阪神好きの侍が行く透き通る世界   作:スターライト⭐︎

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書きたい衝動が抑えられず勢いで書きました。


烏、キヴォトスに舞い降りる

 

 

(……おや……此処は……?)

 

 男は見知らぬ暗い空間で目を覚ました。

 

(地獄、ではなさそうですね)

 

 自分は確かに消滅したはず。自分に課せられた呪いの因果からも解放され、息子とも言える愛する弟子に最期に会うことができ、満足に死ねたと思っていた。

 

(なのに、まだ私を死なせてくれませんか……)

 

 だが男の心はどこか納得はしていた。自分は死んでも償いきれない罪を重ねてきた。そう簡単にはあの世には行かせてくれない。満足して死ぬことは許されない。それほどまでに、自分の罪は重いのだ、と。

 

 すると突然、少女の声が響いた。

 

「……私のミスでした」

 

(……君は?)

 

 声の主を探して視線を向けると、そこには全身がボロボロになり、あちこちに血を滲ませた少女が座っていた。暗い空間も光が差し、見ると電車に乗っているようだった。電車は揺れており、どこかへ向かっているようだ。

 

「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況」

 

(君血が出ていますよ!大丈夫ですか?ッ!先程から思っていましたが、声が出せない)

 

「結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……今更図々しいですが、お願いします。松陽先生」

 

(私の名前を……)

 

「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……ですから大事なのは経験ではなく、選択。あなたにしかできない選択の数々……責任を負う者について、話したことがありましたね」

 

不思議な言い回しをする少女に、松陽は疑問を深める。

 

(……あなたとは初対面のはずですが)

 

「あの時の私には分かりませんでしたが……今なら理解できます。大人としての、責任と義務。そしてその延長線上にあった、あなたの選択。それが意味する心延えも」

 

「……」

 

「……ですから、先生。私が信じられる大人である、あなたになら。この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです。だから先生、どうか……」

 

 この少女の思いに応えなければと、声にならない言葉を紡いだ。

 

(……私は自分一人では何も護ることが出来なかった弱く愚かなただの侍です……それでも、こんな私でもまだ護れるものがあるのなら、今度は必ず護り抜きます)

 

「……ありがとうございます。ですが、忘れないでください。あなたの弟子たちも、そして私たちも皆、心の底からあなたを慕っているということを……どうか、ご自身の体を大切に」

 

 少女はどこか救われたような微笑みを浮かべる。その姿が急速にぼやけていき、視界が暗転していく。

 

(?ちょっと待ってください!君はあの子たちを知って……)

 

 問いかけの言葉は最後まで紡がれることなく、男――『吉田松陽』の意識はそこで途切れた。

 

 

________________________________________________

 

 

 

「……い……ください……先生、起きてください。松陽先生!」

 

「……聞きそびれてしまいましたか」

 

 鋭い声に呼び起こされ目を開けると、エルフのように尖った耳を持つ黒髪の少女が、眼鏡を掛け直しながらこちらをじっ見つめていた。

 

「ようやく目を覚まされたようですね、先生」

 

「……すみません。此処は寝心地が良いもので……こう言っておいてなんですが、此処は一体どこでしょうか?」

 

「記憶が混濁しているようですね。分かりました、ではもう一度、あらためて現在の状況を説明します」

 

「ありがとうございます。えーと君は……」

 

「私は七神リン、学園都市キヴォトスの連邦生徒会所属の幹部を務めています」

 

「よろしくお願いしますね、リン。私は吉田松陽という者です」

 

「ええ、こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生……のようですが」

 

「?違うのですか?」

 

「……私も先生がここに来た経緯を詳しく分かっていないのです」

 

「……ふむ」

 

 自分をここに呼び寄せたのは、おそらくあの空間で会った少女だろう。しかし松陽はその時何を話したか、頭に霧がかかったように思い出せなかった。

 それでも、自分がこれから果たすべき役割だけはなぜかハッキリと分かっていた。

 

「混乱されるかもしれませんがともかく、今はどうしても先生にやっていただく事があります。今はとりあえず私についてきてください」

 

「分かりました。緊急を要するようですし、早く行きましょうか」

 

 そう穏やかに微笑むと、松陽はリンの後ろに続き、その部屋を後にした。

 

 

________________________________________________

 

 

 

 部屋を後にした二人はエレベーターに乗り、次の目的地へと移動する。

 窓の外にはキヴォトスの景色が広がっており、その光景は松陽の知る江戸の街並みをどこか彷彿とさせるものがあった。

 

「此処は綺麗なところですねぇ」

 

 とは言ったものの、かつて自分が生きていた時代は天人襲来直後の戦争真っ只中で、江戸は決してそれほど発展していなかった。のちに虚として過ごした日々も、のんびりと景色を楽しむような余裕など微塵もなかった。だからこそ、こうして平穏で美しい街並みを目にすることに、彼は確かな感動を覚えていた。

 

「気に入っていただけたなら何よりです。改めて、『キヴォトス』へようこそ先生。キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります」

 

「数千も学園があるのですか。すごい数ですね」

 

「ええ、そして我々連邦生徒会が全行政を担っており、学園の運営に従事することで統制を保っていた……のですが……」

 

「何か問題が起きたのですね」

 

「はい。詳しい事情は、これから順を追ってご説明します」

 

 そう話しているうちにエレベーターは音を立て、到着した。

 

「ちょっと待って!やっと見つけたわよ、代行!今すぐ連邦生徒会長を呼んできて!」

 

「首席行政官。お待ちしておりました」

 

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

「……はぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね」

 

 エレベーターから出るなり、生徒たちと思われる少女達が勢いよく詰め寄ってきた。

 その光景に、リンは思わずといった様子で深いため息をつき、露骨にめんどくさそうな表情を浮かべた。

 

「人と会っていきなりため息をつくのは関心しませんよリン。この子達は?」

 

「申し訳ございません、つい……この方たちは各学園の代表として今起きている状況について問いただすために訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さんです。ですよね?」

 

(さらっと毒吐きましたね。ストレスが溜まっているのでしょうか)

 

「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

 

「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出したという情報もありました」

 

「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」

 

「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」

 

「この世界そんな物騒なんですか?」

 

 どうやら今のキヴォトスの治安はカオスそのものらしい。自分に解決してほしいとリンが言っていたのは、きっとこのことだろう。

 

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」

 

「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」

 

「「「!?」」」

 

「やはりあの噂は……」

 

(連邦生徒会長……もしや、あの子が)

 

 松陽は行方不明となった連邦生徒会長があの不思議な空間で話した少女なのでは、と考えた。だがそれを確かめる術はなく、何より目の前の混乱をどうにかすることの方が先決だった。

 

「結論から言うと、サンクトゥムタワーの最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが……先程まで、そのような方法は見つかっていませんでした」

 

「先程まで、ということは今は方法があるということですか、首席行政官?」

 

「はい。こちらの先生が、フィクサーになってくれるはずです」

 

「私ですか?」

 

「え!?」

 

「この方が?」

 

 松陽は急に自分に指名が上がり多少困惑し、周りの生徒達も驚きの顔をして松陽を見ている。

 

「て、ていうか、今更だけど、この先生はいったいどなた?」

 

「こちらは吉田松陽先生。これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」

 

「連邦生徒会長が?行方不明になっているのに?頭痛くなってきたわよ……」

 

「とりあえず自己紹介から始めましょうか。初めまして、今日から此処で先生をすることになりました、吉田松陽です。私に務まるか分かりませんが、フィクサー役のようなことならそれなりに慣れていますので、どうぞお任せを」

 

「フィクサーに慣れてるってどういうことなのよ……と、ともかく、初めまして、先生。私はミレニアムサイエンススクールの早瀬ユウカです」

 

「ゲヘナ学園の火宮チナツです」

 

「トリニティ総合学園の羽川ハスミと申します」

 

「同じくトリニティ総合学園、守月スズミです」

 

「これからよろしくお願いしますね皆さん」

 

 これからも交流があるであろう生徒たちに松陽は笑顔で挨拶をする。

 

「では、事情を説明します。先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げたある部活、連邦捜査部『S.C.H.A.L.E(シャーレ)』の担当顧問として来ることになりました」

 

「連邦捜査部、ですか。名前からでは活動内容が分かりませんね」

 

「シャーレは単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制約無しに戦闘活動を行うことも可能です」

 

「それって殆どなんでもありってことじゃないですか。そんな強力な権限が認められて、本当に大丈夫なのですか?」

 

「ええ、なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは私も分かりませんが……シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。連邦生徒会長の命令で、そこの地下に『とある物』を持ち込んでいます。今はともかく先生を、そこにお連れしなければなりません」

 

 そう言うと、リンは懐から端末を取り出し操作すると、ピンク髪の少女のホログラムが投影された。

 

「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど」

 

『シャーレ?部室?……ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎになってるよ』

 

「?」

 

『矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こして、今はそこ戦場になってるの』

 

「え?」

 

『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?』

 

「……」

 

「戦場ですか……」

 

 戦場という物騒な響きに、松陽の脳裏にはどこか懐かしい記憶がかすかに蘇る。しかし、学び舎で青春を送るはずの子供たちが命のやり取りをしている現実を思えば、胸が痛むのか、彼の表情は自然と曇っていった。

 

『まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な……あっ!先輩、お昼ごはんのデリバリーが来たから、また連絡するね!』

 

 ブツッと電子音が鳴り、ホログラムが消えた。

 リンの肩がプルプルと細かく震え始め、背後には目に見えそうなほどの黒いオーラが立ち込める。

 

「……」

 

「リン、こういう時程深呼吸をして落ち着きなさい。はいせーの、ひっ、ひっ、ふー。ひっ、ひっ、ふー」

 

「先生それ深呼吸じゃなくてラマーズ法です」

 

「……ふーっ……だ、大丈夫です……少々問題が発生しましたが、些細なことです」

 

 リンは無理やり感情を押し殺すように顎に手を当てて思案すると、鋭い視線をユウカたちの方へと向けた。

 

「な、何でこっち見つめてるの?」

 

「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです。さあ皆さん、行きましょう」

 

「ちょ、ちょっと待って!どこに行くって言うなよ!?」

 

「リンってば見た目に反して結構強引ですねぇ」

 

 有無を言わせぬ勢いで話をまとめたリンは、困惑するユウカたちを半ば強引に引き連れ、松陽とともにシャーレの部室へと向けて歩き出した。

 

 

_______________________________________________

 

 

 

 サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すため、シャーレの部室まで目指す松陽達だったが、そこはモモカの情報通り、武装したスケバンの不良達が暴れ散らかしており、銃弾が飛び交う戦場になっていた。

 

「やはり、戦というものは好ましいものではありませんね」

 

「先生はキヴォトスに来たばっかで知らないのですね。キヴォトスではほとんどの生徒が銃火器を携帯しています。治安が悪い地域では、こうした戦闘は結構日常茶飯事ですよ」

 

「美しい街並みと反して、随分と物騒な世界なのですねぇ」

 

「はぁ、それにしてもなんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないのよ……」

 

「まあまあ、制御権を取り戻さないと事態は好転しませんし。今度私からお礼を致しますので今は力を…ッ!ユウカ!伏せてください!」

 

「えっ」

 

 直感的に危機を察知した松陽が慌てて警告を発するが、一瞬早く、放たれた銃弾がユウカの頭部を直撃した。

 

「ユウカ!大丈夫ですか!?」

 

 急所への直撃、常識的に考えれば即死の状況だ。松陽は声を荒らげながらユウカの肩を掴み、無事を確認する。

 

「いった〜!!」

 

 しかし、最悪の事態は杞憂に終わり、心配をよそにユウカはピンピンしており、直撃したはずの頭部にも目立った傷は一つもなかった。

 

「ユ、ユウカ、本当に大丈夫なんですか?」

 

「ん?ああ、そうえば言ってませんでしたね。キヴォトスに住んでいる生徒たちは体が頑丈なので銃弾一発を食らったくらいでは死にませんよ。心配してくれてありがとうございます」

 

「……はぁ、なるほど。それは安心しました」

 

「ていうか!あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!傷跡が残っちゃうじゃないのよ!」

 

「ともかく、今は先生が一緒なので気をつけましょう」

 

「ああ、私の心配ならしなくて大丈夫ですよ」

 

「何言ってるんですか先生。ハスミさんの言う通り、先生はキヴォトスの外から来た方なので、私たちと違って、弾丸一つでも命に危機にさらされる可能性があります」

 

「心配してくれてありがとうございます、チナツ。ですが本当に私の身を案ずる必要はありません。あの悪ガキどもには少しお灸を据える必要があるようですから私が行きます。とりあえずは話に行ってきますね」

 

「ちょっと先生!?武器もないのに、ってもういない!?」

 

 ユウカが慌てて制止の声を上げている間に、松陽はすでに移動しており、スケバンたちの集団の目の前なら立っていた。

 

「な、なんだこいつ!?」

 

「てめー!何しに来やがった!」

 

「いえ、怪しいものではありませんよ。ただ少しみなさんとお話しがしたくて」

 

「お話しだあ?」

 

「はい。どうかその物騒な抵抗をやめては頂きませんか?」

 

 松陽の穏やかな言葉にスケバンたちは呆気にとられ、やがて嘲笑が広がった。

 

「ダハハ!何言ってんだこいつ!」

 

「素直にやめるわけねえだろ!連邦生徒会が土下座して泣いて謝れば考えるかもしれないけどな!ヒャハハハッ!」

 

「……そうですか。それは残念です。生憎と今は緊急事態らしいのであまり気は進みませんが武力行使でいかせていただきます」

 

 そう言うと松陽はこの世界に来た時に何故か懐にあった卍型の鍔の刀に手をかけ、鯉口を切った。思い出したくもない記憶が蘇るが、今はそうも言ってられない。

 

「ああん?刀ぁ?時代劇ごっこでも始めんのかテメェ!」

 

「ま、まさか先生、刀だけであいつらと戦うつもりですか!?だ、ダメです先生!生身の人間では刀でもキヴォトスの生徒に傷すらつけられません!」

 

「舐めてんなお前!痛い目見て後悔しやがれ!!」

 

「先生!!」

 

 松陽の態度に激昂したスケバンの一人が、迷いなく松陽に向けて銃弾を放った。

 

 キンッ

 

 しかし松陽に当たることはなかった。

 

「「「「「え・・・・・・ええぇぇぇぇぇ!!?」」」」」

 

 松陽が素早く抜刀するとその刀身は黒い光を帯びて閃き、放たれた弾丸を文字通り真っ二つに切り裂き、二つに割れた弾丸は勢いを殺されたことで無力化された。勿論そんなこと普通の人間に真似できる芸当ではない。

 ユウカ達、そしてスケバン達は知らない。

 彼が地球のアルタナと言われている巨大惑星エネルギーにより不老不死になり、500年あまりを生き、戦いに身を置いていたことを。

 呼ばれたくないだろうが、彼には様々な異名がある。『国の命さえ攫う本物の死神(からす)』、『真の八咫烏』、ある時には『鬼』と『バケモノ』と。

 銃弾を見切り、斬ることなど彼にとっては容易いことだった。

 

「ば、馬鹿な!弾丸を斬っただと!?」

 

「な、なんだこいつ!?」

 

 目の前で起きた常識外れの光景にスケバンたちは動揺を隠せず、ユウカたちも言葉を失い、呆然と立ち尽くしていた。

 

「い、今何が起こったの……?」

 

「わ、分かりません、いつの間にか刀も抜かれていて…….速すぎるのか、抜く瞬間すら見えませんでした」

 

「まったく覇気などを感じませんでしたが……私達よりも遥かにお強いんじゃないですか?」

 

「じゅ、弾丸を斬るなんてどうなってんだ!!?」

 

「ば、馬鹿!!そんなことできる訳ねえだろ!!み、見間違いだ!!」

 

「そそそそうだ!!全員で撃てえ!!」

 

 動揺と恐怖から、スケバンたちは一斉に松陽に銃を乱射し始めた。

 

「やれやれ。こんな透き通っている美しい世界でもいるのですねぇ、悪ガキ共が」

 

 だが、それすらも彼にとっては児戯に等しい。身に迫る銃弾の嵐を刀で受け流し、時には斬り伏せながら、松陽は静かにスケバンたちとの間合いを詰めていき、スケバン達が持っている銃を破壊した。

 

「ひっ!?」

 

「じゅ、銃が!?」

 

「そんなあなた達に、路傍で授業を一つ。半端者が道具で暴力に興じるなど、百年早い!」

 

「うげぇっ!?」

 

「ごっ!!?」

 

「かゔぁお!!?」

 

ドゴォン

 

 松陽が放ったのは、ごく軽い、愛弟子たちに日常的に見舞っていたゲンコツだった。だが、その音と見た目はまるで一致していないし、拳を受けたスケバンたちは、地面に文字通りめり込み、頭だけを地上に出して気絶するという、シュールな光景が展開された。

 

「子供にゲンコツを下すのは心苦しいですが、悪しからず」

 

 よく弟子たちにゲンコツを下ろしていたが。

 

「あの拳骨どんな威力してんのよ!?」

 

「……先生、あなたは一体何者なのですか?まるで、巨人ですよ」

 

「それは違うよスズミ、私は……阪神が好きです」

 

「先生人の話聞いてください。貴方みたいなバケモノじみた強さを持った人見た事ないって言ってるんです!」

 

 松陽の規格外すぎる強さに少し警戒を抱くスズミだったが、笑顔でとぼける松陽を見ていると、その警戒心も霧散していく。この人は、きっと大丈夫――彼女はそう思った。

 

「……ただの侍ですよ。何も護ることの出来なかった、ね。ですが今度は必ず、全て護り抜いてみせます」

 

 烏、今度は死神から守護神になるべくキヴォトスに舞い降りる。

 




ども、最近ブルアカにハマった作者です!やってたら松陽先生ぶち込みてえなって思って今日この頃。
ハマったといえどブルアカはまだ全然ストーリーが進められてないので進めながら書けたらいいなと思います。

てか松陽先生描写多いって訳じゃないから喋り方とか何気難しいですね。文が下手くそで読みにくいですのでアドバイスなど頂けたらめちゃくちゃ嬉しいです!

思ったより長くなったので、次の話までプロローグをやっていこうと思います。
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