透き通った世界観にElinの民をひとつまみ   作:無名さん

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やっぱりキヴォトスも大概おかしい

「先生が経営顧問に?」

 

便利屋を拠点に招き魔法の講習とテレポーターの実験を行おうとしていたところ、アルからそんな話を聞かされる。

 

「えぇ。これで便利屋は経営状況はこれまで以上に上向き、戦いにおいても貴方がいるおかげで私達は敵無し……。もう怖いものはないわ」

 

「これまで以上って言っても、今はカップ麺一つをみんなで分け合うような状況だから、今より下向きになると困るんだけどね」

 

「も、申し訳ありませんアル様……!私がもっとお役に立てればこんなことには……今から内臓売ってきます!」

 

「また始まっちゃったハルカちゃんのいつものやつ。いかなくていいよー?」

 

聞くに最悪の状況としか思えないのだが大丈夫か?いくら女の子とはいえカップ麺を四等分では腹も膨れまい。とりあえず何か食べてから色々始めた方がいいかもしれない。――キヴォトスでは内臓が売れるのか?ノースティリスで集めた心臓を売ってみるか?

 

「はぁ……。その状況を聞くに先生が経営顧問になってくれたのは幸いだったな。アルは社員を食わせる分くらいはちゃんと稼ぐか貯蓄はしておけ」

 

「はい……」

 

「まぁ説教する為に呼んだわけじゃないから話を続けよう。とりあえず今日は特別ゲストを呼んでいる。彼女も一緒に魔法の講習を受けるからよろしくな」

 

ゲスト?

便利屋が仲良く声を揃えて同じ方向に首を傾げる。

 

「特別ゲストの空崎ヒナだ。入ってくれ」

 

「――へっ?」

 

私の合図でヒナが入ってくる。ヒナの姿を認識した瞬間アル達が窓から逃げようとするので腕を掴んで止める。敵無しとか威勢の良い事言ってただろうに。どんな反応をするかと思って仕掛けてみたのだがここまでなりふり構わないとは思わなかった。ちょっと面白い。

 

「――はい君達逃げるな」

 

「どうしてここにヒナがいるのよ!戦闘顧問なのに私達便利屋を裏切ったわね!?」

 

「……戦闘顧問?」

 

「「あっ」」

 

この子秘密にって言ったのにあっさりバラしやがった……!いや状況的に咄嗟に出た言葉だし切っ掛け作ったの私だから自業自得でもあるから何も言えない。

 

「へぇ。貴方便利屋に入ってたのね。風紀委員会を裏切るなんて思わなかった」

 

「い、いやヒナこれはちょっと色々と手違いがだな」

 

「くふふふ~。修羅場ってやつだねおにーさん」

 

冗談を言ってる場合ではない。ヒナの周囲の温度が低くなっている。また寒波が訪れる前にどうにかしないといけない。

 

「――ちょっとこっちきて」

 

ヒナに呼ばれたので恐る恐る近づくと、小声で耳打ちしてくる。

 

「彼女達もその……ぺ、ペットに、するの?」

 

「え?いや、その予定は今は特に無いが……」

 

魔法を教えたりはしているが現状相手が望まない限りはその予定はない。ヒナより優秀な子がいるなら考えるところだが今のところヒナ以上を見た事はない。ホシノが聞いた話優秀みたいだが実際に戦う所を見たこともないしな。――住民にはする事はあるかもしれない。アビドスがわざとではないがなってしまったしな。

 

「そう……。ならいいわ。あまり粉かけちゃだめよ」

 

言い方。なんなら大体出会った生徒は私の行動を見てドン引きするか化け物呼ばわりしてくる失敬な子ばかりだ。ペットになってくれそうな子は多くないんじゃなかろうか。私にその気が無い事が分かったのかヒナの温度が戻り便利屋に声を掛ける。

 

「便利屋。今日は一緒に魔法を学ぶ立場だから見逃す。でもあまりめんどうはかけないで」

 

「ほっ……」

 

「よし、何とかなったところで腹ごしらえから済ませよう。流石にさっきの話を聞かされては放っておけん」

 

彼女達にクリームシチューとふかふかパンを振る舞った。やはりお腹が空いていたのか割と量を作ったはずだがぺろりと平らげていた。

 

「はー、美味しかった!顧問は料理も作れたのね。ごちそうさま」

 

「お兄さんって結構出来る事多いよね」

 

「は~美味しかった~。おにーさんありがと!」

 

「ご、ごちそうさまです。ありがとうございました……」

 

「お粗末様。これからもご飯に困ったらうちへ来るといい。流石にカップ麺を分け合うとか野草を探して食べるとかキヴォトスではあまりにひもじすぎる」

 

「で、でもそこまでお世話になるわけにはいかないわ」

 

あほか。食事は能力の成長に不可欠なものだ。これを軽視するなんてとんでもない。それにこの状況を経営顧問になった先生が知っても私と同じように食事を与えるだろう。お世話になる事に引け目を感じるならお世話にならない状況を作った方がいい。

 

「そうね……。じゃあこれからも困ったら頼りにさせてもらうわ」

 

「そうしてくれ。その方が私も先生も安心だ」

 

「やっぱり粉かけてる……」

 

ヒナ、隣で食べてたんだから流石に聞こえている。かけてないぞ……。

ヒナと便利屋を連れてテレポーターを設置している場所へ行き今日の本題に入る。

 

「さて、まずは魔法を教える前にテレポーターを便利屋に試してもらおうと思う」

 

「テレポーター?」

 

「そうだ。この拠点と私の世界であるノースティリスを繋ぐ機械だ。これに乗れば一瞬で行き来出来る代物だな」

 

帰還の魔法で帰れる事は把握しているがテレポーターは確認していない。これが使えればかなり利便性が上がる。

 

「実のところ私もまだ試していなくてな。私が先に通るからその後私に付いてきて欲しい」

 

「お兄さんの世界へ行くってこと?なんか急に話の規模が大きくなったね」

 

「そ、そうね。でも正直顧問の世界には興味があるわ」

 

「今日は魔法の件もあるから通るだけだ。もし私の世界に興味があるならまた日を改めて案内しよう」

 

この後は魔法も教えなければならないので予定は山積みだ。そんな訳でまず私が先にテレポーターに入ってみる。すると一瞬で視界が切り替わり、私が他の拠点に繋いでいるテレポーターを設置している部屋に辿り着いた。

 

「お、問題なさそうだな。後は便利屋も私に続いてくれれば……」

 

間もなくして便利屋と何故かヒナが続いて入ってきた。ヒナは万が一のリスクを鑑みて待機していて欲しかったのだが待機してとも言ってなかったな。

 

「え、ここどこ!?すごーい!ほんとにテレポートしちゃった!」

 

「他にも同じテレポーターが沢山あるけどこれ全部違う所に繋がってるの?」

 

「そうだ。これでキヴォトスからノースティリスの道も上手く開通したしキヴォトスの者でも通れる事が分かった。協力してくれてありがとう」

 

「ふふ、気にしないでちょうだい!」

 

「お役に立てたようで良かったです」

 

試したい事は試した。魔法の講習を始めよう。

 

「さて、アルのお待ちかねであろう魔法の習得を始めようか」

 

「待ってたわ!ずっと楽しみにしてたのよ!」

 

それはなによりだ。便利屋は四人組だしせっかくだから全員違う属性の魔法を覚えてもらおうと思っている。それぞれに対応した魔法書を配っていきながら説明を続ける。

 

「アルに覚えさせる魔法から説明する。アルに覚えさせるのは雷の光線と炎の剣だ。アルが興味を持ったのはこの魔法だったからせっかくだし教えておく」

 

雷の光線はビナーと戦った際に使った魔法の一つで文字通り雷の光線を直線上に放つ。貫通性があるので敵が重なっているとまとめて貫く事が出来る。炎の剣は前にも見せた通り炎を象った剣を作り出し敵を斬ることが出来る。威力は長剣スキルに影響するが、実は長剣スキルがそれ程育っていなくても魔力と魔法のレベルが高ければ矢魔法とほぼ同等の威力が出せる。

 

「次にハルカ。君は氷の矢と氷の球だ」

 

氷の矢は私がメインに使っている魔法の一つで、氷の球は自分を中心に発動する範囲攻撃魔法だ。アルに教えた電撃属性の魔法と氷の魔法は相性が非常に良く、氷の魔法で濡れ状態にすると電撃属性のダメージの通りが良くなる。ハルカが前線で暴れて濡れ状態にし、アルが電撃魔法を撃ってやれば相手は文字通り死ぬだろう。私もペットに電撃魔法を覚えさせてよくやっている。

 

「次にムツキだな。君は魔力の矢と魔力の球だな」

 

魔力の矢も私がメインに使っている魔法の一つで、ハルカとは属性が違うだけで特徴は一緒だ。ノースティリスであれば魔法属性はそこそこ通りが良く、無効化してくる敵が少ない。

 

「最後にカヨコ。影召喚と聖なる盾と轟音の光線だ」

 

カヨコだけ特色が少し違うが影召喚は音属性による自爆攻撃を行う影を召喚し使役出来る。聖なる盾は自分と仲間の防御力を上げ、轟音の光線は影召喚と同じく音属性による光線魔法を繰り出す。音属性は相手を朦朧とさせるので相手の攻撃の命中率を下げられたり逆に相手を狙いやすくもなるだろう。

 

「私だけ三つも魔法があるけどどうして?」

 

それは影召喚の使い道に関する事になるが、影召喚は自爆要員として使うだけでなく、魔力制御を上げる為にも使えるのだ。光線や玉の魔法は敵だけでなく味方をも巻き込む魔法なのだが、魔力制御を上げればその巻き込みを防ぐことが出来る。そして魔力制御の上げ方は魔法をあえて味方に巻き込む事で上がっていく。なのでカヨコには影召喚を覚えてもらって魔力制御の練習として使って欲しいと話す。

 

「なるほどね。それにしても随分本の数が多いね。一種類につき十冊くらいない?」

 

「この程度の数のストックなんて練習で撃ってたらすぐ無くなるぞ。魔法のレベル上げはひたすら反復するしかないからな」

 

そうして便利屋が魔法書を読み始めるところを見てからヒナにも魔法書を色々渡す。

 

「ヒナにもこの前言っていた地震とメテオと、あと帰還の魔法書を渡しておく。特に地震とメテオは読書難度が高いから気を付けて読んでくれ」

 

「分かったわ。読んでみる」

 

しかしヒナはそれらの魔法書も問題なく読み上げた。ちょっと帰還の魔法を試してみてもらおう。

 

「ヒナ。試しに帰還の魔法を使ってみてくれるか?一度唱えると今自分がどこに帰還出来るか頭に浮かぶはずだ」

 

「えぇ。――これ結構詠唱難度高いのね。全然成功しないわ」

 

そういえば帰還は何故か詠唱率低かったな。それでもゼロって事はないはずだから続けていれば成功すると思うが――。

 

「やっと出来た。えっと、今いる拠点に飛べるみたい」

 

なるほど。ならこれからヒナはここに来るときは時短できそうだな。

 

「そうか。問題なく使えるようで良かった。これでこっちに来るときは楽が出来るな」

 

帰還の魔法の実験をしていると便利屋の方の読書が終わったようだった。では早速魔法の実践といこうか。

 

「ふわぁ~目がしぱしぱする~」

 

「こんなに一気に本を読んだ経験ってあまりした事無かったから疲労感が凄いわ……」

 

「だね。私も流石に疲れたかな」

 

「わ、私もです……」

 

読書の失敗は起こっていないがどうやら精神的な疲れが出たようだ。魔法を撃つ的を用意している間に小休止しててもらおう。

 

「――よし、ではここに的を用意した。私がどんなに本気で攻撃しても絶対に壊れない謎の的だ。安心してこれに撃ってくれ」

 

「それって結構やばい代物だったりしないかしら?」

 

ほんとに意味が分からない。どう見ても見た目はただの木のカカシなのに全く破壊出来ない。

 

「それじゃ、私が先に撃つわ!」

 

アルが待ちきれないという様子で立候補する。そうして的の前に立ち自分の愛銃を構えて銃口を向けている。――何をしてる?

 

「ん?何故銃を構え――」

 

するとアルの銃から雷の光線が放たれ、木人に命中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――は?……えっ何それ知らん。

 

「すごい!ほんとに撃てちゃった!」

 

アルはそれはもう喜びながら魔法を連射している。便利屋の面々はそれを微笑ましそうにしながら見つめているが、今の状況に違和感を持っている者はヒナ含めていないようだ。まともなのは私だけか?

 

少なくともノースティリスで銃から魔法を撃つなんて芸当は出来ない。なのでこれはキヴォトス限定の現象という事になる。まじか、そんな事になるのか。

前言撤回してキヴォトスの生徒のペットもう少し欲しいかも。こんな面白いもの見せられて欲しくならない訳がない。

 

他の子の魔法の撃ち方も見たいので予備の木人を用意してみんなに撃たせてみるが、やはり全員銃から魔法を撃ちだしていた。しかし、全員違う種類の銃を扱っているが魔法の射出のされ方はノースティリスと同じで基本単発だ。SGで魔法を撃ったからといって散弾という形で発射されたりはしていなかった。

 

正直助かった。銃の種類でも特徴が出るならコンプリートしなければ気が済まなくなるところだった。

矢と光線は銃から出るのを確認出来たが球やメテオなどの範囲魔法はどうなるのだろう。

 

「ハルカ。氷の球を試しに撃ってみてくれないか?」

 

「わ、分かりました」

 

すると銃を撃つのは変わらないのだが氷の弾丸が発射され、着弾した時点でその場で弾けるように氷の球が発動した。

 

――なにそれずるい。

 

範囲魔法の発動場所を指定出来るとかずるすぎる。そんなの私でも出来ない。いーなー!

 

「ありがとう。よく分かった。私と君達では攻撃魔法の仕様は大きく異なるようだな」

 

「そういえばおにーさんは銃を使わなくても魔法使えたよね?」

 

「言われてみればそうね。私は魔法を使おうって思ったら自然と銃を構えてたわね」

 

「逆に君たちは銃が無いとだめそうか?」

 

そう聞いてみるとカヨコが試しに使わずに撃とうとしてみたところ、普通に撃ってた。だからずるいだろ。無法すぎるだろキヴォトス。

 

「あ、普通に使えるね。でも銃の方が何となく性に合う感じはする」

 

「そ、そうか……。私は銃で魔法を使うとかいうトンデモ行為は出来ないんだがな……。なんなんだ君達?」

 

「いやそんな事言われても……」

 

「ふふ、この前のアビドスでは驚かされっぱなしだったけど、逆に貴方がドン引きするところを見る事になるなんてね」

 

「お兄さんってあの時以降もアビドスと交流あったの?ヒナ」

 

「ついこの間ね。アビドスに行って死者蘇生をしてたの」

 

「えっ?冗談だよね?」

 

「今度アビドスへ行ってみなさい。あの人が何をしたか分かるから」

 

彼女達の無法さにドン引きしながらも少し気になった事があるので雑談をしていたカヨコに引き続き銃を使わずに魔法を撃つ様子を見せてもらう。

 

「ありがとう。次は銃を使ってみせてくれ」

 

「うん」

 

そうして見ているとある事に気付いた。彼女達は銃を使って魔法を扱うか、使わずに魔法を扱うかで詠唱率に差がある。少なくとも銃で撃っている間は失敗したところを見たのはほんのわずかだ。銃を使えば九割程度の確率で成功していると思う。

 

「なるほどな。カヨコが性に合うって言ったのはそういう事だったか」

 

「だね。詠唱率が全然違う」

 

「聖なる盾や影召喚だとどうなる?」

 

「――銃で扱うのは無理かな。轟音の光線は撃てる感覚があったけどその二つはだめそう」

 

となると銃から撃てるのは攻撃魔法だけ、って事になるか。そういえば前に治癒魔法を教えた時は銃なんて使ってなかった。

 

「ヒナ、メテオは銃から撃てそうか?」

 

「だめね。地震とメテオは銃からじゃ撃てなさそう」

 

まぁこの二つは特殊な分類の魔法だしそうなるのは仕方ないのか?というより矢と光線と球が銃で撃てるという感じかな?

試しにヒナに地獄の手と神経の瘴気の魔法書を買ってきて読ませて実践させたところ、予想通りだめだった。

 

結論としてはキヴォトスの者は矢と光線と球の魔法は銃で撃つことが出来て詠唱率も高く、球の範囲指定も行う事が出来る。といった感じか。

 

優秀過ぎるな?正直このまま便利屋をペットにしたくなるが……。

アルは少々性根が真っ直ぐすぎる。端的に言えばとても良い子だ。アウトローを目指しているようではあるが、ノースティリスで生きていくのは恐らく無理なんじゃなかろうか?そこが残念だ。

 

「しかし君たちに魔法を教えて正解だったな。おかげで面白いものが見れたよ。ありがとう」

 

「お礼を言うのは私達の方よ。正直魔法を教えてもらう対価を支払えているか不安だったもの」

 

「心配せずとも十分お釣りが来る程の物を見せてもらったよ。これからも定期的に魔法書を仕入れておくから読みたくなったらここへ来てくれ」

 

「分かったわ!これからもよろしくね!顧問!」

 

「あぁ。私達はこれから風紀委員会の元へ行くからこれで解散としよう」

 

「おにーさんじゃあね~!」

 

「今日もありがと。またね」

 

「お、お世話になりました……!」

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

「――ふっ!――はっ!―――っぶない!」

 

便利屋との魔法講習が終わった後に風紀委員会の元へ行きイオリとの特訓を行っていたのだが、だいぶ私の攻撃を避けられるようになってきている。

 

「良い調子だイオリ。成長したな」

 

「――!ほんとか!――いぃったぁ!?」

 

「褒めはしたが止まっていいとは言ってないぞ」

 

「だからって容赦なさすぎだろ……いたた」

 

しかしそろそろ次のステップに進んでもいいかもしれない。今までは回避に専念してもらっていたが向こうからのアクションも起こさせよう。イオリに治癒魔法を掛けながらそんな話をする。

 

「そういうわけでこれからはイオリからも私に攻撃をしてきていいぞ。無論舐めた攻撃をしてきたら今まで以上にきついのをくれてやるから安心しろ」

 

「えぇ!?今まで以上だと痛みで死ぬって!」

 

大丈夫大丈夫。木刀だから絶対死なない。

 

「あーもう!こっちからもきついの食らわせてやるからな!」

 

「ははっ、私に軽くなでられただけで死ぬ子が何か言ってら」

 

「覚悟しろっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぼぁー……」

 

中々ひどいうめき声を上げながら沈んでいるイオリ。しかし中々悪くなかった。特に足技を使った攻撃は良かった。――やはり脚には自信があるのか?

 

「なんか変な事考えてないか?」

 

「――いや?足技は悪くなかったと思ってな」

 

「足……やっぱり大人って脚が好きなのか……?」

 

「…………………」

 

 

 

 

 

イオリとの特訓を終えて風紀委員会の執務室でチナツとアコの三人でバウムクーヘンという菓子を食べていた時アコから声を掛けられる。

 

「そういえばあの万魔殿のタヌキを校門前に吊るし上げたのって貴方の仕業らしいですね」

 

「あぁ、ちょっとオイタをしかけていたから軽い罰をな」

 

「良くやってくれました。あれを見たイオリとチナツと勿論私も大変笑わせてもらいましたので」

 

「ふふっ、あれはさすがにちょっと面白かったですね」

 

「そうか。あれで君たちの溜飲が下がったのならやって良かったと思えるよ」

 

「でもどういう経緯であんな事をする事に?」

 

まぁ気になるよな。しかしこれに関してはどう教えたものか。アコは確実にマコトにぶちぎれるだろうがまぁそこはいいとして、結局調印式でどう動くかは私の中で決め切れていない部分が多い。先生にも未だあの情報は伏せてある。マコトがスパイとして動いてる以上今はまだあの情報を知らない者は多い方がいい。

 

「いずれ話すよ。それなりに重要な話になるからその話をしてからは忙しくなるかもしれない。二人には心構えだけはしておいてほしい」

 

「はぁ……まぁ分かりました。覚えておきます。――それはそれとして」

 

「ん?」

 

「最近ヒナ委員長と距離近くないですか?二人で行動してる時も多いですし。――うらやま、ずるいです!」

 

「全然隠せてませんよアコ行政官」

 

「あぁ、それはヒナが私のペットになったからだろうな」

 

「なるほど。そういう事でしたか――」

 

「「は?」」

 

「とはいえ卒業後の話だ。今すぐどうこうという訳ではないから安心していいぞ」

 

「そういう問題ですか……?委員長が貴方に惹かれてるのは察してましたが流石にそれは倒錯的すぎ――」

 

「私だってペットになりたかった!」

 

「「えぇ……?」」

 

アコにそこまでのペット願望があったとは思わなかったな。ここまで言われたら流石にペットにするしかないか?アコであればヒナも歓迎するかもしれない。

 

「ならアコもペットになるか?」

 

「貴方じゃなくて委員長のです!」

 

そっちかい。――いやでも興味深いな?ペットがペットを引き連れるって発想は今まで無かったことだ。試す価値は――あれ、そういえばこっちのペットとノースティリスのペットでは意味合いがかなり違ったな。

 

「……とりあえず二人に誤解を解く必要がある。今ペットと言ったがノースティリスでは意味合いが少し変わるんだ」

 

「というと?」

 

「ノースティリスでは旅の仲間とかそういった意味でな。ヒナには卒業後にキヴォトスやノースティリスの旅に同行してもらう事になったんだ」

 

「あぁ、そういう事でしたか。貴方達の性癖が歪んでるわけではなくて安心しました」

 

あぶね、気付けて良かったな。すれ違い起こしたままだったら私は死んでいた。キヴォトス的に。

 

「結局は卒業後も一緒にいるとかやっぱりずるいじゃないですか!私も一緒に行きますからね!」

 

「えぇ……。まぁヒナが良いって言うならいいんじゃないか?」

 

「ほ、ほんとですか!?今さら撤回は許しませんからね!?」

 

「あぁ、うん。とりあえずヒナに相談してもらえるか?」

 

 

 

こうしてペット候補がもう一人、ヒナに出来る事になった。

 

 

 

 

 

 




というわけで攻撃魔法だけキヴォトス人は少し特殊って事にしました。ちょっとくらい盛ってもばれへんやろ。

例のエレアの男女二人組がNightlyで実装されてるってマジ?自分はMOD環境の安定版でやってるのでまだお目に掛かれてませんが楽しみすぎるな…。



そして総合評価が1000を超えました。皆様本当にありがとうございます。
数日前は100を超えて喜んでたはずなんだけどな…?感謝してもしきれねぇぜ…。
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