仮面ライダーガッチャード&デッドプール&ウルヴァリン デイブレイク・オブ・フューチャー・パスト   作:バリー

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ゲストキャラ多めです。


第二話

「どうも、読者の皆。オレちゃんは『ウェイド・ウィルソン』こと、『デッドプール』だ。もう皆、オレちゃんのオリジンとか活躍とかはご存知だろうから、ここではカット。詳しくは実写映画『デッドプール』と『デッドプール2』を観てね。ディズ〇ー+で配信中だよ♥

 

さて、多分これを読んでるヤツらの中にはこう思ってるヤツもいるだろう―『なんで、原作が『仮面ライダーガッチャード フューチャー・デイブレイク』じゃなくて、『デッドプール&ウルヴァリン』になってるの?』って。

 

ぶっちゃけ言うと、仮面ライダー側よりこっち側の話が当分メインになっちゃうからだ。せっかくのクロスオーバーなのに、絡むのは終盤らしいよ?つまり、全部こんなお粗末な小説書いてるクソ作者の仕業。

 

去年の夏に某掲示板でスレを建てて、それが意外なことに3スレぐらい続いて、そっからYou〇ubeにまとめられるわPixi〇でスレ民の一人が有りがたいことにSS書き始めるわ色々あった。で、今年になってオレちゃんとガッチャードの映画がもうそろそろ公開一周年だから、変なやる気出してこの作品を書き始めたってワケ。ボキャブラリーが貧困で、オレちゃんのエミュもロクに出来てないクセにだよ?しかも長編。絶対エタるに決まってるじゃん。作者ってホント、バカ(笑)

 

ゴメン、前置きが長くなっちゃった。本題に入ろう。今、オレちゃんに何が起きているのかだ。多分、ここにいるのは『デッドプール&ウルヴァリン』を観たヤツらばかりだから知ってると思うけど、一応簡単に説明しておく。

 

一つ!中年の危機に陥ったオレちゃんは、ヒーローを引退して認定中古車の販売員として就職!

二つ!TVAによって、MCUに関わる任務の戦力としてオレちゃんがスカウトされる!

三つ!オレちゃんの世界を消そうとするパラドックスをぶん殴って、代わりのアンカーになるローガン探しを始めた!

 

ふぅ、大体こんな感じかな。そこから先は聖なる屍への冒涜から始まるオーディション。

 

コミック準拠のおチビちゃんなヤツ。茶色いスーツでハルクと戦ってるヤツ。スーパーマンにクリソツなヤツとか。他にもいたよ。バットマンのコスプレしたヤツ*1。イカした車からギゴガゴゴって変形するヤツ*2。一番驚いたのはクズリちゃんじゃなくてオオカミちゃんなヤツ*3だったな。あとは、パニッシャーに…*4ああ、この話はやめておこう。色々辛い。

 

まあ、そんな感じで色んなローガンに遭ったけど、どいつもコイツもまあ血の気が多いのなんの。オレちゃんに出会っていきなり、爪チ〇コを挿れて、激しく甚振るんだもの。アプローチが強すぎて参っちゃって中々採用までにはいかない。でも、こっちも家族の命運がかかってるからさ、次こそはと思ってここに来たんだけど…ウルヴィー、どこ?」

 

やたらと長ったらしいモノローグを言ったウェイドは、辺りを見渡した。

彼が今いるところは無人の駅である。線路が当然のごとく敷かれており、古びた建物があちこちに並んでいる。

一見すると田舎の鉄道風景の様だったが、目に映るもの全ての色彩が異常に暗く、しかも大量の巨大なフラスコが上から糸でぶら下げられて並んでいる。

まさしくそこに広がっているのは、地球とは異なる『異世界』の光景だった。

 

「9と4分の3番線じゃあなさそうだな。」

 

ウェイドは自分がいる駅を見渡す。一面一線の簡素なホームには、駅名が書かれた看板や時刻表すらもなかった。

ふと見上げると、上空には自らの尻尾を噛んだヘビがいる。ウロボロスだ。身を丸めて輪を形成するそれは、微動だにせずにじっと浮かんでいる。

 

「セルフでしゃぶるのって、首筋肉痛になるよね。」

 

ウェイドの軽口に応える者はいなかった。ただただ、静寂がその場を支配する。

 

「あー、もう。いつ来んだよ、電車は。時刻表がなけりゃ、遅れてんのかどうかも分かんないじゃん。クソッ!」

 

悪態をつきながら、ウェイドはしゃがみ込む。周囲に人影が見当たらないため、駅に到着するであろう列車に望みをかけていたが、それもどうやら当てにならなそうだ。

痺れを切らして、別の時間軸に行こうと彼がタイムパッドを取り出したその時だった。

力強い汽笛の音が聞こえた。遠くから列車の走行音が響いている。

 

「やっと来た。降りてきたら熱烈なキスをかましてやる。」

 

そう言って、ウェイドは線路の向こう側を見た。すると信じられないものが目に飛び込んできた。

 

 

 

 

 

 

「スチィィィィィィィィィィィィムッ!!」

 

 

 

 

 

走ってきたのは蒸気機関車だった。煙突から煙をモクモクと出し、ピストンと車輪がリズミカルな音を立てている。その蒸気機関車は、やかましい『声』を上げていた。この時点でウェイドは、目の前にあるそれが蒸気機関車の姿をした『生き物』であると直感的に判断した。

 

ボディが全体的に黄色く、ところどころ差し色として青が入っている。正面には二つの白い巨大なライトが目の様に配置されており、サイドからは黒く尖ったパーツが左右に突き出てていた。その下のカウキャッチャーにあたる部分からは、六本の長い爪が生えている。

 

姿かたちは完全にかけ離れているが、ウェイドは確信する。

 

『アレ』がこの世界のウルヴァリンであるということを。

 

「マジかよ!このパターンは完全に予想外だ!」

 

思わず、ウェイドは駅から飛び降りて線路の上に立った。

 

「アンタいつから、ソドー島の役に立つ仲間の一員になったの?マ〇ルに賄賂でも渡した?ちなみにオレは模型派なんだよね。リ〇ゴ・スターの声がクセになってさー。あ、日本だと森本〇オだっけ?それかジョン・カ〇ラ?」

 

前方で呼びかけるウェイドに、機関車の形をした生物は応えない。只々、ピストンを動かして車輪を回し続ける。彼との距離がどんどん縮まっていく。

 

「そっちは大丈夫ー?黒い帽子被ったデブのおっさんにパワハラとかされてない?アンタ一人―いや一両?だと寂しいだろ?そうだ、アンタに友達を紹介するよ。実はオレには双子の弟がいて、名前は『ゴードン*5』っていうんだ。ソイツはアンタのことを気に入ると思う、ていうか今ガチで気に入ってる。オレの世界を一緒に救って―」

 

ウェイドの体が宙に浮き上がった。鉄の塊は自分が撥ね飛ばしたものに目もくれず、只々真っ直ぐに走り去っていく。

 

「あー…まあ、じこはおきるモンだよね。」

 

滑空する彼の身体は、突然現れたオレンジ色の長方形―『タイムドア』に飲み込まれて消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドレットルーパー達による攻撃が、この世界から分岐した『もう一つの未来』によるものだとカグヤから聞いた宝太郎達。

彼の言葉で宝太郎の脳裏に浮かんだのは、オロチマルガムやムーンマルガムの戦いで自分を助けに来てくれた謎のオレンジ色のガッチャードだった。未来にそのもう一人のガッチャードがいることを確信した宝太郎は、恩を返すためにそこに行くことを志願する。

りんねの父親『九堂風雅(ふうが)』による提案により、宝太郎とその仲間達は『ナインテイル』、『ワープテラ』、『タイムロード』の3体のケミーと協力し、スチームライナーを『ギガントライナー』へと錬成。そこに風雅が持っていた鉄道模型を組み合わせることで、未来に行くための移動手段を作り上げた。

宝太郎と同じく、オレンジのガッチャードに助けてもらったりんねも彼に同行することを決意。残りのメンバーは、襲撃に備えて現代に留まることになった。

初めて行く未来に心を踊らせる宝太郎達を載せたギガントライナーは、仲間に見送られて出発したのであった。

 

 

 

 

 

 

「これが…未来…!?」

 

目的地に着き、ギガントライナーから降りた宝太郎達は、目の前に広がる光景に唖然としていた。建物の多くが瓦礫と化しており、あちこちからは黒煙が上がっている。

 

「破滅した世界…『ザ・ロストワールド』だ!」

 

ギガントライナーに何故か乗り込んでいた宝太郎達の同級生であり友人でもある『加治木(かじき)(りょう)』は、愛読書であるミステリー雑誌と交互に見ながら、ただ一人興奮する。

その直後、ズドドドッという銃声が荒廃した街から聞こえた。宝太郎達は急いで、音がした方へと向かった。

 

 

 

 

 

「や、やめろぉっ!!来るなっ!来るなぁっ!!クソッ!クソォォォッ!!」

 

一人の浅黒い肌の男が、自分のもとに歩を進めるドレットルーパーに向かって、マシンガンを撃っている。しかし、素人くさい構えと恐怖による震えのせいか、弾は全て命中することなく外れていた。

 

「一ノ瀬!!あれっ!!」

 

ちょうどそこへ、様子を見に来た宝太郎達が到着した。りんねはドレットルーパーと戦っている男を指差す。

やがて、弾切れになったその男は背を向けて逃げようとした。しかし、ドレットルーパーの銃撃が脚に当たり、そのまま転倒してしまう。地面にへたり込む自分にゆっくりと近づいてくる敵に、男は恐怖の叫び声を上げた。

 

「うわあああああああああああっ!!」

「急いで、助けなきゃ!!」

「うんっ!」

 

宝太郎とりんねがベルトを取り出し、男のもとに駆けつけようとしたその時だった。

 

「ハァッ!!」

 

突如、オレンジのガッチャードが男の前に割り込み、持っていたガッチャートルネードを振り下ろした。斬撃を受けたドレットルーパーは火花を散らし、爆発する。

 

「大丈夫か、『ドーピンダー』。」

「あ、ありがとう、 『ホウタロウ』 …イテテ…」

「後で本拠地で治療してもらえ…誰だっ!?」

「「「うわっ!?」」」

 

気配を感じたオレンジのガッチャードが武器を向けると、そこには先ほど駆けつけようとした宝太郎達がいた。ガッチャートルネードを向けられた彼らは思わず、身構える。

 

「一ノ瀬宝太郎…何故、ここに?それに、九堂…りんねまで…」

「ホウタロウ、コイツらは誰だ?アンタの知り合いか?」

「ん、『ホウタロウ』?」

 

宝太郎達を見て戸惑うオレンジの戦士に、ドーピンダーは怪訝そうな顔で声を掛ける。一方、宝太郎は彼がもう一人のガッチャードのことを自分と同じ名前で呼んだことに反応した。

 

「いいな…懐かしい顔ぶれがいるじゃないか。」

「元気だった?りんねちゃん。」

 

彼らのもとに新たな人物が近寄ってきた。かつて宝太郎達と何度も敵対した長身の女性と幼女の二人組。

 

「クロトーとアトロポス!?」

「安心しろ、彼女達は同士だ。」

 

グリオンの配下が仲間になっていたことに戸惑うりんね達を余所に、宝太郎はオレンジのガッチャードに詰め寄った。

 

「ねぇっ!?それより『ホウタロウ』って!アンタ、もしかして…」

「素顔を見せてやったらどうだ?」

 

クロトーに促されたガッチャードは、渋々といった感じでベルトを外す。眼帯を付けた青年が宝太郎達の前に現れ、彼らに名乗った。

 

「オレは二十年後の一ノ瀬宝太郎。『仮面ライダーガッチャードデイブレイク』だ。」

「やっぱり…よろしく、未来のオレ!」

 

目の前にいる男が自分自身だと改めて確信した宝太郎は、笑顔で彼と握手しようとした。しかし、『宝太郎』は差し出された手を取ることなく、踵を返して先に進んでしまった。

その振る舞いに戸惑いながらも、現代の宝太郎達は彼の後をついていくのであった。

 

 

 

 

 

やがて、現代の宝太郎達は『宝太郎』の本拠地に案内された。

中に入ると、そこには錬金アカデミーの教室が広がっていた。しかし、室内の至る所には武器が立てかけられており、何人かの負傷者が治療を受けていると、自分達の知るアカデミーとは異なっている。しかも、日本人だけではなく、アメリカなどの異国出身と思わしき者達もいた。

『宝太郎』によると、アカデミーの教室を拠点にグリオンと20年間彼らは戦っており、襲撃を受ける度に場所を変えているという。

 

宝太郎達を案内していた『宝太郎』に、褐色肌の女性が話しかけた。ラフな格好をしており、左目にはひし形の白斑がある。

 

「おかえり、ホウタロウ。怪我人は?」

「ドーピンダーが脚に傷を負った。手当をしてやってくれ。」

「分かった。」

 

女性はドーピンダーを連れて行くと、入れ替わりにオレンジのバッタ―『DB(デイブレイク)ホッパー1』が宝太郎の手に飛び込んできた。

 

「お前が未来のホッパー1か~!」

 

宝太郎はもう一体の相棒の姿を見て、喜びの声をあげる。DBホッパー1も、若かりし頃のパートナーに対して嬉しそうに鳴いた。

 

「静かにしろ。」

 

冷淡な声をかけたのは、『宝太郎』だった。戸惑うDBホッパー1はそのまま彼が持つカードに吸い込まれて、封じられた。

現代の宝太郎は、未来の自分のケミーに対する冷淡な態度に動揺した。対面した時に差し出した手を取らなかったこともあり、宝太郎は未来の自分の振る舞いに対して戸惑いを隠せなかった。りんねも未来の宝太郎が、現在共にいる彼とは重ならない人物像になっていることに対し、何とも言えない気持ちになっていた。

少し先に進んでいくと今度は、床に座り込んでいる二人組に出くわした。片方は屈強な体格の黒人男性。もう片方は半透明の緑のマスクで口を覆っている白人男性だった。

 

「よぉ、ソイツらはお客さんか?」

「ここにいれば、取り敢えず心配はないぜ。」

「『ジェッセ』、『アクセル』。怪我はもう良いのか?」

「ああ、この通り!」

「戦う準備は出来てる。」

 

ジェッセと呼ばれた黒人は腕を大きく回し、アクセルと呼ばれた白人は腕のホルダーから抜いたナイフを見せた。

 

「『ヴァニッシャー』はどうした?」

「アイツなら、ココにいるぞ。」

 

未来の宝太郎に訊かれたベドラムが隣を指差す―が、そこには誰もいない。

 

「えっと、何処に…うわぁっ!?」

 

現代の宝太郎達は驚いた。ベドラムが指した空間に突如、床に座り込んだ男が姿を現したのだ。ハリウッドスターの様にハンサムな顔つきをしている。

 

「この人達は?」

「彼らは『X-MEN』。特殊な力を持った人間―『ミュータント』で構成されたヒーローチームだ。」

「ちなみにアタシもそのメンバーの一人よ。名前は『ドミノ』。」

 

りんねの質問に『宝太郎』は応えた。そこへドーピンダーの治療が終わった褐色肌の女性がやって来て、自己紹介をした。ドミノに倣って他のメンバーも、宝太郎達に名乗る。

 

「俺の名前は『アクセル・クルーニー』。またの名を『ツァイトガイスト』。」

「『フレンチトースト』?」

「『ツァイトガイスト』!」

 

横文字が苦手な宝太郎が白人男性の異名を間違えたため、りんねは慌てて訂正した。

 

「『ジェッセ・アーロンソン』だ、よろしくな。『ベドラム』って呼んでくれ。そんでコイツが『ヴァニッシャー』。」

 

屈強な黒人男性が名乗り、透明になっていた男をついでに紹介する。ヴァニッシャーも、無言で会釈した。

 

「オレ達皆は、人とは違ったパワーを持っている。その力を使って世界を守るのが、オレ達の役目さ。まっ、コイツが変身する『仮面ライダー』と同じ様なモンかな?」

「凄い…!ねぇねぇ、ツァイトガイスト達はどんなことが出来るの!?空を飛べたりする!?メチャクチャ速く走れたりとかするの!?」

「一ノ瀬!」

 

好奇心旺盛な宝太郎がX-MENに質問攻めをし、りんねがそれを咎めたその時、加治木の戸惑う声が聞こえた。

二人が廊下に出ると、加治木の目の前には頭に何らかの装置を被った海パン姿の男がいた。

 

「そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!そんなの関係ねぇ!」

 

しきりにそう叫びながら、左拳を振り下ろして左足で地団駄を踏む動作を繰り返している。よく見ると、後ろにいる彼の仲間と思わしき白衣姿の科学者も同じ動きをしていた。

まるでコメディアンの一発芸の様な奇怪な行動に面食らった加治木は、海パンの男に恐る恐る尋ねた。

 

「あのっ、すみません…これって、オカルト的な儀式か何かですか?」

「違いますよ。これはケミーの力を呼び覚ますための、錬金術的なアプローチです。」

 

海パン男は至極真面目な顔をして応えると、仲間の科学者達と共に自身に付けられた装置を見ながら、計測結果について話し合い始めた。

 

「ケミーの力を…呼び覚ます?」

「彼は『但馬(たじま)』。優秀な錬金術師で、グリオンに対抗するために様々な実験をしている。」

 

宝太郎達の後ろからやって来た『宝太郎』に紹介された海パン男―『但馬鉄男(てつお)』がもどかしそうに言った。

 

「中々、成果が出ません…仲間が減っていくばかりで。」

 

 

 

 

 

それから、宝太郎達は未来の宝太郎からこの世界の自分自身の軌跡を聞いた。

 

二十年前のクリスマスの日にオロチマルガムの攻撃によって、右目を失ったこと。それを境にグリオンが真綿で首を絞める様に『宝太郎』の仲間の命を奪って、彼を苦しめたこと。暗黒の扉を開くことに成功したグリオンが、冥黒王の力を手に入れたことを。

 

「そしてグリオンは荒野に巨大な城を建て、大量のドレットルーパーを使い、生き残った人達を襲い始めた。」

 

アトロポスが言葉を続けた。グリオンは強力な新しい人形—『冥黒のデスマスク』を作ると、三姉妹を用済みと見なして殺そうとしたのだという。そして三女である『ラケシス』が、アトロポスとクロトーを庇って命を落とした。

クロトーによると、グリオンの城には特殊なシールドが張られているため、攻撃するどころか近づくのも困難だそうだ。

 

「グリオンは日本だけじゃなく、世界にまで手を出してきた。自分達の障害になるであろうX-MENをアイツは、潰そうとした。」

「アメリカにいたX-MENは襲ってきたグリオンの軍団に立ち向かったが…ほとんど全員が手も足も出ずに殺されちまった。それから、アイツは善人悪人問わず多くのミュータントを殺し続け、その人形とやらの『素材』にしやがったんだ!!」

 

ドミノとベドラムが怒りを滲ませながら言った。ツァイトガイストが続ける。

 

「任務で日本にいたオレ達は、ホウタロウと手を組むことにした。グリオンによってこれ以上、人間やミュータントが犠牲にならないように。」

「ここにいる皆は、居場所を失っている…だからこそ、俺達は生き残った人々を守りながら、戦っているんだ。」

 

『宝太郎』の言葉に、負傷していた人々が顔を俯かせる。ドーピンダーもその内の一人だった。

 

「分かったよ…この時間のことを。俺も一緒に戦う!グリオンを倒して、平和な未来をガッチャしよう!」

「私も—」

「いや、お前達は元の時間に帰れ。」

 

宝太郎とりんねが進んで協力の申し出をするが、『宝太郎』は拒絶した。それを聞いた彼らは、困惑する。

 

「何言ってんだよ…?前は俺が助けてもらった。今度は俺が、未来の俺を助けるべきじゃ—」

「ここに未来なんかない!」

 

突然、『宝太郎』が叫んだ。

 

「何のために、俺が…ぐっ!」

 

言葉を続けようとした『宝太郎』が腹部を抑えた。慌てて駆け寄ったクロトーが彼の服を捲くると、そこからはおびただしい量の血が出ていた。

 

「なんだ、この傷は…!?すぐに手当しないと!」

 

彼女は『宝太郎』を抱えると、部屋から出ていった。無理をし続けていた未来の自分自身を見て、彼は思わず呟く。

 

「なんで、怪我してたことを黙って…?」

「君を助けるために、過去に行った時もそうでした。」

 

白衣を羽織った但馬が室内に入ってきた。

 

「時間移動は身体の負担が大きい筈なのに、それを隠して…」

「なんで…」

「ずっと、死に場所を探しているんだ。」

 

アトロポスが宝太郎の呟きに応えるかの様に言った。

 

「彼には決して消えない怒りがある。自分自身に向けられた…怒りが。」

「何もかも背負い過ぎなのよ。」

 

ドミノが悲しげに言った。

 

「『ローガン』がああなったのは、あの子のせいじゃないっていうのに…」

「『ローガン』って?」

「オレ達と同じ、X-MENのメンバーさ。」

 

ツァイトガイストは、彼について宝太郎達に語り始めた。

 

先ほどベドラムが言及した、グリオンによるアメリカのX-MENの襲撃。その中、たった一人だけが生き残って国外へと逃亡した。それがローガンこと、『ウルヴァリン』だったのだ。

 

指導者であるチャールズの指示で彼はX-ジェットに乗り、戦場から撤退した。だが、ヒーリングファクターで不死身の肉体を持つ彼を最高の素材だと考えていたグリオンは、簡単に逃そうとしなかった。

後を追ってきたドレットルーパー達によって彼はX-ジェットごと攻撃され、日本に墜落。その衝撃で動けなくなり、兵士達に連行されそうになったところを『宝太郎』に助けられたのだという。

 

「そこからしばらく、アイツはオレ達と一緒に戦っていた。けど、グリオンのヤロウが胸クソ悪いことしたせいで…アイツは心が折れちまった!」

 

ベドラムは怒りのあまりに、拳を机に叩きつける。ヴァニッシャーも爪が食い込むほど、手をきつく握りしめていた。

 

「ホウタロウは責任を感じている。自分のせいで皆を悲しませて、辛い思いをさせたって。ローガンや彼の仲間であるX-MEN…それに『彼女』の死のことも含めて。」

「『彼女』…?」

 

ドミノの言葉に、宝太郎が気になって問いただそうとしたその時だった。

 

けたたましい警報が、錬金アカデミーの室内に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『宝太郎』の日本にある『シスターマーガレットのバー』の店内にオレンジ色の長方形が展開され、そこからウェイドが勢い良く飛び出した。店内にある机に身体を滑らせた後、床に叩きつけられた彼はうめき声をあげながら立ち上がる。

 

「うーん…なんかどっかで見たような懐かしい場所。それに…ワーオ、見知った顔のヤツと将来性がありそうなヤツ。」

 

ウェイドはカウンターの方に向かって歩き始めた。そこには眼鏡をかけていて顎髭を生やしたバーテンダーと黄色いスーツを着たローガンの変異体がいる。

 

「ねぇ、そろそろ帰ってくれる?材料だって無限にあるワケじゃないから。」

「あと、一杯だけ飲んだら帰るよ…」

「何回、言ってるのそれ?もう、やめなよ。」

「やめましょ、おチビちゃん。」

 

コップを前に差し出してバーテンダーにねだるローガンに、ウェイドは声をかけた。

 

「ツレの人?」

「知り合いだったか?」

「いんや。オレは知ってるけどね。ついでに言えば、そこのバーテンダー。アンタとオレは友達だった。」

「そうだっけ?」

「残念ながら、今は違う。」

「それはそれは。」

 

バーテンダーに意味不明なことを言うウェイドに、ローガンは呟く。

 

「皆、俺を知っている…『ウルヴァリン』だから…」

「ああ、その通りだとも。アンタが必要だ。何故なら、オレちゃんとオレちゃんの世界がアンタを求めているからだ。かなりね。それと読者が。タイトルに『ウルヴァリン』が付いてて、本人が絡まないなんてそんなの詐欺だからね。二十年経ってようやく実現した黄色いパジャマ姿のアンタを心待ちにしている。」

「お嬢ちゃん、興味ない。」

 

そう言うとローガンは、シッシッとウェイドに手を振った。ウェイドはため息をつくと、ローガンの身体に両手を回して椅子から立たせようとする。

 

「もう時間押してるから。さあ、たっちして。座ってばっかだと痔になるよ。ションベンは漏らしてないよね?」

「今のところはね。漏らしてるのはため息だけ。」

「あっそ。ほらっ、さっさと行くよ。」

「おいおい、やめろっ!」

 

無理やり立たされたローガンはウェイドを振り払うと、拳から爪を伸ばした―が、それは非常に短い。

 

「おおっと、可愛い爪チ◯コ。中年ウルヴァリンによくあることだよな。」

「いい加減にしろ。」

「ああ、そうするよ―アンタも止めとけ。」

 

ウェイドは拳銃をローガンに向ける。

 

「おでこで深呼吸したいワケじゃないなら、よく考えた方が良いぞ。」

 

しかし、ローガンは怯むどころか笑いながら自分の額を銃口に押し付けた。そしてカウンターに置いてあったミネラルウォーターのボトルに塩と接着剤を入れると、キャップを閉めた。そして左手で自身に向けられている銃身を掴み、右手でペットボトルを振り続ける。

 

「わーお、ロシア風だね。」

「オレが教えたんだよ。ちなみに、おつまみは賞味期限切れのパン。靴クリームをお好みで。」

「オーデコロンとかポリッシュとかある?」

「キュウリローションも、冷蔵庫にあるよ。」

「良い子はマネしちゃダメ!」

 

ウェイドとバーテンダーが他愛もない会話をしている間に、ローガンはペットボトルの中身を一気飲みした。その後アルコールが回ったのか、バタンッと倒れて気絶する。

ウェイドはため息をつきながら、ローガンの身体を抱き起こして肩に担ぐ。

 

「コイツで我慢するか…じゃっ、おいとましましょっと。でも、その前に―」

 

いきなりウェイドはマスクを脱いで、バーテンダーに素顔を見せる。

 

「オレちゃんのこの顔、どう思う?正直な感想で。」

「アボカドみたいだな。しかも—」

「腐ってるのとズッコンバッコンしたアボカド?」

「そう。しかも、憎しみの籠もった激しいヤツ。二人の関係がこじれてて—」

「「殴り合いに走らないためにヤるガス抜きのヤツって感じ。」」

 

台詞がハモった瞬間、二人は笑った。久しぶりに親友に戻れた様な、不思議な体験だった。

 

しきりに笑ったウェイドはマスクを被り直すと、タイムパッドを操作する。タイムドアが開かれ、彼はローガンを抱えてその中に入っていく。

 

「じゃあな、バーテンダー。オレはアンタのこと嫌いじゃなかったよ。相棒に復帰したいのなら、いつでもどうぞ。」

 

そしてタイムドアが消えると、店内にはバーテンダーのみが残された。

 

ローガンの行方を訊かれたら、『爆弾を持った女に連れ去られた』とでも言っておこう。

 

そう決めた『ウィーゼル』は、コップを洗う作業に取り掛かるのであった。

 

*1
MARVELとDCのコラボ展開『アマルガム・コミックス』の登場キャラ『ダーククロー』

*2
トランスフォーマーとのコラボ展開『TRANFORMERS CROSSOVER』のラリーカーから変形するウルヴァリン。

*3
D23で公開された『ズートピア2』の公式トレーラー発表後に映し出されたパロディポスター『デッドミュール&ウルファリン』の『ウルファリン』

*4
『パニシャー・キルズ・マーベルユニバース』のこと。

*5
デップーの中の人であるライアン・レイノルズの双子の兄弟…という設定のキャラ『ゴードン・レイノルズ』




はい、という訳で実写版デップーからのキャラお披露目の回でした(本編とはパラレルですけど)。ちなみにX-FORCEのキャラも便宜上はX-MENとして扱ってます。メンバーの本名はコミックを参考。

《キャラ紹介》
・『スチームヴァリン』
オリキャラ。ウルヴァリンみたいなスチームライナー。

・『ドーピンダー』
タクシーの兄ちゃん。この世界では、GDBと共に行動しているレジスタンスの一人だが、いまいち『勇気』が足りてない。

・『ツァイトガイスト/アクセル・クルーニー』
口から強酸性の液体を吐き出す。『ザワークラウド』ではない。原典コミックではX-FORCEのリーダーを担当したことがあり、この作品でもその様な役割を与えられている。
実写版の中の人はペニーワイズ。吹き替えはワカンダの王様。

・『ベドラム/ジェッセ・アーロンソン』
電磁場を操ることで機械を故障させたり、人を恐怖や混乱に陥れたりする。原典では兄がいる。
吹き替えは雷神様。

・『ヴァニッシャー』
ブラピ。ちなみに原典ではテレポート能力を持つヴィランだった。

・『ドミノ』
運勢操作の能力を持つ。原典では白い肌だったが、実写では褐色肌になった。
『2』でX-FORCEのメンバーが犠牲になったのはコイツが運を吸い取ったからとか何とか。
実写版の中の人は、後に『JOKER』で主人公の隣人を演じることになる(デプウルで出番がなかったのは、恐らく続編での撮影によるものと思われる)。吹き替えはブラック・ウィドウ。

・『ウィーゼル』
『2』まではデップーの友人枠として登場していたが、中の人とのいざこざでデプウルでは出演せず。
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