地味スキル「ためて・放つ」が最強すぎた!~出来損ないはいらん!と追い出したくせに英雄に駆け上がってから戻れと言われても手遅れです~   作:かくろう

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女心の分からないセージ君

「リンカ、何か考えがあるみたいだけど、どうするの?」

 

「うん。ストレージってさ、入れた時の時間が止まるっぽいじゃない?」

 

「そうだね。串焼きの時間も止まって焼きたてだったし」

 

「だったら、こういう事もできるんじゃないかしら」

 

 リンカはおもむろに矢をつがえてストレージの穴に向かって発射する。

 スゥっと吸い込まれていく矢。それをリンカは何度も繰り返した。

 

 

「とりあえず10本くらいで十分かな」

「もしかして」

「うん。次の戦いで試してみるわ」

 

 そうして昼食を終えた僕たちは、再びモンスターを探しに平原を進んでいく事になった。

 

 

 

 

「次の集団発見。オーガバトラーにキラーラビット。レイビットホーン――牛型の魔物ね。パワー系とスピード系の混成軍。戦い方にコツがいるわね。まずはパワー系の数を減らしましょう」

 

 リンカが弓を構え、僕は剣を構える。

 

「ストレージ」

 

「ッ!」

 

「「「ギャッ⁉」」」

 

 リンカがストレージを唱えた瞬間、敵集団の上方に小さな穴が現れ、先ほど収納した矢が勢いよく飛び出した。

 

 戦士鎧を着たオーガ族、オーガバトラーの眉間にそのまま勢いよく突き刺さり、一気に三体を倒してしまった。

 

「なるほどそうかっ! 時間が止まるから勢いもそのままなんだ」

 

「でも結構コントロールに集中力がいるわね。戦闘中に動き回りながら使うのはまだ難しいかも。不意打ち専用ね」

 

「よし、残りを掃討しよう」

 

 キラーラビットは大型の角ウサギ。

 レイビットホーンは凶暴な牛型モンスターだ。

 

「加速ッ、重ね斬りッ」

 

 一気に距離を詰め、重ね斬りで五体同時に斬り付けた。

 

「流石ね。ラスト一匹。はっ!」

 

 重ね斬りで仕留め損ねたキラーラビットにトドメを刺す。

 

「凄いわ。キラーラビットもオーガバトラーも簡単に仕留めちゃった。私の弓の威力も上がってるわね。どうしたのかしら?」

 

「あ、そうだ。共有できる能力はストレージだけじゃないんだ。多分それの影響かな」

 

「どういうこと?」

 

「とりあえずドロップアイテムを集めよう。追い追い説明するよ」

 

 ◇◇◇

 

「じゃあ、私も【ためて・放つ】が使えるってこと?」

「そうそう。ためると基本的に攻撃力とか効果範囲が上がるって思ったらいいよ。僕の場合だと能力的に基礎攻撃を上げなくても戦えるみたいだ」

 

「へえ~。凄いわね」

 

 魔石とドロップアイテムを集め終わり、ストレージにしまいながらフィーリングリンクについて説明を行なった。

 

「よし、集め終わったな」

 

 ――――

 

 オーガバトラーの魔石 変換値4000

 レイビットホーンの魔石 変換値3500

 キラーラビットの魔石 変換値2100

 

 ――――

 

 

 

「意図的に【ためる】を発動すると、色々な能力の威力をアップさせることができる。もしかしたら僕にできない技を開発できるかもしれないね。僕の重ね斬りも攻撃回数に振り続けて覚えた技だから」

 

「なるほどね。それならひょっとして、【索敵】を【ためる】」

 

――――

 

・リンカニア LV38

【☆索敵】 200/1000 100につき+100㍍拡大(基本値円形100㍍)

 

――――

 

「あっ、凄い。今までよりも広くサーチできるわ」

 

「最大で10段階ためることができるはずだよ」

 

「凄いわね。ちょっと疲れるけど、広くサーチすれば早く敵を発見できて便利ね」

 

 リンカのレベルは38か。比較対象が僕しかいないから何とも言えないけど、上げに上げて45の僕の数値を考えると、さすがガンマランク冒険者と言えるのかもしれない。

 

「あんまり無理はしないでね。僕とまったく同じ条件で使えるかどうか分からないし、今は2段階目で使ってるみたいだ。どういう感じ?」

 

「そうね。いつもより神経を張り詰めて使ってる感じがするわ。もう1,2段階くらいは上げられそうだけど、いきなり使うとちょっと大変そう」

 

「そうか。実は僕もスキルの多重発動を使うとかなり消耗する。得意分野によって消耗具合が違うのかもしれないね」

 

「スキルって徐々に使い慣れていくものだから、体が出来上がれば平気になっていくと思うわ。まだ15歳だし、成長期はこれからのはずよ」

 

「そうだね。まだまだできる事はある」

 

「それじゃ、そろそろ帰り方向に反転しながら敵を探しましょ。広がった索敵があればいくらでも見つけられそうだわ」

 

「頼りにしてるよ」

 

 

 そうして僕らはパワーアップした索敵によって魔物を発見しながら魔石を集めていった。

 

 最終的な結果はこうなった。

 

――――――

 

【セージ】 LVLV45 次のレベルまで 378530

魔素ストック 1546872

ストックできるもの(最大1000/1000)

 カウンターダメージ 

☆基本攻撃力  ☆魔力値  ☆治癒力 

☆投擲  ☆攻撃回数  ☆加速 ☆攻撃範囲

☆スキル多重発動  ☆暗視 ☆遠目

 

・スキル 両断斬 激殺両断 重ね斬り 自動回復(NEW) 

 

☆ストレージ 100㎥ 1000項目

リンク中 【リンカニア】 【エリス】

 

 

――――――

 

 かなり魔素ストックを増やすことができた。魔石無しでこれなので収集効率はかなり高い。

 

 戦闘回数は実に50回に上ったので、ドロップアイテムの半分くらいはストックに変換してもよさそうだ。

 

 レベルの限界値を上げるには10万ポイントが必要なので、まだまだストックは増やしたい。

 

 それに、以前の戦いで分かったことだけど、レベルは少しずつ上げるより、ためてためてためまくって一気に上げた方がボーナスがついてお得らしい。

 

 なので可能な限りストックは増やしていきたいんだ。

 

――――

 

・感情ゲージ

リンカニア 18/20(リンク状態LV1) 【ためる】共有可能

 ☆索敵 ☆重ね撃ち(NEW) ☆超遠距離射撃(NEW) 

    

エリス・ミルミハイド 15/20(リンク状態LV1) 【ためる】共有可能

 

 

――――――

 

 お、なんか新しい項目が増えてる。それにリンカの感情ゲージが上がってる。

 

 信用してもらえたってことなのかな。

 

「リンカ、重ね撃ちと超遠距離射撃が使えるみたいだよ」

「え、本当に? あ……本当だ。使えるようになったのが分かる」

 

 名前そのままのスキルだろうから分かりやすいな。恐らく重ね撃ちは、僕の重ね斬りの弓矢版だろう。

 

 それからまた何度かの戦闘でスキルの試し打ちをしてみたが、どうやら僕より【ためる】を使うのが大変らしいということがわかった。

 

「この【ためる】って疲れるわね。いつもより消耗が激しいわ。セージ君はなんでそんなにポンポン使えるの?」

「なんでだろ? 確かにスキルの多重発動以外はほとんど負担は感じないな。もしかしたら治癒力に振ってるからかも」

「どういうこと?」

 

「治癒力に魔素をためておくと体力が自動的に回復するんだ。体感的にはかなりの負担を減らしてくれてる感じかな」

 

 さっき「自動回復」ってスキルも覚えた。多分重ね斬りと同じで使い続ける事でスキル化したんだろう。

 

「へえ、便利ねぇ。私も欲しい」

「うん。もしかしたら、僕がパワーアップすればリンカにも良い影響があるかもしれない」

 

 もしかしたら、フィーリングリンクの方が関係が深いかもしれないけど、これはどうやって説明したらいいものか。

 

「ねえ、気になったんだけど、魔素を注ぐってどういうこと?」

「ああ、実は魔物を倒したり魔石やアイテムを変換すると魔素をストックできるみたいなんだ。それを消費して僕は色々なスキルを使ってるんだよ」

 

「なにそれズルい~。魔物を倒しながらためれば実質無制限じゃん」

「そうだね。今の所マイナスにはなってないよ」

 

「いいなぁ。私も使えるようにならないかな」

 

「そうだね。もっと使い方を研究すれば利便性を高められるかも。あのさリンカ、実はなんだけど」

 

 僕は隠していても仕方ないと思い、フィーリングリンクについても共有しておくことにした。

 

 

 

 

「へ、へえ~。じゃあ私の感情が見えてるってこと? なんだか恥ずかしいんだけど」

「いや、感情が見えるっていうか、数値が上がるとできる事が増えるみたいなんだ。レベル1って書いてあるからまだ上がると思う。上がる条件がまだよく分からないんだけど」

 

「そうなんだ。それって私だけ?」

 

「えっと、今の所リンカと、エリスお嬢様だね」

「えっ⁉ なんでエリス様も入ってるのっ⁉」

 

「いや、なんでって言われても。さっき出発前に喋った時に勝手に追加されたんだよ。なんか興奮してるみたいだったし、多分吊り橋効果じゃないかな」

 

「吊り橋……ああ、古い文献に出てくる言葉ね。そっかぁ。恋愛感情の強さってことかな?」

 

「どうだろう? リンカは僕に恋愛感情持ってるの?」

「……。セージ君ってもうちょっと女心を分かった方がいいわね」

「えっ? どうしたのリンカ」

 

「なんでもないわっ。ほら、もう帰りましょ。ドロップアイテムも十分だから」

「え、ちょ、ちょっと待ってよリンカ。置いて行かないでってばっ」

 

 リンカは何故だかプリプリ怒り始めてしまい、訳の分からないまま帰り道でなだめることになったのだった。

 

 

 

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