魔法戦記リリカルNARUTO   作:鳴神

10 / 15
これで、pixiv投稿済みの話は全て投稿しました。
次回からこことpixivに同時に投稿させていただきます。
……それと、感想をどしどしお願いします。寂しいので


10話 お出かけ戦線

チチチチッ………

 

「ん~、朝か。それにしても………」

ベッドから起き上がったナルトは部屋を見回し、溜息を吐く。

「はぁ、やっぱしマジで異世界に来ちまったのか」

『儂も夢じゃと思っておったが………やはり本当じゃったのう』

「でも………これであの劣悪労働環境から解放されたってわけだ。く~、燃えてきたぁぁぁぁぁ!!」

バンッと布団を跳ね上げ、ナルトはその体から無駄に気合いが入った声を出しながら立ち上がる。

九喇嘛が呆れた顔で『本当にお主は木の葉を離れた事を悲しんどるのか?』と呟いていたが、ナルトはそんな言葉を気にする事もなくストレッチを始め、

「うっし、今日も1日頑張るってばよ!!」

それを終わらせるのと同時に窓から外へと飛び降りた。

 

 

☆☆☆☆

 

「ふわ~、よく寝た」

ナルトが窓から飛び降りてから約五分後にエリオは目を覚ました。

「………それにしても、昨日は色々あったな。

初出動にフリードとかもそうだけど………ナルトさんも大概だよね」

思い出すのは自分達が訓練で使っているものより数倍の性能を持つターゲットを圧倒的な実力で壊していった………そして、優しい次元漂流者の姿、

「はぁ、僕にも本当の兄さんがいたら………あんな優しい人だったのかな?」

そんな事、有り得る筈がないのにエリオは仮定の世界を夢想してしまう。

もしナルトが優しく、強く、家族思いな兄だったのならきっとあのような事にはならなかったはずだとエリオは思ってしまった。

「………そんな事有り得ないのにね。

はぁ、朝練でもしようかな?」

ちょっとブルーな気分になってしまった自分に溜息を吐きながらエリオは着替え始めた。

「よし、行ってきます」

最後にキャロのために目覚まし時計のアラーム針を少しだけ早めてエリオは部屋を出て行った。

まさか行く先にナルトがいるとは思いもせずに

 

☆☆☆☆

 

その頃ナルトは六課の寮前で影分身との組み手を行っていた。

 

「フッ、ハァッ、セヤァァッ!!」

「くっ………まだまだぁぁっ!!」

ガガガガッ!!

凄まじい勢いで蹴り、拳、肘、膝などなどが放たれ続けるが、それら全ては致命傷はおろか掠りもしていない。

だが、暫くたつにつれ本体のナルトが優勢になってゆき………

「これで、トドメェェッ!!」

ドンッ!!

「ガハッ………」

ボフゥンッ!!

そしてナルトの回し蹴りが影分身の首に直撃し、そのまま木にぶつかって煙に消えた。

「よし影分身との組み手10セット終了っと………次はチャクラ刀の素振りでもすっか」

そんな光景に目もくれずナルトは袖から二本のクナイを取り出し、真っ青なチャクラ刃を展開する。

そして、それを構えて目を瞑り精神を研ぎ澄まし………

「よし、やるか………せーのっ!!」

シュンシュンシュンシュンシュンシュンッ!!

刮目するのと同時に二振りのクナイで凄まじいスピードで素振り………というにはあまりにも見栄えし過ぎている………をする。

だが、もしナルトが自分をもっと客観視できる人間なら気付いていただろう。

蒼穹を固めたようなチャクラ刃を放つクナイを持ち、しかも金糸にも似た少し長めの髪をした人間が端から見れば剣舞にしか見えない踊り(本人は頑なに素振りだというだろうが)を舞っているのを見れば、それを見る者の目には彼がどう映るのか。

つまりぶっちゃけるとだ、

「か、格好良い………」

エリオに見惚れられていたのである(素振りの姿にである、それ以外の他意は全く存在しないのであしからず)

ちなみに今、エリオがいるのは普通に気配察知していれば気付けるが………素振りに集中している今は殺気やごく近距離といった必要最低限の気配察知しかしていないためナルトがエリオの存在に気付く事はなかった。

そうして暫くエリオがナルトの姿を見物しているうちに素振りを終えたらしく

 

「………ったく、まさか覗かれてんのに気づけねーなんて………気配察知能力が鈍ったんかな?」

「えっ………って、うわぁぁぁっ!?」

突如としてナルトはエリオの背後に現れた。先程まで素振りをしていて、漸く休んだ様子なのか一息吐いたのと同時に背後に現れたのだからエリオが驚くのは仕方ない事なのだが………

「や、やっぱ俺ってば嫌われてんのか………」

「な、ナルトさん!? ちょ、ちょっと………何か背中に変な黒い玉が浮いていますよ!?」

ナルトは自分が嫌われていると判断したのかリアルOrz状態となり、背景を黒と紫に染めて黒の縦線と火の玉を浮かせる姿を見てエリオは更に悲鳴をあげる。

「ははは、そうだよな。いきなり迷惑かける様になった奴に近寄られて嬉しい思いなんて誰もするわけねーもんな。」

「ち、違いますって!! さっきまであっちに居たのに瞬き一つの間に僕の後ろに来られたのに反射的に驚いちゃっただけですって」

「………そんな嘘言わなくて良いってばよ。」

「嘘じゃないですって!!」

もう色々とヤバくなったのかハイライトの消えた目で自分を見据えるナルトにエリオは必死に言葉を返す。

「僕がナルトさんを嫌うわけないじゃないですよ!! ナルトさんって強いし格好良いし優しいし………僕なんかよりずっとずっと凄いじゃないですか!! 僕、昨日のナルトさんが戦ってるのを見て憧れたんですよ!! いつかナルトさんみたいに強くなりたいって思ったし、その後で気さくに声を掛けて貰ったのも嬉しかったですし………だからそんな情けない事を言わないでくださいよ!!」

「………ホントか?」

「ホントです!!」

力無く見上げるナルトにエリオは強く頷いて自らの言葉を肯定する。

そんな彼の様子を漸く信じられたのか、ナルトは周りの縦線やら火の玉を消して漸く立ち上がる。

その顔にはもう暗い色は全くない。

「だったら、これから暇ができたら色々教えてやるってばよ」

「えっ………本当ですか?」

「ああ、んじゃあ今日からエリオは俺の五番弟子な」

乱暴にエリオの髪を撫で回しながらそう宣言した。

 

 

☆☆☆☆

 

「さてと、そんじゃま師匠らしく、手ほどきでもしてやるか」

「お願いします!!」

あの宣言から少しばかり時間は過ぎ、ナルトとエリオは互い向かいあっていた。

ナルトは変わらずジャンプスーツ姿だが、エリオは自らの相棒【ストラーダ】を構え、バリアジャケットを展開している。

つまり、二人が今から行おうとしているのはエリオの実力をナルトが確認するための模擬戦である。

もっとも、二人の間には実力差が有り過ぎるのでナルトは右手と武器の使用を封じ、初手はエリオに譲ったりと大きなハンデを与えている。

 

だが………

 

「(動いてないのに………なんてプレッシャーなんだ)」

エリオはナルトの放つ雰囲気に呑まれかけていた。

そもそもナルトは数多の戦場を駆け抜けて来た超一流の忍者だ。手を抜かれており戦闘経験があるとはいえ、まだ十歳の少年には相手をする事自体が酷だろう。

「(………でも、僕の実力を見せないと、ナルトさんに失望されない位の実力を)」

「来ねえのか?」

「今行きます!! ………ハァァァァッ!!」

声を張り上げ、エリオはストラーダを一層強く握り締めて突貫する。

充分なスピードが乗ったその一撃はエリオの背の低さも相まってかなり低い位置から突き上げられた。

防御しにくい下段からの攻撃、しかし

 

ガシッ

「なかなかの速さだけど、俺には届かないってばよ」

「くぅぅ………」

ナルトはそれを避けず、左手の人差し指と中指で真剣白刃取りした。

端から見れば大人に子供があやされているようにも思える光景だったが、ナルトの心中は

「(とはいえ、十歳にしちゃ充分なスピードだな、もっとも俺には遠く及ばないけど………ガッツリ鍛えたらキバ位までは行けるかもな)」

若いが故にまだまだ伸びしろのあり、そして高い潜在能力の感じられる動きに少しばかり感心していた。

しかし、ナルトはそんな様子は顔に出さずに落胆した顔を見せ………

「でも、やっぱし攻撃が軽いよな………」

「ッ!?」少しばかり挑発の意味が籠もった言葉を放った。

それにエリオはナルトの思惑通りの反応を見せ、その顔を怒りに染める。

挑発は戦略的な意味もあったが、それ以上にあったのは………

「(さて、お前の全力を見せてくれよな。)」

ナルトが見たかったのはエリオの拙い戦略で技を小出しにさせる事ではなく若さ故の勢いによる全力であったため、わざと怒らせてエリオの全力を引き出そうとしたのだ。

「………行き、ます!!」

「(ああ、来いエリオ。そんでもってお前の全力を見せてくれ)」

「カートリッジロード!! ハァァァァッ!!」

一旦距離を取り、カートリッジをロードしてストラーダを再び構える。そしてその穂先からレモンイエローの魔力が爆発的に放出される。

「ウオオォォォォッ!! スピアァァァァッ、アングリィィィフ!!」

ドォォォォッ!!!

そしてストラーダの穂先に刃を噴射口から推力としての魔力を展開、最後に大地を強く蹴り猛烈なスピードでナルトに突貫した。

 

予想以上のスピードにナルトは目を見開くが、エリオはそんな彼を無視して………

 

 

ドガァァァァァンッ!!!!

 

 

凄まじい轟音と共に寮前に巨大な砂煙が舞った。

 

☆☆☆☆

ドガァァァァァンッ!!!

 

「「「ッ!?」」」

轟音が響いたのと同時に、六課の前線メンバーは全員一斉に飛び起きた。

 

「うえ、何でこんな音が?」

「馬鹿ッ!! ボケッとしてないで早く起きなさいよスバル!! 犯罪者が襲撃したのかもしれないわよ!!」

「ううう嘘!? あわわわ、相棒~!!」

スバルとティアナの二人娘はデバイス片手に慌てて部屋を飛び出し、

 

「マズいで、昨日回収したレリックはまだ受け渡してへんから………前線メンバー全員集合や!!」

はやては冷や汗を流しながらも冷静に命令を下し、

 

「フェイトちゃん!!」

「うん、もしかしたら昨日の事件と同一犯かも………」

なのはとフェイトは冷静に状況を整理しながら、バリアジャケットを展開し

 

「まさか我々から潰しに来るとはな………だが、帰り討ちにしてやろう」

「ああ、グラーフアイゼンの錆びにしてやるぜ!!」

二人の騎士は敵襲に燃え………

 

「ナガト、しくじんじゃねえぞ!!」

「わかってるよヤヒコ!!」

二人の少年はテンションを上げながら走り出し、

 

「エリオが居ない………もしかして」

キャロは最悪の可能性に顔を青ざめさせていた。

 

そして全員が武装を完了させ寮を出たそこには………

 

「ゴホッ、ゴホッ!! アホかエリオォォォォッ!! 全力って言ったけど、こんな爆発起こすまでやれって言ってねぇぞ!!」

「ご、ごめんなさいナルトさん!!」

爆心地のように草が吹っ飛んだ芝生跡の真ん中で両手を使ってストラーダを掴み怒鳴りつけるナルトと、そんな彼の様子に困惑したようにも申し訳なさそうな顔をしたエリオの二人がいた。

ちなみに二人共、砂煙で服がとんでもない事になっている。

 

「ったく、こんなデカい音立てたらはやて達が驚くだろ」

「ですよね………こんな音だったら皆が飛び起きちゃいますよね」

「もしかしたら敵襲だとか騒いでんじゃねえか?」

「かもしれませんね。」

アッハッハッと笑っていた二人だったが………

まさか敵襲かと思われた轟音の正体がこんなふざけた代物だったと思っておらず、真面目に対処しようとしていた六課の面々は拍子抜けしてしまっていたが、次第に沸々と怒りが湧いてきて………

 

「エリオ、」

「「ナルト君」」

隊長三人が二人の気付かれない内に近寄り………

 

「「「紛らわしい真似するなぁぁぁぁっ!!!」」」

 

バシィィィィィィンッ!!!

 

「「ギャァァァァァァッ!!!」」

エリオとナルト、二人のお騒がせ人間ズは空中を錐揉み回転しながら吹っ飛んで行った。

 

☆☆☆☆

 

「「(グッタリ………」」

「こないな目に遭いとうなかったら二度とふざけた真似すなや!!」

頬に真っ赤な紅葉模様(ナルトは両頬、エリオは右頬)を作って、机に突っ伏し目を回す二人にはやてはきっぱりと言い切った。

「だ、だからって無茶苦茶過ぎたかな?」

「うう~、ごめんねエリオ………強く叩き過ぎて、もしかして変なとこを地面で打っちゃった?」

大丈夫ですフェイトさん、この世には2~300メートルの距離を吹っ飛ばされて大怪我しても翌週の放送ではケロリとした表情で元気に出演できる世界の修正力、通称【ギャグ補正】というものがあるのです。

ちなみにこれはとっても便利な現象なので次回のテストに出ます。

受験生の皆様は是非とも覚えておいてください。

「あぐぐ………なんとか復活できたってばよ(落下直前にチャクラの膜張ってくれてサンキューな九喇嘛)」

「ううぅぅ………死ぬかと思いました(ストラーダ、衝撃緩和の障壁を展開してくれてありがとうね)」

ゴキゴキと首を鳴らせながら漸く復活した二人は心中で自分達の相棒に感謝しながら起き上がった。

「そ、それにしても………さっきのあれはゴメンな。

流石にあんなんになるとは思わなくってよ」

「で、ですよね………魔力全開にしてスピアアングリフ使うとあんな事になるんですね。これからは気をつけます」

「はぁ、わかったんなら今回はここまでにしといたるけど、もうこんな騒ぎは起こさへんといてな。

模擬戦とかするにしてもステージ展開せんへん約束を守るんやったら先に訓練スペース使うてええんなやから」

素直に謝る二人に悪気がないと理解したはやては溜め息をつきながらも注意するだけで、それ以上は何も言わなかった。

いや、納得しきってはいないのだが、それ以上に彼女が気にしていたのは………

 

「ナルト君の服、どうするんや? 確か着の身着のままで来たんちゃうん?」

「「「あっ………」」」

「あ、あはは~、そういやそうだったな。」

そう、ナルトの着ている砂埃や泥で汚れきった服装だった。

ナルト自身はバツの悪そうに苦笑いをしているが、その汚れを作った張本人達(はやてを除く)は気まずそうに目を伏せてしまう。

「一応、今日あたりに暇な奴に案内してもらうつもりだったけど………これじゃあ、マトモに外歩けねぇってばよ」

「せやな、通販使うて頼むにしても二、三日はかかるさかいな。やっぱり今日中に買いに行くんが良いんやけど………代わりの服がな~。」

「「んん~~、」」

二人どころか、その場にいた全員が腕を組んで考えるが、何も考えが思いつかずに時間が過ぎて行く。

 

「(いっそのこと影分身変化か変化使って見た目を騙すか? ………いや、途中でアクシデントが起こって解除したら目にもあてられねーし)」

「(予備の男用制服を着せる………あかん、民間協力者に局員の制服着させたら絶対問題になる)」

「(僕の服じゃ絶対に身の丈が合わないし………)」

「(女装………ッ//!? だ、ダメだよね///)」

全員の考えが錯綜(一部カオス)する中、救世主は現れた!!

 

「ふわ~、皆さんおはようございます~」

「あっ、リィン………もう起きたんか?」

銀色の髪と蒼穹にも似た色の目をしたちっちゃな上司、その名は【リィンフォースⅡ(ツヴァイ)】!!

「えっ………なんだこの小人?」

「む~!! リィンは小人じゃないんですよ~!!」

初対面のナルトが当たり前っちゃ当たり前の疑問を投げかけた瞬間、リィン飛んだまま突っ込んで来る………が、ナルトの指にその顔が押さえられてしまい、先に進む事ができなくなる。

「む~、指をどけなさいです~!!」

「いや、突っ込んで来るのを止めんなら離すけどよ」

離したらぶつかって来るだろとナルトが言う前にはやての右手がリィンを掴んだ。

「こら、ちゃんと自己紹介せなあかんやろ。」

「でも、はやてちゃん………」

「ナルト君はリィンの事知らへんのやから我慢しいな。で、自己紹介は」

「………はいです」

まるで姉のような口調で叱るはやての顔に少しばかり怯えながらもリィンは首肯してナルトに向き直る。

「えっと、はやてちゃんのユニゾンデバイスでロングアーチ所属の空曹長のリィンフォースⅡといいます。

これからよろしくお願いします」

「木の葉の里所属上忍兼第八十三期第十七下忍小隊担当及び戦闘大連隊連隊長で、今はここで民間協力者をやってる波風ナルトだってばよ。」

「じょーにん? 担当? 大連たいちょー?」

「ああ………つまり、木の葉の里って組織のそれなりに偉いさんってわけだってばよ。

もっとも、ここじゃ自慢の一つにもなりゃしねーから気にすんなって

これからはよろしくなリィンフォース」

「はいです!! よろしくお願いしますです!!」

ナルトが差し出した指(リィンとナルトでは手のサイズが圧倒的に違うので握手はできないため)を掴んでリィンはブンブンと振り回す。

そんな姿を見て、ナルトはふとリィンの言葉を思い出した。

「そういやユニゾンデバイスって言ってたよな? あれっ? デバイスってシグナムの剣みたいなのじゃねーの?」

「あっ、リィンはちょっと特別なんや。今度魔法の説明する時に言うけど、うちの家族やから気にせえへんといてな。」

「あ、ああ………わかったってばよ」

何やら事情があるのだろうと踏んだナルトはそれ以上の追求はしなかったものの、少しばかりの凝りが残るのであった。

それはさておき、

「それよりも、皆で集まって何を話していたんですか?」

「ああ、実はな………………かくかくしかじかまるまるほらへらへんほへペラペラ(説明中)………ってわけなんや」

「あっ、そうだったんですか」

はやてが今の状況を説明したら得心したのかリィンは頷き………

「………あっ、良い考えが思い付きましたよ!!」

その頭に豆電球を灯らせて自らの考えを語った。

 

 

 

☆☆☆☆

 

 

『グリフィス准尉、グリフィス准尉、至急部隊長室に来てください。

グリフィス准尉、グリフィス准尉、至急部隊長室に来てください』

「………おい、こんな事のために館内一斉放送使っていいのかよ?」

「ええんやええんや、こういうもんは遠慮なしに使うんが一番なんやて」

茶目っ気たっぷりに主張するはやてに苦言を呈したが、ナルト自身も引き止めなかったので同罪だ。

よってそれ以上、彼がはやてに文句は言わなかった。

さて、そんな事はさておき………この部隊長室には現在ナルトとはやての他、隊長陣が全員集まっている。

「いくらなんでもやり過ぎだろ。グリフィスって奴、ひっくり返るんじゃね?」

「ん~、でも他に話もあるんやさかい一々集め直すんも面倒やろ?」

「グリフィスって奴も気の毒に………」

表情には納得しきれていない様子があるナルトだったが、この呼び出しのそもそもの原因が自分にあるので、それ以上は文句を言わなかった。

 

「さて、ほなグリフィス君が来る前に他の準備を終わらせよか」

「俺の付き添いの事か?」

「せや、ナルト君はミッドに来て日が浅いさかい地理関係は詳しいないやろ? それにお金の問題もあるしな。うちらの誰かが一緒についとるのが一番やろ」

「まあ………確かにな。」

幾ら一流の忍者でも流石に通貨単位から何から全てを知らない状態で一人で買い物をしろというのはかなり酷な話だろう。

「そんなわけやからウチがナルト君に付き添うんでええか?」

「「「「よくない(です)(よ)!!」」」」

何の脈絡もなく………もし少しでも気を抜いていたらあっさり了承されていた程に………はやては自然な調子で話を終わらせようとしていたが、そこは十年来の付き合いなのか、隊長陣から総突っ込みを食らってしまった。

「え~、ナルト君やってウチみたいに気心知れとる人と一緒のほうがええやろ?」

「主はやて、あなたの本心が波風のためという一色ならば我々は反対しません。

ですが、仕事から逃げようという考えがあるのならば主を支える騎士として反対せねばなりません」

「そうだよ!! 仕事をさぼってショッピングなんて考えは許さないよ!!」

「ぶ~、皆のケチ、いけず………」

とっさの言い訳もシグナムとなのはに瞬殺され、はやてはいじけたように下を俯く。

「でも誰が連れて行くんや? 免許持っとるんはシグナムにうちとフェイトちゃんだけやで、それに自由に使える車があるんはフェイトちゃんとうちだけやし………それに執務官のフェイトちゃんは忙しいんちゃうん?」

「えっ、それは………その」

いきなり話を振られてフェイトは戸惑うが………よく考えれば自分とナルトの関係は最悪と言っていいもの、それにはやてが言ったように職務が忙しいので断ろうと口を開いた瞬間………

 

「大丈夫だよ、執務官の仕事はよっぽどの事がない限りシャーリーに任せられるし、六課の仕事は皆で分担すれば良いからね。」

「そうです主、なんなら私が今日のテスタロッサの職務全てを預かっても良い」

「不真面目なはやてよりフェイトの方が寄り道せずに早く帰ってくるだろうしな。」

フェイトの逃げ道はあっさりと閉じられた。

三人としては只単にはやてがサボらないようにと言ったことなのだが、フェイトにしてみれば良い迷惑である。

そのため反論しようとフェイトは口を開こうとしたが

「(まさかフェイトちゃん、逃げようなんて考えてないよね)」

「(そうだぞテスタロッサ、私達の考えを水泡に帰させるつもりなら、斬るぞ)」

「(はやてが仕事しねえと進まねえ案件が山ほどあるんだ。六課のためだと思って任されてくれ!!)」

速さに定評のあるフェイトよりも数段上のスピードとコンビネーションによって後方への後退すら許されない状況に叩き込まれてしまった。

流石はエリート揃いの機動六課隊長陣とも言える波状攻撃、もっともその実力の使い道が全力で間違っている事は言うまでもない事実だが

 

「せやな、そんだけ皆が言うんなら今日はフェイトちゃんに任してうちは大人しゅう仕事しとくわ。

ほな、ナルト君の事は頼んだでフェイトちゃん」

「ち、ちょっとはやて!?」

「はいはい、そないなわけでナルト君の付き添いはフェイトちゃんに決定でええ人~」

「「「(ビシッ」」」

「賛成多数、よってこの案件は採決されました。」

自分を除いた全員の挙手にとうとう反論の余地もなくなり、フェイトはガックリと肩を落とした。

「(まぁ、頑張ってなフェイトちゃん

ナルト君とは長い付き合いになる気がするし、その間ずっとギクシャクした仲なんもあかんさかいな)」

「………何か言った?」

「ん~ん~、何も言ってへんよ~」

実は、フェイトがナルトと付き添う事は最初から決めていた事だったのだが、そんな様子を全く顔に出さないのは流石はエリート部隊長と言うべきか。

 

そして皆が雑談をしていると………

 

「し、失礼します………うわっ!!」

件の呼び出された人物、グリフィス・ロウランがやって来た。

 

「あっ、やっと来てくれたんやなグリフィス君、別に何か問題あるんやのうてお願いがあるだけやからビックリせえへんといてな。」

「は、はぁ………」

はやてがニコニコした顔で言うが、グリフィスは隊長陣全員が集まっているという状況に冷や汗をダラダラと流している。

「あ、あの………何かミスでもありましたか? それとも、何かマズい状況でも………」

「やから、そないな事やない言うとるやろう。ちょっとしたお願いなんや。頼めるのがグリフィス君しか居らへんって話なんや。」

「そうそう、私達がいるのだって別件なんだからさ」

「そうだぞ、そんなんだからモヤシ男って呼ばれんだぞ」

いや、そういうのは関係ないんじゃね? と呟きそうになったナルトは別の意味で冷や汗を流す。

そして、隊長陣に説得+一部罵倒されたグリフィスは漸く背筋を伸ばし、頼みを聞く用意を調えた。

「………わかりました。どんな事を言われても驚かない覚悟はできました。

で、頼みとは何ですか?」

「うん、実はな………」

はやてはそこで大きく溜めを作ってから

 

「ナルト君にグリフィス君の服を貸してあげてほしいんよ」

直後、グリフィスは全力でずっこけた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。