魔法戦記リリカルNARUTO   作:鳴神

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5話 ナルトの実力

「ったく………任務が終わってクタクタだってのに、何でこのタイミングで呼び出しなんかあるんだよ」

「抑えなよヤヒコ、もしかしたら大事な事かもしれないんだからさ」

「う~お腹空いたよ~」

「ホント、アンタ達は相変わらずマイペースよね」

「で、でも、こうやって呼び出されてるんですから……内容が気になりますよね」

「も、もしかして………今日の任務でだめだった事があったんでしょうか?」

先程までリニアレールでの戦闘を行っていたため全員が疲労困憊しているが、はやてからの急な集合命令を受けて訓練場にで待機している。そして彼女達が思い思い雑談をしていると、隊長陣と見覚えのない青年………ナルトを引き連れて、はやてがやって来た。

 

「揃ってくれたな。ほんなら、ちょっと重大な発表をさせて貰うで」

「重大って………まさか誰かが異動でもするんですか?」

「それともクビですか?」

はやての言葉に二人の少年が冗談めかして呟く。もちろん、それは悪意無しの100%冗談なのだが、

 

「ちょっ、わ、笑えない冗談は言わないでよ!!」

「も、もしかして任務で変な事とかやっちゃったのかな!?」

「まさかあんな危険な事をしたから………」

「それだけは、それだけはやめてください部隊長!!」

他のメンバー達には冗談に聞こえなかったらしく四人は泣くわ、喚くわの大騒ぎになってしまった。

 

「な、何でこうなっとるんやぁぁぁっ!!」

「まったく、部隊長が変な事を言うからですよ。」

「そうだ部隊長、謝れ!!」

「ご、ごめんな………ってちゃうやろ!! 原因はアンタらの笑えん冗談やないか!!」

「他人に責任をなすりつけるなんて………それでも一部隊の隊長なんですか?」

「ホント、自分が情けないって思わないんすか部隊長」

「黙らっしゃい!! おんどれら、ぶっ殺したろうか!!」

と、ナルト達を放り出して三人による口喧嘩が勃発、当たり前だがこの騒ぎの原因はもちろんヤヒコとナガトの冗談である。

「お前等………もうちょっと真面目にやれよ。」

そんな彼らの口論にナルトがそう呟いたのは仕方の無い事かもしれない。他の隊長陣全員がナルトの言葉にうんうんと頷いているのがその証明と言えよう。

「皆、落ち着いて。はやてちゃんも勝手にヒートアップしないで、ヤヒコもナガトもはやてちゃんをからかわない」

「スバル達も慌てないで良いから、別に任務で何か問題があったとかって話じゃないから」

そんな雰囲気を変えるべく、なのはとフェイトが手を打ちながら全員を宥めるように声を張る。

………しかし、カオスな空気が消えたのはそれから十分後であった。

 

★★★★

 

「え~、オホンッ、ほんなら重大な発表をさせて貰うで、

皆気付いとるかもしれへんけど、今日から新しく前線メンバーに民間協力者の人が配属される事になったんや。んじゃ、自己紹介よろしゅう頼むでナルト君」

「今日からここのメンバーになった波風ナルトだってばよ。これからよろしく頼むな」

「「「よ、よろしくお願いします。」」」

軽い調子で自己紹介するナルトにフォワードメンバーは胡散臭げな視線で返事を返す。

 

「(まぁ~、いきなり現れた身の元不明人間だから怪しまれて当然だよな。)」

そんなことはフェイトとの一件で重々承知しているといった様子でナルトは仕方なしげに思っていたが、

「皆、ナルト君の実力を知らへんから怪しんどるかもしれへんから、今からナルト君に腕試しをやってもらいます。皆、それを見学するように」

はやてが指を突きつけて宣言した事は全くの予想外の事であった。

 

★★★★

 

「ハァ、それなりに頑張るか』

『いっそ全力で行けばどうじゃい、儂も力を貸してやるぞォ』

「何度も言ってっけど、そんな事したら怪しまれるだろうが。必要がない限りアレは愚か仙人とチャクラモードも使わねーってばよ。」

『ふん、面白くねえなァ』

柔軟体操をしながら独り言をつぶやくのと同時に、ナルトの脳内にクラマの声が響く。

その内容はいつも通りの我儘なので、ナルトはいつものように軽くあしらっているが、クラマも直ぐに諦めたのは想定外の事であった。

 

「………なぁ、なんか変におとなしくねえかお前、」

『そりゃ、先に約束したからなァ。自由になるのが幾日先になる事を我慢せずにチャンスを失うのは馬鹿らしいじゃねえか』

「あっそ、そうなんですかい」

しかし、あまりにも分かりやすい理由にすぐさまその顔は非常に面倒くさそうな表情となる。まさか、自分でも半分忘れかけていた約束を覚えていたとは、さすが尾獣というべきか。この様子だと、本当に約束を守らなければ無茶に暴れるなりされかねないので、折を見て外に出してやろうとナルトは心の中で結審した。

 

『約束は守れよナルトォ』

「わぁ~ってるよ。とりあえず、あと二、三日後な」

『あ~、準備はええかナルト君?』

「ウオッ、は、はやて!?」

『いきなし、何を吃驚しとるんや? そない通信されるんが嫌なんか?』

下らないことにも関わらず本気の口調で念を押すクラマに、もとよりクラマの精神を自由にする決心をしていたナルトが軽い調子で返答していると、はやてから貰った通信機から声が聞こえた。

通信が繋がる直前までクラマとの会話………端から見れば意味不明な独り言していたナルトにとっては会話を聞かれていたとなると非常に不味い事となる。

この世界で尾獣の存在が明らかになっていると考えは、豚が空を飛ぶと考えるほど浮世離れした考えであり、もしそうだとしてもクラマと自分が利用されるのは必至である。

尾獣の存在が知られていないのなら、今の自分の行為はあまりにも異様すぎる行動だ。ただでさえ強い監視が更に強化されるやもしれない。そうなったならば、クラマの放し飼いなど夢のまた夢である。

 

「な、なぁ、お前ってば変な事聞いてねえよな?」

『変なことってなんのことや? 聞いたのはいきなり私の声にびっくりしたナルト君の声が聞こえただけやけど?』

「それならいいんだってばよ」

『な~んか気になるな~。ホンマ、どうしたんや?』

「なんもねえって、ほらさっさと始めようぜ。時間ももったいねえしさ」

ひらひらと手を振りながら、快活そうな表情を浮かべるその顔は今の今までビビッていた様子が微塵たりとも感じられないものであった。

さすが忍者、心を偽るのはお手のものといったところだろう。

 

 

「おう!! いつでもかかって来いってばよ!!」

『わかったで~。ほななのはちゃん、準備よろしく』

『うん………動作レベルC、攻撃精度D、Ⅰ型を六機、Ⅱ型を三機、Ⅲ型を一機っと』

通信機の向こう側からなのはの声が聞こるのと同時に魔法陣から六体のカプセルを等身大にしたようなもの、小型の飛行機のようなものが三体、そして最後かなり大きな図体を持つもの………【ガジェット・ドローン】が現れた。

 

「………この奇天烈物体が相手なのか?」

『デザインはともかく、攻撃はなかなか鋭いよ。』

「ほ~、そりゃ面白そうだってばよ。(コンコン」

一旦はガジェットの変わった形に驚いていたものの、なのはの言葉を聞いて興味を持ったのかナルトはその胴体を軽く叩く。………もちろん、意味のない行動ではない。

 

「(硬度は侍の使ってる鎧よりは低いな。保護用のグローブやレガースが無いけど、チャクラを纏わせたら十分直接打撃で壊せるな。問題はあのデカブツだけど………アレを使えば大丈夫だろ。)」

『第1回模擬戦闘訓練、ミッション目的は逃走するターゲットの捕獲か又は破壊。制限時間は15分、それじゃあ………』

敵の戦力の大まかな分析が終わったのと同時に、はやての声が聞こえたのでナルトはガジェットから距離を取り、全身をリラックスさせた状態にして油断のないように構える。

そして、

 

『スタート!!』

ダンッ!!

はやての声が聞こえたのと同時に地面を強く蹴り、猛烈なスピードで駆け出した。

………のと同時に、

ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン!!

シュカカカッ!

「螺旋丸!!」

バキバキバキッ!!

『『『『えっ………(なっ………)』』』』

六つの重い打撃音、風を切り裂く三つの音、そしてナルトの声と共に放たれた破壊音、計十個の音が響き終わったのと同時に全てのガジェットが破壊された。

「な~んだ、予想してたのより外装脆いじゃんか。これなら螺旋丸無しでもデカブツぶっ壊せたかもな。」

と、手元に呼び戻したクナイを仕舞いながらナルトがぶつくさと文句を言うが、

『な、なな、ナルト君!? 今の一瞬で何やったんや!?』

『う、嘘!? 何がどうなったの!?』

『ガジェットの外装は炭素強化合成樹脂製………素手で壊せる代物ではないぞ!!』

どうにも六課の面子には非常識極まりない光景だったらしい。

もっともシグナムの言う通り、ガジェットの外装部分はカーボンナノチューブを使った所謂強化プラスチック………間違っても文字通りの素手で殴って壊せる代物ではない………作られいるため驚愕を露わにするのも無理ないが、

「あ~、忍術使ったんだってばよ。詳しい説明は後でするってばよ。………それより、テストってこんなんで良いのか? はっきし言って余裕過ぎるんだけど」

彼女達の気持ちを知ってか知らずかナルトはコキコキと首を鳴らせながら余裕めいた表情のまま尋ねる。その言葉に漸く我に返ったのか、はやて達はすぐさま顔を上げて額を寄せ合う。

「どうするのはやてちゃん、ナルト君がこんな早業を使うなんて考えてなかったから録画機器にハイスピード録画機能付けてないのに………」

「せやな、ナルト君の実力を測るには些か相手が弱すぎたな。こうなったらもっかいナルト君に難易度上げたガジェットと戦ってもらうしかないんちゃうかな。いくら隊長陣でもリミッター付いとる状態でナルト君の相手すんのは不可能っぽいし………」

「リミッターがなくても相手するのは難しいよ。あのスピードを捉えるのは私だって無理な気がするし………」

「う~ん、フェイトちゃん以上のスピードか。そんな凄い武器持っとるナルト君を捕まえられたんはホンマにラッキーやな。」

「そんな事よりどうするの? とりあえずもう一回ガジェットの相手をやってもらう?」

「それがええな。ナルト君、聞こえとるか?」

三人の結論が決まったところでナルトに通信を送ると………

 

「またあのツルペタ雑魚絡繰相手すんのかよ。」

 

「「「うわっ!!?」」」

何時の間にか全員の視線の死角を取っていたのかナルトは誰の目にも見つからずに皆の周りにいた。

「い、いきなりどうやって現れたんや!! 心臓止まりそうになったやないか!!」

「どうやってって………こう、ジャンプしてこの建物に飛び乗っただけだぞ?」

「「「はぁぁぁぁっ!?」」」

はやて達のいるビルの高さは約50メートル、実際の事を言えばビル壁を使ってビルとビルの間を何時か蹴っていたのだが、それでも常人離れした身体能力を持っているのには間違いない。

「どうでもいいから用意すんならさっさとしてくんねえか?」

「………非常に、ひっじょぉぉぉぉに納得行かへん部分ばっかりなんやけど」

「ああ~、わかったよ。俺の力については後でちゃんと説明すっから、さっさと用意してくれってばよ。」

もう完全に面倒くさいといった様子がありありのナルトは手をヒラヒラと振ってそれを遮る。

「ぜぇぇぇったいに話してもらうからな!! なのはちゃん、難易度最大で四十体出して!!」

はやての呼びかけに応じるように今度は四十機のガジェットが召喚される。

その様子を見るや否やナルトは手すりに足をかけて、そのまま空中に身を踊らせた。

「「「え、えぇぇぇぇっ!?」」」

「(あー、いつものノリで降りたけど、やっぱりこっちじゃ普通じゃねぇのか?

これも含めて後で説明しねーとな。)」

ヤレヤレと思いながら右手にチャクラを集中させ………

「セイヤァァッ!!」

その手をビルに叩きつけた。

チャクラと壁面が摩擦しあって落下速度が下がっていき………

「………っと、」

地面に到着する頃にはほとんど減速しきっており、なんの衝撃もなく着地できた。

「………んじゃ、さっさと始めてくれってばよ。」

『それも含めて全部聞かせて貰うからな!! 訓練、開始!!』

イィィン………

はやての言葉と共にガジェットが起動して

 

 

ズガガガガガガッ!!!

 

「おわっ、ちょっ、うぇぇぇっ!?」

先程とは違い、開始直後に無数のレーザーがナルトに襲いかかる。その射撃は正確無比であり、多少の油断をしていたナルトは直撃こそ避けたが、何発か掠ってしまった。

 

「は、はっええええ!? うっそだろぉぉぉぉ!!」

叫びながらもナルトは本家ギャグパートでおなじみの白目をむいた状態での超高速回避でレーザー群を避ける、避ける、避ける。体を軟体動物のようにくねらせ、意味の分からない避け方をしているにも関わらず、危ういところでレーザーはナルトを直撃することなく背後のビルに直撃する。

 

そう、直撃していた。

 

 

ゆらぁぁぁ………

 

「………はい?」

さて、ここで皆さんに3つ科学的な講義を行おう。

コンクリートなどの固体は見た目では判断しづらいが、温度変化によって圧縮、膨張を行っている。さらに、たとえ熱伝導が良い物体でもレーザー等の熱は熱源から最も近い場所は瞬間的に凄まじい高温となる。それこそ、一瞬ならばコンクリートのような融点の高い物体でも液体となるほどに…………

そして、二つ目は、力の作用する面積が小さければ小さいほど単位面積当たりでの圧力は大きくなるということ、

最後に言いたいのはビルを倒壊する際に使用されることなのだが、ビル倒壊にはダイナマイトで柱の大部分を破壊することでビル自体の質量によって倒壊させるのだが……つまり、物体は耐久値を超える圧力を与えられた場合勝手に壊れるのである。

つまりは、何が言いたいかというと、

 

 

ゆらぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

下手にビルに背を向け続けていると、溶けてしまったビルの壁が自重に耐えられず、壊れてしまうのである。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「さぁて、ナルト君はこの状況をどうやって切り抜けるんかな?」

「なぁ、はやて、アタシにはどう見てもナルトがビルの残骸に生き埋めになったようにしか見えねえんだけどよ。なんで、そんなに嬉しそうな顔してるんだ?」

全員の目の前には倒壊し瓦礫と化したビルの残骸が砂埃を上げている。おそらくナルトはその中で生き埋めになっているのだろうが、そんな様子を見るはやての顔は笑みを浮かべている。普通なら、フォワード達のように絶句するか、ヴィータやフェイトのように心配するのが普通にもかかわらず、はやてとなのはの二人は食い入るように瓦礫しか映っていない映像に目を向ける。シグナムは微動だにしていないが、興味があるのだろう映像を注視している。

「怪我とかなら大丈夫だよヴィータちゃん。あれはただの3Dホログラフィックだし、ダメージがあるといっても、それは魔力ダメージによる軽度なショックだけだから」

「それに、そんなんあっても無うてもナルト君は絶対に平気やろ」

「いや、だから何でそんなにナルトは大丈夫だって言ってるんだよ。生き埋めだぞ、平気もなにもないだろ。危険じゃねえか。シグナムも何か言えよ」

ヴィータの指摘する通り、ナルトは絶賛I・KI・U・ME状態である。普通なら、戦闘不能として中止されるべきである。しかし、なのはとはやては感じていた。波風ナルトという人間の本質を、このような絶体絶命にもかかわらず、何かを見せると思わせるナニカを………

そんなふたりではあてにならないと思ったヴィータは即座にシグナムに援護射撃を頼んだが、

 

「…………確かに、いつもの私なら、ヴィータの意見に賛同していたのだろうが…………」

「おい、シグナム、オメエもまさか………」

「ああ、どうしてだろうな。波風を見ていると何故か、予感がする。あの男は、ここで終わるような人間ではないとな」

 

「なんかわからへんけど、ナルト君は絶対に見せてくれるはずや。」

「わからないけど、そう思うの。ナルト君は、ここから真骨頂を見せてくれるって」

そういう二人の目は、知ることはないのだろうが、ナルトを信じる木の葉の仲間と同じような光を放ってい。

 

★★★★★

 

「んがぁぁぁ、な、なんだってばよアレ。さっきの数倍速くなってねえか?」

『ふむ、たかだか烏合の傀儡と思っていたのが、意外にもやるようだな』

「くっそぉ、油断しちまったってばよ」

『お前らしくないな。ククク』

「うっせえ!!」

瓦礫の中で生き埋め状態となっているナルトはわずかな隙間の中に逃げ込むことで魔力ショックのダメージを最小限に食い止めていた。そんなナルトだが、あまりにもらしくない醜態をさらしたためクラマに笑われていた。

図星を突かれたことで大声を上げてしまったが、その御蔭か沸騰していた頭が次第に冷静になっていくのを感じたナルトは状況を確認すべく一息吐いた。

「総合的な戦闘能力を考えたら中忍編成の大隊程度。だけど、連携の完成度は異常に高い」

『あれらは個としての意思は持ち合わせてはいねえらしい。おそらく、あの一つの集合が一つの個として機能しているんだろォな。一つの個なのだから連携にほころびがあるとは考えるな』

「わかってるってばよ。でも………だからこその弱点があるだろ?」

『どういう事だァ?』

「まっ、それはこれから見せてやるってばよ」

ニヤリとナルトは笑みを浮かべ始めた。

 

★★★★

 

ところ変わって瓦礫の外、六課メンバー

 

「まだ動きが無いな~。作戦でも建てとるんやろか?」

「なぁ、やっぱり倒れてんじゃねえか?」

「ナルト君がそんな簡単に負けるわけがないよ」

「高町の言うとおりだ。少しはじっとしていろヴィータ」

「だから!! なんでお前等はアイツの事をそんなに信用しているんだよ!!」

「「………何でだろ?」」

相変わらず、ナルトをなぜか信用してしまっている三人とヴィータの間で口喧嘩が行われていた。その周りではフェイトとフォワードたちが相変わらずはらはらした様子で目の前の光景を見守っている。

そして、ビル倒壊から5分が経過した瞬間

 

カッ………ドオォォォン!!

 

「「「「ッ!!??」」」」

 

ナルトの埋まっているはずの瓦礫の山が轟音を響かせたのと同時に吹き飛び、何かが一筋の煙を纏いながら飛び出してきた。それは砂煙を纏っても褪せない黄金の髪をした少年、

 

「「「ナルト(君)!!」」」

 

少女たちの声を背に、少年の反撃は始まった。

 

 

★★★★★

 

「さあて、んじゃあぶっ飛ばすってばよ!!」

『フン、さっき言っていた事が真だと証明してみろ』

瓦礫から飛び出したナルトはガジェットが再び照準を合わせる前に着地、そしてそのまま大地を疾駆、ガジェットからもレーサーが無数に連射されるがナルトはその全てを回避しながらガジェットの一機に近づき、すれ違い様に一刀両断した。

 

「まずは一…」

ビシュゥゥゥッ!!

フッと笑いながら爆散したガジェットに見るナルトだが、その隙をガジェット達は見逃さず胸元にレーザーの一閃を放った。

レーザーの一撃を受け、踏鞴を踏むナルトだが………

「…ぼっかーーん」

ボシュゥゥゥゥゥゥゥッ!!!

 

呟きと同時にナルトの体が大量の白煙の爆発に変化した。ナルトが使ったのはイタチがかつて使用していた超高等忍術【影分身爆破】である。本体のナルトはガジェットの撃破と同時に飛雷神の術で転移、更に影分身はその直前に召喚していたという徹底ぶりである。それだけナルトが手を込んだアクションなのだからガジェット達が気付かないのは仕方ないのかもしれない。

かくしてガジェット達はナルトの姿を完全に見失っていた。既にナルトが次なるアクションを行っていることに気付かずに……

 

白煙の中ではガジェットのスコープアイも機能を生かし切れずナルトの姿を見つけられないでいる。そんな彼等(?)はナルトを捜索するために白煙からの脱出と索敵のために各々バラバラに移動しようとしていた。

そんな時、

 

 

スッ………

 

白煙の中から足音らしき音と共に人影らしきものをガジェットの一機が感知した。その情報はコンピュータ回線を通して他のガジェット達にも伝達された座標目がけてレーザーの雨が一斉に照射された。

しかし、

 

ドォンドォンドォン!!

 

「………成功だな」

『相も変わらず、お前のやることは無茶苦茶だなァ』

「うっせ、上手くいってんだから黙ってろ」

攻撃されたのはナルトではなくガジェット達の方であった。青い光を帯びたクナイを二刀流にしたナルトはガジェット達を眺めながらクラマに凄みをかけて様子を伺う。

 

『ったく、よくもまあこんな手が考えられるなお前は』

「相手はただの人形だからな。同じ手を使っても大丈夫だろ?」

『おそらくな、だが早くせねばせっかくの煙が晴れてしまうぞ』

「おう、なら次の攻撃に行ってみるか」

にしし、と笑いナルトはガジェット達を睨み、二本のクナイを緩急つけて投げつけた。

そして、

 

「影分身&飛雷神の術!!」

次の瞬間、二人のナルトが消え去った。

 

★★★

 

『す、すごいです!! あの煙が広がってから加速的にⅠ型が殲滅されています。また5機、いいえ更に6機………残存しているⅠ型が殲滅されるのも時間の問題です』

「……さっきはああ言っとったけど、いったい何らっとるんやナルト君」

「さあ、でもナルト君の言ってた忍術っていうのが関係するんじゃないかな?」

一転して、圧倒的優勢に立ったナルトの姿を見て、驚きを通り越して呆れている六課メンバー、それほどまでにナルトの姿は凄まじいものがあった。

 

「多分、ナルト君の実力は対人戦に秀でた陸戦SS+ランクに匹敵するんやろうな。多分、フォワードの皆には良い刺激にもなるし、魔法やない戦闘に関する事の手ほどきをして貰うたら、全員のレベルアップに繋がるやろうな」

「ナルト君に教導を手伝って貰う………か、信頼関係が築けるかって疑問はあるけど私も概ね賛成かな。私だと陸戦スキルに関して教えられる事が少ないから、どうやって教えれば良いかなって思ってたし」

「私は………ちょっと賛成できないよ。次元漂流者とは言ってもいきなり現れた身の元もわからない人にエリオ達の成長を任せるのは………危険だよ。」

ナルトの実力の真骨頂を目の当たりにして、はやてとなのはは何時の間にかナルトの教導参加を検討しているのを見てフェイトは焦った様子で反対する。もっとも、フェイトの不安は人の上に立つ人間としては当然のものなのだが………

 

「う~ん、ナルト君に関してならそんな心配は要らへんと思うんやけどな。」

「はやてちゃんの言う通りだよ。ナルト君って………まっすぐで表裏のないような雰囲気がするから」

「せやな、でもナルト君の場合やと考えなしやからって理由やのうて寧ろ………私達に警戒する必要を感じないからやろうな。」

二人がその可能性を考えていないわけがなかった。だが、ナルトという人間を見る限りフェイトが心配するような事は起きないだろうと判断できた。なのはは漠然とした感覚でだが、トップキャリアとして人の見定めにある程度の経験のあるはやてはしっかりとした確信をもって断言した。

ナルトは自分達が自らに危害を加える可能性を危惧する必要性を感じていない。………何故ならナルトの実力なら自分達が危害を加えると決定してから対応を始めても、自分達を倒しきって逃げる事が可能だと判断しているから

 

「まっ、うちらがナルト君を裏切らん限りナルト君はうちらに危害は加えんやろ。本局に保護されるよりここ(機動六課)にいた方が良いと思っとるからな。」

 

「………そう、なんだ。」

 

「………ほ~、」

何故か落ち込んだ様子のフェイトを見て、はやては目をキュピーンと輝かせた。

その周りには獲物を見つけた捕食者のような雰囲気すら漂っている。

 

「フェイトちゃんって、ナルト君の事どう思っとるん?」

 

「あうっ!? な、何でいきなり関係のない事を聞いてくるの!?」

 

「あ~れ~? 何や何や~?

もしかしてフェイトちゃんはナルト君の事が気になっとるんかな~?」

 

「そんなんじゃないよ!! ………ただ、二人がもうそんなにナルトを認めてるっていうのが、ちょっと複雑で」

フェイトの憂鬱げな顔を見て漸く二人は彼女の気持ちを理解できた。

なのはやはやてとは違って、フェイトは初対面早々にナルトへ敵意を向けてしまったため、良い印象を持たれているようには思えない。

寧ろ嫌われている感すらある。

そんな彼は僅かな時間しか関わっていない筈なのに、何時の間にか自分の親友達から高い信頼を買われている。

そんな彼がそばに居れば、いつか自分の居場所が奪われてしまうのではないか?

そんな恐怖がフェイトの中にはあった。

 

「大丈夫やってフェイトちゃん、確かにうちらがナルト君を認めとるのは事実やけど………フェイトちゃんは親友やで、そう簡単にナルト君への信頼がフェイトちゃんへのそれを上回るわけないよ。」

 

「そうだよフェイトちゃん、変な事言わないでよ。私達の事が信じられないなんて………ちょっと悲しいよ。」

 

「うん………」

少しばかりおどけた様子をする二人を見ても、やはりフェイトの顔は晴れなかったが………次の瞬間

 

『Ⅰ型が全滅しました!!』

「ッ!! 波風が何かするぞ!!」

シグナムの声が、そんなフェイトの雰囲気を吹っ飛ばした。

 

★★★★

 

「さあて、続いては空中戦か。空忍を思い出すけど、あんまし得意じゃねえんだよな」

『だったらアレで行けばいいだろォ』

「…………アレって、もしかして俺の考えてるアレじゃねえだろうな」

『一番手っ取り早く済ませられるだろォが』

「そりゃそうだけどよ」

クラマの提示した案にナルトは思いっきり渋い顔をする。

それは現実的には一番単純かつ最高効率を誇る方法だが、その跡が面倒なことになる事確実のものだったからだ。

その方法とは

 

「広域殲滅忍術での一掃だろ。考えてんのは」

『当たり前だろうが』

広範囲殲滅忍術、本来ならば複数小隊のメンバーが協力し合って放つ忍術界でも最強かつ最大とも呼べる代物

ナルトやキラービー、うちはマダラ、ペインなどの選ばれた存在のみが単独での使用が可能となる必殺の技である。

確かに使えば空中のガジェットなど一掃するのは児戯にも等しいが

 

「使ったらここら一帯が凄いことなるぞ。それに言い訳できねえし」

『ほう、よくわかってんじゃねえか』

「しかもはやて達にどう説明すんだよ「悪い、必殺技使ってここら一帯吹っ飛ばしたってばよ」なんて言えってんのか。それに問題だらけだし」

それには幾つかの欠点がある。

まず効果範囲と攻撃力、はっきり言って全力で打ったら地図で森一つが更地に書き換えられるような代物を打てば訓練場が全壊するのは必至、機動六課に迷惑がかかる。

二つ目に体面、こんなものを持っていると知られたらどうなるか分かったものではない。

そして最後に自分自身、訓練場のガジェットを壊すなら同じく訓練場にいる自分も被害が来る。自分の技で自爆していたら世話がない。

 

『最初の点と最後の点は問題ない。風遁系のものを空で爆裂させれば空中のものだけ破壊できる。2番目は……忍術なんだから仕方ないと言い張れ』

「無理にも程があるだろ」

『なら、大人しく負けを認めるか? あの絡繰に攻撃を届かせるならどの道目立つモン使うだろ』

「…………」

だが、ナルトはそれ以上に負けず嫌いだった。クラマの挑発にあっさり乗っかってしまい、ナルトはその場で膨大な数の印を結び始める。

印を組み上げるにつれナルトの周囲の大気が荒れ狂い収束し始める。チャクラが混入され超圧縮された空気が巨大な質量をもったのと同時に

 

「風遁禁奥義・|都理朱羽羅(トリシューラ)!!」

大気の塊が空目掛けて飛翔し、

 

 

カッ………ブオォォォォォン!!

 

空中で爆裂、その衝撃波で空に浮かんでいたガジェットⅡ型は1機残らず破壊されつくした。

「「「なっ!?」」」

あまりの光景に機動六課のメンバー陣も言葉を失うが、ナルトは成果を確認するだけすると、背中から大型のチャクラ刀を引き抜いた。

 

『残りわずかだからって手ェ抜くなよ』

「わかってるってばよ。しっかりトドメ刺すってばよ」

『フン、抜かるなよ』

「わかってら!!」

放出された膨大なチャクラが渦巻いていたのは一瞬の間、収束圧縮されたチャクラはチャクラ刀を中心にドリルのように螺旋を描く。

これこそが、ナルトの作り上げたチャクラ消費と引き換えに最強の攻撃力と圧倒的な射程距離を手にした螺旋丸の新たなるバリエーション、

 

「奥義・螺旋刃!!」

 

斬ッ!!!!

 

ナルトが一閃したのと同時に螺旋刃のチャクラが肥大化、そのまま渦巻く刃はガジェットの堅牢な外装を紙屑のように引き裂き一気に屠った。

 

「まだまだぁぁぁぁっ!!」

爆風を背にナルトは未だ残るⅢ型目がけて疾駆する。

 

斬ッ!!

 

すれ違い様に一機が斬り上げられた刃によって真っ二つとなる。

 

撃ッ!!

 

進路を阻むものが突き出されたドリルのような切っ先に全身を抉り取られる。

 

爆ッ!!

 

馬鹿げたチャクラの奔流に巻き込まれたものが瞬時に爆散する。

 

破ッ!!

 

そして残った最後の一機がナルトがそのまま投げつけた螺旋刃によって木端微塵に粉砕された。

そして、

 

『コングラッチュレイション!! ミッションコンプリート』

判定の電子音が高らかに響き渡った。

 

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