優しい歌は時々雨と晴れ   作:ミスブルー

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どんな事も全て因数分解してみせます。
そんな風に先生に言ったり会計として先生のお金の使いすぎに小言を言ったりーーー私はキヴォトスという場所で普段過ごしていた。
でも予測が付かない事も起きるんです。

「ユウカさんこの予算少し見てほしいんです」

「わかりました!」

私は慣れない木造のデスクの上で算盤を弾き計算する。

古めかしくもしっかりした机。
そしてじとっとした空気と雨。
気を遣って除湿をしてくれた。
そしてこの学校は夕方までに作業を途中でも終わらせなければならない事。
そして時々周囲がキラキラと光るような不思議な事。

「あれは何ですか?」と私が聞くと魔力が弾けている現象だと教えてくれた。

私は今森宮学校という場所で生徒として過ごしている。
ここは地球という場所。
今から話すのはキヴォトスとは違う場所。

別の世界。

それは青の世界と呼ばれていてーーー
地球と言う場所で体験した怖い話です。



一人雨迷い

 

 

ミレニアムで生徒会の業務を終えた私は学校を出て電車に乗ります。

 

「遅くなっちゃった…」

 

スマホの時間を見て思わず呟きます。

22時前です。

先生はもしかしたらまだ仕事をしていることでしょう。

 

私はそう思いながら電車へ乗ります。

こんな時間です。

ほとんど誰もいません。

喉乾いちゃってるわね…。

今日は何か飲んだっけ?

あまり飲んでないような気がする。

駅を降りたら何か自販機で飲み物を買おう。

 

手近な空いている席に座ります。

ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトンと揺られに私はうたた寝をしていまいます。

 

ジリリリリリと音が鳴ったような音が聞こえた気がします。

電話でしょうか。

でも私のではありませんよ。

せめてマナーモードに…そう思って目を開けます。

誰もいません。

気の所為?

私は再び夢へと落ちます。

 

『次は終点、森宮駅。森宮駅です。

お降りの際はお忘れ物のないように』

 

私は目を開けます。

寝過ごした?。

電車が止まり扉が開きます。

 

そこには私の知らない光景が広がっていたのですから。

スマホのマップを確認するとそれも全く知らない地名。

幸いにも電波はあります。

 

モモトークを起動します。

ーーーーー

メッセージ

 

ユウカ:ノアごめん知らない駅に降りちゃったの。明日学校に少し遅れるかもしれないわ

 

送信失敗

 

ーーーーー

 

は?え?なんで?

 

ーーーーー

メッセージ

 

ユウカ:コユキいる?今いい?

 

送信失敗

ーーーーー

 

私はとても困った。

 

ーーーーー

メッセージ

 

ユウカ:先生こんばんは

今大丈夫でしょうか。

実は急ぎでして。

帰れなくてしまって…ここがどこだか分かりますか?

 

写真を送信

 

送信失敗

送信失敗

 

ーーーーー

 

誰にも繋がらない。

 

駅員に人がいたので聞いてみることに。

 

「あの…ミレニアムサイエンススクールまで行きたいんですけど」

 

「ミレニアムサイエンススクール?。

そんな学校あったかな?どこの駅が近い?」

 

私が駅名を言うと「そんな駅はないなぁ…」

と返ってきました。

 

ここまで来て私は理解しました。

 

自分の家へ…そして学校へ帰れない現状に私はいることに。

 

「キミは魔法使いかな?」

そう聞かれました。

 

「魔法使い?いえ魔法使いじゃありませんけど…」

 

魔法使いがいるの?

少し興味が湧きましたが今はそれどころではありません。

 

「とりあえずこの電車じゃその駅には辿り着けないから降りな。どのみち最終だからね」と言われ私は改札口を降りました。

電子パスを改札に当てるとゲートが開きました。

 

普通であれば私は外には出れないはず。

なぜならこの電車は知らないし乗ってないものだから。

駅を出る前に自販機で飲み物を購入します。

スマホにチャージしたアプリをかざします。

普通に買えました。

でも飲み物は見たことないパッケージばかり。

紅茶を購入。

ミレニアムでも紅茶を飲んだことがあります。

この紅茶は味が似ていて美味しかったです。

小銭とかでも買えるのかしら…。

時刻は23時を回っています。

普通であれば生徒である私はあまり出歩いていい時間ではないはず。

この駅は森宮駅と表示されていて外はジトっとしていました。

 

「暗いけど…こうやって見ると緑と街並みが一体化したような場所ね」

 

少し高いビルの多そうな場所はまだ明るいです。

あそこに行けば人がいるかもしれません。

そう考えて歩きます。

一瞬後ろを振り返り駅を見ました。

駅員さんらしき人が施錠するのを見ました。

どうせ今は帰れないと思い前を向きます。

行きましょう。

歩き続けます。

結構距離があるようです。

 

体力は人並み以下だと自覚があります。

ノアや会長は分かりませんがセミナー内ではコユキが1番体力があるように思えます。

 

疲れて来ました。

集中力が落ちると不安になってきました。

途中バス停を見つけましたが既に終電です。

 

考えないようにしていましたが私は帰れるのかな…?って不安です。

ポタ…と地面が濡れました。

 

「…?」

 

雨です。

 

この状況に雨は最悪でした。

制服が水を吸って濡れて服が透けます。

どこかで雨宿りをしないといけません。

でもそんな場所はありません。

キヴォトスでは晴れだったので傘を今日は持っていませんでした。

歩くしかありません。

冷たい風が吹き抜けます。

寒い。

近くに公園を見つけました。

でも屋根もない小さな公園です。

雨であり夜なので誰もいません。

ブランコを見つけ座ります。

さすがに疲れました。

スカートも服もぐっしょり濡れているので身体が冷える一方です。

 

帰れなかったらどうする…?。

朝までここにいてあの駅に戻って電車に乗れば帰れるかな?

それとも駅に戻ろうか…。

マップを見ます。

知らない地図を自分のスマホで開けるなんてなんだか不気味です。

とは言え今は少し助かる。

 

街まで距離があります。

このままだと寒さとこの雨で体調を崩してしまいそう。

 

そう考えた私は動くことを決めました。

駅に戻ろうと踵を返します。

でも駅員さんが施錠しているのを思い出しました。

 

どうしたらいいんだろう…。

進む以外ないという選択。

 

けれどこれでは…。

自分のびしょ濡れになった姿を見下ろす。

 

そして疲労。

 

 

 

寒い……。

 

 

その時でした。

私の頭上に傘がありました。

結構オシャレな傘。

そんなことを思いましたね。

 

「この場所ーーー生徒が彷徨くのは危ないわよ」

 

彼女の名前はパトリシア・ユピテル。

私が初めて出会った魔法使いでした。

 

傘に入れてもらい歩きます。

 

「どこから来たの」

 

「ミレニアムサイエンススクールです」

 

「知らない学校ね」

 

長い金髪にそれをツインテールにしていて紅く光る瞳は夜道にとても慣れているようでした。

 

「高校生よね?何年?」

 

お前何年?みたいな質問が少し久しぶりで新鮮に感じました。

 

「二年です。あっちでは生徒会の…セミナーって場所で会計をしているんです」

 

「会計ね。中々重要なポジションね」

 

「ありがとうございます。えっと…パトリシアさんは?」

 

「二年よ。一緒ねーーー敬語じゃなくてもいいから」

 

「慣れてきたらで…」

 

「ーーーまあいいわ。あ…ちょっとごめんなさい。メッセージさせて」

 

「わかりました」

 

彼女は慣れた手付きでスマホを操作していました。

その姿は似合いませんでした。

私とパトリシアさんは一緒に歩きます。

数分歩いてもう少しで駅です。

メッセージの相手の返事が来たのでしょう。

スマホを取り出しました。

その時の表情は何かを真剣に考える表情でした。

 

駅に到着しました。

彼女は施錠されてる扉を見つめてました。

多分この時彼女はコイツどこで朝まで過ごすんだ?みたいなこと考えてたような気がします。

 

「パトリシアさんありがとうございました」

 

私はぺこりと頭を下げます。

しかし彼女は無言で私を見つめます。

 

「…パトリシアさん?」

 

「ねぇユウカ」

 

「はい?」

 

「あなたミレニアムサイエンススクールって学校から来たのよね?」

 

そう言われた時、嫌な予感がしました。

正直聞きたくはなかったからです。

 

「…そうですよ」

 

私が言うと彼女は小さく息を吸うように見えて口を開きました。

 

私にとって聞きたくない言葉を。

 

「この世界にミレニアムサイエンススクールなんて学校は存在すらしないそうよ」

 

「……………」

 

「ねえユウカ…あなたーーーどうやってここに?どこから来たの?」

 

あぁ私やっぱり帰れないんだ。

考えないようにしていた事を突きつけられて制服もびしょ濡れなせいか心も落ちてしまっていたのもあります。

私はしゃがみ込みました。

 

帰り方、帰り道、森宮、ミレニアムサイエンススクール、電車、帰る、電子パス、先生、自販機、駅員の人、魔法使い、街、雨、帰れない

 

「……」

 

ちょっと考えるの無理かも。

 

 

 

 

 

 

「ねぇユウカ。

良かったら私の家に来ない?」

 

 

「…??」

 

私はその声に頭を上げました。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

家と言ってもマンションということであった。

学生寮ってことよね。大きいわね。

 

ひとまず私は考えるのはやめました。

部屋に通されると結構広いことに驚きました。

ゲーム部もこんな感じに片付いていれば…なんて考えが過ぎりました。

所々彼女の趣味か、小物やゲヘナやトリニティ風な物が多くあった。

 

「シャワー先に使って。風邪ひくわよ」

そう言われて私はお言葉に甘えて使わせてもらうことにしました。

パトリシアさんは私がシャワーの扉を閉める間際、スマホを取り出してどこから電話をし始めました。

 

きっと私がいることで何かしら予定を狂わせてしまったはず。

それなのに家に上げてくれたこと。

申し訳なさを感じました。

 

風呂場は考え事を整理する場所だ。

なんて誰が言ったか忘れました。

 

学校の帰りに電車内でうたた寝をしてしまったこと。

そんなことをしなければ帰れていたのかしら…。

寝てしまった事実は変わらない。

先生、それにノア。みんな…私がいなくなったと知ったらどうしてるだろう。

そう考えると尚更早く帰らないとーーーそんな気持ちになるのです。

かと言ってどうやって帰るんだろう。

帰り道も帰り方も分からない迷子だ。

今は助けてくれた彼女を頼るしか自分を支える方法がない。

 

シャワーから上がるとバスタオルと着替えが用意してあった。

リビングから香ばしい匂いがした。

 

ピザの配達を頼んでいたようだ。

パトリシアは最初にあった服ではなくエ駄死と書かれたシャツに着替えていた。

どんなセンスしてるのよ…。

 

「お風呂ありがとうございます。入ります?」

 

「いいわ食べたら入るから。ユウカも食べなさい」

 

「じゃあ、遠慮なく…。いただきます」

 

「いただくわ」

 

私とパトリシアは夕食を食べる。

彼女はテレビを付ける。

普段はドラマとかニュース、バラエティそういうのもやっている。

キヴォトスと結構近い雰囲気のある世界なのかもしれない。

パトリシアはニュースに変えた。

 

「この時間だからね」

 

彼女はそう言うがニュースを見るのが好きなのかもしれない。

私はピザを食べそして炭酸ジュースを飲む。

疲れが吹き飛ぶ。

ちょっと生き返ったかも。

その表情の私を彼女は見ていた。

 

「大丈夫?」

そう聞いてきた。

 

「少し…落ち着きました」

 

私はそう答えた。

大丈夫とは思えない。

でもさっきよりはマシだった。

彼女は私の言葉に頷いた。

 

そして彼女はテレビに顔を戻しピザを食べる。

ただやっているニュースは今朝自宅で心臓麻痺で人が亡くなったという話であまりいい記事ではなかったが。

 

またもパトリシアのスマホが鳴った。

「ごめんなさい」

私は頷く。

「もしもし私よ。私、私…だから私」

 

詐欺かな?

 

「列車の…そう。でもごめんなさい私もう今回手一杯。姫達に投げたわ適当にやってくれるわよ」

 

「ニュース…?見てるわよ。でもこれって話はないし…わかったわ。あとさっき伝えた話どうなった?」

 

電話からの声は聞こえないけどふと男の人っぽい声が聞こえる。

彼女の会話を聞いている限り彼女もまた忙しい立場にいるようだった。

 

「なら今回は別行動ね。承認してもらってるなら彼女はこっちで見るから。いい?……スピーカー?なんでよ…?あぁわかったわよ

ーーーユウカ」

 

 

「なんですか?」

 

「ーーーあなた宛よ」

 

パトリシアはスマホをスピーカーにした。

男の人の声が響く。

 

『早瀬ユウカさん…はじめまして。忙しいから手短に。

これだけ伝えさせてほしい。

…大丈夫。

頑張れ。

きっと帰れる。

だから諦めるんじゃないぞ』

 

彼女はスピーカー切る。

 

「いいかしら?。わかったわ。それじゃ頼んだわよ」

 

そう言って通話を切ると再びパトリシアは途中だった食事を再開する。

 

きっと帰れる。諦めるな。

とんでもないくらいのド根性精神論。

なのにあの男の人の言葉はふと…先生の言葉を印象させた。

 

たったそれだけなのに胸が熱くなる。

 

がんばろう。

自然とそう思えた。

 

パトリシアは私に言った。

「さっきの電話の内容、あなたのことなんだけどーーー」

 

私の帰れる目処が出るまで、この森宮で生徒になって過ごすという提案だった。

 

「よろしくお願いします」

 

私は考えた末、承諾した。

 

「なら改めて言わないといけないわね。

ーーーーーーようこそ。

早瀬ユウカーーー青の世界、地球へ」

 

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