仮面ライダーガッチャード&デッドプール&ウルヴァリン デイブレイク・オブ・フューチャー・パスト 作:バリー
遂に冥黒王を倒したガッチャード一行は変身を解き、マスクを脱いで息を吐く。
長き戦いを終えた彼らの顔は、疲れ切っていながらも晴れやかだった。
中でもデイブレイクとローガンの表情は、他とは一線を画していた。己の世界を蝕んでいた脅威が、ようやく消え去ったのだから。
宝太郎やりんね、そしてウェイドの顔にも笑顔が浮かんでいた。自分達の世界を救ってくれた恩人に報いることが出来たのだ。いつもは饒舌なウェイドも、この時は彼らと勝利の余韻に浸っていた。
「まだだ…!」
不意に声が響いて、宝太郎とりんね、そしてウェイドとローガンは驚愕する。
燃え盛る冥黒王の残骸から、三つの人魂が飛び出した。
「こうなれば、ライダーなどいない過去の世界に遡り…もう一度、最初からやり直してやる!」
人魂は背後にワームホールを展開すると、その中へ吸い込まれる様にして消えてしまった。
「そんな…!冥黒王が…!」
「マジかよ、もう~!作者、前の話書くのに三週間もかかったんだぞ!このままじゃ、休載だよ…」
やっと倒したと思った敵が、自身の手の届かないところに逃亡した。
その光景を見たりんねとウェイドは、絶望の声を上げる。宝太郎やローガンも、愕然としていた。
しかし、デイブレイクだけは違った。
彼は決意を秘めた表情で、前へと歩き出す。
「心配するな。奴はオレが―いや、『オレ達』が必ず倒す!」
「ホッパー!」
「スチーム!」
彼の声に呼応するかの様に、Sホッパー1とSスチームライナーが鳴いた。
「なら、俺も一緒に―」
言葉の続きを言う前に、ローガンは倒れそうになった。ヒーリングファクターの持ち主であれど、複数のケミーのパワーを宿しての長期戦は、かなりの体力を消耗する様だ。
ウェイドは慌てて、彼を抱き留めた。
その様子を見たデイブレイクは、静かにローガンの前まで歩み寄る。
腰を落として彼と同じ目線になると、そっと肩に手を置いた。
「ゆっくり休んでてくれ、ローガン。そして…今まで一緒に戦ってくれて、ありがとう。」
労いの言葉をかけた後、立ち上がったデイブレイクは順に仲間達を見渡す。
「二十年前のオレも…九堂も…そして、ウェイドも。助けに来てくれて、本当にありがとう。もう大丈夫。」
そして、力強く叫んだ。
「これからオレ達が向かうのは、『過去』じゃなく…オレ達の新しい『未来』だ!お前達も、お前達の未来を生きてくれ!」
デイブレイクは微笑む。表情に陰りはもうなかった。彼を曇らせていた黒い闇は、既に晴れている。
そこには少年時代と同じく、自らが求める『ガッチャ』を掴むために、決して折れぬ希望を胸に抱いて前を向く男の姿があった。
「デイブレイク…!」
胸を打たれた宝太郎は、思わず彼の名を呼ぶ。
「そう…オレは『デイブレイク』…『暁の仮面ライダー』だ!!」
眩しい笑みを浮かべながら、彼は名乗った。
絶望の世界を照らす太陽の如き戦士の
「帰ってきたら、バーに来いよ…そこで一杯やろうぜ、ホウタロウ。」
「ああ!」
ウェイドに支えられているローガンの顔は、まるで成長した我が子を見る父親の様だった。
デイブレイクは優しげな笑みを讃えながら、左手で握っているザ・サンのカードに語りかける。
「行くぞ…『りんね』!」
『うん!』
そして、もう一方の手にあるタイムロードのカードを発動させた。
「ターイムロード!」
彼は渦を巻く様にして、一瞬で姿を消した。
その様子を、一同は最後まで笑顔で見送っていた。
デイブレイクを見送った後、錬金アカデミーに戻った宝太郎達はメンバーと別れの挨拶をした。
宝太郎はクロトーと、りんねはアトロポスと握手を交わした。自らの次元では敵対している者達と仲間として接するのは、今でも新鮮な体験だった。手を通して伝わってくる彼女達の温もりは、とても暖かかった。
加治木は但馬と抱き合った。何となくだが、まるで自分自身みたいな親近感を抱いたのだ。
ウェイドはドーピンダーとハグをする。次元は違えど、彼らの間には確かに通じ合うものがあった。勿論、ウィーゼルとすることも忘れない。ツァイトガイスト達X-MENともしようとしたが、やんわりと拒否られた。
一香は、りんねやローラと代わる代わる握手を交わす。自分の父親を助けてくれた恩人に、彼女は心からの感謝を伝えた。その後、父親と楽しげに会話する彼女を、りんねとローラは微笑ましげに眺めていた。
ウェイドとローガンは、宝太郎とりんねと向き合った。
二人の仲について茶化すウェイドを叩いた後、ローガンは少年少女と握手。
若きヒーローの成長を願うその顔は、普段の荒々しさからは想像もつかないほど穏やかだった。
ウェイドも謝罪しながら、彼らに手を差し出した。宝太郎はいつもの調子で明るく笑い、その手をしっかりと握り返す。やがて彼の屈託のなさに気恥ずかしくなったのか、マスクを押さえて身をくねらせるウェイド。その光景に、ローガンとりんねは苦笑を浮かべながら顔を見合わせていた。
やがて、それぞれが互いの帰路に就いた。
「どうしたの、一ノ瀬?」
現代の錬金アカデミーにて、りんねは椅子に座って不安気な表情を見せている宝太郎に声をかけた。残りのメンバーは既に夏祭りに出かけたため、室内にいるのは彼ら二人のみである。
彼らは浴衣に着替えて、祭りに向かう準備を整えていた。しかし気がかりなことがあった宝太郎は、外出をためらっていた。
「過去に行ったオレのことが、気になってさ…大丈夫かな?」
それを聞いたりんねの脳裏に、ある出来事が蘇る―冥黒王との決戦時に、彼女はDBザ・サンに宿るもう一人の自分自身にこう言われていた。
『ありがとう、もう一人の私。宝太郎は、私が支える。あなたも、一ノ瀬を支えてあげて。』
自身の変異体からのエールを心に留めていた彼女は、目の前にいるパートナーに向かって優しく微笑んだ。
「大丈夫だよ…ほら。」
そう言って彼女は、一冊の絵本を取り出した。タイトルは、『錬金術の大いなる道』。幼い頃の彼女が父親から読み聞かせられていた、伝説の錬金術師に関するおとぎ話だ。
本を開いたりんねは、あるページを宝太郎に見せる。
それを呼んだ彼は、安堵の表情を浮かべた。
「行こ?夏祭り…!」
「うん、九堂!」
二人は笑みを交わすと、絵本を置いて教室を後にした。
待っている仲間のもとに向かうために。
机の上で開かれたままになった絵本のページは、静かに物語の幸福な結末を写し出している。
そのとき、光と共にあかつき色に輝く錬金術師が現れました。
彼はたくさんの仲間と共に悪魔に立ち向かったのです。
そして、親友の太陽と一緒に悪魔をまたたく間に滅ぼしてしまいました。
『あかつきの仮面ライダー』と名乗った彼は、人々に錬金術の素晴らしさを教え、いつまでも、いつまでも幸せに暮らしました。
そこには冥黒の王を焼き尽くす一匹のバッタと輝く太陽、そしてゴーグルをかけた暁色の仮面の戦士が描かれていた。
「ガッチャ!」
ニューヨークにある某アパートの一室にて、賑やかなパーティーが行われていた。
ウェイドとその『家族』による新しい仲間の歓迎会である。
それぞれがテーブルを囲んでピザを摘みながら、新人との交流を楽しんでいた。
ユキオとネガソニックが、暁のクロスウィザードとガイアード、そしてエックスレックスと何やらガールズ(?)トークを繰り広げて盛り上がっている。
コロッサスは、テンフォートレスのことを興味津々に見ていた。別の世界であれど、もう一人の自分の存在というのは中々興味をそそられるものである。
同じ年長者であるブラインド・アルと話すドラゴナロス。シャッタースターは、ゼグドラシルが構想しているチームについて意見を出している。名前の件で少々揉めている様だが、すぐに仲良くなれるだろう。
超高速で往復しながら一人卓球をしているエクシードファイターのカードに、拍手を送るピーターとドーピンダー。
バックはリクシオンにそーっと警戒しながら、手を伸ばしていた。やがて何ともないことが分かると、手のひらをスライドさせながら獅子の体毛の感触を楽しむ。
ローガンは、かつてのリーダーであったビートルクスやユーフォーエックスと話していた。生きている間に話せなかったことも、今となっては思う存分話せる。ローラも、コミックの中でしか知らなかったX-MENに会えて嬉しそうだ。
そして当のウェイドは、ホッパープールを片腕で抱いていた。左肩には模型サイズのスチームヴァリンも乗っかっている。
右手の人差し指でなぞる様に機関車のケミーに触れた後、腕の中にいるバッタを撫でた。
しかし、ウェイドの首はしきりに自身の左隣に向いている。
ユキオ達と談笑している愛しの女性へと。
どうしたものかと思っていたその時、右耳に男の囁き声が飛び込んできた。
「バッタは預かるから、彼女と話せ。」
彼の意図を察したローガンは、ウェイドの腕からホッパープールを抱き寄せた。ついでにスチームヴァリンも摘んで、机の上に載せる。
ローラは目の前で可愛らしく鳴く未知の生き物に目を輝かせた。凛々しい表情しか見たことがないローガンは、彼女の子供らしい振る舞いを愛おしそうに見つめていた。
ウェイドは言葉をかけるタイミングを見計らい、ヴァネッサへ視線を送った。
するとまるで示し合わせたかの様に、彼女も彼の方へ顔を向けた。
照れと気まずさが入り混じった沈黙が一瞬落ちた後、二人は「ハイ」「やあ」と短い挨拶を躱す。
「忙しかった?」
「頑張ったよ。」
そしてそのままヴァネッサを真っ直ぐに見据え、ウェイドは続ける。
「キミがオレを求めていなくても、キミのために。」
彼女はウェイドをじっと見つめていた。
そして、自身の手をウェイドの手に重ねて握った。
互いに深まる笑顔。
以前の様な関係では無くなったとしても、彼女に対する想いは変わらない。
それは、相手も同じなのだろう。何故なら、彼らは『家族』なのだから。
人間やミュータント、そしてケミー─種族や次元を超えて結ばれた仲間達が、笑い声を交わしながらテーブルの周りで思い思いの時を過ごし続ける。
そこから離れた別のテーブルには、赤と黄色のマスクが寄り添うように並べられていた。
誰だって何かを成し遂げたい。
人の役に立つためにマーベルの神になることはない。目を開けて周りを見ればいいだけだ。
君がラッキーなら、友達がそこにいる。
古い友も、新しい友もいる。
どっかの青いモジャモジャ頭が言っていた。
時間っていうのは川みたいなもので。石を投げ込んだとしても流れが変わることはないって。
でも、オレは思うんだ。ドデカい岩を投げつけて川をせき止めれば、後から行先を変えることが出来るって。
皆が皆、そのデッカい岩になれる可能性を秘めている。
未来は決められたものじゃない。だからこそ、諦めないで前に進むんだ。
そうすれば、必ずその先に希望が見えてくる。
結局、オレには世界が救えた。
証拠なら、ここまで読んでくれたキミ達なら分かるだろう。
何より最高なのは―まあ、同じことだが、それでも言わせてもらう。
人は時に助けた人から、助けてもらえるってことだ。