阿九寺陰平の面影があるのに耐えられないのだ。多分ことある事に性転換前の阿九寺の姿が脳裏に過ぎり、萎えてしまう。
もういっそショーケースにでも入れて部屋に展示しておこうかとまで考えたところで、俺は一つ妙案を思いついた。
「それが、リュウマと深穂、森さんの護衛ってわけ」
放課後、いつものメンバーに森さんと陰子を加えた五人で生徒会室に集まり、ことの経緯について話す。
「え、えぇ……いや、うん。契がそれでいいならいいんだけど」
「流石契ね! 懐が広いわ!」
「護衛、ですか?」
反応は概ね好評。というか深穂、最近俺のことを全肯定し過ぎでは? 逆に不安なんだが。
「魔力の多い人は魔物に狙われやすい。三人とも少し魔力探知に難があるからね。リュウマと深穂は最近上手くなってきたけど、それでもまだ安心はできない。だから護衛として陰子に着いてもらう。まあ、護衛に限らず雑用係として便利に使ってやってくれ」
「はい。契様がそれを望むのならば何なりとお任せ下さい」
陰子が傅く。顔が良いだけあって様になるな。
「なあ契、お前阿九寺に何したんだ? こんなキャラじゃなかったよな……?」
「それは確かにありがたいですが……本当によろしいのですか? その、山田くんの使い魔? なのですよね、今の阿九寺さんは」
「いいのいいの。使い道に困ってたくらいだから。部屋の隅に置いとくよりはこうやって有効活用した方がいいだろうし」
「契? 俺の疑問は無視なのか契?」
これに関しては我ながら結構いい使い道だと思う。
あとリュウマ、テンちゃんの陵辱祭りの詳細を知ることはちょっとおすすめできないぞ。
ちなみに入学手続きに関しては、陰子の洗脳能力を学園の教師陣に使うことによって済ませた。洗脳なんて技術を無闇矢鱈に使うのは良くないが……まあ、生徒情報の偽造程度に使うのなら問題ないだろう。
「そうですか……では、ありがたく使わせて頂きます! では陰子さん、3回まわってワンと吠えてくれます?」
「……はい」
クルクル回る陰子を見て、あははと楽しそうに笑う森さん。
……まあ、森さんは重度の洗脳被害に遭ってたからな。恨みがあっても仕方ないか。
思いの他上手い陰子の犬の鳴き真似を聞きながら、俺は森さんってこんなキャラだったかな……と頭を捻った。
それから、いつもの二人に森さんを追加した三人で魔力探知訓練を行ったり、逆に俺がリュウマ達から退魔術を教わったりしているうち時間が過ぎた。
「契様、その、食事をお願いできますか?」
「ああもうそんな時間か。はいはい」
皆が魔力切れを起こして、そろそろ解散かといったところで陰子が食事の要請をしてきた。
吸血鬼の食事、というのは中々用意が難しい。一般に、吸血鬼は人の血液を啜って生きる魔物だ。ただ、陰子程の、それこそ神格を有する程の力を持つ吸血鬼には、それ相応の食事が必要となる。具体的には、潤沢に魔力を含んだ処女の血だ。
原作知識で色々と知っている俺としては、まあ桃坂先生にでも頼むかなあと考えていたのだが、なんとそれよりも更に適任となる人材がいた。
「はいよ」
俺は学生服のボタンを外し、うなじを陰子に差し出した。
「ありがとうございます……っ」
カプり。陰子の犬歯が伸びて俺の首筋に刺さり、血が抜き取られていくのを感じる。
そう、適任とは俺のことだ。なぜ俺でいいのかだって? 前世含めて経験がねえからだよ言わせんな。
まあ要するに、
「あ、あっ、あ〜!!? ずるい! ずるいわよ! ねえずるくない!?」
その後、何故か私にも血を吸わせて欲しいと懇願する深穂を何とか正気に戻すのに時間をかけた。
尊厳破壊という性癖があるらしいですね
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霊川深穂
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阿九寺陰子