仮面ライダーガッチャード&デッドプール&ウルヴァリン デイブレイク・オブ・フューチャー・パスト 作:バリー
『ある演出』の都合上、パソコンで見ている方はスマホでこちらの話を読むことを推奨します。
『デッドプール:SAMURAI 2nd season』再開ってマジか!
「フハハハハハハハハハハハ!!実験は成功だ!これで我は全てを超越した究極の生命体となった…!」
カサンドラ・ノヴァの肉塊―そして、彼女に不本意な生命力を与えていたクウガライドウォッチを取り込んだことで、進化を遂げた冥黒王。
ミュータントとライダーのパワーが全身を駆け巡り、絶え間ない高揚感が彼を支配する。
「力が無限に湧いてくるようだ…」
「それの続き知ってるよ。」
「実に清々しい気分だ!!」
「ほらね。言うと思った。」
ウェイドを除くガッチャード達は、変貌を遂げた冥黒王の姿に絶句していた。
その巨大な体躯はさらに膨れ上がり、まるで天空そのものを飲み込んでしまったかの様な錯覚に陥るほどの圧倒的な存在感が放たれている。
巨体から漂うプレッシャーによって、抱いていた戦意は掃滅され、戦士達はただ呆然と立ち尽くすことしか出来ない。
それを好機と見た冥黒王は、新たに得た力を行使した。
全身から黒煙が吹き出し、ガッチャード達がいる戦場を覆い始める。
未知なる先手に戸惑う彼らの頭上から、無数の大剣が紫紺の輝きと共に降り注いだ。
かつての細長い棘とは比較にならないぐらいの重量を持った剣は、空気を切り裂きながら遥か下の獲物に殺到。その数は数千どころか、数万を超えている。
逃げ場を完全に封じ込めんとばかりに、刃の豪雨が広範囲へと迫る。
ローガンは以前の如く、竜巻でまとめて弾き飛ばそうとした―が、何故か勢いがとても弱く、鋭い刃先によって容易にかき消されてしまう。
即座に手段を切り替えるローガン。オプティックブラストで撃ち落とし、念力で軌道をずらすことで直撃を何としてでも避けようとする。
他の者達も回避から、迎撃へと移った。
マジェードはDBザ・サンをセットしたエクスガッチャリバーを、デイブレイクはガッチャートルネードを振るって斬撃を飛ばす。ウェイドは腕を突き上げて、列車状のエネルギー弾を発射。
バットキングロボの巨大な拳やマッドパイレーツの砲弾が、大剣を打ち砕いていく。
『レインボーブレス!』
ミラクルガッチャードは追加のガッチャブラザーズを召喚。
人型やワイルドモードで戦場に現れたガッチャードの分身は、多種多様な攻撃を放つ。
『バクオンテレヴィ』がスピーカーから激しい音圧を発生させ、『オドリマンティス』が突風を纏った斬撃で切り刻み、『ライトニングジャングル』が雷を撃ち落とす。
破壊から免れた剣が地面に突き刺さる度に轟音が空気を震わせ、衝撃でガッチャード達の足元が揺れ動く。
迎撃が終わった頃には、多数の剣の破片がガッチャード達の周囲に散らばっていた。
瘴気が漂い、黒や灰の瓦礫で覆われた戦場に、黄金が不快な存在感を放っている。
猛攻を凌ぎきった彼らの息遣いはとても荒い。
しかし、更なる絶望がここから始まる。
散乱していた無数の大小の破片が形を変え、巨大な怪物となって周囲を取り囲んだのだ。
「マジかよ!?」
「嘘でしょ!?」
質量保存の法則を無視した現象に、驚愕の声を上げるウェイドとマジェード。
錬金術とモーフィングパワーで錬成されたその怪物は、四本の腕を生やした二足歩行の虫のモンスターだった。
別の世界の怪人―『アナザーアルティメットクウガ』に似た異形達は、鋭い爪を生やした剛腕を振るい、口から怪光線を撃つ。
「くっ!」
地面を転がって回避するガッチャード達。素通りした光線や腕によって元いた場所が深く抉れ、衝撃音と共に破片と土埃が舞い上がる。
初撃は避けたが、また次の攻撃が迫ってくる。クロスヴァリンは爪で冥黒王の眷属の拳を受け止めつつ、オプティックブラストを顔面に向けて発射。しかし、命中する直前に眷属はもう一本の腕でそれを払い除け、口から光線を放った。ローガンは後方に飛び退くことで、辛うじて直撃を免れた。
二人のガッチャードはガッチャージガンを連射することで動きを牽制し、ガッチャートルネードで光の刃を飛ばす。眷属の猛攻をマジェードは拳や蹴りで弾き、ウェイドは跳躍することで躱すと展開したクローを叩き込んだ。
ガッチャブラザーズもそれぞれの特技や武器を駆使することで、巨蟲を駆除を完遂させようとする。
しかし、悲しいかな。彼らの攻撃は眷属を後退させはするものの、撃破までには至らない。
眷属らが頑丈な外殻を纏っているのもその一因だが、もう一つの深刻な理由が存在した。
「何だか…オレ達、弱くなってる気がする…!」
「もしや…この黒い霧のせいか…!?」
先程から戦場を支配する黒い瘴気。それがガッチャード達の力を奪っていた。
冥黒王の全身から放たれる『究極の闇』には敵の戦闘力を削ぐと同時に、冥黒王自身とその眷属の力を増大させる効果を秘めている。
「なあ、青いガッチャマン!さっきのキラキラで、これ何とか出来ないの?」
「駄目だ!何回やっても、広がらない!」
ガッチャードがミラクルフィールドを展開して黒煙を払おうと何度も試みたが、光が離散して戦場に行き届かない。
やがて眷属達に攻撃を加えていたガッチャーブラザーズが全身に青い電撃を迸らせ、動きが硬直し始める。
「ヤミ~!?レンキン…!?」
「アッパ…レ…スケ…ボ…」
最終的に融合が解除されて、彼らは元のケミーカードに戻ってしまった。 どうやら、これも闇の力の影響の様だ。
それでもケミー達は諦めずカードから飛び出し、単独でガッチャード達を必死にサポートし続ける。デイブレイクが所持していたものも含めた残りのケミー達も加勢し、各自が持てる力を惜しむことなく発揮する。
自身の武器や爪の斬れ味は鈍り、打撃や銃撃の威力は低下していく中、ガッチャード達は戦い続ける。止むことのない猛攻に追い詰められながらも、彼らは必死で応戦して勝機を見出そうとしている。
その時、これまで傍観していた冥黒王が行動に移した。
彼がローガンとウェイドに腕を振りかざしたその刹那、二人の全身が炎に包まれた。
「うぐおおおおおおおおおおっ!?」
「ぐがああああああああああっ!!?」
パイロキネシスによる人体発火。
苦悶の叫びを上げる彼らに、眷属は右腕を横薙ぎに振るってまとめて吹っ飛ばす。
弾丸の速度で地面に叩きつけられても尚、二人の身を焼き焦がす炎は消えない。
ローガンはストームの能力で、自身とウェイドの周りの気温を下げて鎮火を試みる。しかし力が弱体化しているため、その効果は目に見えて遅くなっている。
「ローガン!」
「ウェイド!」
苦悶の声を上げる二人を見て、ガッチャードとデイブレイクが叫ぶ。
慌てて駆け付けた二体のヒーケスキューが、大量の水流を浴びせたことで何とか事なきを得た。
「大丈夫か、二人とも!?」
「ああ…平気だ…!」
「心配なら、オリジナル展開を書いてる作者にしてあげて…!」
所々黒く焦げたスーツから煙を噴き出しながら、ウェイドとローガンは何とか言葉を絞り出す。
ガッチャードとデイブレイクは振り返ると、遥か遠くにいる冥黒王を睨みつけた。彼の顔には嘲笑が浮かんでいる。
あの発火現象は、単なる戯れに過ぎなかった。まるで退屈を持て余した幼子が、眼の前に留まっている虫の羽を捕まえて毟り取る様に、彼はウェイド達を弄んだのだ。
胸中で怒りを燃やす二人のガッチャードは、大本を撃破する方針に切り替える。
脚と背中のブースターを点火させると同時に、跳躍。
音速にまで加速した二人は冥黒王へと直進し、構えたガッチャートルネードを嗤う冥黒王に叩きつけようとした。
しかし次の瞬間、前方から強い圧力を感じ、続いて背中に衝撃が走る。いつの間にか地面に仰向けに倒れていた。冥黒王がカサンドラのサイコパワーによる衝撃波で、彼らを撃墜したのだ。
「ぐぅっ…ぐあああ…!!」
「がっ…ううっ…!!」
「一ノ瀬!」
「ホウタロウ!」
全身を襲う激痛に二人のガッチャードは苦しみに悶えながら、悲鳴を漏らす。
他のメンバーは駆け寄ろうとするが、度重なる眷属達の激しい攻撃にそれを阻まれる。
「でやあああああああああああああああああああああっ!!」
体を大きく仰け反らせた冥黒王が、天に咆哮する。
戦場に立つ全てのものに、無数の稲妻が容赦なく降り注ぐ。
自身の眷属さえも巻き込んだ雷撃は、落下と同時に大爆発を引き起こした。
至る所から火柱が天高く上がり、凄まじい熱風がガッチャード達を襲う。
「「「うわああああああああああああっ!!」」」
「「ガアアアアアアアアアアアアアッ!」」
爆風に晒されたガッチャード達の身体は、一気に後方へと吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。
攻撃の余波で破壊された眷属達は、戦場に撒き散らされた破片から蘇ってガッチャード達を取り囲んだ。
激痛で痺れる四肢を懸命に動かして立ち上がった彼らは、己が絶望的な状況に立たされていることを思い知る。
「クソッ!これじゃ、オレ達『インフィニティー・ウォー』のオチより酷い目に遭うぞ!」
「どうすれば良いの…!?」
闇は戦場だけでなく、ライダー達の心にまで暗い影を落としていく。勝機が見出せない絶望が、彼らを内部から更に弱らせていく。
何も出来ない自身に苛立ったローガンは、思わず地面を殴りつけた。
その時だった。
『ローガン。』
恩師の声が耳元で聞こえた。
DBドラゴナロスのカードが、彼に語りかけた。
『頼みがある。』
冥黒王は至福の境地に浸っていた。
ほんの少し目線を下げれば見える実験場で、虫螻が自らの人形に対して無謀に足掻く姿は深い愉悦を感じる。
時折自らが介入すると、それらは面白い程に醜態を晒して悲鳴を上げ、吹き飛ばされた。
そこから抜け出そうとする意志を込めてこちらに牙を剝くも、軽く一振りすれば、また地獄へと叩き戻される。
人形を新たに補充し、また違った反応が観測出来ることを冥黒王は期待している。
今進行中の惨劇は、実験という言葉で表すのに相応しくないものであった。
それは己の優位性を完全に自覚した者による、ただの戯れ、蹂躙に過ぎない。対象が味わう苦痛は、加害者の欲望を満たすためだけに消費される。
それ以外の目的も、意味も、正当性も何一つとしてない。
ふと身体に違和感を覚える。それはほんの小さなものだったが、内側に何かが徐々に侵略しているかの様な鬱陶しさを感じさせるもの。
冥黒王は戦場を改めて見下ろした。二人のガッチャードやマジェード、ウェイド、ケミー達が眷属と戦っている中、ローガンただ一人が何もせずに立っている。
こめかみに右人差し指を当てて、目を瞑り何かに集中している様だ。彼の胸にはかつて自らが最初に生み出した竜のケミーカードが張り付いている。
『私は感じたのだ…『妹』の存在を。生き地獄に囚われた者の叫びを。』
冥黒王に取り込まれる寸前のカサンドラの悲鳴。それはチャールズの奥底にあった記憶を引き出させた。まだ産声すら上げていない頃、母親の胎内で激闘を繰り広げた同居人の存在を。
『冥黒王の強さの源は、彼女の苦しみだ。私は彼女を責め苦から救いたい…自らが赴いて。』
カサンドラを無力化し、冥黒王を大幅に弱体化させる。それがチャールズの案だった。
チャールズにとってそれは苦渋の選択だった。どんな悪人であれど、決してその命を奪うことを彼は良しとしなかった。やり直せる機会は誰にでも等しく存在する。そう思って。
だが、カサンドラの悲惨な姿と絶叫を聞いてチャールズは悟ったのだ。
彼女の魂は邪悪な力と意志によって無理矢理現世に繋ぎ止められ、苦痛から解放される機会を奪われていることを。
今まで彼女が行ってきた所業を鑑みれば、これは当然の罰といえるかもしれない。
しかし、悪しき者の邪な欲望によって未来永劫利用され、逃れられない苦しみを背負わされる者を彼は見過ごせなかった。
命を救えないのならば、せめて永遠に続く苦痛から解放したい。
それが彼の決意であり、覚悟の証だった。
今ローガンはクロスヴァリンとして覚醒した時に得たテレパス能力を、チャールズが宿るドラゴナロスのカードで強化し、必死に冥黒王の中の意識にアクセスしている。
勿論、棒立ちになっている獲物を眷属達がここぞと言わんばかりに攻めてくるが、彼の周りに浮遊しているレベルナンバーXのDBケミー達が懸命に退けている。
チャールズの意識を自身と一体化させたローガンは、カサンドラの精神世界に足を踏み入れた。そこは完全な闇に包まれており、上下左右も、どこを見渡しても黒だけが広がっている。
その彼方にはまるでスポットライトが一点を照らすかの様に、ひときわ鮮明に浮かび上がる存在があった―カサンドラ・ノヴァだ。
縦に浮遊する石の棺の中で、彼女の身体は無数の金属質の手によって内側から拘束されていた。
目を凝らしたローガンは、カサンドラの胸にもう一つ小さな顔があるのに気付く。
それはかつてクウガライドウォッチだったもの。変身者だったユウスケの邪念による影響なのか、紫と黒に変色したその物体には、牙を剥き出した甲虫の怪物の顔が刻まれている。
そこから虫の脚の様な根がカサンドラの全身に張り巡らされ、血液を運ぶ血管の様に脈打っていた。
ローガンが彼女のもとに駆け寄ろうとしたその時、上空から巨大な物体が地に降り立つ。
冥黒王だ。
ローガンとカサンドラの間に割り込んだ彼は、鋭利な爪を持つ巨腕を振り下ろした。
爪を展開し、迅速に攻撃を受け止めるローガン。爪越しから伝わる重みに圧されそうになるが、足を踏ん張ることで侵攻を阻んでいく。
「自分より小さい奴を甚振って楽しいか…!」
顔を上方に向けたまま、歯を食いしばるローガン。
両者の体格差が徐々に無くなっていく。ローガンが巨大化しているのか。冥黒王が縮小しているのか。増幅されたテレパスの力で、二人の身長は揃えられた。
ローガンは幾分か軽くなった冥黒王の手を弾くと、すぐ目の前にある彼の顔を睨みつける。
「これで対等だな!」
ローガンは等身大になった冥黒王目掛けて、左右の腕を立て続けに振るう。左右六本の獣の爪が、悪魔の身体を容赦なく貫き、斬り裂いていく。
「《font:102》《white》対等だと?
「対等だと?」
顔面に向けて振るわれたローガンの爪が、分厚い手で遮られる。
「我と渡り合う者など…存在してはならぬ!」
冥黒王が眼球を光らせると、濃い瘴気が全身から噴き出した。
彼の体は徐々に膨張し、以前のものを遥かに凌ぐほどにまで巨大化する。
空気を切断する勢いで、冥黒王の腕が横薙ぎで繰り出される。
避ける間もなく全身に衝撃を食らったローガンは、塵芥の如く弾き飛ばされた。
その後、地面に激突してしばらく転がり続け、やがて停止。
這いつくばった姿勢で喘ぐ彼の背中を、冥黒王は踏みつける。
「うがああぁあああぁ…!!」
上から来る圧力が体を潰そうと襲いかかる。全身の骨が軋んで、上下からの圧迫感で肺から空気が強制的に絞り出される。精神世界と現実でのローガンが同じ苦悶の表情を浮かべた。
振るわれる怪蟲の剛腕、口から放たれる禍々しく太い破滅の光が辺りの地形を変える。
戦場が連続する爆発に包まれ、ガッチャード達の悲鳴が重なる。
各自の装甲からは血液の如く火花が噴き出し、一人また一人と膝をついて倒れていく。
ケミー達も力尽きたのか、一枚のカードとなって地に落ちた。
冥黒王は婉曲した二本の角の間にエネルギーを収束させる。
強化前とは比べものにならないほど、遥か広範囲を覆う威力のビームを撃つつもりだ。
その分、発射までに時間を要するが、目の前で地に伏した敵に反撃を恐れる理由はない。
自身に楯突く者を完膚なきまで焼き尽くした時、傍観者達が味わう絶望を想像して冥黒王はほくそ笑んでいた。
「まだだ…!」
ジャリと、地面の砂が動く音がする。
ミラクルガッチャードが、曲げた膝を伸ばしてよろめきながら立ち上がった。
「オレ達は、諦めない…!」
「皆の未来は…私達が取り戻す!」
「ローたんが頑張っているんだ…オレちゃんも、マジにならなきゃ…MARVELの看板に傷がついちまう…!」
彼に続くようにして、デイブレイク、マジェード、ウェイドも身を起こす。
冥黒王はその様子を、意にも介さぬ眼差しで見つめていた。
ガッチャード達の体力は、限界に近づいている。戦場に纏わりつく黒い闇は、立つ気力を削いでいく。
体中の激痛が意識を揺さぶり、疲弊しきった体は込み上げる闘志に応えきれずにふらつく。
冥黒王を仰ぎ見た彼らの姿勢が崩れかけた。
その時だった。
「頑張れ、仮面ライダー!!」
「負けるな、X-MEN!!」
誰かの声が、彼らの耳に届いた。
錬金アカデミーにて。
「チクショウ…ローガン達が必死で戦っているのに…」
「オレ達は、ただ見てることしか出来ねぇのかよ…!」
アクセルとジェッセが、自身の無力さを嘆く。
彼ら以外の者達も、同じだった。口にはしていないだけで、誰もが苦しむ戦士達を傍観するだけの自分自身に憤っていた。
「頑張れ…」
いや、そうではない者もいた。
「頑張れ、仮面ライダー!」
加治木がモニターに映っている戦士に向かって、叫んだ。
必死に戦おうとしている友に、彼は思いを込めた言葉を口にする。
そして、それは彼だけではない。
「ガッチャード、がんばれー!!」
「ウルヴァリンもまけるな!」
「エックスメン、わるいやつらをやっつけてー!!」
子供達が周囲の目を気にすることなく、只々純粋な気持ちで声を上げていた。 幼い響きの中には、確かな願いが宿っていた。
それぞれが、クレヨンで描かれたオレンジの戦士の絵や黄色いソフビを握りしめている。世界が絶望に包まれても、ヒーローが助けてくれると信じて持っていた希望だ。
「負けるな…負けるな、X-MEN!!」
金髪の女性に支えられながら、サングラスを掛けた白髪の老夫が年齢にそぐわぬ力強い応援を送る。
その時、クロトーは見た―映像に映っている二人のガッチャード達の胸が、そしてローガンとウェイドのベルトのシンボルマークがそれに呼応するかの様に光ったのを。
「届けるんだ…」
全員が、クロトーの方に目をやった。
「宝太郎達に、私達の声を届けるんだ!」
彼女は叫んだ。
「私は見たことがある。二十年前のアイツが、周りの声を力に変えていたところを…」
かつてアトロポスと共にデイブレイクと敵対していた頃、エックスレックスを巡る戦いで、りんね達の声を受けた彼は強敵ともいえるドレッドを倒せるほどのパワーを得た。
「人間は、自分以外の奴らの声で強くなれるんだ。」
それは特異な能力を持つ『人類』であるミュータントも、同じ筈。
「皆で、応援しよう…仮面ライダーとX-MENを!」
彼女の言葉に、X-MENや難民達が決意を固めた表情を浮かべた。
但馬がカメラの向きを自身に向けると、画面の先にいる視聴者に語りかける。
「この戦いを見ている皆!自分達の思いを言葉に込めて、ライダーやX-MENに力を送るんだ!せーの…『ガンガンガンガンがんばれ!がんばれライダー!』『ガンガンガンガンがんばれ!がんば~れックスメン!』」
しばらく両腕を振り続けた後、力強く上へと突き出す運動を繰り返す但馬
加治木もそれに倣って同様の動きを見せると、他の連中もそれに続いた。
「「「ガンガンガンガンがんばれ!がんばれライダー!ガンガンガンガンがんばれ!がんば~れックスメン!」」」
廃墟にいた一香達も、同じく腕を振りながら大声で声援を送った。
ドーピンダーやローラも、画面越しの友人や父親に向かって思いを宿した声を届ける。
その声に触発されたのか、一香の父親も表情を輝かせて応援に加わった。
感情を取り戻した肉親の姿に、感極まった彼女は抱きついた。
「「「ガンガンガンガンがんばれ!がんばれライダー!ガンガンガンガンがんばれ!がんば~れックスメン!」」」
バーで、ウィーゼルも叫び続ける。アボカド頭をした『友人(予定)』に向けて。彼はウェイドのオファーに応えることを選んだのだ。
「終わりだ、ローガン!観念しろ!我の勝利だ!」
精神世界。冥黒王がローガンを踏み潰さんと、右脚に力を込める。
「違う…!お前は…勝てない…!」
途切れそうになる意識を必死に繋ぎ止め、ローガンは否定の言葉を口にした。
「何故、そう思う?」
「独りだからだ…!俺達は違う…!」
掌を強く握りしめる。
「俺達には、仲間がいる…人間の…ミュータントの…そしてケミーの!支え合い、助けてくれる仲間が!」
ローガンの体が黄色く輝き出した。
彼には聞こえている。自分を信じ、希望を託してくれている者達の声が。
「お前がいくら力を奪おうとも…皆が持っている『希望』だけは、決して奪えはしない!そして、それは…俺達を強くするんだ!」
彼の輝きが更に増していく。
両拳を地面に打ち付けると、ローガンは這いつくばった姿勢からゆっくりと身を起こす。
冥黒王は動揺した。踏み潰そうとしていた脚が、徐々に押し返されていくのだ。
いくら力を込めようとも、それは硬いアスファルトから懸命に地上へと顔を出そうとする新芽の如くそれは反発する。
やがて勢いよく立ち上がったローガンは、背後を振り向くと一気に跳躍。
両腕を交差させた一撃が、下からの反動で体勢を崩した冥黒王を直撃。六本の深い爪痕を残し、冥黒王の精神体は消滅した。
「ぐわああああああああああああああああっ!!」
着地したローガンは背後の断末魔に構うこと無く、そのままカサンドラのもとへ全力で駆ける。
彼女の胸のウォッチの顔が憤怒に歪み、黒い波動が放たれた。
しかし、ローガンは止まらない。 彼の体から発せられる輝きが、それを打ち消している。
ローガンはカサンドラに到達すると、蟲の顔であるウォッチを掴んで力の限り引っ張った。
宿主に留まろうと必死に根を張り、抵抗するウォッチ。だが、それもブチブチという音と共に断裂していく。
最後の抵抗とばかりにウォッチは、彼に寄生しようと触手を向ける。しかし、そうなる前にローガンはウォッチを握り潰した。
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
怨嗟の籠もった禍々しい悲鳴が、響き渡った
いつの間にか、カサンドラを張り付けていた棺は消えていた。
支えを失って前のめりに倒れる彼女の肉体を、ローガン―いや、今はチャールズ―は抱き留める。
自身を包み込む温かさを感じたカサンドラは、ふと顔を見上げた。
そこにあったのは、自分と瓜二つながら長年の経験を刻んだ男の顔。
これまで虚無に送り込まれた変異体達とは違い、その瞳や表情は愛の温もりに満ちていた。
「そうか…やっと、見つけてくれたのか…」
目の前で微笑む『兄』に、彼女は歓喜と安堵の声を静かに洩らす。
そして長きに渡る呪縛から解かれたカサンドラは、遂に永遠の眠りについた。
その顔に浮かんでいたのは、憎悪や苦痛とはかけ離れたとても安らかな笑みだった。
ローガンとの戦いに敗れて、意識の外に追いやられた冥黒王。
現実に強制的に引き戻された彼が目にしたのは、二人のガッチャードやローガン、そしてウェイドの胸部やベルトに眩い光を放っている姿だった。
「皆の声が…流れ込んでくる!」
体中を駆け巡る思いや力を感じる青いガッチャード。
増大していく輝きに危機感を覚えた冥黒王は、すぐさま充填完了していた光線を発射。
地帯を焼き尽くす程の威力を秘めた太い光の奔流が、一直線にガッチャード達に迫る。
しかし、ガッチャード達は怯まない。
「「「ハァッ!」」」
咆哮と共に、ガッチャード達に集束していた光が爆ぜた。
戦場一帯が一瞬白く染まり、放出されたエネルギーが冥黒王の光線や黒い瘴気、そして怪蟲の群れを一気に消し飛ばす。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!?」
眼と身を灼く凄烈な熱に、悲鳴を上げる冥黒王。
庇っていた手を降ろすと、そこには光を纏わせたガッチャード達が圧倒的な存在感を放ちながら立っていた。
「ば、馬鹿な―グッ!?ヌゥッ!?ウグオォォォッ!!?」
戸惑う冥黒王の身体を突如として鋭い痛みが貫き、力が抜け落ちていく。
ローガンが力の源であったウォッチを破壊し、カサンドラを無力化したのだ。
流出する力を止めるべく、冥黒王は体内にある残滓をかき集め、どうにか今の姿と力を維持する。
「図に乗るな、仮面ライダー共!!いくら立ち上がったところで、貴様らたった五人に何が出来る!!」
「五人じゃない。」
ガッチャード達の周囲に何かが、起床するかの様にして次々と現れた。
それらは地に落ちていた宝太郎とデイブレイクのケミーカード。戦う力を使い切っていた筈の彼らが、ガッチャード達と同じ輝きを伴わせながら浮かび上がっていく。
これは人々の声援によって二人のベルトに宿る二組のホッパー1とスチームライナーが、更なる力を呼び覚ました結果だ。
先程の光爆は敵を薙ぎ払うだけでなく、周囲のケミー達に力を分け与えるものでもあったのだ。
そう、まるで植物や生物を暖かく照らし、成長を促す太陽の光の様に。
「お前の相手は…ここにいる皆だ!」
彼の言葉に呼応するかの様に、ケミー達が勇ましく鳴いて戦意を示す。
「いいね、こういう皆の応援で強くなるってヤツ!ベタだけど、嫌いじゃないよ!」
ウェイドは僅かに弾んだ声を上げる。自分をヒーローとして必要とする声を聞いて、彼の心は高鳴っていた。
「ヌゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
冥黒王が怒りの声を上げて、漆黒の闇を噴出しながら、自身の周囲に新たな眷属を多数召喚。
「ギガントライナー!」
対するミラクルガッチャードは、ガッチャードライバーからギガントライナーを呼び出す。
三本の煙突から黒煙を盛大に吐き出し、雄々しい汽笛の音と共にギガントライナーは列車を牽引しながら出発。ガッチャードは屋根に跳び乗ると、残りのメンバーに声をかける。
「行こう!皆!」
「うん!」
「「「ああ!」」」
四人の仮面ライダーとX-MENが乗車する。
「ライナー!!」
黄金の光を放つ線路を敷きながら、戦士達を乗せたギガントライナーは冥黒王の元へと向かって疾走していく。
冥黒王は錬成した眷属達、迫り来る列車に差し向けた。
さらに同時に、光弾や大剣を周囲や上方から連続して放つ。
巨大な怪蟲達は耳障りな羽音を響かせて、眼下に突進。
あるものは巨腕を振り上げて向かってくる列車を叩き潰そうとし、またあるものは口に溜め込んだブレスを解放する。
無数の攻撃が嵐の様にガッチャード達に襲いかかった。
『マッハウィール!ダイオーニ!』
『マッドウィール!ダイオーニ!』
しかし、そこに小さき命達が一体となって戦士達を守護する。
『バースト!!ヴァルバラド!!』
『マッドダイオー!!』
現れるは、紫と暁の仮面ライダーヴァルバラド。後者は前者と比べて装飾は控えめだが、それでも底知れないパワーを宿している。
紫のヴァルバラドは地面に刺さっていたスパナのヴァルバラッシャーを召喚して、斬撃を飛ばす。暁のヴァルバラドは、炎を纏った飛び蹴りを眷属達に食らわせた。
紫の光刃が肉薄する弾幕をかき消し、強力なエネルギーを秘めた足裏が怪蟲を粉砕する。
『『エンジェリード!ゲキオコプター!』』
『『エンジェコプター!!』』
『『ジャマタノオロチ!ガッツショベル!』』
『『オロチショベル!!』』
更に追加のヴァルバラド。二体のエンジェコプターは左腕のローター回転させながら縦横無尽に飛行し、刃の豪雨や眷属達を迎撃する。二体のオロチショベルは、地形を変化させる程のパワーを込めたパンチで怪蟲達を外殻ごと粉砕した。
それでも冥黒王の攻撃は、止まない。数が減るどころか、凶刃と眷属の数は更に増加していく。
眷属らが六体のヴァルバラドに向けて、極太の光線を発射した。
無数の死の光が彼らに到達した瞬間、大気を震わす爆発が起こる。眷属達は勝利を確信した。
『『マッドパイレーツ!!』』
『『ドッキリショベル!!』』
『『オニコプター!!』』
『『ケスオロチ!!』』
『『エンジェリープテラ!!』』
なんと、爆煙の中から十体のガッチャードが現れた。溢れるほどの力に満ちている彼らに恐れるものはない。
人型となったマッドパイレーツ達は、両肩の大砲から砲弾を発射。ドッキリショベル達は、派手なエフェクトで怯ませた後に腕のショベルで眷属の胴体を深く抉る。
コクピットが般若の面状になったヘリコプターが二機、先端部のミニガンから弾丸を撃ち込んだ。消しゴムの意匠の頭部を持つ二匹のヤマタノオロチが、攻撃を文字通り『消していく』。
天使の如き神々しさを醸し出す翼竜達が、テレポートで翻弄しながら羽を飛ばす。
立て続けに起こる爆発、そして地響き。それでもギガントライナーは車輪を回しながら、遥か彼方の目的地へと一心不乱に走る。
「「ギシャアアアアアアアアアアッ!!」」
後方から眷属達が追いかけてきた。猛スピードで走行する列車に必死に食らいつきながら、口にエネルギーを集束させていく。
『スマホタル!!』
「「グシャアアアアアアアアアアアアアッ!!?」」
眩い光が彼らの目を潰した。人となった暁のスマホタルが、目眩ましをしたのだ。
しかも、左手のケミーライザーには、宝太郎のピカホタルがセットされている。
その結果、光の威力は倍増して眷属達の全身を焼く程にまで至った。
『『オジーチャマ!!』』
『『ヴェノムマリナー!!』』
『『スパイクルホエール!!』』
失明と火傷で動きが止まった蟲達に、溶解液やミサイル、スパイクタイヤが容赦なく浴びせられる。
『『バレットチョウチョ!!』』
『『ズキュンライガー!!』』
『『ゴルドメカニッカー!!』』
『『カリュードナイト!!』』
こちらは、幻覚や魅了で動きを牽制。隙を逃さず、四体のガッチャーブラザーズが進攻。
ゴルドメカニッカーらの『ビードロフォーク』による銃撃、カリュードナイトらが投擲したトマホークを受けた眷属達は炎に包まれて爆散する。
『『ベロレシア!!』』
『『バンバンクラーケン!!』』
『『フェアリーマンモス!!』』
長い舌や触手、鼻が羽虫達を叩き落し、降下する大剣を薙ぎ払う。
『『ライトニングジャングル!!』』
『『ヒーケスローズ!!』』
ある個体は四肢を拘束された後に電撃を食らわせられ、また別の個体は超高圧水流に光線を押し返されて破壊される。
『『エナジーマル!!』』
『『バニーパーカー!!』』
図体の大きい敵が有利だとは限らない。数体がかりで尚、眷属達は浮遊している小さいガッチャブラザーズを捕らえられていないのだから。
ようやく捕獲したと思ったのも束の間、それらは液体や衣服となってスルリとすり抜けてしまう。
『『グレイトサソーリー!!』』
オマケにさっきから飛び回っているトンボとサソリのキメラが、実に鬱陶しい。
叩き潰そうとしても、素早い上に的が小さいせいで腕が空振りする。しかも、尻尾の針で毒液を注入してくるので、こちらの動きが徐々に鈍っていく。
『『ドクターヘビー!!』』
そうこうしている間に薬品で構成された二体のヘビが、眷属達に巻き付いた。
密着したヘビの胴体から滲み出る薬の影響で、脆くなった身体はバラバラになった。
一方のエナジーマルらは液状化した体で、眷属の口に入り込んだ。
しばらく悶え苦しんだ後、彼らの腹部からエナジーマルが突き破って出てくる。液体という特質を活かし、敵を体内から蹂躙したのだ。
別の眷属は、人型となったバニーパーカーの強烈な踵落としで頭部を粉砕される。
「小癪な!!」
苛立ちの声を上げる冥黒王。多彩な攻撃に加え、何度もパイロキネシスをガッチャード達に試みたが、発動しなかったのだ。
これが想いの力というのか?実に馬鹿げている。そんなちっぽけなもので、自分が不利になるなど認められるわけがない。
自身に迫る光を憎々しげに睨みながら、天空に腕をかざす。幾筋もの雷が、刃の雨の後追いをするかの様に降り注いだ。
その内の二本が、ギガントライナーの真上に落下していく。今度こそ、終わりだと冥黒王は深い笑みを浮かべた。
『『ギガントゾンビ!!』』
軌道上に割り込んだのは、至る所に血痕やツギハギの縫い目がある二匹の巨大なサメ。
電撃が直撃したが、彼らが應えた様子はない。ゾンビ特有の打たれ強さは、この程度で崩れはしないのだ。
二匹はそのまま背中の大砲で、向かってくる敵や凶刃を砲撃する。
『『ナインクローバー!!』』
幸運の力が作用し、ガッチャード達に降り注ぐ稲妻や大剣の軌道が次々と逸れ、眷属達の胴体に沈み込む。
『『バクオンテレヴィ!!』』
『『ゴキゲンオーディン!!』』
『『トライキャッチャー!!』』
『『スタッグミラー!!』』
爆音波や隕石が光弾を相殺し、頑丈な糸の網が大剣を絡め取る。
眷属達は自身が放った破壊エネルギーを反射されて、木っ端微塵に砕け散った。
地に敷かれていたレールがやがて角度を変えて、天へと伸びていく。
車輪を止めること無く、ギガントライナーは黒煙を上げながら大空へと上昇する。
「有り得ん…!!消えろおおおおおおおおおおおおっ!!」
冥黒王が咆哮すると、降り注ぐ攻撃の勢いが更に増した。
同時に眷属達が闇に包まれ、電撃を迸らせながら肉体が変化していく。
現れたのは、黄金の装甲を纏った『
『『バットキングロボ!!』』
現れたのは王の威厳を醸し出す鋼鉄の巨人二体。
コウモリの翼を大きくはためかせることで、巻き起こされた突風は眷属達の攻撃を離散させた。
そのまま猛スピードで肉薄し、アッパーをぶちかます。蟲の頭部は、無数の細かな金の欠片となって、落ちた。
『『ニードルホーク!!』』
『『カイザーカリス!!』』
『『タイムラプター!!』』
ギガントライナーに降り注ぐ光弾と剣を貫くは、無数のトゲ。
小さくともその鋭度と硬度は群を抜き、遥かに大型の飛来物を容易く撃砕した。
しかし、不幸にも攻撃を免れた大剣や光弾が流星群の如く降り注ぎ、ギガントライナーに連結されていた列車を破壊する。
右へ左へとまるで龍の様に車体をくねらせながら、本体の直撃を避けるギガントライナー。
長かった車列は次々と数を減らし、最終的にはたった一両となった。
『『オドリマンティス!!』』
『『アッパレブシドー!!』』
『『アントレスラー!!』』
『『バーニングゴリラ!!』』
本体を撃墜しようと襲来した眷属達に、連発された光の刃で何十にも切り刻まれた。
二体のオドリマンティスは、八体のガッチャーブラザーズに突風を飛ばす。
風の勢いで超加速したアッパレブシドーがガッチャートルネードを、アントレスラーとバーニングゴリラは逞しい拳を別の眷属に打ち込んで、撃破した。
ニードルホークの出番は終わらない。彼らのベルトには、二人の宝太郎のエクスガッチャリバーがセットされている。
『『クロスオン!』』
『『マーベラスオカルト!』』
『『ユーフォーエックス!!スーパー!!』』
三つのUFOを身に纏ったスーパーガッチャード達は、エクスガッチャリバーを持ちながら高速回転。ワープ能力によって瞬く様に現れる二つの光輪が、眷属達の頑強な体を切り刻んだ。
『Gute Nacht、冥黒王。キミのショーは、もう終わりだよ。』
カートの声が響くと同時に、刻まれた眷属達が爆発を起こして消滅。
『『グレイトフルエンシェント!!』』
『『エックスレックス!!スーパー!!』』
今度は、ティラノサウルスの頭部を象った派手なアーマーを装着。
両足を大きく広げると、巨大なエックスレックスの上顎と下顎の幻影が出現。
スーパーガッチャード達はそのまま挟み込むようにして、両足を閉じる。恐竜の顎が、別の眷属達に食らいついた。
『私に手を出した時点でアンタは負けてたのよ、シュガー!』
ローグの叫びと共に、スーパーガッチャードの蹴りが巨蟲を噛み砕いた。
その背後で別の眷属達が、スーパーガッチャードらに目掛けて光球を打ち込む。
しかし、彼らはエクスガッチャリバーをベルトから外して何処かへと投げつける。そして二羽の鷹となり、奇襲を躱して飛び去った。
『『マーキュリーポセイドン!!』』
『『ヴィーナスグリフォン!!』』
『『ジュピタウロス!!』』
『『サターンフェンリル!!』』
眷属達の前に八体のガッチャーブラザーズが並んだ。そして、その中央に更に二体が舞い降りる。
『『マーズフェニックス!!』』
『『クロスオン!!』』
拳が球状になっているため、エクスガッチャリバー内にいるクロスウィザードが魔術でベルトを操作する。
『『マスタージョブ!』』
『『ガッチャーンコ!X!』』
『『クロスウィザード!!スーパー!!』』
マーズフェニックスに、魔術師のローブを象った装甲が追加された。
惑星を象った両拳を合わせると、綺羅びやかなエフェクトと共に炎が集束していく。周囲にいたガッチャブラザーズ達も、パワーを充填していった。
『人の思いは決して滅びはしない…不死鳥の炎の様に、それは永遠に存在し続けるものなの。』
ジーンの声と共に、マーズフェニックス達の拳から炎で形作られた巨大な鳥が飛び出した。魔法で増強されたパワーを内に秘めたそれは、業火の両翼を広げて突進する。
同時にガッチャブラザーズも水の槍や金銀に輝く羽、光矢、そして氷で覆われた鋭い輪を射出。
惑星と幻獣の神秘的でかつ圧倒的な力は、行く手を阻む巨蟲の群れを一掃した。
「まだだ!!」
歯軋りをした冥黒王は、残りの眷属達を更に強化させる。
雷光が怪蟲達を包み込み、更に刺々しく攻撃的な姿に変わっていく。
黒い箇所が完全に消失し、眩い黄金の外骨格となった眷属達は迸る電光エネルギーを口に溜めて射出。
幾多ものの光線が、ギガントライナーに向かって降り注いでいった。
『『ガイアードラゴン!!』』
光線が衝撃波によって、かき消される。
二体のガッチャーブラザーズが、空中で浮遊していた。
『苦しみに耐え抜いた人間達の力は、邪悪な意志のもとに奮われる力を凌駕するのだ!』
『太陽は沈んでも、また昇る。これは自然の摂理なのよ。』
チャールズとストームの声が響く。
大海と溶岩のエネルギー波を両腕から飛ばし、胸部からブレスを放つ二体のガイアードラゴン。
一撃一撃が着弾する度に、眷属達が大爆発を起こして消し飛んでいく。
しかし、眷属はまだ無数に存在していた。ガッチャード達の妨害をするべく、彼らはガイアードラゴンを無視してギガントライナーに向かおうとする。
しかし、それを許す彼らではない。ベルトには、既にエクスガッチャリバーが装填されている。
『『Xアッセンブル!』』
『『ガッチャーンコ!X!』』
『『スターガッチャード!!』』
ガイアードラゴンの全身に更に装甲が追加される。胸部には戦闘機、左右の腕にはカブトムシとライオン、そして両脚には頑強な要塞と大樹。
レベルナンバーX二体が合体したガッチャーブラザーズに、更に五体が追加で合体。
計七体のレベルナンバーXが融合したその姿は途轍もない威圧感を放っている。ギガントライナーに侵攻しようとしていた眷属達が、並々ならぬプレッシャーを感知し、思わず振り向いた。
スターガッチャードはゼグドラシルのパワーを発動させると、数体の眷属達を一箇所に押し込む。
強制的に密着状態となった眷属達は互いから離れようと藻掻くが、強力な重力が彼らを抑えつけて逃さない。
その隙に、スターガッチャードらは自身が纏っていた五個の装甲をパージ。
ガイアードラゴン本体部が光の竜となり、五芒星の軌道を描きながら眷属達に接近。パージしていた装甲が再び装着されると同時に、彼らは両膝を曲げる。
『我々を潰そうとも、正義の目は常にお前を捉えている!』
『知識を悪用する者に、勝利は訪れない!』
『心の強さが、我々を勝利に導く!』
『お前が紡いできた負の歴史を、ここで終わらせてやる!』
『観念しな!アンタはもう逃げられないよ!』
スコット、ビースト、コロッサス、ビショップ、ピエトロの叫びと共に、スターガッチャードは両足裏を前に突き出す。
凄まじい速度で放たれた蹴りは一瞬にして、眷属達を粉微塵にした。
しかし、眷属達はまだ二体残っていた。レベルナンバーXのケミー達の目から逃れた怪蟲達は、ギガントライナーへと急降下する。そしてそのまま腕を叩きつけようとして―
『『ムーンケルベロス!!』』
『『ブラックバハムート!!』』
爆発が轟き、空気を震わせた。
二体のマジェードが、ウィンドが。拳を、手刀を打ち込んだ。
ただ、それだけだった。それだけで眷属達は、腕のみならず全身を粉砕された。
「があああああああああああああああああああああああっ!!おのれぇ!おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
喚く冥黒王。破壊された眷属達の破片を錬金術でかき集めると、自身の身体に融合。
更に巨大な落雷を発生させて、敢えて己の体に流し込む。
自身に来る敗北の可能性を拒絶するべく、彼は失われたものを必死になって補おうと足掻く。
現れたのは、先程の眷属達と同じく悪趣味な黄金の鎧に包まれた異形。
血走った目を赤く輝かせ、全身から虫の腕を無数に生やしたその姿に美しさの欠片もない。
ひたすらに醜悪な存在であることを曝け出し、自業自得の帰結に抗おうとする―その生き汚さだけが濃密に漂っていた。
「死ぃぃいぃぃいぃぃぃいいねぇぇえぇぇええええぇぇえぇっ!!!!!」
絶叫を上げた冥黒王は口から破壊エネルギーを射出する。
闇、炎、電撃―ありとあらゆる属性を束ねた禍々しい光が奔流となり、空間を引き裂きながらギガントライナーへ突進する。
自身に迫る光線を眼前にしながら、ギガントライナーもガッチャード達も引かない。
ひたすら冥黒王を、彼らは真っ直ぐ見据える。
『サンユニコーン!!』
マジェードとデイブレイクの側に現れるは、暁のマジェード。二体のケミーだけでなく、未来のりんねの魂が宿った戦士。
サンユニコーンと二人は顔を見合わせて頷くと、ベルトを操作。
列車上で、ウェイドとローガンも爪を輝かせて構える。
「オレ達を甘く見るな!!仲間の想いが重なり合えば、オレ達はパワー五百万倍だ!!」
ミラクルガッチャードは叫び、ニジゴンの頭頂部を連続で叩く。
『ゴン!ゴン!!ゴゴゴン!!!』
ミラクルガッチャードは虹色の矢印と共に、飛翔。
そのまま無数の矢印が彼を駆け巡ると同時に、砕けて地面に散乱したギガントライナーの破片や街の瓦礫が集結する。
冥黒王が壊してきたものが今、冥黒王を倒すための希望の鎧へと形作られていく。
完成したのは巨大なミラクルガッチャード。右脚を突き出した姿勢で、そのまま左脚にあるブースターで加速。
空中を疾走するギガントライナーと彼の右脚が連結した。
『ガッチャーミラクルフィーバー!!』
「行けー!」「うおおおおおおおおおおっ!!」「決めろ!」「蹴り込めぇっ!」「行けー!!」
「ぶちかませ!!」「ウルヴァリーン!!」「X-MEN!!」「仮面ライダー!!」「ローガン!!」「プールさぁぁぁぁぁんっ!!!」「ウェイド!」
人々の言葉を受けて青いガッチャードは加速する。
冥黒王が放った光線を容易く割り、とどまることなく前進し続ける。
「ぬっ、ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!?」
躊躇いなく突っ切るガッチャードに、狼狽と恐怖を覚える冥黒王。
『『サンユニコーンノヴァ!!』』
『ライジングフィーバー!!』
跳び上がった二体のマジェードが両脚を、シャイニングデイブレイクが右脚にエネルギーを込めて前に突き出した。
ローガンとウェイドも跳躍。前者は右腕を、後者は左腕を前に突き出し、鋭く輝く銀の爪を向ける。
中心部にはミラクルガッチャードとシャイニングデイブレイクが縦に並ぶ。左上にはマジェード。右上には暁のマジェード。左下にはローガン。右下にはウェイド。
前方から見たその形は―巨大な『X』。
「「「「「「はあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」」」」」」
重なる全員の叫び。
虹色の矢印と共に仮面ライダーのキック、X-MENの爪が冥黒王の胴体を貫いた。
大穴が空いた黄金の悪魔は、各所から爆発を巻き起こしながら崩れ落ちる。
高所から跳び降りたマジェードとデイブレイクが両脚で地面を捉えて衝撃を殺し、背後を振り返る。
続いてローガンとウェイドも、両足と片手を突いて着地。重々しい衝撃音が響き、地面から土埃が勢いよく舞い上がった。
上空で炸裂した凄まじい爆炎を突き抜け、ミラクルガッチャードは戦場に舞い降りる。
地面に足裏が設置した瞬間、細かな黒い破片と共に巨大な冥黒王の頭部の残骸が墜落。
大地を揺るがす轟音と共に、残骸からは炎が噴き上がり再び爆発が起こった。
その光景を見ていた錬金アカデミーのメンバー、廃墟にいた難民達から歓声が上がる。
爆炎に包まれた戦場を前に、ミラクルガッチャードは右腕を高く掲げると、拳を強く握りしめてガッツポーズを決める。
「ガッチャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」
彼の勝利を告げる雄叫びは、轟音を伴う爆発にかき消されること無く戦場に高らかに響いた。
ワイルドモードを色々捏造しちゃいました。
残り二話ぐらいでこの作品は締めですね。