触手モノ凌辱エロゲの黒幕に転生してしまった   作:ソーラン節

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作者はSWANSONGが好き



ドックフードでいいんだ……

◆sideリュウマ

 

 俺と深穂は()()からの命令でここ、台馬市立西学園(通称タニシ)に入学することになった。

 社長曰く、先月からこの学園から発せられる魔力の様子がおかしいらしい。俺たちに届いた依頼はその正体を突き止めることだ。

 

 魔物の活動が活発化するのは夜、日が沈み世界が闇に飲まれてからだ。俺と深穂は早速、入学初日の夜にこっそり寮を抜け出し、学校周辺を探索したのだが……。

 不覚だった。まさか触手に捕まってしまうなんて!

 

 魔力探知機を使い、淀んだ魔力を辿った先。学校の渡り廊下にいた魔物、一般妖魔(しょくしゅ)を討伐した後、油断してしまった俺と深穂は天井裏に隠れていた別の触手に不意を突かれ拘束されてしまった。

 

「い、いやっ! 離してっ!」

「クソッ、滅魔刀が奪われた!」

 

 このままでは不味い。俺たちは触手の養分にされてしまう……。

 暴れてもビクともしない触手相手にそんなふうに身構えていること数分。触手にぐるぐる巻きにされ逆さ吊りされたまま、沈黙が訪れた。

 

「……何もしてこないな」

「……何もしてこないわね」

 

 俺たちは逆さ吊りにされたまま平静を取り戻しつつあった。両手両足を拘束され武器を奪われた俺と深穂に抵抗する手段はない。ここで暴れた所で人の筋力では触手には勝てない。

 ……もう、()()を解放するしかないのか……。

 

 コツコツコツ

 

 俺が奥の手の使用を検討し始めた所で、廊下から足音が聞こえてきた。不味い、このままでは一般人が更に巻き込まれてしまう……!

 が、しかし。足音が近づくにつれて魔力探知機が反応を強める。つまり足音の持ち主は魔力を保持しているということだ。もしかしたら社長の救援かもしれない!

 果たして、その足音の正体は……。

 

「「山田くん!?」」

 

 今日知り合ったクラスメイトの山田くんだった。

 

「……ええ……何してるの?」

 

 山田くんが困惑した表情でこちらを見る。

 

「山田くんこそ、こんな所で何を……いや、その魔力は何だ? 昼間会った時は確かに魔力はなかった筈……!」

「普通魔力は隠すよ。あと、こんな所で何をも何も、君らが俺の触手にちょっかい出したから来たんだけど」

「どういうこと……?」

 

 深穂と顔を見合わせる。どうやら彼の口ぶりからするに、この触手は彼の使い魔なのだろうか。

 

「って、おいおい怪我してるじゃん! おい古木ぃ! 何してくれてんだお前!!」

「えっえっ、ごめん……?」

 

 おおよしよし痛かったね〜。頑張ったなえらいえらい。おやつあげるね。

 山田くんはそう言って、俺が倒した触手に駆け寄った。そして懐からドッグフードを取り出して触手に与えだす。ドッグフードでいいんだ……。というかそこが口なんだ……。

 

「……それで、君らはなーんでこんなことしたの」

 

 宙吊りから開放された俺と深穂は山田君の前に正座をさせられた。完全にいたずらしたから大人に叱られる子供という構図だった。

 

「その、ごめんなさい! まさかあなたの使い魔だとは思わなくて……」

「俺からもすまない! 考えが回らなかった」

 

 深穂と二人で頭を下げる。

 

「いや分かるだろ! 使役済みの魔物は魔力の質が違うだろ! ……いやそうか、感知能力が低いと分からないのか。……だとしても、振る舞いが違うって分かるだろお前。首輪だってしてるんだぞ、どう見ても飼い触手だろうが」

「飼い触手……」

 

 そう言われて見てみると、地面から生えている触手の根元に、犬や猫に付ける用の赤い首輪がかかっていた。

 触手って首輪とかするんだ……。

 

「本当に申し訳ない……」

「ごめんなさい……」

「……はぁ。まあいいよ。その様子だと多分、操魔師協会の常識とか知らなそうだし。そんなおもちゃで魔力探知してるぐらいだしな」

 

 おもちゃ。山田くんはそう言って俺が首にかけた魔力探知機のことを見た。たしかに、こんなものが無いと魔力探知ができない時点で半人前だ。

 

「うっ……その、魔力探知が苦手なのは、言い訳のしようもありません……」

「まあ、仕方ないか。もう正座はいいから、詳しい話は寮で話そう」

 

 その後、山田くんに連れられて寮の共有スペースにあるソファに座り、三人でお互いに事情を説明した。

 山田君は真剣に俺たちの話を聞いてくれて、時々「そういえばそんなストーリーだったな……」などと言っていた。どういう意味なのかは分からないが、なんだか楽し気な様子だった。あまり面白い話ではないと思うが……。

 

 山田くんの方は、自分が操魔師で大量の触手と契約を結んでいること(本人はペットと言っていた)、使役した触手を学校周辺に何匹も配置し異変がないか見張らせていること、強力な魔物は特に見つかっていないがどうにも魔力の動きがきな臭いことなどを教えてくれた。

 彼は俺たちとは違い任務を受けてこの学園に来たわけではなく、普通に進学した結果この学園に来たらしい。タニシ学園は相当偏差値が高いのに操魔術を学びながら入るなんてすごいと思った。

 

「そうか……山田くんもこの学校について調べていたのか」

「調べるというか、魔物感知の一環だね。自分が通う学校と寮くらいは情報を把握しときたいじゃん?」

「凄いわね、山田くん……!」

「まあその、ほら。お互い魔物に立ち向かうものどうし仲良くしようよ。俺もここら辺の魔物とか魔力について何かあったら共有するよ」

「いいのか!? 助かる!」

 

 なんと山田くんも調査に協力してくれることになった! 本当にありがたい限りだ。

 にしても俺らが彼に感心するたびに何とも言えない顔をしていたが、褒められ慣れていないのだろうか。

 

 

◆side契

 

 古木リュウマと霊川深穂に接触した。

 なんというか、ゲームをやってて見ていた通りの二人だったが、こうして退魔師退廃の世界に住んで操魔術や魔物に関する知識を揃えた後に改めて関わってみるとゲームで見た二人とは印象がだいぶ変わる。もちろん悪い方にだ。

 

 二人とも、この修羅の世界でやって行くには警戒心が足りなすぎる。

 まさか、調査に協力すると言っただけであそこまで信頼されるとは思わなかった。それはもう、餌をあげた犬が「この人いい人だぁ!」としっぽを振りだすような無警戒さだった。

 あの様子じゃ一日も持たずに魔物の罠に引っ掛かるだろう。……いや、実際引っかかったのだったか。

 

 古木いわく、彼らは退魔事務所「ヤクノケ」で働く退魔師であり、そこの社長の命令でこの学園に潜む魔物の調査を命じられて来たらしい。

 そういえばそんなストーリーだったな。……それにしても、()()かあ……。

 

 社長とは、退魔師退廃で屈指の人気キャラである尾間葉子(おま ようこ)のことだ。葉子は化け狐の妖怪である妖狐と人のハーフで、狐耳と狐しっぽが生えたロリであり、実年齢はヒミツ(推定200歳越え)のいわゆるのじゃロリババアだ。

 触手にとっ捕まっては「い、いやじゃ! 妖魔の子など孕みとうない!」と泣き、種付けおじさんにとっ捕まっては「いやじゃいやじゃ! 人の子など孕みとうない!」と喚く、そんなのじゃロリババアだ。付いたあだ名はHARAMI TONIGHT。お前は誰の子なら孕みたいんだ。リュウマの子? まあそうか。

 

 前述からわかるように、社長も例に漏れず作中で幾度となく陵辱されている。なぜ、数百年を生き強大な力を持つ半妖がそのようなことになるのか。

 そりゃあこの世界が陵辱エロゲで葉子がヒロインだから……というメタ的理由は置いといて。

 

 彼女はチョロいのだ。無駄に強大な力を持つ分「私ならこの程度なんの問題もないだろう」という過信を持ち、その結果分からせられるのだ。

 

 あと、葉子は大雑把だ。長い時を生きた弊害か、自分が無駄に強いせいか、魔道具に込める魔力から部下の派遣にいたるまで全部が大雑把だ。

 その結果、「まあリュウマと深穂なら大丈夫じゃろ、ガハハ!」と毎回身の丈に合わない任務を主人公達に割り当てる。そう、何を隠そうこいつが全ての元凶なのだ。

 

「……そうか、そうだよな。葉子もそりゃいるよな……」

 

 ここまでなら、葉子はただの愉快なのじゃロリ(実害アリ)なのだが、問題は彼女が強いことにある。

 何度も言うが彼女は強いのだ。飲み物に睡眠剤を混ぜられて寝落ちした後に魔道具で退魔術を封じられて種付けおじさんに種付けされてHITONOKO・HARAMI・TONIGHT(伝統芸能)をする程度にはチョロいが、こんなのでも搦め手抜きで戦えば作中上位の強さなのだ。

 だから、退魔師退廃の第一部のラスボスとは相性が悪い。悪すぎる。

 

 第一部のラスボスは生徒会長だ。実はその生徒会長を更に操っていた黒幕として俺こと山田契がいるのだが、それが発覚するのは第二部の話。とにかく第一部では生徒会長がラスボスになる。

 そして、原作では俺が協力していたが、生徒会長は俺が協力する前から普通に悪事をやっている。彼の能力は「洗脳」。彼と長時間話すことによりじわじわ人の精神を支配下におく能力であり、本気を出せば目と目があっただけで、一時的に人を操ることができる。

 

 つまり、なんかしらのアクシデントが起き社長ことのじゃロリババアが学校を訪れ、生徒会長に会った瞬間詰みとなる。

 原作でもバッドエンドの一つとして彼女の洗脳からの蹂躙ENDがあるのだ。なんだこのクソゲー。

 

「……はぁ」

 

 ため息が漏れる。今日初めてまともに主人公組と会話して、正直二人が輝いて見えた。

 こんななりでも俺の中身は前世と合わせて通算30年以上生きてるおっさんだ。それに加えて操魔師の両親の縁により、様々な操魔師に会って育った。原作でヒロインを凌辱したり美少女モブをさらって調教したり使役した魔物を使って悪事を働いたりしている、あのクズで有名な操魔師どもに囲まれて育ったのだ。もちろん中には悪事をしない人もいたが、それでもその心は汚れ切っていたといっていい。

 だから俺も、自然とこう、この社会に向ける期待だとか、他人に向ける信頼だとか、素直な憧れや感謝などという気持ちはすべて捨ててしまっていた。

 そこに、あの純粋な二人からの純粋な好意が来ると、困る。俺はそんなに手放しに尊敬できる人間ではないのに。

 

「守らなければ……」

 

 自然と言葉が口をついて出た。

 ああそうだ。あの純粋で純潔で、この世界の美しいところを正面から受け止められる尊い二人を、この世界に蔓延る見るに堪えない邪悪(陵辱快楽堕ちボテ腹出産苗床化)から守らなければならない。

 

 とにかく、全力で古木と霊川をサポートとして、社長が呼び出されるようなピンチを起こさないようにしよう。今日会った感じだと魔力の扱いの基本もなってないから、色々と教えるべきだろう。

 明日から忙しくなるな……。俺はテンちゃんの頭を撫でた。

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