短剣を握らされ向かった先は一見普通の家にしか見えない場所だった。
Zevはある一軒家の前で足を止めクラエナを見つめた。
ポケットから銀のささやかな装飾のされた鍵をクラエナへ渡す。
「ここが俺の家。今日からクラエナの家にもなるわけだけど、俺ペット飼ってるからアレルギーとかない?」
「無いよ!熱帯魚も淡水魚アレルギーもなかったから。」
あぁそうかという顔をした
「クラエナは海出身だったな。陸上の生物は大丈夫なのか?」
「歩いてるうちに毛むくじゃらの生き物にはあってきたけど特にアレルギー反応は出なかったなぁ。だから大丈夫だと思うよ。」
「じゃあ大丈夫か。ウチのは少し騒がしいヤツだが悪いやつじゃないんだ。クラエナもすぐ仲良くなると思う。」
「あたし、生き物好きだからすごく楽しみ。」
「それは良かった。」
Zevは門の扉を明け新聞をポストから取り出しクラエナに着いてくるよう指示した。
石畳の上を歩くと軽やかな音がした。
庭に植わってる木が風に揺れて心地よく揺れている。
小さな池に泳ぐ金魚が水面を揺らしながら泳いでいる。
Zevが玄関を開けると白い物体がZevに向かってる飛び込んできた。
「Zev!おかえりムル!!!お土産はどこムル!!!」
Zevの腕の中で子供のようにはしゃぐ小さな生き物。
その小さな生き物はクラエナを見るとZevを怪訝な目で見た。
「Zev…彼女がいないからってこんな年端もいかない女の子さらってきて……いつかはやると思ってたムル…」
Zevは小さな生き物の顔を軽く小突くと
「違うよ。困ってたからウチで住み込みで働いてもらおうと思ってな。てかいつかやるってなんだよ。」
「ムルーー!!じゃあこの子ウチに住むムルか!!!やったー!!」
小さな生き物はZevの横を通ってクラエナの手を握った。
「はじめましてムル!僕はムルル!!Zevの仕事仲間なんだぁ♪
君名前はなんて言うムル?」
「はじめまして、アタシはクラエナ。Zevさんに困ってる時助けて貰ったの。これからよろしくね。」
ムルルは満足そうに頷くとクラエナの腕の中にすっぽりと収まった。
「ウチにはZevと僕の他にまだ何人かいるんだけどね!女の子が来たのは久しぶりだよォ〜!ここは事務所だからたまにお仕事で遊びに来る人がいるからその時会えるんじゃないかぁな!!」
ウキウキした表情でクラエナに話しかけるムルル。
「ほら、家の前じゃ休めないだろ。中入りな、クラエナだってこの街に着いたばっかりなんだゆっくりさせてやろう。」
そういうと玄関の扉を開けるZev。
ムルルは「行こ!!」と玄関を指さし笑っている。
「そういえばこういう仕事って短剣渡されたんだけど、ここはなんの仕事をしているの?」
ムルルはキョトンとして、「Zevはちゃんと話してなかったムル?」
スルっとクラエナの腕から離れ顔の前に浮かぶと
「ようこそクラエナ。殺し屋【アラクネ】へ。」