魔法戦記リリカルNARUTO   作:鳴神

1 / 15
第一幕 異世界への誘い

世界を転覆する寸前にまで陥れた【第四次忍界大戦】

構成メンバー全員が各隠れ里でSランク指名手配され、その道では名の知れた凶悪人物のみで構成された最強テロリスト集団【暁】と嘗て木の葉崩しと呼ばれた事件を起こした男【三忍】大蛇丸の能力を継いだ薬師カブトによって引き起こされた戦争は忍界全てを巻き込む空前の大争乱となり、世界を混乱の渦に巻き込ませた。

それに対処すべく、各忍び里は暁の狙う二人の男を守らんがためにその手を取り合い、最精鋭とも呼ばれる八万八千の忍を擁する事で、暁のリーダーのトビに初代火影の細胞から培養された十万のクローン人間と穢土転生によって復活した歴代最強の勇者達に対抗する道を進んだ。

 

その戦いは血を血で洗い、一瞬で屍の山が積み上がる激戦………しかし、戦力の質と量でも劣る忍連合は連合の不和を狙った策略にも翻弄され次第に暁に押されて行った。

 

忍連合にとって万事休すとなった状況

 

そんな忍連合の劣勢をひっくり返したのはたった一人の少年であった。

うずまきナルト、嘗ては九喇嘛の生まれ変わりと忌み嫌われ疎まれ続けて来たその少年は、木の葉崩し時に起こった一尾の人柱力我愛羅の暴走、五代目火影綱手を狙った大蛇丸との戦い、我愛羅を狙った暁との戦い、そして木の葉の里をたった一人で壊滅させた暁の表向きのリーダーであるペインとの激戦など度重なる木の葉隠れの里の危機をたった一人で切り抜けた少年であり、自らを付け狙う暁と戦うために参戦すると暁の策略をその能力で破り去り最強忍者達を何十人も倒すことで戦局を一気にひっくり返した。

勝利を目前にした忍連合、だが暁サイドもたった一人の人間の参戦によってひっくり返した。

うちはマダラ、暁のリーダー【トビ】同一人物とされていた筈の男が穢土転生によって復活し、その歴史上最強の名に相応しい力をもってして、たった一人で一万を優に超える忍をその眼に宿した能力によって殺戮した。

さらにに最強の六人………今代の人柱力達を率いた暁のリーダー【トビ】にナルトの親友にして最強の復讐者となったうちはサスケも現れ、忍連合は再び劣勢を強いられた………しかし、再び奇跡は起きた。

六人の人柱力との戦いで劣勢を強いられていたナルトの体に宿す最強の妖魔にして尾獣が一体【白面金剛九尾九喇嘛】がナルトを友として仲間として認め、その力の全てをナルトのために使ったのである。

クラマの協力の下、その力の全てを十全に行使しえうる能力を手にしたナルトは再び六人の尾獣達に戦いを挑んだ。

敵は六体の尾獣と人柱力、それに対してナルトの味方はクラマとキラービー、その相方の尾獣【牛鬼】、そして恩師カカシとマイト・ガイのみ

しかも、実際に戦えるのはナルトとクラマのみ………辛うじて戦えるのはキラービーと牛鬼のみといった絶望的な状況、それでもナルトとクラマの心を通わせた一人と一体は笑みすら浮かべて五体の怪異に挑んだ。

五対二の戦い、しかしナルトとクラマは最強の尾獣に相応しい力と英雄とまで呼ばれる程に経験をもってして互角以上の戦いを演じ、勝利した。

そんなナルトとクラマの姿を見て、操られていた人柱力達はナルト達に自らの意志と力を託した。

この行動が後に大きな意味を為す事を信じて………

 

 

そして始まった、親友にしてライバルであったサスケとの決闘

片や最強の相棒を手にした事で比類無き速度と圧倒的な力を兼ね備え、仲間の絆と栄光の光をその身にする英雄

片や最強の万華鏡を手にした事で最強の楯と絶望すら焼き尽くす炎を操り、全てに絶望した心と闇より尚濃い漆黒の澱みにその身を落とした復讐者

立場が違えば、思いも違う両者の戦いは山を砕き、湖を干上がらせ、大地を揺らす激戦であった。

いつまでも続くと思われた決闘だったが、その決着は意外な形で決した。

ナルトの思いがサスケの心の闇を取り払い、そして再び友として互いの心を通じ合わせたのである。

更にはサスケの兄のイタチが穢土転生の術者たるカブトを止め、全てのゾンビ集団は姿を消した。

残るは暁のリーダートビのみ、しかし、トビは未だに隠し玉を残していた。

外道魔像に封じた六体の尾獣、牛鬼の尾、更にかつて九喇嘛を使役した際に手にした九喇嘛の持つチャクラ、そして彼の本来の魂《うちはマダラ》………それらを合一させる事で現れた十尾の魔神。

これには、クラマの力を持つナルトもトビと同じ万華鏡を持つサスケも五影達も圧倒された。

隕石に山津波、木々の濁流と天災としか表現しようない状況に、誰もが敗北を覚悟した。

 

 

 

 

だが、最後の奇跡が起こった。

 

トビの駆る十尾の中にある尾獣達がナルトに託されたチャクラが共鳴し、その眠っていた筈の尾獣達の意志を覚醒させたのだ………自分達を道具と見るトビか、一個の存在と認めるナルトか、どちらに尾獣達が力を貸すかなど問うまでないだろう。

尾獣達はその意志と、持ちえる限界までのチャクラを十尾から奪い取ってナルトに憑依し二体目の十尾を覚醒させた。

全ての尾獣の心によって駈けるナルトの十尾、チャクラの塊たる力をもってしてのトビの十尾………その差はほぼ互角、だが、嘗ての六道仙人が後継者を選んだ理由と同じく、二つの十尾の戦いは………心をもってして戦うナルトに軍配が上がった。

ナルト本人の力もさる事ながら、トビと同じ魔眼を誇るサスケ、ほぼ最強と言っても過言ではない五影達、ナルトを友とする木の葉の仲間達、そして共に戦う連合の仲間達………それらが結束した強さが、トビを打ち砕き長きに渡った大戦は終結した。

 

 

その後、犯罪者であったサスケはナルトやキラービーのおかげもあり雷影の許しを得て再び木の葉の忍として復帰、更正期間もあったがナルトや仲間達の助けをもってして普通の生活に戻った。

その他ナルトの仲間達も大戦を経験した事によりそれぞれ一人前の忍者となり、忙しい毎日を過ごしている。

そして、当の本人たるナルトは木の葉の英雄から世界の英雄としてその名を知らしめ、夢にまで見ていた筈の火影就任も時間の問題と言われる程にまで成長していた。

日々有名な忍者として数多の護衛任務をこなし、実力派の若手忍者として教え子を育て、同時に大戦によって発生した様々な抜け忍組織と戦うといった忙しくも充足した生活を送る最強の忍者

 

これはそんな少年が紡ぐ、新たな戦いの物語である。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「さてナルトよ。次の任務だ」

 

「………って、何で3ヶ月連続で任務ぶっ続けなきゃなんねーの!!」

木の葉は火影邸の執務室、我等が主人公うずまき………いや大戦後に父方の性【波風】に改名したため波風ナルトと呼ぶべき少年は火影である綱手に悲痛な叫びを上げていた。

「何か不満でもあるのか?」

「不満も何もあるに決まってんだろーが、もう3ヶ月連続働きっぱなしなんだぞ、労働基準法違反どころの話じゃねえってばよ!! ついでに言っとくと、本体は護衛任務してんだぞ!! ここに居るのは連絡用の分身だし!!」

「仕方がないんだ。

忍界大戦やあの事件の影響で各国は抜け忍への対処が急がれている。

そして、抜け忍への対応は飛雷神の術を使え機動力に秀でたお前がうってつけだ。

すまないがしばらくは我慢してくれ」

「そんでも週一位は休みくれよ!! 最近1ヶ月は兵糧丸と栄養カプセル以外喰った覚えがねえんだぞ!!」

本気で威圧感を放ったまま詰め寄るナルトの姿に綱手は思わず後退りしてしまう。

『休みを寄越せ』という思いだけで綱手の表情が引きつっているのはナルトの桁違いな実力故か、はたまたそこまで休みを願う程疲労しているのか。………おそらく両方なのだろうが、

 

 

「お前が働き過ぎている事は私もよくわかっている。次の任務が終われば一週間の休暇を与えるからそれまでの我慢だ」

「ッ!! そ、それって本当か綱手のばあちゃん!!」

今まで虚ろな色しかなかったナルトの目が瞬時に光を取り戻す。いきなりの変貌に綱手は若干引いてしまったが、ナルトの現在の状況を考えれば仕方ないと判断し、机から任務の詳細を記した書類を取り出して手渡す。

 

「これ以上お前に無理を強いればサクラやサスケにカカシ、サイからグチグチ言われるからな。それに私もお前が無理する姿は見たくない」

「よっしゃぁぁぁっ!! サンキュー婆ちゃん!!」

書類を受け取りながら聞いた言葉にナルトは無邪気に笑みを浮かべる。

その姿は皆から讃えられる救世の英雄とは思えず、綱手は少しだけ吹き出してしまう。

 

「ならば早速任務に当たってくれ。内容は秘術の記された巻物の奪還、ターゲットは抜け忍の時任廉だ。下手人は捕縛しろ、わかったな。」

「了~解ってばよ。んじゃ木の葉の里上忍波風ナルト、早速任務に入るってばよ!!」

 

ボフゥン!!

 

その言葉を最後にナルトは煙となって消え、執務室に残ったのは綱手のみとなった。

 

「………そういえば、今日は富くじの抽選日だったか。今日こそ当たりが‥‥‥‥‥‥」

そう言い綱手は新聞と引換券を取り出したが、それ以降の言葉は出せなかった。

 

【引換券 18組 182495】

 

【当選番号 一等 100万両、182495】

 

「‥‥‥‥‥‥何か、嫌な予感がするな。」

自らの持つ不運とジンクスが、綱手にそう予感させた。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ところ変わって火の国の国境

 

「休み休み休み~~、待ちに待った休みだ~~ってばよ~~!!」

ナルトは猛烈な勢いで爆走していた。

 

「待ちやがれ休み~~!! お前をとっ捕まえて一週間平和に過ごすんだ~~!!」

「な、ナルトさ~ん、待ってくださいよ~!!」

ナルトの金髪が黄色い軌跡として見える速さで木々を飛び抜け忍を追い掛けるナルト、その後ろにはスタミナ切れ寸前に近い年下の日向の忍が一人いる。

一応、探知にと連れてきたのだが、何分遅い………いや、単にナルトが速すぎるだけなのだが

 

「ああ~、んじゃもう通信機使うか? 探知さえしてくれたら俺がやってくるからよ。お前は後からゆっくりついて来いってばよ。」

「そ、そうさせて、貰いますけど、油断しないで、下さいね。いくらナルトさん、でも足を、掬われる事、がないって、限らないです、から」

「わかってるってばよ。んじゃまた後でな」

そう言うとナルトは簡易レシーバーを耳に装着すると更なるスピードで走っていった。

「………ナルトさん、本当に久々の休みが嬉しいんだな。

………でも嫌な予感がするのは俺だけかな」

綱手と同様にこの男もまた、嫌な予感を感じていた。

まるでナルトが何処か遠くに行ってしまいそうな、そんな予感が

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

『あと500メートル、二時の方向です。』

「オッケー、二時の方向だな。多分、接触まで一分も掛からねーな」

『隊長、本当に油断しないでくださいよ。いくら休みが待ち遠しいからって、油断して死んだりなんかしたら皆さん悲しみますから………』

過保護なまでに自身の心配をする部下についナルトは噴き出してしまう。昔と違って仲間全員が自分を心配し、任務を成功した時はメンバー全員が共に喜んでくれる。

それは当たり前の事なのかもしれないが、今まで常に辛い過去を歩んで来た彼にとっては、嬉しく思って仕方のないものなのである。

 

「おっと………ターゲット確認した。今から戦闘に入るってばよ」

『………了解しましたナルトさん、御武運を』

「………うっし、行くってばよ!!」

気合いを一発入れて木から飛び降りながらクナイを構え、そしてターゲットの目前に立ちふさがり

 

「やい!! 秘伝書盗んだ泥棒め!! テメェをさっさとぶっ飛ばして報酬の長期休暇を貰わせやがれってばよ!!」

力強い声で、ターゲットに宣告した。

 

「なっ………追い忍が木の葉の金色の疾風なんて聞いてないぞ!! ふざけるな!!」

「ふざけてなんかねぇってばよ!! さっさとお縄について長期休暇に入らせろ!!」

「しかも話が全く通じてねぇ!? 糞っ、どうすりゃ良いんだよ!?」

「かぁぁぁくごぉぉぉっ!!!」

自分の言い分を好き勝手言うに留まらず相手のツッコミすら無視してナルトは抜け忍に襲いかかる。

なまじ、休みを目の前にしてテンションがぶっ飛んだ状態でも戦闘性能が変わらない………どころかフィジカル的には寧ろアップしているため質が悪い。手に持ったクナイを投げつけてから、袖に仕込んだチャクラ刀を二刀流に構え肉薄、風のチャクラ刃を展開させ抜け忍に斬りかか………らずにハイキックをお見舞いした。

 

「………って、テメェ!! 英雄のくせにフェイントなんざ卑怯だぞ!!」

「黙れ、そもそも忍者ってのはフェイントどころか騙し討ち、情報操作、暗殺ありの商売だぞ。たかがフェイント如きで卑怯って呼ばれる筋合いはねぇってばよ!!」

「くそっ、正しいだけに何も言い返せねえ!!」

四年の間で、良い意味でも忍者らしくなったナルトは忍術だけでもなく自慢の機動力とフェイントを織り交ぜた体術でも一流となっており、あらゆる意味で驚異となっている。

そうこうしているうちにナルトは抜け忍にエルボー、蹴り、斬撃と一方的なまでの攻撃を浴びせ、圧倒する。

こんな姿、ナルトを英雄視する木の葉の忍達が見たら絶句するだろう。特に子供達なんかは………まぁ周りにゃ誰もいないのだが、

 

「コイツで、トドメェェェッ!!」

 

ドゴォォォッ!!!

「がぁぁぁっ!?」

………圧倒的な膂力から放たれたナルトのローリングソバットが鳩尾に吸い込まれるように直撃、抜け忍はそのまま10メートルほど吹っ飛ばされる。

かくして戦闘とも呼べない一方的な暴力の嵐は終了したのだった。

 

「………さてと、さっさと秘伝書回収して拷問班に引き渡すか。

そしたら久しぶりの休み!! く~~、燃えて来たぁぁぁぁっ!!」

ボオォォォゥゥゥッ!! と何処ぞの熱血野球漫画さながらに瞳に火を灯しながらナルトは嬉々とした様子でロープを取り出し、抜け忍へと近付く。よほど嬉しいのか鼻歌まで出ている。

凄まじい勢いで縛り上げると、続けて目的の秘伝書を漁り始める。

………もう、英雄としては本当に色々と台無しな姿である。

 

「………って、ありっ? 秘伝書は何処だってば?」

抜け忍を縛り上げ、その衣服から秘伝書を探すナルトだが、幾ら探しても目的の巻物が見つからない。

 

「あああぁぁぁぁ~~、何処だ何処だ何処だってばよ~~!! 見つけねえと休みが遠のくってのに~~!!」

 

………コロンッ

 

「ほえっ?」

物音に気づき、呑気に振り返ったのは一瞬だけ、

 

スルスル………キュオォォォォッ!!

 

「って………うえぇぇぇっ!!?」

刹那、探していた筈の秘伝書が物凄い勢いで開かれ、その中に記された術式がチカチカ発光し始める。

 

「(この術式………飛雷神系統の時空間忍術か? でもこんな術式、時空間忍術のエキスパートだった父さんの遺産にも載ってなかったぞ!!)」

距離を取りつつ、術式の分析を図ろうとしたが………その判断は甘かった。

 

キィィィィィン!!

 

「なっ、嘘だろ!?」

甲高い音と共に閃光が迸り、その光が爆発的に広がって行く。

 

「(くそっ、解析は不可能………とりあえず飛雷神で距離を取るしか)」

「隊長!?」

「なっ、お前ってば何で来てんだよ馬鹿!!」

急いで印を組もうとした瞬間背後から部下の声が聞こえた。

その瞬間、生来からあるナルトの優しさが仇となった。

 

「くっそ………風遁!! 大突破!!」

咄嗟に組み上げる印を変更し、突風を放つ。

そのため部下の男を引き離す事に成功するが、反動でナルトはそのまま光へと突っ込んでしまい………そして

「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

シュゥゥンッ!!

 

光が収束するのと共に消え去ってしまった。

 

「た、たいちょぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

部下の叫びが響くそこに残ったのは、ナルトが捕まえた抜け忍の姿のみ………

この日、波風ナルトは忍界から消息を絶ったのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。