触手モノ凌辱エロゲの黒幕に転生してしまった   作:ソーラン節

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作者はeuphoriaが好き


馬鹿みてーな名前

 放課後のことだ。魔物調査の経過報告と魔力探知指導のため、いつも通り俺、リュウマ、霊川さんの三人で空き教室に行こうとしていた所に知らない女の子が話しかけてきた。

 

「古木リュウマ。あなた退魔師ですね」

 

 まあ、知らないといってもそれは今世での話。前世含めると知っている顔だ。

 霊川さんとは対照的に青みがかったボブカット、サファイアのような瞳。無表情でどこかミステリアス。そこにいたのは退魔師退廃シリーズに幾度となく登場しているキャラクターだった。

 

「……ええと、君は?」

「私は森凛(もり りん)です。私も退魔師です。あなた達がなにやらこの学校の魔物について調査していると聞いたため、話を聞こうかと」

 

 森凛。通称モリリン。霊川さんと同じくらい人気があって、霊川さんと同じくらいボテ腹出産している本作のヒロインの一人だ。

 

 

「いやあ、まさか俺たち以外にも退魔師の生き残りがいるとは!」

 

 あのあと、俺たちは森凛に呼ばれて生徒会室に集まり話をすることになった。ちなみに何故生徒会室なのかというと、彼女が生徒会の書記で自由に出入りできるからだ。

 

「私、初めて会ったかも。リュウマ以外の退魔師」

「それにしても、どうして俺が退魔師だと分かったんだ?」

「魔力で分かります。それに、会う人会う人にモンスターや幽霊を見かけなかったか聞き回っているらしいじゃないですか。流石に分かりやすすぎです」

「あー、そうか」

「知能が高い魔物が相手だったら、勘づかれて逃げられるか罠に嵌められてしまいますよ」

 

 それな。

 

「たしかに、不注意だったな。気をつける」

「……にしても」

 

 森凛が俺の方を見る。その瞳に浮かぶ色は……いや分からんな。無表情すぎる。

 

「その、この人は……?」

「ああ、彼は山田契だ。俺たちの友達で、操魔師なんだ。信用できる人だよ」

 

 友達だったんだ……!

 この数日で信用できるとまで言ってしまうのはちょっと警戒が足りないとは思うけど、言われる側としては喜んでしまう。原作でリュウマがヒロイン達にモテていたのもこういう素直で誠実な人間性が故なのだろう。

 にしてもそうか、友達か……。思えば、今世では精神年齢が合う同年代がいなかったから、人間関係は無難に知り合い止まりばかりで友達は少ない気がする。なんだかすごい嬉しくなってきた。

 

「いかにも、俺がリュウマの()()の山田契だ」

「……あなたは本当に操魔師なのですか? その割には魔力がないようですが」

 

 友達であることを強調するも無視される。

 森凛は俺の魔力がないことを疑問に抱いていたらしい。どうやら彼女も例に漏れず魔力探知能力に難があるようだ。まあ原作であれだけ触手やら操魔師やらに不意打ちでとっ捕まってるんだから、そりゃそうか。

 実際は俺に魔力がないなんてことはなく、普通に魔力を制御して放出を抑えているだけだ。

 さて、どう答えたものか。

 

 退魔師退廃の第一部では、深穂以外のヒロインのルートはクリア後の解放要素である。つまり、初回では霊川深穂ルートだけしかハッピーエンドに辿り着けないのだ。

 

 だから安易に森凛ルートに進むとバッドエンドになる。

 具体的には、森凛を攻略してやろうと好感度を上げる選択肢を選び続けるとやがてある日森凛から呼び出される。「今日の放課後、生徒会室に来てください」と。

 そして、うひょーエロイベktkr! とウキウキで放課後森凛に会いにいくと、放課後密室男女が二人何も起きないはずはなく、主人公は森凛に不意打ちでクロロホルムを吸わされ眠らされる。

 そして主人公は魔物に乗っ取られ、そのまま霊川さんを襲ってしまい……後はいつものボテ腹出産苗床ENDだ。

 

 そう、何を隠そう森凛は登場時点で既に本作のラスボスである生徒会長に洗脳されているのだ。だから基本、森凛ルートは完全な罠となる。

 

 一応、二週目以降では森凛のフラグを立てつつハッピーエンドのフラグを立てることにより、彼女を洗脳から解放して森凛ルートが解放されるのだが……この世界のリュウマにそれができるかと言われると微妙だ。

 

 そんなわけで、生徒会長の配下にある彼女には目をつけられたくない。ここは一般モブ操魔師程度の実力と誤認させるのが良いだろう。

 魔力制御を緩めて、一般人に毛が生えた程度の魔力量を放出する。

 

「魔物に狙われたくないから普段は魔力抑えてるんだ」

「……なるほど。そういうのもあるんですね」

 

 そういうのが普通だよ。少なくとも操魔師の世界では。

 やはりというか、彼女も退魔師としての魔力制御に関する教育が不十分なようだ。まあ主人公陣営が強いとエロイベが起きなくて都合が悪いからね、仕方ないね。

 

 その後、退魔師三人と操魔師(悪の操魔師ではない)一人によるこの学園に潜む魔物に関する情報交換をしていると、コンコンと生徒会室のドアがノックされた。

 

「実は皆さんに会って欲しい人がいます。私の協力者で、この学校におけるもう一人の退魔師でもある人です。……会長、入って来てください」

 

 ちなみに退魔師というのは嘘でバリバリ操魔師だ。

 

 ガチャリ

 

 ドアが開かれ、長身優顔糸目のイケメンが現れた。本作のラスボスこと生徒会長のお出ましだ。

 

「古木リュウマくん、霊川深穂さん、こんにちは。私は生徒会長の阿九寺(あくじ)陰平(いんぺい)という者です。よろしくお願いします」

 

 馬鹿みてーな名前

 嘘みたいだろ、これでラスボスなんだぜこいつ。

 というかなんで誰も突っ込まないんだよ。明らかに悪事を隠蔽してそうな名前と顔だろ。

 

「……あれ、凛くん。彼はどちら様かな……?」

 

 阿九寺がこちらを見て言った。

 ……ふむ。どうやら阿九寺にも、俺が操魔師として触手を使って学園を見張らせていることはバレていないらしい。これは嬉しい誤算だ。

 特に触手は隠すつもりもなく、それこそ魔力探知が下手なリュウマと霊川さんに見つかるくらい、隠蔽を施さずに学園に配置していたのだが……。

 

 まあこの学園()()()野良の触手も多いからな。実際俺も、学園に潜んでいた野良の触手を調伏してそのままそこに放置して監視させていたし、触手がいても当たり前すぎて警戒されなかったのかもしれない。

 ……触手がいるのが当たり前な学園ってダメだろ。やはりこの学園魔境すぎる。陵辱エロゲの舞台になっただけある。

 

「彼は古木リュウマの友人で操魔師の山田契です。せっかくなので一緒にお話をと思いまして」

「……なるほど、それは素晴らしいですね。是非()()をしましょう」

「ハハハ、ヨロシクオネガイシマス」

 

 お話(洗脳)ね。原作で嫌という程味わった手法だ。

 魔物についての話がしたいとか言ってヒロインを生徒会室に呼び出して、会話の中に洗脳の呪言を混ぜて徐々に「心を開く」ように洗脳していき、心を開ききった後に都合のいい洗脳をたんまり叩き込むという手法。

 その手法の性質上、プレイヤーは阿九寺による洗脳バッドエンドを見る度にNTRにより脳を破壊されることになる。

 人によるNTRは触手による陵辱苗床ENDよりも心に「くる」のだ……。

 

 俺は周囲にバレないように、こっそり()()()()()()()()()

 

 その後、退魔師三人と操魔師(悪の操魔師ではない)一人と操魔師(悪の操魔師)一人による魔物に対する作戦会議、という名の阿九寺による洗脳パーティが行われた。

 

「──だから、君達引き続き警戒と、何かあったらに報告お願いしたいのです。ああそれと、凛くんは信用できる退魔師です。特に結界術に関しては彼女を頼るといいでしょう。なんにせよ、三人より五人です。私たちが力を合わせれば、必ず魔物の正体を突き止めお祓いすることができますよ」

 

 何やら阿九寺が長々と話す。恐らくこちらを洗脳する呪言が混じっているのだろう。

 この世界で無法な性能を持つ「洗脳」とはいえ、恐らくここで数分聞く程度ならそこまで問題ない。少なくとも魔術による洗脳は受ける側がそれについて意識的に警戒していればかからないはずだ。

 ……ないはずだが、だからといって受け入れるのは怖すぎる。洗脳は一発即詰みの無法技術なのだ。警戒するに越したことはない。だから対策をとる。

 

 耳の中に召喚した触手に、俺の鼓膜を破ったことにより流れた血を吸わせながら、ついでに感覚共有をする。

 

 俺は使役する触手と感覚共有ができる。そのため、自前の鼓膜がなくとも触手経由で聴覚情報を得ることができる。

 阿九寺がかけてくる洗脳は「呪言」と呼ばれるもので、音を触媒に人の意思を操るといったものだ。だから、鼓膜に音が届かなければ呪言の影響は受けなくて済むのだ。

 

「──というわけだ。いいかな?」

「はい! これからよろしくお願いします!」

「ええ、いい作戦だと思うわ!」

「さすが会長です」

「イイデスネ!」

 

 話し終わった阿九寺に向けられるヨイショに適当に乗っておく。

 うわあ……。リュウマと霊川さん、完全に洗脳の影響受けてるじゃん……。いい作戦ってなんだよ。アイツの言ってたこと要約すると「何かあったら教えてね」だけだぞ。

 

 何にせよ、この日はこれで解散になったのだった。

 一応、生徒会室や森凛、霊川さん、リュウマの髪に微小の触手を付着させておいた。本当なら阿九寺にも付けたかったが、流石に気づかれそうなのでやめておいた。

 とりあえず、これで感覚共有すれば盗聴や盗撮ができるし、何かあったら触手の方から連絡が来るはずなので、暗躍を察知したりNTRを防止したりできるはずだ。

 

 これから忙しくなりそうだ……。俺は自室でテンちゃんの頭を撫でながらため息をついた。

 

 

 翌日のことだ。登校すると珍しくリュウマが一人で教室にいた。

 

「おはよう。あれ、霊川さんはどうしたの?」

「おはよう! ああ、深穂なら生徒会長に呼ばれたとか言ってたぞ」

 

 ……は?

 

「じゃあ何で君はここにいるの……?」

「え。なんでって、深穂しか呼ばれてないんだから俺は行く必要ないだろ?」

 

 ……そういえば原作で、生徒会長に呼び出された深穂に対してかける言葉として「いってらっしゃい」と「俺も一緒に行く」の二択があったことを思い出した。

 

「馬鹿やろおおおおお!」

「えっ!? なに!? ちょ、おい契どこ行くんだよ……!」

 

 困惑気味なリュウマを置いて、全力ダッシュで生徒会室に向かう。常に服の下に忍ばせてある使役済触手で筋肉を補強した、正真正銘の全力疾走だ。

 

 原作、退魔師退廃での「いってらっしゃい」と「俺も一緒に行く」という二択のうち、前者を選ぶと即バッドエンドが確定する。それを選ぶとどうなるのか。

 ああそうだよ、美穂が生徒会長の使役する魔物で媚薬漬けにされて調教されて洗脳されて、快楽堕ちNTR裏切りからの肉便器END(いつもの)だよ!

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