時は少しだけ戻って何処かの研究所
「ドクター、模倣ガジェットの全滅を確認しました。」
「ふむ、予想通りだね。まったく………バランスを考えずに強襲武装を増やすから戦力がダウンするとわからないのか? そもそもガジェットは遺跡発掘などの探査ツールであって、戦闘に使う事は考えていないというのに………」
やれやれといった様子で呟く男を見て、その傍らに立つ女性はクスッと笑う。
「仕方ありませんよ、連中は力押ししか能のない者ばかりですからね。」
「問題は、その力の質も量も桁違いだって事だがね。まったく、どう対処すべきか見当もつかないな」
「確かにその通りですね。連中の実力は一人一人だけでも桁外れに強大です。あの能力を解析できれば話は違ってくるのですが」
「連中はそんなヘマを犯すようなタイプじゃないからね。」
その脳裏に過ぎ去るのは、娘達を一蹴した黒い影の姿、あまりにも圧倒的すぎる敵に男性が深く溜息をついていると………
「!!! ドクター、これを………」
「なっ………このエネルギーは」
彼等の目の前にあったのは風を操りガジェットを葬り去るナルトの姿………そして、目の前の計器はその風を感知し、グラフのメーターを動かす。
「連中と同じ力、これなら………」
「ええ………奴等に対抗できますね。」
………ナルトの預かり知らぬ所で、別の者達もまた動き始めていた。
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さて、そのころナルトはというと………
「………………。」
「(き、気不味いよ~)」
フェイトの運転している車に乗っていた。が、車内は恐ろしいまでに無言を保っている。
ナルトにしてみれば見ず知らずの人間であったのにフェイトから敵意を向けられるわ、武器を向けられるわの踏んだり蹴ったり………確かにガジェットを破壊していたが、それは正当防衛でしかない。敵意を向けられるのは心外だと怒って無言を貫いているのだろう。
対するフェイトはと言うと………自らの行動に思いっきり後悔していた。
レールウェイ上を爆走しているような明らかな不審者相手でも、いきなりデバイスを突きつけたのは些か早計すぎたと反省しているため、ナルトを声を掛け辛いのだ。
「えっと………そろそろ私達の隊舎につきますよ。」
「………ああ、わかったってばよ。」
「………………。」
声を掛けてもナルトから返って来るのは素っ気ない返事のみ………色々な点で言うが、このままで大丈夫なのか!!
特にストーリーがちゃんと進むがどうかの問題で!!
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「はじめましてやな。機動六課の部隊長の八神はやてです」
「さっきも自己紹介したかもしれませんが前線部隊スターズの分隊の隊長、高町なのはです」
「スターズの副隊長、八神ヴィータだ」
「スターズと同じ前線部隊、ライトニングの副隊長の八神シグナムだ」
「えっと………ライトニングの隊長のフェイト・T・ハラオウンです」
時空管理局でも有名な魔導師や騎士達、しかもその凛とした雰囲気に普通の人間なら呑まれるはずだが………
「さっき、なのはって奴に言ったけど、火の国付き忍隠れ里、木の葉隠れの里所属上忍の波風ナルトだ。役職が色々あるけど、説明するのは面倒だからカットさせてもらうってばよ。
………つうか、その張り詰めた雰囲気止めてくんねーか? 首筋辺りがムズムズすんだけど」
昔から木の葉の三忍、Sランク指名手配犯はおろか歴代五影や名の知られた様々な実力者達と対峙していたため雰囲気慣れしているナルトには全く効く様子はなかった。
シグナムとヴィータはナルトを威圧するような雰囲気を出していたが、それにも気にせず……気にすることなく、堂々とした態度で言葉を返す。
「ん、そっか………ならわかったわ。シグナムにヴィータ、もうええよ」
「………わかりました(コイツ、私達の威圧感に全く堪えていないだと)」
「わかったぞ(そこそこ程度ならたじろく位には威圧してたってのに………邪魔程度にしか感じてねえなんてよ)」
歴戦の騎士であるシグナムとヴィータは目の前にいる男が不気味なものに感じられたが、何故ナルトがここまで雰囲気慣れしているのかを気付くには彼女達は浮き世に染まり過ぎていた………もし、彼女達が今でも戦場を駆け続けていたのなら気付けたかもしれない。
ナルトの纏う………洗っても落ちなくなった程にこびりついた血の匂いに………
「さてと………それじゃあ、ここに来るまでの詳しい話をしてくれませんか」
「ああ、わかった………けど条件が一つあるってばよ」
「何でしょうか?」
はやてが訝しげにナルトを見たが、当の本人はというと………
「いや、さ。敬語っつうか堅苦しい話し方は止めてくれってだけだってばよ。
敬語使われると無能ボケ爺軍d……お偉いさんを相手にしてる雰囲気思い出すし、なんか距離感じるから嫌なんだよ」
「クスッ………ええよ。なら、この喋り方ならええんか?」
「おお!! そんな感じで頼むってばよ」
「(なんや、ガジェットを五十機も倒すような人やから擦れとるんかと思ってたけど、結構話せる人なんやな。)」
心底喜んだ様子のナルトを見て、はやてはナルトへの警戒感を低くする。知ってか知らずか、ナルトは何時の間にか機動六課との距離を大幅に縮める事に成功した。
「んじゃ話すってばよ………。」
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十五分後、
「ってわけであそこを走ってたんだよ。そしたらあの機械に襲われたから迎撃してたってわけ、しかも終わったら終わったでフェイトって奴に敵意向けられるしよ。踏んだり蹴ったりだったってばよ。
………これで良いか?」
「うん、ええよ。ありがとうなナルト君、いきなり知らへん所に来て訳のわからん様な時に面倒な事させて………」
「気にすんなって、半分は愚痴だったってのに聞いてくれたんだから、礼は有っても迷惑なんて全くないってばよ」
ナルトは任務中に自らの不注意で次元間移動忍術トラップを食らってしまい転送されてしまった事、そのためミッドチルダ(はやてからの説明で知った)に来て、とりあえず街に来たらガジェットに襲われたと説明した。
「それにしても忍術な~。ホンマなんかもしれへんけど、なんか信じられへんな~。」
ナルトの話は真実であるとわかっているものの、部隊長としての役割柄、どうしても疑ってしまう。そんなはやての様子に気付いたのかナルトは
「なら実際に見てみるか?」
「うん………やけど、周りに被害が起きへんようなので頼むで、ここデスクとか結構高いんやさかいな」
「わかってるってばよ」
クスッと笑いながらナルトは両手の中指と人差し指だけを立てて、それを十字になるように重ねた特殊な形の印を組み、集中してチャクラを練り上げる。
………そして、
「忍法!! 影分身の術!!」
ボフゥゥンッ!!
ナルトの鋭い声と共に周りから煙が吹き出して体が包み込み………
「「俺達、参上!!」」
煙が晴れたそこには二人のナルトがいた。
影分身の術、ナルトが初めて使えた忍術にして最も得意としてもいるポピュラーな忍術である。
………のだが
「「「ふ、増えたぁぁぁぁっ!!?!?」」」
いきなりナルトの姿が二人に増える光景は少しばかりショッキングだったらしい。
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「………ってなわけで、俺が忍者だって事を信じてくれっか?」
「ま、まぁ、あんなん見たら信じざるをえんわな。」
「ほ、本当に分身の術ってあったんだ。」
絶叫から十分、漸く彼女達も落ち着き、ナルトが忍者である事が機動六課にて正式に認められた。
「それにしても………ホログラムと違い実体のある分身体か」
「ちなみに、俺の持つ技術や能力は全部コピーされてるってばよ。最近なんかこれを相手に組み手とかしてるからな。それに肉体労働とかなら大量に召喚して手伝って貰ってるから頼もしい仲間なんだってばよ。」
「おうよ、俺も立派な本体の仲間なんだってばよ」
皆がしげしげと眺めるなかナルトと影分身(これからはナルト・影と表記)は互いの肩をバシバシ叩き合いながら笑みを浮かべる。
それもその筈、ナルト・影は今まで幾度となくナルトと共に戦って来た相棒中の相棒………仲間が一切、手を出せなかったペインとの決戦時も共に戦って勝利をもぎ取ったのだから当たり前だろう。
「確かにナルト君の使うのが魔法とは違うってのは確かやな。(影分身ってのからは魔力を感知できへんし、レールウェイでも魔力は感知できへんかった。多分、ナルト君の言っとる事は真実や。
それにガジェット五十機と戦って無傷って事はかなりの実力者って事になる。
………ホンマは六課の作業を手伝って欲しいんやけど………さすがにこっちの都合に付き合わせるのはナルト君に悪いし)」
「(………どうやら、はやては信用できそうだな。)」
無意識に感じられる感情を読んでナルトは少しばかり安堵する。
はやてから読み取れた感情は『納得』『興味』………そして『迷い』の三つ、普通の人間ならナルトの力を利用しようと心の大半が『不純』『策略』で一杯になるか、ナルトの力を恐れ『恐怖』『忌避』『嫌悪』の感情が湧くのが当然、
だが、はやてには普通の人間には持たないであろう『迷い』という感情があった。
それ所か『嫌悪』などの感情すらない。
まるで………チョウジやシカマル、シノにヒナタやキバのようなどんな時でも裏表なく接してくれた仲間達の様に………
『ほんに貴様は運が良いな』
「(本当だな、次元移動忍術喰らっても生きてるだけじゃなくで………こんな良い奴に事情を聞いて貰えるなんてさ。)」
「………なぁ、ナルト君? 聞いとるか~?」
「えっと………何だってば?」
感慨に耽っていたり、九喇嘛の言葉に反応していたりしていて話を聞いていなかったナルトの様子に、はやては溜息を吐いて
「ナルト君のこれからの身の振り方考えとったのに、ちゃんと真面目に聞いてな………。
もっかい説明するけど、ナルト君は次元漂流者………簡単に言うたら異世界やから手続きして本局で保護してもらう事になるけど、何か異存はあるかって聞いとるんや。どうや?」
「ん? そうだな~、俺の希望としちゃ本局って所に身柄を拘束される位なら、ここで保護してもらう方が良いんだけど………つうか一番の希望としては、はやてに雇って欲しいってばよ。
清掃員とか秘書とか、ここの警護とかにさ。」
言葉から察するに本局とは、機動六課の所属する時空管理局の大元、つまりは要
もし自らについて詳しく知られでもしたらヤバい目に遭うことは目に見えている。
が、その点で言えば機動六課ははやてというマトモな考えのできる人間がリーダーだからそんな事は起こらないと考えられる。
それにもし、本局とやらに連行される事になっても………本来ならナルトが最も嫌う手段だが彼女達を叩きのめしてから逃げる事だって不可能ではない。
たかが数分の対峙だけでナルトは己と他人との間にそれだけの実力差がある事を既に感じ取っていた。
「そっか、う~ん………でもこれは流石に………」
「ん? なんか手続きとかで問題でもあんのか?」
「それは大丈夫やねんけどな………できたらナルト君に力を貸して欲しい方面があるんよ。」
「力を貸して欲しい方面?」
はやての言葉を聞いてナルトは訝しげな顔をする。下手を打てば自らの力を利用されかねない。………そうなれば、ここにいる全員を手に掛けなければならない。
そう考えていたのだが………
「機動六課に民間協力者として入って欲しいんや。前線での戦闘員としてな」
はやての言葉はナルトの予想していたような代物ではなかった。
「えっと………民間協力者? 戦闘員?」
「せや、機動六課は本当の名前は古代遺失物管理部機動六課言うて、ロストロギア言う古代に失われた超技術で作成された物を封印、回収、管理する業務なんや。今のうちらは、ロストロギアの一種【レリック】の回収が仕事なんやけど、ガジェット言うさっきナルト君も戦ったマシーンを操っとる人間がそれを手に入れようとしとるから、機動六課とガジェットの間とでの戦闘が耐えへんのや。
皆優秀なんやけど、それでも不測の事態が起こるかもしれへんから………」
「戦力が多いに越したことはない、でも今のお前等の持てる戦力は裏技でも使わない限りギリギリってわけか。」
「………どうも、こっちの考えてる事が全部読まれとるみたいやな。」
「忍者だからな。相手の考える事を先読みするのは必須技能だってばよ。」
クスッと笑うナルトの顔には悪戯を考えた時のような小悪魔的な色があった。
はやても管理局内部では子狸と称される事があるが、さしずめナルトは化け狐といったところだろうか。
周りの4人は二人の舌戦についていけないためずっと押し黙ったままである。
「………ハァ、ほんなら正直に言わせてもらうわ。
今の機動六課は保有戦力が限界やからこれ以上の戦力増加には上からの了承がいるんや。
けど、それは管理局に勤める局員に限っての話やから外部からの協力者には適応されへん。
つまり、うちらが保護しとる次元漂流者に協力するように申し出て了承してもろたら、それは保有戦力に適応されへんのや。そうしたら機動六課としては何のデメリットもなく戦力を増加する事が可能………相手がスパイって可能性が無いわけやないけど、ナルト君がそないな事するわけないから問題はないやろ。
そないなわけやから………ナルト君にうちらの味方をして欲しいんや」
「………………。」
「もちろん、衣食住は保証するし、隊長クラスの給料を出す。
なんか希望があるんならできるだけ応えるから………
嫌や言うんなら、普通の職の斡旋はするk………」
「そんじゃあ、これから一緒に戦う仲間として宜しく頼むってばよ」
「うん、やっぱりオッケーか………って!?」
あっさりと了承したナルトの言葉にはやては思わずずっこけてしまう。
「いや、さ。俺ってば基本的に傭兵稼業みたいなもんだから戦うのが仕事だしよ。それにさ、なんかはやてってば放っておけない気がしてさ」
「そ、そなんや。おおきになナルト君………」
ポリポリと頬を掻きながら言うナルトにはやては素直に感謝する。最低でもリミッターを外した隊長に匹敵する実力を持つナルトを戦力として手に入れられたのは望外の幸運、それに自分達を本当に信頼してくれているとまで来たのだから当然と言えば当然なのかもしれないが………ナルトがはやてを信用している最たる理由は彼女自身が彼と裏表無く接しているからに他ならない。
「っと………だけど条件がいくつかあるってばよ。」
「うん、何個でもええから遠慮のう言うてな。」
「そんじゃあ、お言葉に甘えてっと………まずは俺の能力は機動六課内以外での他言を禁じてくれ。忍術はここでは未確認の能力らしいからさ、そっから変な混乱を生むのは嫌だからよ」
「わかったわ、ほんなら書類は適当に理由付けして騙しとくわ」
「サンキュー、で次は道具類の補充………このクナイと同じものをなるべく沢山作って欲しい。形状と重量以外の注文はないってばよ」
そう言ってナルトが取り出したのは三叉のクナイ、もちろんそのサラシからは飛雷神の術の術式は消してある。
「変わったクナイやな。………けど、結構単純な作りやからな、シャーリーの腕があったら行けるやろ。
フェイトちゃん、これを後でシャーリーの所に持って行って作るように言ってな」
「あっ、う、うん………」
何か仕掛けでもあるのではと、はやてはしげしげとクナイを眺めていたが、特に変わった様子はなかったためフェイトに渡し、仕事を押し付ける。………別に渡しに行く位、自分でやれば良いのにと思った皆さんは決して間違ってはいないので御安心を
「あ~、あともう一個だけ頼めるか?」
「ええよ、ええよ。もうここまで来たら最後も十個も何でも言ってええよ。」
「おう………んじゃ」
コホンと咳払いを一回して、周りを見渡し………言ったのは
「俺の名前はさっき言った通り、波風ナルト………だからこれからは絶対に波風さんとか名字で呼ばずに、気軽にナルトって下の名前で呼んでくれってばよ。」
何気ない、だがナルトにとっては大切なことだった。
かくして道は交わりあう。その運命は宿命か、偶然か