仮面ライダーガッチャード&デッドプール&ウルヴァリン デイブレイク・オブ・フューチャー・パスト 作:バリー
鏡花達がいる現代の上空に時空ゲートが開き、そこからヘルクレイトとグリズナー率いる大量のドレットルーパー軍団が地上に降り立った。
彼らは襲撃に備えて、この時空に留まっていた彼女達を睨みつける。
「小賢しい…!」
「集まったところで、所詮雑魚は雑魚だ。」
二体はマルガムに変身し、軍勢に指示を下した。
「かかれ!」
ドレットルーパーが武器を構え、鏡花達のもとへ向かっていく。
スパナとカグヤが彼らの前に立ち塞がり、残りは別の場所に移動する。
「さあ…ゴージャスタイムだ!」
「貴様が仕切るな。」
彼らはそれぞれカードを取り出すと、ベルトにセットする。
『CHEMYRIDE』
『マッハウィール!イグナイト!ダイオーニ!イグナイト!』
「「『変身!』」」
『LE-LE-LE LEGEND!』
『ガッチャーンコ!!バースト!ヴァルバラド!!』
レジェンドとヴァルバラドに変身した二人は迫りくるドレットルーパーとエンジェルマルガムに応戦する。徒手空拳やヴァルバラッシャーで剣や銃弾を弾き、キックや斬撃を相手に叩き込んでいく。
その隙に時空ゲートの真下に駆け込んだ鏡花、ミナト、そして蓮華と錆丸はひとまとまりになると、四方に向けて錬金術を発動しようとする。
時空ゲートを開くには莫大なエネルギーを流し込む必要があることを突き止めた彼女達は、その奔流を逆らわせて未来から劣兵を送り込んでいる敵陣を爆破するつもりなのだ。
エネルギーをせき止める結界を張る柱を作ろうとしている彼女達に、ドレットルーパーが襲いかかる。
一旦作業を中止すると鏡花とミナトは数本の剣を錬成し、黒い兵士達の攻撃に対応する。
それを見た蓮華と錆丸も、彼らと戦う決心をした。宝太郎から託された『現代』を守るために。二人はケミーカードを取り出す。
「お願いや、『ズキュンパイア』…!一緒に戦って…!」
「『UFO-X』…君の力を貸して欲しいんだ…!」
『ケミーライズ!』
召喚されるのは、王冠をつけた美青年と黄金に輝く三機のUFO。
「もちろんだよ、蓮華ちゃん…ボクはもう、レディーの悲しむ顔を見たくない…!」
「ユーフォー!」
二体のオカルトケミーが彼女達と一体化した。『ズキュン蓮華』と『ユーフォー錆丸』となった二人は、自身の力を振るう。
ズキュン蓮華は魅了で指揮官機を洗脳して同士討ちするよう仕向け、ユーフォー錆丸は生成した小型UFOでドレットルーパーを吸い込んで捕縛。そのまま宇宙へと追放する。
自身に群がっていた雑兵達が一掃されたため、ミナトと鏡花が柱の作成を再開しようとしたその時だった。
「虫ケラ共がコソコソと…全員、叩き潰してくれる!」
グリズナーことゴリラマルガムが、新たなドレットルーパーの軍勢を連れてやってきた。配下達は一斉にミナトと鏡花になだれ込む。再び、劣兵達との戦いを強いられる二人。
残された蓮華と錆丸をゴリラマルガムが見据え、歩を進める。
魅了を受けたドレットルーパー弐式が主君である蓮華を守るべく走り出し、マルガムに棍棒を振り下ろそうとした。しかし、ゴリラマルガムはそれをあっさりと受け止めると、無理矢理ぶんどって床に投げ捨てる。そして、弐式の頭を右手で掴んだ。
「この役立たずがぁっ!」
指を顔面に食い込ませたまま、ゴリラマルガムは弐式を勢いよく後ろに押し倒す。地面に思いっきり後頭部を叩きつけられた指揮官機は、轟音を立てながら爆散した。
「なぁっ!?」
仲間を躊躇いなく倒した彼に蓮華達は戦慄する。
しかし、マルガムが自分の方に向かってくるのを見て、ズキュン蓮華は慌てて指差した。
「『ズッキュン』!」
ハート型のエネルギーが指先から射出され、マルガムに着弾。しかし、彼は何事もなかったかの様に歩き続ける。
「嘘やろ!?全然効いてへん…!」
蓮華達が知る由もないことだが、グリズナーが被っているヘルメットには精神攻撃を無効化する働きがあるのだ。
続いて錆丸が腕からUFOのエネルギー体を発射し、彼を拘束しようと試みる。
二機の飛行物体が真下の怪物を捉えようと、上空を滑るように旋回する。
しかし、ゴリラマルガムは臆すること無く、一枚のレプリケミーカードを取り出した。そこに描かれていたのは『バグレシア』。先ほど倒した弐式から強奪したものだ。
左腕にそれを押し付けると、ラフレシアの花を模した巨大な盾が装備される。そして、そこから無数の触手をUFOに伸ばして絡め取ると、そのまま圧し潰した。
「そんな…!」
自分達の攻撃が通じないという現実に打ちひしがれる二人に、マルガムの盾が向けられた。赤黒い奔流が波の様にうねりながら押し寄せ、蓮華と錆丸を包み込む。
マルガムの神経毒に侵された二人は、地に倒れ伏してしまった。
「銀杏!鶴原!」
ミナトと鏡花は生徒達のもとに向かおうとするが、ドレットルーパー達がそれを阻む。次々に迫る援軍で、彼らは手一杯になってしまう。
麻痺状態で動けなくなっている蓮華と錆丸にマルガムが一歩、また一歩と近づいてくる。肩を怒らせ、拳を強く握りしめて目前にある獲物を確実に仕留めようとする。
二人は近寄ってくる死神を、ただ見つめることしか出来なかった。
『トルネードアロー!』
「ぐおおおおおおおっ!!?」
突如として、無数の光の矢がゴリラマルガムに降り注いだ。
思いがけない援護射撃に驚愕する蓮華達の前に、一人の仮面ライダーが現れる。
全身は血液の様な赤に染められているが、見覚えのあるシルエットだった。突如として現れた救世主は彼女達の方を向くと、聞き覚えのある声を浴びせる。
「大丈夫、こっちの蓮華姉さん?錆丸先輩?」
二人がぎこちなく首を上げた先に見えたのは、二本の矢印の複眼とゴーグルが特徴的な顔。
「お宝ちゃん…?なんで、ここに…?」
「未来に行ったんじゃ…?」
「あ~、違う違う!俺はこことは別の世界の宝太郎!名前は『ガッチャードプール』!よろしくね!ちなみに選挙権はまだもらってない。お酒も三年後までお預け。」
蓮華達に自らの素性を説明するガッチャードP。そこへ振るわれるマルガムの拳を、すかさずガッチャートルネードで受け止める。
「どうしたの、そんなにイライラして?バナナ食べたいなら、『インゴス島』にでも行ったら?」
「ほざけ!」
ガッチャードPは拳をそのまま押し退けると、二度三度刃で斬りつける。
斬撃を食らったゴリラマルガムは衝撃で後ずさるが、大したダメージはない。変身する前から丈夫だった体を、ケミーの力で更に強化しているのだ。
ゴリラマルガムは、そのままガッチャードPに殴りかかる。
腕力の方も底上げされているため、一撃一撃もかなりの高威力を誇る。
ガッチャートルネードで直撃を免れているとはいえ、武器越しに伝わる衝撃は凄まじく、ガッチャードPは徐々に圧されていった。
立て続けに浴びせられる猛攻によって、ガッチャードPは膝をつく。その隙を突いたゴリラマルガムは脳天目掛けて、拳を振り下ろそうとする。
「くっ!」
寸前でガッチャードPはガッチャートルネードで防ぐものの、抑え込む腕と踏みしめる足は震えていた。
「お前一人で、この俺の相手になれると思ったか!」
自身の拳を阻む武器ごと赤い戦士の顔面を粉砕せんと、ゴリラマルガムは腕に力を込めた。
その時、背後から身を裂かれる感触。それによって注意が逸れたその一瞬を突いて、ガッチャードPは拳を押し返すとガッチャートルネードで敵を一閃。
吹っ飛ばされて、地面を転がるゴリラマルガム。
「一人じゃない。」
正面には、白黒のカイザと蟷螂怪人がガッチャードPと並び立っていた。
「心配しないで!アイツ倒しても、任◯堂は怒らないから!」
それぞれ己の武器を構えて、彼らはゴリラマルガムに向かっていった。
レジスタンスの残りも到着した様だ。死角からミナトに迫る剣が、一本のナイフで弾かれた。ブレイドは、すかさずドレットルーパーの首を斬り裂く。
「お前達は…!?」
「安心しろ。俺達は味方だ。」
同じくエレクトラも二本の釵を巧みに操り、鏡花に近づくドレットルーパーを次々と薙ぎ払っていく。
「アイツ、ホント人使い荒すぎる!」
自分達をこの次元に飛ばした男の顔を思い浮かべながら、彼女は不満の声を漏らした。それでも、藁藁と群がる敵を捌くことを止めはしない。『後輩がいる世界を守れ』という件の男からの任務を遂行するためだ。
ガッチャードP達は、三人がかりでゴリラマルガムに挑みかかった。それぞれ多方向から、怪人に向けて攻撃を仕掛けていく。
蟷螂怪人は俊敏な動きで迫りくる剛腕を躱しながら、両腕の鎌を振るう。ガッチャードPとカイザは、ガッチャートルネードとカイザブレイガンの刀身を叩きつけたり、光の矢や弾丸を撃ち出す。
しかし、それでも尚ゴリラマルガムを倒せる気配がない。実際、彼らも自分達が苦戦していることを実感していた。
近距離戦に持ち込めば、左腕の盾で武器を跳ね返され、拳で殴り飛ばされる。
ならば、遠距離から—となると、今度は神経毒を飛ばされるため回避にまわらなければならない。
おまけに例え本体に攻撃が当たっても、強靭な肉体を持つグリズナーにとっては蚊に刺された程度でしかない。
幾度攻撃しても崩れぬ敵を前に、彼らの呼吸は乱れていく。
まさしく、『
ゴリラマルガムが片足を振り上げて、勢いよく足裏を地面に叩きつける。強い衝撃波が発生し、地が割れて無数の破片が宙を舞った。そのまま腕を構えるとそれらは頭上に集まり、巨大な拳を形成する。
「砕け散れ!!」
マルガムが腕を突き出すと、その動きにシンクロする様に拳がガッチャードP達のもとへと放たれた。三人は咄嗟にそれを切り払おうとしたが、弾丸の如き速度で繰り出された強固な塊は勢いを殺すことなく、彼らの全身に打ち込まれた。
「うわあああああああああっ!!」
遥か遠くまで飛ばされたガッチャードP達。幸い変身解除には至っていないものの、今の一撃がかなり効いているのかしばらく立てずにいた。
ミナト達と戦っているブレイドとエレクトラも、危機的状況に陥っていた。
前者は壱式のレイピアによる的確な突き、後者は怪力を生かした弐式による棍棒で徐々に圧されていく。
自身の顔面や心臓部を狙う素早い攻撃と、こちらを上回るパワーで振るわれる打撃への対応によって、体力が消耗されていった。
「ああ~ヤバいよ、これ…せっかくゴードンに出演権譲ってもらって、このザマじゃ読者の皆ガッカリしちゃう…」
冗談を交えつつも焦りを滲ませた口調で、ガッチャードPは呟く。『
その時、左手首から自身の相棒の声がした。複数のものが入り混じった声の主を聞き分け、ガッチャードPはホルダーから数枚カードを抜き取る。
『カマンティス』、『スマホーン』、『カリュードス』、そして『サスケマル』。四体のケミーがカード越しに何かを訴えかける様に鳴いていた。
ガッチャードPは彼らの意図を瞬時に理解すると、カードを放り投げた。
「頼んだよ、皆!」
カードは地に落ちることなく、そのまま宙を移動して彼の仲間達のもとに向かう。
カマンティスは蟷螂怪人、スマホーンはカイザ、カリュードスはブレイド、サスケマルはエレクトラに。
カードが重なり合った瞬間、彼らの姿に変化が起こった。
蟷螂怪人の体表は金属を連想させる様な銀から、本来のカマキリそのものを思わせる深い緑へ変色。
カイザは『Χ』のマークを象った様な巨大な円形の胸部装甲が付いた近未来的な戦士—『ネクストカイザ』に。
ブレイドとエレクトラはそれぞれ黒いトレンチコート、そして赤いバンダナとくノ一の様な露出の多い衣装を身に纏っていた。
体の底から力が湧き上がってくるのを感じる。
再び先陣を切ったのは、蟷螂怪人だった。両腕の巨大な鎌を構えながら、彼女はゴリラマルガムに突進していく。
「血迷ったか!」
身の程を知らずに再び挑みかかる獲物を、グリズナーは嘲笑った。姿形が変わろうと結果は変わらない。己の勝利を確信したまま、マルガムは盾から神経毒を浴びせる。
だが、次の瞬間余裕の笑みは消え去る。駆ける蟷螂怪人の黄褐色の複眼が輝き出し、そこから光線が放たれたのだ。極大の光線は赤黒い奔流を一瞬で焼き尽くし、そのままグリズナーの左腕の盾を破壊した。
そしてマルガムのもとに肉薄した蟷螂怪人は、左右の腕を大きく振り上げる。鎌に緑色の光を迸らせ、彼女は強化された斬撃をマルガムの体に叩き込んだ。
「はあっ!」
「ぐあああああああああああっ!!」
派手に吹っ飛ばされるゴリラマルガム。盾を失った左腕は焼け焦げ、胸には深い裂傷が交差する様に刻まれている。ケミーの力が上乗せされた攻撃を受けたのだ。かなりのダメージを負っていることだろう。
だが、まだ撃破とまではいっていない。グリズナーの堅牢さは、そう簡単に崩れるものではないのだ。すぐさま反撃に移ろうと、彼はよろめきながら立ち上がる。
『Start Up』
衝撃と共に打ち上げられる身体。
グリッドが張り巡らされた暗黒の空間で、ネクストカイザが円状に高速移動しながらマルガムを取り囲む。
光輪の中心に浮かぶ敵へ向けて、カイザは目にも止まらぬ速さでカイザクロスラッシャーを振るった。彼の軌跡がバツ印を描く様に円環内で走る。斬撃音と共に光の線が幾度となく重なり合い、輝きを増していく。
『3』
必死に拘束から逃れようとゴリラマルガムが藻掻く。
『2』
円の外縁から無数の光線が中心目掛けて一直線に殺到する。
『1』
光矢の豪雨に打たれた怪物の身が爆ぜる音が轟いた。
『Time Out. Reformation.』
制限時間経過のアナウンスと共に、ネクストカイザのボディがアクセルフォームから通常形態に戻される。
グリズナーの方はというとあれほどの攻撃を受けたというのに、マルガムの姿をまだ保っていた。各所に付けられた銃創や切創から迸る痛みに顔をしかめながらも、彼は戦闘態勢に入り直そうと—
『スチームホッパー!フィーバー!』
目の前に赤いバッタがいた。咄嗟にグリズナーは拳を振るうも、巨大な虫の身体が分解されたことで攻撃が空振る。そしてそれらは突如として現れた人型の本体に張り付くことで、赤い戦士を形成する。
「ハァ-ーーーーーーーーーーッ!!」
雄叫びとともにガッチャードPが、マルガムに向けて足を突き出す。
白く噴き上がる蒸気と共に赤い戦士の蹴りが、放たれた矢の如き素早さで怪物を貫いた。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!」
地面を削り、火花を散らしながら滑り込むガッチャードPの背後で大爆発が起こる。
そして爆煙が晴れた瞬間、人間態に戻ったグリズナーの肉体は崩れ、最後にヘルメットが土の山と化した残骸の上にボスンッと落下した。
「ガッチャ!」
その頃、ブレイドとエレクトラも新たに得た力でドレットルーパーを撃破していた。
ブレイドは背中から抜いた長剣で壱式のレイピアを弾きながら、ピストルからの弾丸で動きを牽制する。黒いコートを靡かせながら、狩人は邪悪な騎士を追い詰めていく。
やがて手を刃先で抉られた壱式は、レイピアを取り零した。
ブレイドが持つ長剣が赤く光り輝く。足を踏みしめると、彼は得物を失った敵に跳躍する。
そのまま身を翻して空中で横回転しながら、赤光を纏った刀身を何度も何度も叩きつけた。光の軌跡が円を描く度に、鋭い斬撃音が立て続けに鳴り響く。
攻撃が止んだ時、ドレットルーパーの銀と黒が混在したボディには、幾筋ものの深い傷が刻まれていた。
エレクトラの方は軽装を生かした俊敏な動きで、力任せの荒々しい攻撃をする弐式を翻弄していく。大ぶりな挙動を繰り返す敵の隙を見逃さずに、釵や蹴りを素早く叩き込む。徐々に後退し、距離を離されていく弐式。エレクトラは自身の背面にある短刀を抜いた。
彼女はそれを逆手持ちして接近すると、弐式に袈裟斬りを食らわせる。次に腕を大きく振って敵を遥か上空にまで打ち上げた。
そこからジャンプして、横薙ぎの一閃。そして順手持ちからの二回宙返りによる連続真向斬りを浴びせ、空中に浮かぶ弐式を地に叩き落とした。
着地したエレクトラは短刀を再び逆手に持ち変えると、背後で立とうとする弐式の胴体に突き刺す。そしてトドメと言わんばかりに足を一直線に伸ばして蹴りを打ち込んだ。
ダメージの許容範囲を超えた二体の指揮官機が、轟音を立てて爆発する。
「マルガムとは違う、人とケミーの融合体か…!」
「興味深いね…!」
四人の援軍の活躍を見たミナトと鏡花は驚嘆した。
その頃、倒れていた蓮華と錆丸の身体から痺れが取れた。グリズナーが倒されたことで神経毒の効果が無くなったのだ。二人は再びドレットルーパーとの戦闘を開始する。
「なんかよう分からんけど、おおきにな!赤いお宝ちゃん!それと他の皆!」
「本当に、ありがとう…!」
「どういたしまして!」
グリズナーが倒された後も、ドレットルーパー達は絶え間なく襲いかかって来る。だが、それは心強い味方が増えたミナト達にとってもう脅威ではなかった。
一方のレジェンドは、ドレットルーパーに苦戦していた。強力な一撃を叩き込む指揮官機の参式と、数の暴力で押していく軍式達の連携によって多大なダメージを食らい、その結果、変身が解除されてしまった。
地に這いつくばったカグヤは何とかカードを拾い上げるものの、目の前の参式にそれを切り裂かれてしまう。頼みの綱を失った彼の脳天に、参式のレイピアが突き刺さろうとしたその時だった。
突如として現れた灰色のオーロラから、エネルギーを纏ったトランプが数枚放たれ、ドレットルーパー達を後方へと吹っ飛ばした。
カグヤは立ち上がり、オーロラを見た。灰色の揺らめくカーテンから、トレンチコートに身を包んだ男が現れた。
「『カグヤ』っちゅうのはお前のことか?」
「貴様…一体、何者だ?」
「オレは『ガンビット』。『ある男』に頼まれた、んでオレが助けに来てやったちぇーワケだ。」
ガンビットと名乗った男は、少し―いや、かなり聞き取りにくい訛りでカグヤに話しかける。
「『ある男』だと…?」
「まあ、詳しい話は…本人から聞いちょくれ。」
戸惑うカグヤをオーロラカーテンが飲み込み、一瞬にして彼を無人の場所に転送した。
「久しぶりだな、坊主。」
声がした方向を振り向くと、そこには首からマゼンタのトイカメラを提げた男がいた。驚愕したカグヤは、その男の名を呟く。
「『ディケイド』…『門矢士』…!」
何故ここに?という問いに対し、『通りすがっただけ』とカグヤに返す士。
かつて、自分の世界を救ってくれた恩人が目の前にいるという事実に感激するカグヤ。士には伝えたいことが山程あるのだが、今はそんな場合ではない。
「仲間が…できたんだろう?」
戸惑っているカグヤに対し、士は一枚の写真を渡す。そこに写っているのは、カグヤ本人の顔。渡した後、士はカグヤの顎を掴んで自身の顔を近づける。
「いい顔だ…まだ俺には遠く及ばないがな。」
その後、カグヤから距離を置くと今度は一枚のカードを指に挟み、投げつける。
「ついでにこれもやろう。」
受け止めた彼は、自身の手に収まったものを見た。それは一枚のライダーカード。
「見せてみろ、レジェンド。お前の『伝説』ってやつを…!」
士が背を向けて、目の前のオーロラカーテンに歩を進める。気のせいか、彼にディケイドの幻影が重なった。振り向いた拍子に見えた緑色の目が輝く。
オーロラカーテンが再びカグヤを飲み込み、元いた場所に彼を移動させた。離れた場所では、ガンビットがロッドでドレットルーパーの相手をしている。カグヤは士から渡された写真を見つめた。
「そうだ…カグヤ様はもう、あの頃の坊主ではない…!」
幼少期の彼は、災厄によって世界が崩壊していく様を只々見ていることしか出来なかった。
しかし、この場に立っている彼は違う。己の大切なものを守れる力がある。自分のことを思ってくれる仲間がいる。
カグヤという男は今も、そしてこれからもゴージャスに輝き続けるのだ。
「我が名は…『鳳凰・カグヤ・クォーツ』!!伝説を超える仮面ライダーだ!!」
迫りくる別のドレットルーパー達の方を振り返り、啖呵を切ったカグヤ。持っていた写真が、ケミーカードに変化する。
「覚えておけ…!」
レジェンドの顔が描かれている面を見せつけるかの様にカードを裏返し、カグヤはレジェンドライバーにそれをセットした。たちまち、彼の姿は仮面ライダーレジェンドに変わる。
さらに懐から『レジェンダリーカメンライザー』を取り出し、ベルトに取り付けた。
『FINAL CHEMY RIDE LE-LE-LE LEGENDARY LEGEND!!』
そこに現れたのはレジェンドよりも更に眩しく、きらびやかな戦士―『仮面ライダーレジェンダリーレジェンド』。
上半身には首元を覆うデザインになった装甲が追加されており、クウガからガッチャードまでの歴代ライダーのケミーカードが張り付いている。多数のカードと宝石が散りばめられた姿は、聖なる神像の様だった。
しかし、レジェンドの変身はこれだけでは終わらない。
「『門矢士』…貴方の力を、ゴージャスに使わせて頂く。」
あらん限りの尊敬と感謝の念を抱きながらカグヤは呟いた。そして、士から渡されたライダーカードを取り出す。するとそれは輝きを放ち、一枚のケミーカードに。カグヤはそのカードをレジェンダリーカメンライザーにセットする。
『FINAL CHEMY RIDE GO-GO-GO GORGEOUS!』
レジェンダリーレジェンドに複数枚のカードが集まり、それらが上半身を覆う装甲とマントを形成していく。やがてそこにカードが展開されると、レジェンドの姿が三度目の変化を遂げた。ドレットルーパーと交戦しているガンビットが、ヒュウッと驚嘆する様に口笛を吹く。
全身は先ほどのレジェンダリーレジェンドと打って変わってマゼンタを基調としており、胸や肩の分厚い装甲やマント、さらには縦長になった頭頂部にまでカードがびっしりと貼り付けられている。胸部には、レジェンドが変身した証『ビクトリアゴージャスター』というV字状の黄金の装甲が追加されていた。
前面に見せつける様にカードが配置されたその出で立ちは言うなれば、『歩く仮面ライダー大図鑑』。またの名を―
『DECADE COMPLETE-FORM 21!』
・『蟷螂怪人(強化形態)』
本作オリジナルの姿。見た目は原典BLACKの同名怪人カラーの蟷螂怪人。目からビームも原典で披露していた能力から。
・『ブレイド(強化形態)』
映画第一作目の衣装。必殺技は『マーベル・ライバルズ』での彼のアクションから。
・『エレクトラ(強化形態)』
原典コミックの衣装。必殺技は『マーベルオールスターバトル』から。