書きたい衝動が抑えられず勢いで書きました。
(・・・・・・おや・・・・・・此処は・・・・・・?)
男は見知らぬ空間で目を覚ました。
(地獄・・・・・・ではなさそうですね)
自分は確かに消滅したはず。自分に課せられた呪いの因果からも解放され、息子とも言える愛する弟子に最期に会うことができ、満足に死ねたと思っていた。
「なのに、まだ私を死なせてくれませんか・・・・・・」
だが、わかっていたことだ。自分は死んでも償いきれない罪をたくさん犯してきた。簡単には死なせてくれない。満足に死ぬことは許されない。そのくらい自分の罪は重いのだ、と。
すると突然、少女の声が響いた。
「・・・・・・私のミスでした」
「!・・・・・・君は?」
声のする方を向くと、ボロボロで体に血が滲んでいる少女が座っていた。
「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況」
「君血が出ていますよ!大丈夫ですか?」
「結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて・・・・・・」
(こちらの言葉が聞こえてない・・・・・・?)
「・・・・・・今更図々しいですが、お願いします。松陽先生」
「私の名前を知っているのですか」
「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから・・・・・・ですから大事なのは経験ではなく、選択。あなたにしかできない選択の数々・・・・・・責任を負う者について、話したことがありましたね」
「・・・・・・君とは初対面だと思うのですが」
「あの時の私には分かりませんでしたが・・・・・・今なら理解できます。大人としての、責任と義務。そしてその延長線上にあった、あなたの選択。それが意味する心延えも」
「・・・・・・」
「・・・・・・ですから、先生。私が信じられる大人である、あなたになら。この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を・・・・・・そこへ繋がる選択肢は・・・・・・きっと見つかるはずです。だから先生、どうか・・・・・・」
「・・・・・・私は自分一人では何も護ることが出来なかった弱く愚かな侍です・・・・・・それでも、こんな私でもまだ護れるものがあるのなら、やりますよ。必ず護り抜きます」
「・・・・・・ありがとうございます。ですがあなたの弟子たちも、私たちも皆、あなたのことを慕っていることをお忘れ無く。自分の体を大事にしてください」
少女は微笑みを浮かべながらそう言うと、目の前がぼやけだし暗転した。
「?ちょっと待ってください!君はあの子たちを知ってぃ・・・・・・」
彼、『吉田松陽』の意識はそこで途切れた。
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「・・・・・・い・・・・・・ください・・・・・・先生、起きてください。松陽先生!」
「・・・・・・聞きそびれてしまいましたか」
鋭い声に呼び起こされ目を開けると、エルフのように尖った耳を持った黒髪の少女が眼鏡を掛け直しながらこちらを見つめていた。
「ようやく目を覚まされたようですね、先生」
「・・・・・・すいません。此処は寝心地が良いですね・・・・・・こう言っておいてなんですが、此処は一体どこでしょうか?」
「記憶が混濁しているようですね。分かりました、ではもう一度、あらためて今の状況を説明します」
「ありがとうございます。えーと君は・・・・・・」
「私は七神リン、学園都市キヴォトスの連邦生徒会所属の幹部です」
「よろしくお願いしますね、リン。私は吉田松陽という者です」
「ええ、どうぞよろしくお願いします。そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生・・・・・・のようですが」
「何故推測なのですか?」
「・・・・・・私も先生がここに来た経緯を詳しく分かっていないのです」
「・・・・・・ふむ」
自分をここに呼び寄せたのは、あの空間で話した少女だろう。しかし松陽はその時何を話したかを思い出せずにいた。
だが自分がやるべきことだけは、分かる。
「混乱されるかもしれませんがともかく、今はどうしても先生にやっていただく事があります。今はとりあえず私についてきてください」
「分かりました。緊急のようですし早く行きましょうか」
そう言うと、松陽はリンの後をついていき部屋を後にした。
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部屋を後にした二人はエレベーターに乗り、移動する。
窓の外にはキヴォトスの景色が広がっており、それは松陽のいた世界の江戸のようだった。
「・・・・・・此処は綺麗なところですねぇ」
とは言ったものの、松陽の時は天人が来てすぐの時の戦争時代であったため江戸はそんなに発展しておらず、虚の時は景色は楽しむものではなかったため、こうして美しい景色を見ることに感動を覚える。
「気に入られたのなら良かったです。そして、『キヴォトス』へようこそ先生。キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります」
「数千も学園があるのですか。すごい数ですね」
「ええ、そして我々連邦生徒会が全行政を担っており、学園の運営に従事することで統制を保っていた・・・・・・のですが・・・・・・」
「何か問題が起きたのですか?」
「はい、それを今から説明します」
そう話しているうちにエレベーターは音を立て、到着した。
「ちょっと待って!やっと見つけたわよ、代行!今すぐ連邦生徒会長を呼んできて!」
「首席行政官。お待ちしておりました」
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」
「・・・・・・はぁ・・・・・・面倒な人たちに捕まってしまいましたね」
エレベーターを出ると、生徒たちと思われる少女達が詰め寄ってきた。
青髪の少女が怒鳴るように申し立て、それに続き他の子達も言葉を投げかけると、リンはため息をつきながらめんどくさそうな顔をする。
「人と会ってため息は関心しませんよリン。この子達は?」
「申し訳ございません、つい・・・・・・この方たちは各学園の代表として今起きている状況について問いただすために訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さんです。ですよね?」
(さらっと毒吐きましたね。ストレス溜まっているのでしょうか?)
「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」
「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出したという情報もありました」
「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」
「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」
「この世界そんな物騒なんですか?」
どうやら今のキヴォトスの状況はカオスそのものらしい。解決してほしいと言われたのはこのことだろう。
「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」
「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」
「「「!?」」」
「やはりあの噂は・・・・・・」
(連邦生徒会長・・・・・・もしや、あの子の事でしょうか)
松陽は行方不明となった連邦生徒会長があの空間で話した少女なのでは、と考えた。だがそれを確かめる術はないし、今はそれどころではない。
「結論から言うと、サンクトゥムタワーの最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが・・・・・・先程まで、そのような方法は見つかっていませんでした」
「先程まで、ということは今は方法があるということですか、首席行政官?」
「はい。こちらの先生が、フィクサーになってくれるはずです」
「私ですか?」
「え!?」
「この方が?」
松陽は急に自分に指名が上がり多少困惑し、周りの生徒達も驚きの顔をして松陽を見ている。
「て、ていうか、今更だけど、この先生はいったいどなた?」
「こちらは吉田松陽先生。これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」
「連邦生徒会長が?行方不明になっているのに?頭痛くなってきたわよ・・・・・・」
「とりあえず自己紹介しましょうか。初めまして、今日から此処で先生をすることになりました、吉田松陽です。フィクサーには慣れているのでお任せを」
「フィクサーに慣れてるってどうなの?・・・・・・と、ともかく、初めまして、先生。私はミレニアムサイエンススクールの早瀬ユウカです」
「ゲヘナ学園の火宮チナツです」
「トリニティ総合学園の羽川ハスミと申します」
「同じくトリニティ総合学園、守月スズミです」
「これからよろしくお願いしますね皆さん」
「では、事情を説明します。先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げたある部活、連邦捜査部『
「連邦捜査部、ですか。それはどんなことをする部活なんですか」
「シャーレは単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制約無しに戦闘活動を行うことも可能です」
「それって殆どなんでもありってことじゃないですか。いいのですか、それ?」
「ええ、なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは私も分かりませんが・・・・・・シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。連邦生徒会長の命令で、そこの地下に『とある物』を持ち込んでいます。今はともかく先生を、そこにお連れしなければなりません」
そう言うとリンは懐から機械を取り出し操作すると、ピンク髪の少女のホログラムが投影された。
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど」
『シャーレ?部室?・・・・・・ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎになってるよ』
「?」
『矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こして、今はそこ戦場になってるの』
「え?」
『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?』
「・・・・・・」
「戦場ですか・・・・・・」
『まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な・・・・・・あっ!先輩、お昼ごはんのデリバリーが来たから、また連絡するね!』
ブツッと音が鳴り、ホログラムが消えた。
リンはプルプルと肩を震わせ怒りをあらわにし、黒いオーラが見える。
「・・・・・・」
「リン、こういう時程深呼吸をして落ち着きなさい。はいせーの、ひっひっふー。ひっひっふー」
「先生それ深呼吸じゃなくてラマーズ法です」
「・・・・・・ふーっ・・・・・・だ、大丈夫です・・・・・・少々問題が発生しましたが、些細なことです」
リンは何かを考えるように顎に手を置き、すぐにユウカたちの方を見る。
「な、何でこっち見つめてるの?」
「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです。さあ皆さん、行きましょう」
「ちょ、ちょっと待って!どこに行くって言うなよ!?」
「リンってば見た目に反して結構強引ですねぇ」
強引に話を進めたリンは松陽とユウカ達を連れ、シャーレの部室へと向かった。
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サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すため、シャーレの部室まで目指す松陽達だったが、部室周辺はモモカが言ったようにスケバンの不良達が暴れ散らかしており、銃弾が飛び交う戦場になっていた。
「戦というのはやはり、気持ちがいいものではありませんね」
「先生はキヴォトスに来たばっか知らないのですね。キヴォトスではほとんどの生徒が銃火器を携帯しています。治安が悪いところでは戦闘は結構日常茶飯事ですよ」
「本当に物騒ですねぇ」
「はぁ、それにしてもなんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないのよ・・・・・・」
「まあまあ、制御権を取り戻さないと問題が解決しませんし。今度私からお礼を致しますので今は力を・・・・・・ッ!ユウカ!伏せてください!」
「えっ」
危機を感じた松陽は慌ててユウカに警告するがすでに遅く、銃弾がユウカに直撃した。
「ユウカ!大丈夫ですか!?」
「痛っ!!痛いって!!」
しかしユウカはピンピンしており、怪我もしていなかった。
「ユ、ユウカ、大丈夫なんですか?」
「ん?ああ、そうえば言ってませんでしたね。キヴォトスに住んでいる生徒たちは体が頑丈なので銃弾を食らったくらいでは怪我もしませんよ。だから私たちの心配はしなくて大丈夫です!」
「・・・・・・はぁ、そうなんですか。安心しました」
「ていうか!あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!傷跡が残っちゃうじゃないのよ!」
「ともかく、今は先生が一緒なので気をつけましょう」
「ああ、私の心配ならしなくて大丈夫ですよ」
「ダメですよ先生。ハスミさんの言う通り、先生はキヴォトスの外から来た方なので、私たちと違って、弾丸一つでも命に危機にさらされる可能性があります」
「心配してくれてありがとうございます、チナツ。ですが本当に私の心配はしなくて大丈夫です。丈夫ということは基本的には怪我しないということでしょう?あの悪ガキどもには少しお仕置きが必要ですから私が行きます。でも、とりあえずは話に行ってきますね」
「ちょっと先生!?武器もないのに、ってもういない!?」
ユウカ達が注意するよう言っている内に松陽はすでに移動しており、不良達の前まで移動していた。
「な、なんだこいつ!?」
「てめー!何しに来やがった!」
「いえ怪しいものではありませんよ。ただ少しお話しして頂きたくて」
「お話しだあ?」
「はい。抵抗するのやめて頂きませんかね?」
松陽がそう言うと、不良たちは呆然とし、すぐに笑いが広がった。
「ダハハ!何言ってんだこいつ!」
「素直にやめるわけねえだろ!連邦生徒会が泣いて謝れば考えるかもしれないけどな!ハハハッ!」
「・・・・・・そうですか。私にこれを抜かせないで欲しかったのですが」
そう言うと松陽はこの世界に来た時に何故かあった卍型の鍔の刀を腰に差し、柄に手をかけ、鯉口を切る。思い出したくもない嫌な組織を思い浮かべるが今はそうも言ってられない。
「ああん?刀ぁ?」
「ま、まさか先生、刀だけで戦うつもりですか!?だ、ダメです先生!刀でもキヴォトスの生徒には勝てません!!」
「舐めてんなお前!痛い目見て後悔しやがれ!!」
「先生!!」
松陽の態度に不良のうちの一人がキレて松陽に銃弾を放つ。
銃弾は命中。吉田松陽、敗北。
キンッ
「「「「「え・・・・・・ええぇぇぇぇぇ!!?」」」」」
・・・・・・するわけなかった。
松陽が素早く抜刀すると刀身が黒く光り、弾丸を真っ二つにした。二つに割れた弾丸は勢いを殺されたことで無力化された。勿論そんなこと普通の人じゃできない。
ユウカ達、そして不良達は知らない。
彼が地球のアルタナと言われている巨大惑星エネルギーにより不老不死になり、500年あまりを生き、戦いに身を置いていたことを。
呼ばれたくないだろうが、
ある時には『鬼』と『バケモノ』と。これには別の悲しき物語もあるが今はやめておこう。
ともかく、そんな彼は元の世界でもここキヴォトスでも最強とも言えるであろう。
「ば、馬鹿な!弾を斬っただと!?」
「な、なんだこいつ!?」
目の前で起きたことが衝撃で不良達も慌てており、ユウカ達も度肝を抜かれた。
「い、今何が起こったの?」
「わ、分かりません。いつの間にか刀も抜かれている。素早すぎるのか、抜くところがまるで見えませんでした」
「先生があんなに強い人だったとは・・・・・・私達よりお強いんじゃないですか?」
「じゅ、銃弾を斬るなんてどうなってんだ!!?」
「ば、馬鹿!!そんなことできる訳ねえだろ!!み、見間違いだ!!」
「そそそそうだ!!全員で撃てえ!!」
動揺と松陽への恐怖から不良達は全員で松陽に銃を乱射始めた。
「やれやれ。こんな透き通っている美しい世界でもいるのですねぇ、悪ガキ共が」
しかし彼からしたらなんて事もない。身に迫る銃弾の嵐を刀で受け流したり斬りながら不良達に近付くと不良達が持っている銃を斬り破壊した。
「ひっ!?」
「じゅ、銃が!?」
「そんなあなた達に、路傍で授業を一つ。半端者が銃を持つなんて100年早い!」
「うげぇっ!?」
「ごっ!!?」
「かゔぁお!!?」
ドゴォン
不良達に軽く拳骨を落とすが、音と見た目が合っていないし、食らった不良たちは体が地面に埋まっており、頭だけが飛び出し気絶しているというなんともシュールな光景になっている。
「子供に拳骨を下すのは心苦しいですが、悪しからず」
あーた、めちゃくちゃ弟子に拳骨してたでしょう。
「あの拳骨どんな威力してんのよ!?」
「あまり食らいたくありませんね・・・・・・」
「頑丈なはずなのに綺麗にタンコブできてますね」
「・・・・・・先生、あなたは一体何者なのですか?まるで、巨人ですよ」
「それは違うよスズミ、私は・・・・・・阪神が好きです」
「先生人の話聞いてください。貴方みたいなバケモノじみた強さを持った人見た事ないって言ってるんです!」
松陽の規格外の強さに少し警戒を抱いてしまうスズミだが、笑顔で言う松陽に警戒するのも馬鹿らしくなってきて、この人は多分安心だろう、と心の中で思った。
「・・・・・・ただの侍ですよ。何も護ることの出来なかった、ね。ですが今度は必ず、全て護り抜いてみせます」
元烏、今度は死神から守護神になるべくキヴォトスに舞い降りる。
ども、最近ブルアカにハマった作者です!やってたら松陽先生ぶち込みてえなって思って今日この頃。
ハマったといえどブルアカはまだ全然ストーリーが進められてないので進めながら書けたらいいなと思います。
てか松陽先生描写多いって訳じゃないから喋り方とか何気難しいですね。文が下手くそで読みにくいですのでアドバイスなど頂けたらめちゃくちゃ嬉しいです!
思ったより長くなったので、次の話までプロローグをやっていこうと思います。